タツミが少女を斬殺し、レオーネに誘拐されてから数時間が経った。
タツミ達はナイトレイドのアジトに来ており、レオーネにナイトレイドメンバーたちを紹介されていた。
「このアカメとボスたちの隣にいるのがカーミラだ」
「……よろしく」
黒いマントを羽織り、口元を隠している赤髪の少女、カーミラは小声で挨拶を交わす。
「それで、今はいない……てか、ボスとカーミラ以外そいつらを見たことないけど、あと二人のメンバーで、ナイトレイドのメンバーは全員だ」
「アカメ……会議室に皆を集めろ。この少年たちの件を含め前作戦の結果を詳しく聞きたい」
――やっぱり、違うんだな。
タツミはナイトレイドメンバーが違うことで体験とは違うことを改めて認識し、ナジェンダたちと共に会議室に移動する。
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ナイトレイドアジト付近、大きな袋を背負い、黒い軍服の様な物を着た林檎と不思議の国のアリスの様な服装の少女が歩いていた。
「さて、久々のアジトだな」
「そうじゃな。ところでよいのか? まだ時間帯的にはナジェンダとカーミラ以外のメンバーがおるぞ?」
「別にいいさ。時が来たってやつだ。それにだ、いつもの時間帯に行ったら
「ハイハイ、ホモホモしいの」
「ドロテア、ホモホモしいはないだろ、ホモホモしいは……」
「いやいや傍から見たらホモホモしいじゃろ」
「え、嘘だろ?」
少女、ドロテアの言葉に林檎は軽くショックを受け、所謂考える人のポーズで何処がホモホモしいか考える。だが、どんなに考えても思い当たらず、さらに頭を悩ませる。
そんな林檎の様子にドロテアは腹を抱えて笑う。
「アハハハハ!ま、まあ、分からんでもないぞ。リンゴが待ち望んでおった
「……お前には感謝してるよ」
「いやいや、妾も感謝しておるよ。リンゴの誘いのおかげで妾の願いに近づけておるからの……ところで、こやつらはどうする?」
言いながらドロテアは視線を変える。変えた視線の先には、数人の異民族がそれぞれ武器を構え立っていた。
「……大臣がアジトを見つけるために雇った異民族の傭兵だろうな。ここまで侵入して他メンバーが来ないということはかなりの手練れだ……どれ、俺が彼らの為に試練を……」
「おい、馬鹿、止めるのじゃ!」
嬉々とした表情で異民族達に向かっていこうとする林檎を必死の形相でドロテアは止める。彼の言う試練によって、この場がとんでもないことになるのが目に見えて分かるからだ。
「妾に任せろ!リンゴが相手するまでないじゃろ!」
「いや、だが……」
「ま、か、せ、る、の、じゃ!」
「……分かった」
ドロテアの鬼気迫る説得に林檎は渋々といった感じだが納得し、ドロテアに異民族を任せるため少しだけ後ろに下がる。
「お、なんだ、お嬢ちゃんが相手か」
「俺、結構好みかも」
「お前ロリコンかよ!けどまぁ、確かに殺った後も楽しめそうだ」
前に出てきたドロテアに異民族達は体の様々な部分に視線を向け、下卑た笑みを浮かべ近づいてくる。
「ふふふ、まるで三流の輩が吐くようなセリフじゃな……お主ら、喜べよ。妾に吸われることは光栄だと思うのじゃ」
ドロテアの雰囲気が一変する。不気味な……まるで、獲物を狙う危険種のような雰囲気に突如変わったドロテアに異民族達は恐れを抱き、一歩下がる。ドロテアはその様子を見て凶悪な笑みを浮かべる。
「クハハ、妾に恐れを抱いたナァ?」
ドロテアの得体のしれない不気味な雰囲気が膨れ上がり、それに恐怖した異民族達は一歩、また一歩と下がっていくが……。
「おい、なんだよこれ」
異民族達に誰もが見ても分かる変化が起こる。
「腕が……干からびてる?」
異民族達の腕が、まるで木乃伊のように干からびていた。干からびた腕は、持っていた武器の重みによって千切れ、地面に落ち、塵になる。
「フフフ、どうじゃ妾に吸われる気分は?お主たちは、妾の大願成就の為の礎になるのじゃ」
ドロテアが異民族達に近づくにつれ異民族達が干からびていく速度が増していく……足が、耳が、眼球が、舌が、内臓が、干からび、塵に変わっていく。
「御馳走様じゃ」
ドロテア達と遭遇して数分、その場には異民族達は存在せず塵だけが残っていた。
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タツミ達が侵入者を撃退した後、タツミ達の加入を祝う宴会をしていた。
「初陣ご苦労だったな。タツミ、サヨ、イエヤス」
ナジェンダの労いの言葉にサヨとイエヤスは何処か気のない返事で答える。
「だが、サヨとイエヤス。アカメとカーミラの報告を聞き、不安なところもある……。お前達が生き抜く為には、誰かに色々と教えて貰う必要があるとみた。アカメとカーミラと組んで勉強しろ」
「「いいっ?!」」
ナジェンダの言葉にサヨとイエヤスは嫌そうな表情に変わる。
「いいな二人とも。足手まといになる様なら斬ってもいいし、吸ってもいいぞ」
「「うん、分かった」」
三人のやり取りにサヨとイエヤスは驚愕し、タツミは苦笑いを浮かべていると……。
「また、随分と物騒な話をしているな、ナジェンダ」
「久々じゃのう、ナジェンダ」
「「「「「「「「「ッ?!」」」」」」」」」
――なんでこいつが?!
