公太郎はトラウマ   作:正直な嘘吐き

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 遅くなってしまい、本当に申し訳ありません。


八話

 目の前のテーブルには豪華な食事が盛られている。肉料理や魚料理、その他様々な料理が並んでいた。

 

 それらの料理からはなんとも(かぐわ)しい香りが。そんな香りで食欲を刺激する料理は、俺を魅了して()まない。

 

 止まないのだが……今の俺に、食事をするだけの余裕はなかった。

 

 あれから先程まで俺はゲーゲーと吐き続け、今し方漸くマシになってきたところだ。

 

 もしも吐いてる最中(さなか)この香りを嗅いでしまえば、それはそれは恐ろしいことになっていただろう。

 

 ――本当に、マシになってよかった。

 

 エリクサーを使えばすぐに吐き気も収まるのだろうが、あまりこういった理由での服用は避けたかった。あんまりエリクサーに頼るのもねえ……。

 

「死を……感じる――人間だった頃の記憶が蘇るようだ――」

 

「何馬鹿なことを言ってるの。早く食べないと無くなってしまうわよ?」

 

 グレモリー部長は嘆息する。確かに余裕が無いとはいえ、これだけのご馳走を前にして何も食べないというのは失礼だ。ラブコメやってる兵藤くんとアルジェントさんを傍目に、ご馳走に舌鼓を打つ。うん、美味い。

 

 普段ならもっと食べれるんだけどな……調子こいて千光刃なんてするんじゃなかった。

 

 ――でもあれだけ頼まれてるのに断るっていうのも感じ悪いし……。

 

「……俺が一番弱かったです」

 

 ああだこうだと唸っていると、そんな言葉が聞こえてきた。

 

 兵藤くんとグレモリー部長の会話から察するに、兵藤くんは自分が弱いということを気にしているらしい。

 

 悪魔になるまで戦闘らしい戦闘をしたことがなかったというのだから、それもしょうがないって。

 

 グレモリー部長の言によると、兵藤くんとアルジェントさんは実戦経験が皆無に等しくても、二人の神器(セイクリッド・ギア)は無視できない。

 

 だがそれは、相手も理解している筈。そのため最低でも相手から逃げられるぐらいの力は欲しいとのこと。

 

 逃げるというのは実はかなり難しい。実力に差がある強敵から逃げるとなると、更に難しくなる。

 

 そういった相手から無事に逃げられるのも実力の一つ。二人は逃げ時も知らなければならない。

 

 面と向かって戦う術も教えるので、覚悟しなさい。――以上がグレモリー部長の言葉だ。

 

 この言葉に兵藤くんとアルジェントさんの二人は同時に返事をする。

 

「食事を終えたらお風呂に入りましょうか。ここは温泉だから素敵なのよ」

 

 温泉か。となると、必然的に野郎共で親睦を深めることになるな。

 

 ――いや、待てよ? 温泉……露天風呂なのだろか。

 

 もしも露天風呂だった場合、性欲の権化である兵藤くんが覗かない筈がない――!

 

 ここは便乗して俺も――いかん、駄目だ! 俺はディルナ一筋なんだ!

 

 でもディルナって恋人以上、夫婦未満の異性がいるんだよな……。

 

「僕は覗かないよ、イッセーくん」

 

 木場くんがニコニコ笑顔で言い放つ。言われ、兵藤くんは露骨に動揺を見せる。やっぱり覗くつもりだったのか。

 

「あら、イッセー。私達の入浴を覗きたいの?」

 

 グレモリー部長の言葉に全員の視線が彼に集中する。これは辛かろう。

 

 だが、彼女は小さく笑い――

 

「なら、一緒に入る? 私は構わないわ」

 

 なん……だと……!? 覗きを通り越して一緒に入浴だなんて! こんなの絶対おかしいよ!

