公太郎はトラウマ   作:正直な嘘吐き

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これからも度々追加される(であろう)外伝ですが、チャプターとチャプターの間のセイクリッド・フェイズのようなものだと思っていただければ幸いです。


外伝その一 後

「うっ……。ん……」

 

 ざりざりと、地面の上で何かを押し出すような物音で九々は目を覚ました。

 

 普段は聞かない音に、なんだなんだと鈍い頭のまま、体を起こして物音のした方に顔を向ける。

 

 向けて――九々は思い出す。自分は寝ていたのではなく、気を失っていたのだと。

 

 忌むべき存在から逃げ回っていたのだと……思い出して、しまう。

 

 地面に投げつけた携帯電話。それがゆっくりとこちらに向かってきていた。

 

 当然、携帯がひとりでに動いている訳ではない。

 

 小さな体を駆使して、精一杯に携帯を九々の方へと押しやる――公太郎。

 

 携帯と一緒にもぞもぞと近寄る公太郎を目にし、九々は小さく息を呑む。

 

 そうして目の前まで近寄られ――

 

「はいなのだ。あんな風に投げると危ないから、もう投げちゃダメなのだ!」

 

 公太郎に、注意される。

 

「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!」

 

 甲高い奇声を発しながら、勢い良く九々は上体を跳ね起こす。

 

「――え、あ……あれ? んん……?」

 

 九々は戸惑う。自分は体を起こしていた筈なのに――何故、また体を起こしているのだと。

 

 ――訳が判らない。

 

 それが、今の九々の心情だった。

 

 目が覚めてから横になった覚えなどない。なのになんでまた……?

 

 さきほどの――公太郎が携帯を押しやる光景。あれは夢だったのか、それとも現の出来事だったのか。

 

 それこそ、今自分は目を覚ましているのかどうかすらも、九々には判らなくなっていた。

 

 これは夢か現か。考えが纏まらない、頭がまともに動いてくれない。

 

「……いや。俺は何をやってるんだ、携帯を見ればいいじゃないか。携帯は――」

 

 携帯は……九々の目の前にはない。変わらず、投げつけた先で物言わぬまま。

 

「――はぁー……。さっきのは夢か……。っそうだ! あいつは、公太郎は何処に行った!?」

 

 周囲を見回すが、公太郎の姿は見えない。あるのは鬱蒼と茂る木々ばかり。

 

 勝ったと思った。外伝完ッ! と、九々は内心で叫んでいた。

 

 だが、そうは問屋がおろさない。

 

「っうひぃ!?」

 

 左胸に突如感じる、生暖かい何かが忙しなく蠢く感触。

 

 ……左胸のポケットに、何かいる。

 

 恐る恐るポケットの方へ視線を向け、九々は見てしまう。

 

 ポケットに頭から突っ込み――ひたすら足をバタつかせる公太郎の姿を!

 

「うおっ――うわわ、うわ、うわああああああああぁぁぁ!!!」

 

 気付けば九々は一心不乱に転げまわっていた。端から見る分には馬鹿みたいに感じられるが、本人は至って本気、大真面目だ。

 

 木々にぶつかろうが構うことなく、ただただ我武者羅に転がっている。

 

 ……そうしてどれだけの間転がっただろうか。不意に止まったかと思うと、上着を引き裂くようにして脱ぎ捨てる。思い切り、地面に叩きつけるように。

 

「はっ、はっ――うっ、うぶっ、ううぅぅぅぅぅ……っ!」

 

 恐怖故なのか回り過ぎたが故なのか、それともその両方か。

 

 九々は四つん這いになると、耐え切れず、胃の中身をその場にぶちまけてしまう。

 

 胃の中が空になるまで吐き続け、吐き出すものが胃液に変わっても尚吐き続けた。

 

「うぅぅぅ……。な、なんでこんなことになっちまったんだよぉ。俺、なんにも悪いことしてないじゃん……」

 

 弱音を吐きながらもこの場から逃げるべく立ち上がろうとするが、今までのショックが抜けきっていないせいで、上手く足腰に力が入らない。

 

