【家】〔数日後〕
「義流ありがとうでやんす。」
「なに、子供とは大切にしなければならない。・・・困ったら我に言え。なんとかしてやる。」
「ありがとうでやんす。」
意識が戻るとボロい部屋の中に私はいた。
母親と思われる女性の膝の上に座っていた。
(・・・母体の腹を裂いて私は産まれてきたのか。・・・それで父親と思われる男が良い服を着た男性に助けてもらったか・・・惨めで妬ましい。)
バタン
入り口のドアが閉まる。
「主様・・・これからどうするのですか?」
「幸いかわからないでやんすが義流の会社の草野球チームのコーチを週3ですることになったでやんす。」
「・・・厳しくなりますね。」
「・・・すまないでやんす。オイラが不甲斐ないばかりに・・・。」
「・・・惨めで妬ましい。」
男女が私を凝視する。
「・・・パルスィが喋ったでやんすか!?」
「いちいち驚くな人間。」
「え?え!?どういうこと!?」
「女も黙れ。・・・最近の若い人間は挨拶もできないのか・・・若いって妬ましい。」
「・・・や、矢部明雄でやんす。35歳、元プロ野球選手、外野のセンターをやってたでやんす。」
「や、矢部きずな。主様とは30の時に取り締まって免停させた時に出会いました。警察官です。」
「・・・水橋パルスィ・・・いや、矢部パルスィと言った方が良いわね。・・・妬ましいけど。・・・橋姫という妖怪よ。」
「妖怪でやんすか!?・・・とり憑いた感じでやんすか!?」
「知らないわよ。私だって歩いてたらいきなり暗い場所に閉じ込められたんだもの。」
「わ、私のお腹の中!?」
「きずなやめるでやんす!!傷口が!!」
「・・・ねぇ、質問していいかしら?」
「・・・なに?」
「私をどうするのかはっきりさせてほしい。」
「・・・お腹を痛めて産んだ子が元妖怪でもいい。ただ、家族として接してほしい。たとえパルスィがものすごい年上だったとしても。」
「そうでやんす!!逆に考えればこの時期から色々教えることができるでやんす!!・・・天才でやんす!!鬼才でやんす!!」
「・・・あなた達が明るい性格なのは何となくわかったわ。・・・矢部ときずなと呼ぶけど良いわね。」
「わかったでやんす!!」
「わかったわ。」
「・・・なら、私にここのことを1から教えなさい。妬ましいことに体が全く動かない。」
「なら、オイラは体づくりを手伝うでやんす!!」
「私は一般常識からですね!!」
「矢部、きずな、よろしく頼む・・・柄じゃないわね。」
こうしてちぐはぐな矢部パルスィの生活がスタートした。