 

 兵藤くんもグレモリー部長の誘いに感極まっている様子。

 

 彼女も彼女で姫島さん、アルジェントさんに一緒にどうかと問うている。

 

 その問いに、姫島さんは満面の笑みを浮かべて肯定。アルジェントさんは顔を真っ赤にし、俯きながらも小さく頷いた。

 

「ぐぎぎ……悔しい、悔しいよ木場くぅん……」

 

「まあまあ」

 

 木場くんは苦笑いを浮かべながら俺の肩をポンポンとたたく。

 

 クソッ! クソッ! クソッ! ラノベの主人公でもあるまいにっ! 爆発しちめぇ!

 

「最後に小猫。どう?」

 

「……いやです」

 

 ――ぃよっしゃーー! よく言った塔城さん! キミには後でクリスタルレナスちゃんを贈呈しようじゃないか!

 

 両手でバツ印を作られながら拒否られた兵藤くん。そうだよ、これが普通なんだ。拒否られるのが普通なんだよ!

 

 当の兵藤くんはグレモリー部長から追い討ちをかけられ、すっかり意気消沈としている。ざまぁ。

 

「ねぇねぇ今どんな気持ち? 混浴断られてどんな気持ち?」

 

 笑いが堪えきれず、プスプスと変な笑い声を漏らしてしまう。だがこの笑い声も、彼を煽るのに一役買っていたらしい。直後、兵藤くんの慟哭が別荘に響き渡る。

 

「――九々崎ぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 二日目。

 

 小鳥の囀りを耳にしながら目を覚ます。天気は昨日と同様青一色で、最高に良い天気だった。

 

 ――いやあ、なんて清々しい朝なんだ!

 

 昨日の吐き気もすっかり治まり、好調なスタートを切れた俺とは対照的に、兵藤くんは見てて気の毒になるぐらい悶えていた。

 

 というのも俺を除く研究部の面々は、夜中も修行をしていたのだ。

 

 元々私達は夜の住人なのだからと、昼の数倍の修行量をこなす彼女らの姿はまさに圧巻の一言に尽きる。

 

 その結果、こうして兵藤くんは筋肉痛に悶えているのだけども。

 

 だが幸か不幸か、二日目の午前中は勉強会を行うらしい。

 

 リビングに集まり、兵藤くんとアルジェントさん、ついでに俺に悪魔の知識を教えるんだとか。

 

 ――いや、ほら、俺デーモン・インテリジェンスにポイントふってるし? 今更そんなお勉強は必要無いんですよねえ。

 

 そんな俺の言葉も意味が分からないと一蹴され、結局俺も二人と一緒にお勉強をすることに。

 

 グレモリー部長曰く、あなたも悪魔と行動を共にしているのだから、必要最低限の知識だけでも修めておきなさいとのこと。

 

 そんなわけで朝っぱらから専門用語だとか、そういった知識を教え込まれたわけだ。

 

「僕らの仇敵。神が率いる天使。その天使の最高位は? さらにそのメンバーは?」

 

 復習がてら木場くんが兵藤くんに問題を出したらしい。この問いに、彼は頭を悩ませながら答えていた。

 

 その最高位は『熾天使(セラフ)』というらしいが、そのメンバーの名を聞いた時は本気で戦々恐々としたものだ。

 

 ――神の十賢者がいるんすか! やだー!

 

 ラファエルやらミカエルやらガブリエルやらがこの世界に存在すると言われ、恐怖のあまりゲロを吐きそうになった俺は悪くない。

 

 まあ実際は神の十賢者なんてのは存在しないらしいが。

 

 いやあ、本当にあいつらがいなくてよかったよ。あの連中にはマジで勝てる気がしないからな。

 

 スピキュールは……まだいい。トライ・エンブレムを装備してりゃなんとかなる、筈だから。

 

 マインドブラストもマイティ・チェックを装備しておけばいい。

 

 だが風属性の亡びの風はどうしようもない。VPに風属性なるものは存在しなかったため、どうしても対策ができないのだ。対策もできないままに、亡びの風を連発されようものなら余裕で死ねる。

 

 他の連中も冗談抜きで油断できない。リミッターを解除したガブリエルに至っては――

 