 ――やべぇ……。腰抜けちまった……。

 

 これは絶体絶命のピンチなのではないかと、九々は冷や汗を流す。

 

 立てないとなっては逃げることができないのだから、冷や汗を流してしまうのも無理からぬことだった。

 

 ――ねずみに追い詰められて袋のねずみとはこれ如何に。ああ、オワタ……。

 

 そして――とうとう九々は諦めてしまった。

 

 脱ぎ捨てた上着がもぞもぞと蠢き、そこから這い出た公太郎が顔を見せる。

 

 とてとてと、何故か胸ポケットに入れていたボールペンを両手で抱えながら近づいて来る公太郎を、九々は力なく見つめることしかできない。

 

「…………なんだよ」

 

 目の前までやって来た目下の公太郎に、九々はそう冷たく言い放つ。

 

 しかし公太郎はただ九々のことを見上げるばかりで、何も仕掛けてこない。

 

 そこで九々は漸く気付く。公太郎から全く敵意を感じないことに。

 

 敵意が無いことに気付いた九々は若干ではあるが気を緩め、それにあわせて公太郎は抱えたボールペンでぐりぐりと地面に何かを書き込む。

 

 ――……こいつ、なに書いてんだ?

 

 訝しげに思いながらもジッとその様子を見つめる。そうして待っていると、書き終えた公太郎が横にずれる。どうやら見ろということらしい。

 

 依然として訝しく思いながらも、九々は地面に書き込まれたものに目を通す。

 

 そこには拙い字でこう書いてあった。

 

 ――げんき だして。

 

「――――っ!」

 

 ――こ、こいつ……っ! 誰のせいでこうなってると!

 

 抑えきれない激情が九々を包みかけるが、その激情に従ってしまったが最後ハムスターの波に飲み込まれ、波が引く頃にはズタズタにされた黒髪の雑魚に成り下がってしまうぞと、九々は自身にそう言い聞かせた。

 

 無理やりに自分を落ち着かせ、公太郎を刺激しないよう努めて平静を装う。

 

「あ――ああ、お気遣いどうも。……ちょっとはしゃぎ過ぎたせいで疲れてるんだよ」

 

 平静に。と心掛けるが、それでもやはり九々の言葉はどこか硬い。

 

 というのもセラフィックゲートに居た頃の、公太郎に手酷くやられた時の恐怖が未だ心に色濃く残っているのだ。

 

 それを鑑みると、この九々の硬さにも納得がいく。

 

 一方で疲れているだけだと返された公太郎は、地面に字を書き込むこともなく、ただただ九々を見つめるばかり。

 

 九々としても居心地こそ悪いものの、やはり公太郎からは一切の敵意を感じず、どうすればいいのかさっぱり判らないままだった。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

「なぁ、お前ってなんでこっちに居たんだ?」

 

 あれから十と数分。

 

 一向に立ち去る気配を見せない公太郎に、九々は問いかける。

 

 何故、お前はこの世界にいたのかと。

 

 しかし問われた公太郎は首を横に振るばかりで、九々の望む答えは返ってこない。

 

「判らない、のか……? まあいいや。返答に期待していた、って訳じゃないしな」

 

 よっこいしょと口にしながら、九々は立ち上がる。

 

 抜けた腰が回復して動けるようになった今、九々がここに居る理由などない。

 

 もう二度とこんな所に来るものかと、内心で吐き捨てながら立ち去ろうするが――

 

「……なんだよ。まだ何かあるのか?」

 

 そんな九々の前に、公太郎は回り込む。

 

 回り込まれ、一瞬ではあるが九々の心臓が大きく跳ね上がる。

 

 ――ビビッてない。ビビッてないぞ俺は……。

 

 そう、自分に言い聞かせる。

 

 一方で問いかけられた公太郎は、さきほどと同じようにボールペンで地面に何事かを書き込んでいた。

 

 ――つれてって。

 

 それが、書き込まれた内容だった。

 

「つれてって? 悪いけど、うちにはもう黄金の鶏のコッコちゃんが――」

 

 言いかけて、はたと思う。

 

 自分は部長に誘われ、使い魔を求めてこの森を訪れているのだ。

 

 ならば、自分について行きたいと言っている公太郎を使い魔にするのは、充分にありなのではないだろうか?