暗闇の中から現れた二人の人物――タツミは一人の人物に――ナイトレイドメンバーの表情が険しくなるが……。
「お帰りなさい、リンゴ」
「ああ、ただいま。カーミラ」
普段は無表情のカーミラが二人組の男の方を嬉しそうに出迎えたことで、その場の緊迫感が薄まる。
「おい、みんな落ち着け。こいつ等はナイトレイドメンバーだ」
「リンゴだ」
「ドロテアじゃ」
ナジェンダの言葉と二人の自己紹介によってナイトレイドメンバーは警戒を解くが、タツミは依然警戒したままだ。
――どういうことだ、ドロテアがナイトレイド? ここまで体験と違ってくるのか?
「ほう、お前がタツミか」
「……ハ? え、どういう状況?」
「お、ホモか? ホモか?」
「オイオイ、ホモが増えるのか」
考え事をしていたタツミに林檎が顎クイをして、タツミの顔を至近距離で観察しており、その状況にタツミの思考は停止、ドロテアは若干楽しそうに、レオーネは呆れた様に言う。
反応に困ったタツミは助けを求めようと周囲を見渡すが……。
「タツミ……ゆるさない……」
――え、出会って当日に敵意を向けられてる?!
まるで親の仇を見るような視線を向けるカーミラのせいで逆に混乱する羽目になった。
そんな雰囲気も気にせずに林檎は顎クイを止めるとナジェンダに何かが入った大きな袋を渡す。
「おい、これは……」
「ああ、戻ってくるついでに回収してきた面、大鎌、弓の帝具だ。ナジェンダ、また後日でいいが新人たちに適正のある帝具を持たせてやれ、このチームに入るってことは、帝具戦に巻き込まれるってことだ」
「ああ、分かった。ところで、もう行くのか?」
「……いや、暫くはここに居座る。そろそろ動き出しそうだし……気になるやつもいるしな」
そうタツミを一瞥しながら、林檎はメンバーに背を向ける。
「居座るんじゃないのか?」
「居座る前に一仕事だ。ドロテアは置いてくぞ。カーミラ、ドロテアを頼むぞ」
「うん!」
「ウェヒヒ、さあ、カーミラ。夜のお楽しみを……」
「黙れ、ババア」
「ひどいのじゃ! 妾はまだピチピチの美少女なのじゃ!」
「……ハッ!」
「鼻で笑われたのじゃ! く、美少女まな板の癖に!」
「それは貴女もでしょ!」
キャーキャーと騒ぐカーミラとドロテアのコント染みた会話を聞きながら、林檎は闇の中に消えていった。
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帝都。宮殿付近のメインストリートの路地裏。
四肢から血を流し倒れている警備隊の男と、刀を持った林檎がいた。
「俺が……このオーガ様が裁かれるだと……ふざけるな、俺が人を裁くんだよ!!」
「少々黙れ」
「ガッ!」
警備隊の男、オーガは地に倒れ伏したまま叫ぶが、林檎に脇腹を蹴られる。オーガは息が詰まり、喋れなくなる。
林檎はオーガの髪を掴み、顔を上げさせる。
「オーガ、力が欲しいか? 俺のような力が欲しいか? 誰にも負けない、屈服しない、蔑まれない力が欲しいか? どんなに危険を冒しても? どんな禁忌に触れようとも?」
唐突な問いに困惑するが、オーガは頷き、それに林檎は満足そうな表情になる。
「そうか……なら、力をくれてやる」
「何を言って……」
――破段・顕象――
「ア、ギ、ガ、ギヤ、アアアアアアアア!!」
オーガの叫び声が夜の街に響く。オーガの筋肉が膨れ上がり、斬られた傷は筋肉によって閉じられていく。
「フム、少々騒ぎ過ぎたか。さて、オーガ。
急激な肉体の変化に苦しみ悶えているオーガを一瞥し、林檎は狂気の笑みを浮かべたままこの場から去っていった。
はい、オリキャラ投入、林檎君の暗躍です。
ドロテアさんはナイトレイドメンバーにジョブチェンジしました。
あ、ドロテアさんは逆十字じゃナイデスヨ。
タツミ君は盧生です。眷属もおります。別行動しておりますが……。
ちなみに、今現在この世界には勇者《バカ》タイプ二人、448タイプ一人ですね(ニッコリ)
最後に……零っていいよね?