「コホン。では、僭越ながら私、アーシア・アルジェントが悪魔祓い(エクソシスト)の基本をお教えします」

 

 この言葉にハッとさせられる。いかん、また考え込んでいたらしい。

 

 よくわからないがみんなアルジェントさんに拍手をしているみたいだし、俺もそれに合わせて拍手しとこう。

 

 拍手を送られ、顔を赤くするアルジェントさん。ああ、やっぱ可愛いなあ……。

 

 さて。彼女の説明によると、二種類の悪魔祓いがあるんだとか。

 

 一つはテレビや映画にも出ている悪魔祓い。神父が聖書の一節を読み、聖水を用いて人々の体に入り込んだ悪魔を追い払う『表』のエクソシスト。

 

 そして『裏』のエクソシストが彼ら悪魔の脅威となるらしい。

 

 彼女の言葉にグレモリー部長が続く。

 

 悪魔にとって最悪の敵は神、あるいは堕天使に祝福された悪魔祓いだと。

 

 彼らは天使の持つ光の力を借り、全力をもって悪魔を滅ぼしにくると。

 

 ――はあ、どんだけ悪魔のこと嫌ってんだよ。

 

 彼女らの話を聞いてそんなことを思ったが、よくよく考えてみれば戦乙女が不死者だとか、魂を冒涜する存在を放っておけないのと似たようなものなのだろう。

 

 次いでアルジェントさんは、バッグから幾つかの小瓶やらなんやらを取り出していた。

 

「では、聖水や聖書の特徴をお教えします。まずは聖水。悪魔が触れると大変なことになります」

 

 ――聖水? 聖水だって?

 

 そういえば以前に餞別として渡された『アーティファクト』の中に、聖杯があった筈だ。

 

 1チャプター毎に1度だけ、パラメータを上昇させる不思議な液体が湧き上がる代物だが、貰ってから今まで一度も触れていなかったことを思い出す。

 

 十六年の間、ずうっと放置していたのだ。一体何十リットルの聖水が湧いているのだろうか。

 

 正式名称は「聖なる雫」だが、聖杯から湧いた物なのだから聖水と呼称しても間違いではない筈。

 

 湧き出た全ての聖水を口にしたら、どれだけの超強化がなされてしまうのだろう。

 

 我が事ながら、なんとも恐ろしい。超強化された自分を想像するだけで、思わず笑んでしまうというものだ。

 

「……九々崎先輩。どうかしましたか?」

 

「いや、なんでもないよ」

 

 おっと、どうやら見られていたらしい。シャキっとしないと……。

 

「次は聖書です。小さい頃から毎日読んでいました。今は一節でも読むと頭痛が凄まじいので困ってます」

 

「悪魔だもの」

 

「悪魔ですもんね」

 

「……悪魔」

 

「うふふ、悪魔は大ダメージ」

 

「うぅぅ、私、もう聖書も読めません!」

 

「そーなのかー」

 

 ――聖書を読まれるだけでなく、自身が読むのも駄目だとは。

 

 悪魔というのはとことん聖属性に弱いらしいな。『レーティングゲーム』も適当にセレスティアルスターぶっぱなしてりゃ勝てんじゃね? そう思わずにはいられない。

 

 とはいえ、俺はあのフェニックスの坊ちゃんをフルボッコにすると決めたんだ。そう簡単に終わらせてなるものか。

 

 そもそも大魔法をぶっぱなすだけで、すぐ終わるかどうかも分からないのだから、あまり油断するものではない。

 

 気を引き締めると同時、勉強会も終わったらしい。こうして、研究部のメンバーは修行へと移っていった。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

「………………はぁ」

 

 決戦当日の深夜十一時四十分。俺は旧校舎の部室の隅っこで、嘆息しながら膝を抱えていた。

 

「勉強会が終わってからの修行風景はどうしたんだ!」だとか「なんでいきなり『レーティングゲーム』を目前に控えているんだ!」という疑問についてだが、しょうもない話今に至るまで俺が亜空間に引き篭もっていたから、としか言えなかった。

