待 た せ た な!
おいしい。うん、おいしい。
どうも皆さん、食べ歩きのプロ―――じゃなかった、未確認精霊の私です。現在は、ハンバーガー片手に街を探索しているただの人間――に、なれているのかな………。とにかく、変装しているつもりだ。
一応、さっきテレビで見た謎のヒロインXという人の格好をしている。謎というくらいだし、こういう格好している方がいいのかと思ったのだ。さすがにあのプロテクターみたいなのは恥ずかしいので、じゃーじ?というのの前をしっかり閉めているけれど。
というか、さっきからいろんな人に声をかけられるのだが。なぜか、商店街の人達が『可愛いね』とか『サービスだよ!』って言って色々くれるのだ。おかげで私の右手の袋には貰ったものがいっぱいである。
あ、途中で男性も来たけれど、大体の人は私に声をかけたあと、なぜか周りの人に引き摺られていった。一体なんだったのか
ああ、男性と言えば、一人ではあるけれど知り合いができた。あの銀髪の娘も含めると二人ではあるけど。……………そういえば、斬られた胸も今では傷一つない。本当に私の身体はどうなっているのか、自分でもわからない。もしかして超再生でもしてるのだろうか?
ともかく、私は思わず私が押し倒してしまった青年―――五河士道と仲良く………仲良く?なれた。
まぁ、名前を聞いて私も答えようとしたときに、いきなり頭痛がしたと思ったら全く別の場所にいたのだけれど。どうなっているのかさっぱりだ。
しかし、別にあの空飛ぶ集団が来る気配もなく、かといって五河士道くんが近くにいるわけでもないので、とりあえず私は歩き回ることにして――――今に至るわけである。
そして言おう―――――このハンバーガー美味しい、と。
コロッケ屋のおばあちゃんがくれたのだが、とても美味しい。もう一個食べたいくらいだ。さすがに貰いにはいかないが。
とりあえず今は、このハンバーガーを食べようと思う。それからのことは――――それから考えればいいだろう。
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ところ変わって、五河邸
祝日ということで、優雅に―――とまではいかなくとも、のんびりと一日を過ごすつもりでソファーに身を委ねていた五河琴梨は、突然鳴り響いた電話に思わずうげっ、と声をだした。
タイミングが丁度ウトウトし始めていたせいであまり出たくはないが、さすがにディスプレイの村雨令音の文字を見たら出るしかない。
一応、リボンを結び直して司令官モードへと早変わりし大体の予想をつけながら、電話をとる。
「もしもし、どうしたの令音」
『………休み中すまないね。精霊が現れた。』
―――――ほぉらやっぱりね。と琴梨は内心で思う。まぁ、確かに精霊が現れたのならば休暇は返上するしかないだろう。不定期に現れる彼女達に都合を考えろというのも無理な話だし。
「………なにが現れたの?警報が鳴っていない、ってことは静粛臨界よね」
『今回現れたのは、件の彼女だ。静粛だとは思うが………まだわからない。服装も変わっている』
「服装が?」
あの抜けている感じのする彼女が?というのは飲み込んだ。いや、ほぼ半裸なのを指摘するまで放置してたり、時おり急にボーッとするような少女に、変装するという考えができるか?と聞かれれば………うん。
『まぁテレビで見た格好を真似ただけのようだ。まだ特に異変は起こっていないし、彼女もハンバーガーを食べているだけで無害だが』
「とにかく、すぐにそっちに行くわ。転送をよろしく」
とにかく、現場を見なければ。それだけを思い、琴梨は電話をきる。今はまだなにも起こっていないが、いつ警報が鳴り響くかわからない。そうなる前に、こちら側がどうにかしなければならない。
だが、とりあえずやっておかなくてはならないのは一つだ。
「まったく、やることいっぱいね」
そう愚痴りながら、琴梨は唯一精霊を救うことのできる兄へと、電話をかけた。