パルスィとキスメの野球録   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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ギム・ギンガナムという男

〔1時間後〕

私は他の部員と10周差つけて走り続けた。

先輩達から

 

「お前一番早いからノックでも受けるか?」

と誘われたがこのマラソンが入部できるかの試験だと考えている私はやんわりと断った。

すでに数名は誘惑に負けて歩いたり、倒れたふりして休憩していたり、先輩達のボール拾いをしていた。

さらに1時間後に走り続けているのは私だけになっていた。

 

キーンコーンカーンコーン

5時の鐘がなり、先輩達は先に帰ると言って私達を残して帰ってしまった。

同級生も先輩達がいなくなった頃に

 

「まだ走ってるやつがいるよ。」

 

「女はテニスでもしてればいいのによ。」

などと陰口を叩きながら帰っていった。

 

(・・・もういいや、どれぐらいまで走れるか試してみよう。)

私はペースを二段階上げた。

ただ走るのも面白くないので、一瞬バックに寄って硬球を2個持つと握りを確認しながら走り続けた。

 

〔30分後〕

 

「貴様だけか残ったのは!!」

校舎の3階から顧問の声が聞こえたので振り向き

 

「はい!!私だけです!!」

と大声で叫んだ。

 

「荷物を持ってこっちに来い!!」

と言われたので校舎の3階まで走って移動した。

 

【校舎 3階】

行ってみると帰ったと思った先輩達もいた。

 

「誘惑に負けずによくやった。名前はなんという。」

 

「森川パルスィです。」

 

「・・・ほう。あいつの娘か。」

 

「おい、森川ってあのメジャーに行った?」

 

「近くに住んでるって聞いたことがあったが・・・。」

先輩達が話だし、顧問は聞いているだけで注意しない。

 

「・・・監督!!」

話が一区切りついたらしく部長が顧問に耳元で何か囁いた。

 

「ではパルスィ!!今年はお前だけを新入部員として認める。うちの部活は高校を目標としている。大会に定員割れで参加できないが、私についてくれば名門に連れていってやる・・・来い!!」

 

顧問は私に入部届けを渡してきた。

上の欄には野球部と書かれ、下には顧問の名前と判子が押されてあった。

 

「・・・監督ひとついいですか?」

 

「なんだ。」

 

「私の人生設計で名門に行くと狂ってしまうのです。名門、強豪には行きたくありません。それでもいいですか?」

先輩達は唖然としているが監督は

 

「よかろう。なら強豪や名門を倒し新たな名門を作るのだな?」

 

「まぁ勝てばそうなるでしょう。・・・じっくりと倒させてもらいますよ。」

 

「久しぶりに面白いやつが来たな。小生はギム・ギンガナム・・・貴様を革命児にするものだ!!」

 

「俺らはパルスィを歓迎する。野球にようこそ!!」

中学野球がスタートした。

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