 

 ここで軽く、俺が引き篭もるに至った経緯を説明させていただこう。

 

 あの勉強会の後、修行に取り組む前に聖杯の様子を見てみようと、『アーティファクト』を保管している亜空間に入り込んだのだ。

 

 セラフィックゲートで入手した武器やらなんやらのアイテムを保管している亜空間とで、合わせて二つの亜空間を俺は所持(?)しているのだが……。

 

 この『アーティファクト』を保管している方の亜空間が酷かった。それはもう酷かった。

 

 もうすぐ十七歳になる男が思わず大泣きしてしまう程に。

 

 ……こうさ、ほら、普通は聖杯から湧き出る聖水を直に口にするんじゃなくて、何か別の容器に移してから口にするじゃん?

 

 んでんで、十六年間聖杯はほったらかしで、湧き出た聖水を別の容器に移してくれる人もいなかった訳じゃん?

 

 ――そのせいで……空間内が聖水でびちょびちょになってた訳よ……。

 

 しかも聖杯が何故か横になって倒れてたからさ……。いや、あの聖水の量からして、横になってようがそうでなかろうが変わりはしないか。

 

 おかげで他の『アーティファクト』は全て水浸し。いや、聖水浸しか? そんな中空間内を必死に走り回っていた黄金の鶏が、なんともシュールだった。お前鶏像じゃなかったのかと突っ込んだ覚えがある。

 

 黄金の鶏も十六年で何百個の金の卵を産み落としていたものの、走り回っている途中に全て踏み潰してしまったらしい。

 

 これだけならまだ大泣きはしなかった。……この時点で既に泣いてはいたけども。

 

 全て――例外無く水浸しになった訳だが流石というべきか、装備品は聖水に濡れた程度で済んでいた。

 

 もしかして装備品錆びてんじゃね!? と冷や冷やしたがそんなことはなかった。

 

 問題は書物と図面、アンブロシアだ。

 

 賢者ソロンの秘文書、蘇生秘法書、ダマスクス製法書の三冊は(ページ)と頁がくっついてしまい、まともに読める状態ではなかった。一応天日干しはしたがそれでもくっついたままの頁があり、やはり本を読むことはできない。

 

 操呪兵設計図面はふやけすぎたせいでバラバラの紙片と化していた。……はぁ。

 

 アンブロシアに至っては、聖水漬けになっていたせいかなんか変な臭いが漂ってくる。

 

 エリクサーでさえこの世界では貴重品として扱われているのだ、ならばこれらの『アーティファクト』には一体どれだけの価値があったのだろうか。こんなことになってしまったのが、本当に悔やまれる。

 

 ここまで説明すればもうお分かりだろう。俺が今まで亜空間に引き篭もっていた理由は、空間内の清掃をしていたからなのだ。

 

 泣きながら、嗚咽を漏らしながら清掃していた俺の姿はさぞかし哀れだったことだろう。

 

 俺以外に誰もいなかったのが救いだった。あんな姿、他人に見られる訳にはいかないからな。

 

 聖水? 全部捨てたよ。ぐしゃぐしゃになった金の卵と一緒に。

 

「………………ふぅ」

 

「九々。何があったかは知らないけど、いいかげんしっかりなさい。これから『レーティングゲーム』が始まるのよ?」

 

 俺の今までの異様な泣きっぷりに、まるで腫れ物を扱うかのような研究部メンバーだったが、遂に見兼ねたグレモリー部長が注意する。

 

 確かに泣き止んだとはいえ、こうも目の前で溜息ばかりつかれては辟易するだろう。

 

「……すみませんでした。あまりにもショックなことがあったものですから……。でももう大丈夫です、今ので活が入りましたから!」

 

 嘘だ。アイテムコレクター垂涎のレアアイテムを、数点とはいえおじゃんにしてしまったのだ。

 

 その上パワーアップアイテムも全てゴミ箱送り……。これですぐ立ち直れというのが無理な話だ。

 

「――そう、ならいいけど」

 

