【家】〔数日後〕
まだ私は筋力がなく、立つことができないので家の端から端にはいはい(完全にほふく前進)で移動して動けるようにした。
約1時間するとバテて腕が動かなくなるので、今度はピンポン玉を握って握力を鍛えた。
「パルスィ、勉強しますよ。」
「・・・わかったわ。」
体が動かなく、文字も現代の用な形ではなく昔の字しか知らなかった私は屈辱だった。
前までは人間を瞬殺できる力があったのに今では役立たずである。
この感情ともうひとつの出来事が私を野球に導いたと感じた。
それはプロ野球のテレビ中継だ。
私は弾幕ごっこのような未完成なものよりも、野球のようなほぼ完成したスポーツがとても輝いているように見えた。
私はこのとき思う
(・・・闇になりたい。)
この光輝く野球の闇になりたいと思ったのだ。
強いけどこんな選手にはなりたくない、絶対に真似したくない・・・そうしたものになりたいと感じた。
ひねくれ者の極みである。
ただ、それを実現させるための実力をとにかく私は欲した。
体を作りながら、文字を必死に覚え、野球中継で動きを見て、自分に適した守備位置の研究を約3ヵ月続けた。
〔生後?3ヵ月〕
私は完全に視力が回復し、しっかりと字を読めるようになり、歩くこともできるようになっていた。
(か、体が痛い。毎日バキバキいって成長する。)
とてつもない早さで成長する体に私は毎日苦しんだ。
さらに、体を鍛えていることで筋肉痛もすごいことになっていた。
その事を2人に相談すると矢部が
「ローテーションを組んで鍛えるでやんすよ。」
と言い出した。
このローテーションは体を鍛える場所をどこを集中して鍛え、どこを休ませるかということだった。
矢部は超回復理論にのっとった効率的な育成をしたいようだ。
まず上半身を5種類の腕立て伏せ、ゴムボールを握る、小さな棒を投げるように回す(投球ホームの修正で使われます)を1日すると、次の日は裸足で近くの海岸を走ったり、足の指でタオルを掴むといったことを繰り返した。
これらに毎日のストレッチを加えて完成だ。
こうした日々を私は楽しんだ。
妖怪として成長が止まり、衰えもしない体に飽きていたのだ。
とても新鮮で成長する喜びを味わった。
ただ、妖怪として残った部分もあった。
嫉妬心をとにかく感じやすいことだった。
ただ、それは私の糧になっていたものだったので逆に調子が良くなることが多々あった。(矢部の嫉妬心を感じて)
そんなある日、私がいつものように砂浜を走っていると
「小さいのに偉いね。」
とずんぐりとした男が声をかけてきたのだった。