 

 使い魔にならないかと、誘うだけならタダなのだ。逸る気持ちを抑えながら、九々は公太郎に誘いの声をかける。

 

「……俺はさ、使い魔を探しにこの森に来たんだ。だから、よかったらでいいんだけど――俺の使い魔にならないか? そうすればいつでも一緒に居られるわけだしさ」

 

 誘われた公太郎の返事は早かった。それこそ、本当にちゃんと考えたのかと思ってしまうほどに。

 

 ――なる。

 

 これが、公太郎の返事だった。

 

 たった二文字、されど二文字。公太郎の意思は固い(?)ようで、返事をしてからというもの九々をジッと見据え、視線を逸らそうとしない。

 

 一方で使い魔になることを了承された九々はというと、

 

 ――ててて天下取ったッッ! ……もう何も恐くない!

 

 興奮と喜びで胸が一杯だった。

 

 神界最強の小動物と称されるハムスター。

 

 そのハムスターの中でも、ずば抜けた存在である公太郎を使い魔にできるのだから、九々のこの心境も納得がいく。

 

「ぃよっしゃぁぁぁ! 公太郎、ゲットだぜ!!」

 

 声高々に九々はそう叫ぶ。さきほどまでの情けない態度は今は見る影もなく、現在のこのテンションの高さ。

 

 清清しいまでの手のひら返しだった。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 サトシにピカチュウ、我那覇にハム蔵。

 

 人気者は得てして、相棒にねずみを連れている。

 

 ならばこの先人達のように、自分も人気者になれるのではないか?

 

 そんなことを考えながら、いそいそと契約の儀式を済ませた九々。

 

 これにて契約は完了した。正式に公太郎は九々の使い魔になったのだ。

 

「これからよろしくな、公太郎!」

 

「へけっ!」

 

 力強い返事に九々は満足気に頷く。あの公太郎が、自分の使い魔になったというのが嬉しくて仕方ないらしい。

 

「へへっ! じゃあ早速なんだけどさ。あれ見せてくれよ、カモンレミングス!」

 

 カモンレミングス。

 

 数多の仲間を呼び寄せ、その仲間達に敵を轢殺させるという最強にして最恐の技だ。

 

 九々は幾度となくこの技に斃れ、何度炎衣があればと泣き言を漏らしたか判らない。

 

 そんな九々が何故カモンレミングスを見たがっているのかというと、それは偏にトラウマの克服という目的があった。

 

 公太郎にトラウマを抱いているのではない、カモンレミングスにトラウマを抱いているのだ。とは九々の弁。

 

 いざ眼前の敵にカモンレミングスを使わせたとして、敵に向かう大量のハムスターを見て自分が萎縮して戦えなくなってしまっては話にならない。

 

 だから今の内に――早い段階でトラウマを克服しておこうと九々は考えていた。

 

 そう思って九々は公太郎に頼んだのだが……。

 

「くしくし」

 

 公太郎は毛繕いをするばかりで、一向に九々の指示に従おうとしない。

 

 そんな公太郎を見て、九々はバッジを獲得しなければならないのかと思案する。

 

「……いやいやいやいや! ちょっと公太郎!? カモンレミングスだよ、カモンレミングス! ほら、あっちにある木に向かってさ!」

 

 自分達から少し離れた先にある、一本のタイジュを九々は指すが、それでも公太郎は従おうとしない。

 

「あっ! じゃあさ、あれ頼むよ、あれ! えいっ! ってやつ! あの大木をへし折るぐらいの威力があっただろ?」

 

 九々の言うえいっ! とはなんてことのない、ただ小石を投げるだけの技だ。

 

 だがあなどるなかれこのえいっ! という技、小動物が投げたものとは思えないほどの威力を誇っており、この技もまた九々を苦しめたものだ。

 

