私は左打席に立つ男とミットのみを見つめた。
そしてゆっくりと投球ホームに入る。
そして放たれる。
その球は綺麗な回転だった。
パルスィの柔軟な肘、手首がしなった証だった。
パン
「カハハハハ!?」
内角低めギリギリのストレート・・・きっちり決まる。
続けて2球目・・・内角高めボールを雷市が手を出す。
ブン・・・
そのスイングで風が私に届いた。
(・・・妬ましい。)
カウントでは私が勝っている・・・しかしこれで打ち取れるかは別だ。
ボールがバットに少しでも触れればどこまでも飛ばされそうなスイングに私は・・・負けなかった。
3球目・・・内角低めボール。
4球目・・・この勝負パルスィが掴んだ。
スライダーが雷市の内角にえぐる。
ガゴ
鈍い音・・・結果はピッチャーゴロだった。
〔勝負後〕
「スゲースゲー!!手元でギュンって曲がった!!」
さっきの変化球が面白かったのか、私の元に走ってきて感想を述べている。
「雷市・・・今日晩飯抜きな。嬢ちゃんに負けるとは情けない男だな~おい。」
「くそ親父!!」
「嬢ちゃんまた来てくれや、いつでもここにいるからさ。」
「パルスィじゃあな!!」
「ありがとうございました。」
私はお辞儀をして家に帰るのだった。
【庭 パネル当て】〔夜〕
シュ バン シュ バン
「148、149、150!!」
「お疲れパルスィ。はいこれ。」
「ありがとう。」
「だいぶコントロールがついてきたね。」
「何百球も投げれば自然につくわよ。」
「本当にそうかな?」
ドラえもんは休憩のついでに語り出す
「ピッチャーは体感、足腰の強さ、指先の器用さ、肘と肩、腰の回転で決まる。・・・コントロールは指先の器用さが絶対に必要なんだ。・・・君の指先は僕より上手く使えてる。自然につくというのが才能の証さ。」
「それで?」
「なんだったら縁を狙いなよ。的に当てるんじゃなくてさ。」
ドラえもんは立ち上がるとパネルに向かって投げた。
ヒュ バン
「僕でも無理だ。・・・だけど君ならできる。」
私はドラえもんからボールを受けとりパネルに投げる。
シュ バン シュ シュ ガゴ
3球目に命中。
「これが100%当たるようになればすごい投手になれる。・・・まだ凄いだけどね。・・・神がかるには変化球の制御もこれぐらいできればなれるね。・・・さぁ見せてよ。パルスィのピッチングを!!」
その日は空気が清むまで投げ続けた。
〔数ヵ月後〕
3年になり大学野球を生で見る機会に恵まれた。
私はそこで投手の球を紙に書き込むおじさんがいたので後ろからさりげなく覗き込むとバッテリーの癖がびっしりと書かれていた。
私はそれからプロ野球を通して配球を独自に学んでいくのだった。
作者個人の意見なので参考にしないでください。