結論から言ってしまえば。
私が、空飛ぶ集団を振り払うのにそうたいした時間はかからなかった。空を飛んでいる集団が相手ではあったけれど、そこは住宅密集地に逃げ込んで、どうにか撒いた。
今では、遠くで居もしない私を探す、えー………あ、だめだ名前がわからん。とにかく、私を探す連中を座って見ている程度には距離も空いているし。
……………それにしても、私はいったいなんなのだろうか。言葉にすると変な感じだが、自分が自分であると証明ができない。けれど、私の種族的なものなどはわかった。
―――《精霊》というらしい。あの空飛ぶ集団が私をそう呼んでいたのを盗み聞きしただけだが………。
あとそれから、私の周りにあったクレーターは私が造ったということ。そして、私が感じたラグは、《空間震》と呼ばれるものだということ。
あ、あと、逃げている最中に気がついたのだが、私の斬られていた腕。あの腕、いつの間にか元通りになっていた。
まるで再生能力を持っているように感じるだろう。私もそう思っていた。けど、右腕を振って気づいたのだ。
なんか、光っている。と
普通に見たらわからないのだ。けど、腕を振ると粒子みたいなのが出てくる。一瞬、あのよくわからない連中がなにかしたのかと思ったが、どうやらそういうことではないらしい。そもそも、それだったら既に見つかっているだろうし。
しかし、無意識で作り出したせいなのだろう。光を消そうとすると腕が消えるという、なんともいえない欠点がある。
まぁ、普通に動いたりするのに問題はないので、今は片腕で誰もいない街の散策を続けているのだが。
さて、そろそろ観察も飽きてきたので、次はどこに―――――
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「士道ッ!?」
《フラクシナス》その艦橋にある司令席に座っていた五河琴里は、ことの経緯を見守るためのディスプレイに映った映像で、思わず兄の名前を叫んだ。
つい先程、フラクシナスから今回の対象である鮮やかな紅い髪を持った隻腕の少女に接触するため、現地へと飛んだ兄を見送り、映像を見れば、その兄が少女に押し倒され首を絞められているのだ。過敏に反応するのも、無理はなかった。
「落ち着くんだ、琴里」
そんな琴里に、最初に声をかけたのは、副司令官の神無月―――ではなく、目に隈を携えた女性、村雨 令音だった。視界の端で落ち込んでいる変態から目を逸らしながら、彼女は琴里を落ち着かせる。
「令音!?これが落ち着いていられ――――」
「よく見るんだ。少女は士道に問いかけ、士道はそれに答えている。変に咳き込んでもいない、恐らく、いざというときの備えでああいう体制をとっているのだろう」
いわれて、琴里が手元のモニターを見れば、確かに士道は、体勢こそ危ういものの普通に少女と会話をしている。
それを確認して、ようやく落ち着いた琴里は。一つ息を吐いてから、いつの間にか立ち上がっていた椅子に座り直した。
「…………ありがとう、令音」
「なに、落ち着いたのならいいさ。それより、今はシンのサポートが優先だ」
「ええ、そうね。――――各員、状況を知らせて」
琴里がそういうのと同タイミングで、琴里のモニターに情報が届く。それらを見ながら、琴里は切っていた士道との通信を繋げた。
こちらからの連絡もあるが、士道と未確認の精霊の会話が聞こえなかったというのもある。そのため、士道のインカムに繋ぐことで情報を得ようとしていたのだが――――
『…………感想は?』
『とても柔らかかった…………じゃなくて!』
「………………なにやってんのよ、士道のアホ………!」
思わず兄を罵った琴里を諌める者は居なかった。
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