 馬鹿正直に真正面から飛んでくるものであれば九々も余裕を持っていなせるのだが、当然ハムスター達がそこまで甘い筈もなく、囲まれては何も出来ないままに集中砲火を浴びてやられるということも多々あった。

 

 ただ小石を投げるだけの技――すらも、公太郎は行おうとしない。

 

 指示を聞き入れてもらえない九々が、本気でグリーンバッジがないと駄目かと考えた矢先――

 

 ――できない。

 

 公太郎がそう地面に書き込んだ。

 

「へ? で、できないってどういうことだよ……?」

 

 九々の問いに答えるように、公太郎は続けて書き込む。

 

 喋れない以上、筆談になってしまう為時間がかかってしまったが、公太郎の話を聞くにつれ九々の顔から表情が失せていく。

 

 なんでも公太郎は十六年ほど前、気付いたらこの地に居たそうだ。

 

 自分一人。仲間の『公ちゃんず』が居ないのは心細かったものの、それでも楽観的な公太郎はなんとかなるだろうと考えていた。

 

 自分の聖域とも呼べる宝箱が有ったのもあり、公太郎は暫くバカンスに来たつもりでこの地を楽しむつもりだったのだが――

 

 この森を探検している途中、なんだか強そうな、それはもう大層な大きさのメスの龍と出くわしたらしい。

 

 その龍は縄張りがどうこう言っていたが詳細は覚えていない。とりあえず適当に相手したらとんずらしようと考えていた公太郎は石を投げようとし、そこで漸く自らに起きた異変に気付く。

 

 えいっ! と石を投げようとしても、何故か投げられない。

 

 いや、投げることはできたのだが、セラフィックゲートに居た時とは比べものにならないほどに弱体化していたという。

 

 一方でメスの龍も容赦なく公太郎に襲いかかったのだが、その攻撃の尽くが当たらない。

 

 当たったとしても微々たるダメージでしかなく、両者の戦いは千日手に陥っていたそうだ。

 

 結局メスの龍は公太郎を仕留めることを諦め、公太郎もまた自らの聖域(宝箱)へと戻っていったそうな。

 

「………………攻撃ができない?」

 

 無表情で九々は呟く。カモンレミングスもできないのか? と聞けば、これもできないという。

 

 ――あれ時空間超越して仲間呼んでんじゃん! ここでも時空間超越しろよ!!

 

 九々はそう叫びたかったが、上手く口が回らない。

 

 攻撃のできない小動物に本気でビビッて逃げ回っていたこと、その小動物を使い魔にしてやっちまったという後悔等が心中でごちゃ混ぜになっていた。

 

 攻撃以外のステータスはセラフィックゲートに居た頃と変わらないみたいなので、一応肉壁にはできそうだが……。

 

「じゃ、じゃあ……今できることをちょっとやってみてくれ」

 

 言われ、公太郎はさきほどとは打って変わって素早く九々の指示に従う為に動く。

 

 ……とはいってもほんわかした後に、その場で寝転がってはジタバタしてだだをこねるだけだったが。

 

「なにこれ弱いんですけど……」

 

 あまりの使えなさに、九々は力なく言う。

 

 今も尚だだをこね続ける公太郎を、九々は混濁たる瞳で見続けることしかできなかった。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

「……ア、アーシア・アルジェントの名において命ず! な、汝、我が使い魔として、契約に応じよ!」

 

 此処はオカルト研究部一同が始めに訪れた森の入り口。

 

 そこでアーシアは緑色の光を放つ魔方陣を展開しており、その中央には龍の子が。

 

 現在、アーシアはその龍の子と使い魔の契約儀式を執り行っている。

 

 朱乃のサポートを受けてはいるが順調に契約儀式は進んでいるようで、問題なく終われそうだった。

 

 そうして程無くして儀式は終わる。無事に契約が完了したらしい。

 

 魔方陣の光が消え、龍の子がアーシアのもとへ羽ばたいた、その時だ。

 

 茂みがガサガサと音を立てて揺れだし、何者かの来襲を告げる。

 

 一同は構えかけるが、次の小猫の言葉に警戒を解く。

 