 どうやら騙されてくれたらしい。しかしこれから『レーティングゲーム』が始まるのも事実なのだから、いつまでも気落ちしているものではない。

 

 そう自分に言い聞かせていると部室の魔方陣が光りだし、そこから銀髪のメイド、グレイフィアさんが現れる。

 

「皆さん、準備はお済みになられましたか? 開始十分前です」

 

 彼女の確認にメンバーの皆が立ち上がる。皆気合充分、と言ったところか。

 

 グレイフィアさんの説明によると、開始時間になるとここの魔方陣から戦闘フィールドに転送されるらしい。

 

 場所は異空間に作られた戦闘用の世界なので、そこではどれだけ派手に暴れても構わないとのこと。

 

 そしてその空間は使い捨てなんだとか。

 

 これは嬉しいことを聞いた。どんなに暴れても構わないということは、好きなだけ大魔法が撃てるってことじゃないか! 十六年振りに大魔法が撃てるという事実に心が踊る。

 

 ――何使おっかなー。やっぱりセレスティアルスター? それともメテオスウォーム? いや、ここは初心にかえってイフリートキャレスか? デルタストライクも捨て難いな……。

 

 いやあ、悩む。使いたい大魔法が多いってのも考えものだな。

 

 自重しなくてもいいというのが本当に嬉しい。おかげでちょっとだけ気分が晴れたよ。

 

 ……本当に、ちょっとだけだけど。

 

「あの、部長」

 

「何かしら?」

 

「部長にはもう一人、『僧侶』がいますよね? その人は?」

 

 兵藤くんの質問に部室の空気が重くなる。え? ていうか部員ってまだいたの?

 

「残念だけど、もう一名の『僧侶』は参加できないわ。いずれ、そのことについても話すときがくるでしょうね」

 

 はあ、もう一人の部員ねえ……。一体どんな奴なんだか。しかしこんな事態になっても参加できないだなんて、余程の事情を抱えているんだろうな。

 

「今回の『レーティングゲーム』は両家の皆さまも他の場所から中継でフィールドでの戦闘をご覧になります」

 

 重たい空気の中、グレイフィアさんは口を開く。

 

 戦闘をご覧になる、ね。それを聞いて公開処刑という言葉が脳裏をよぎった。

 

 次いで彼女は口にする。魔王ルシファーもこの一戦を見ていると。

 

 魔王ルシファーか、帰還させると万魔の銃をくれるのかな?

 

 って、それはルシファー違いか。しかし魔王と言われると、どうしても思考があらぬ方向へ飛んでいってしまうのは俺だけではない筈。

 

 魔王アスモデウス――

 

 300年前に惑星ロークを侵略した魔界の王で、世にも恐ろしい石化病を発するウイルスの宿主。

 

 しかしてその正体は(PSP版では)惑星ファーゲットで生み出された人造生命体『超人類』なのである。

 

 そしてこの世界の四大魔王の中に同名の、アスモデウスと呼ばれる魔王が存在する。

 

 この事実から鑑みるに、実は他の魔王もアスモデウスと同じ『超人類』と呼ばれる存在だったんだよ!!!

 

 ――な、なんだってー!!

 

 と、馬鹿みたいな妄想をしてみる。名前が同じなだけじゃねえか、一体俺は何を言ってるんだ。

 

 ――いや、でも、まさかあのアスモデウスと同一人物ってことはない……よね?

 

「そろそろ時間です。皆さま、魔方陣のほうへ」

 

 馬鹿な一人芝居をしている間に開始時間になったらしい。

 

 グレイフィアさんに促され、皆魔方陣に集結する。

 

 なお一度向こうに移動すると、ゲームが終了するまで魔方陣の転移は不可能とのこと。

 

 魔方陣は普段の見慣れたものから形を変え、光を発する。フェニックスが出てきた時のものでもない。

 

 そんな魔方陣をぼんやりと見つめてるうちに光に包まれ、転移が始まった。




 クリスタルレナスちゃんとは、レナス人形・クリスタルのことです。
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