「……この匂い、九々先輩のものです」

 

「本当!? 九々! あなた一体今ま、で――」

 

 小猫の言った通り、現れたのは九々だった。

 

 上着が無く、所々が破かれた土混じりの薄汚い制服。

 

 精魂尽き果てたかのような、全てに疲れた顔と混濁した瞳。

 

 九々の身勝手な行動を叱ろうとしていたリアスだったが、その姿を見て二の句が継げなくなってしまう。

 

 その異様な九々の姿に、一同は言葉を失った。

 

 右手で引きずってきた豪奢な装飾の施された宝箱がなんともシュールだったが、ボロボロの姿の九々と相俟ってシュールを通り越して、一同にそこはかとない恐怖を与えていた。

 

「――九々さん! 大丈夫ですか!? お怪我はありませんか!?」

 

 最初に動きだしたのはアーシアだった。九々に駆けていくアーシアを皮切りに、呆気にとられていた部員達もそれを追う。

 

「お、おい九々崎、お前本当に大丈夫か!?」

 

「…………」

 

 心配したイッセーが声をかけるが、九々はイッセーをただただ混濁たる瞳で見続けるばかりで何も喋ろうとしない。

 

 その様子に、一同は本格的に何かあったなと当たりを取る。

 

「はぁ……。素人の、それも人間が一人で勝手に森をうろつくから」

 

 (あき)れながら言うのはザトゥージだった。確かにこの手の分野のエキスパートからすれば、九々がこのような目に遭うのは判りきっていたことだった。

 

 むしろ、こうして五体満足で帰還できていることを驚くべきなのかもしれない。

 

 尤も、ザトゥージの考えていることと事実とでは大きく異なるのだが。

 

「あら? 九々くん、その肩の子は?」

 

 九々の肩に居る小動物に朱乃が気付く。あまりに壮絶な格好に気付くのが遅れたが、全員が九々の肩に目を向ける。

 

「……使い魔です」

 

 アーシアの『聖母の微笑』での治療が済み、そこで漸く九々が口を開いた。

 

「九々くんも使い魔をゲットすることができたんだね」

 

「あ、ああ……」

 

 にこやかに語りかける祐斗だったが、九々の返事は歯切れが悪い。

 

 それもそうだ。一人で勝手に行動し、カッコいい使い魔をゲットしてやると息巻いた結果がこの(ざま)なのだから。

 

「……九々先輩。この子、名前はなんていうんですか?」

 

「……公太郎」

 

「公太郎くん、ですか。ふふっ」

 

 朱乃は公太郎を撫でる。公太郎も特に抵抗する様子も見せず、気持ち良さそうに目を細めながら朱乃に撫でられていた。

 

「――もうっ! いい? 九々。あなたには色々言っておかなければならないことがあるから、部室に戻ったらあなたは残りなさい!」

 

 撫でられる公太郎によってほんわかとした空気が流れかけていたが、リアスの九々への喝によってそれは霧散する。

 

「…………っ」

 

 回復しかけていた九々の顔色が、一瞬で真っ青に染まる。

 

 帰ったらリアスの説教が待っているのだと思うと、九々は泣き出したい気持ちで一杯だった。

 

 助けを求める為に一同に視線をやるも、皆九々と目を合わせないよう顔を背ける始末。

 

 ――自業自得……っ! 孤立無援……っ!

 

 そんな言葉が、九々の頭の中をぐるぐると巡っていた。

 

 どうにかこうにか言い逃れようと、必死で頭を働かせるも――

 

「……わかりました」

 

 精神的に疲れていたせいで良い言い訳も思いつかず、震え声で返すことしかできなかった。

 

 こうして――使い魔ゲットの旅は幕を閉じた。九々の心に決して小さくない傷を残したまま。

 

 ちなみに、部室に戻ってから九々は日付が変わるまでリアスにえらく絞られたそうな。




もしもオリ主がライザー戦でタイダルウェイブではなく、ブルーティッシュボルトを使用していた場合、『ポロリもあるよ! ドキドキ朱乃さん√!』へと突入していました。
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