十二話です。
side 熱斗
「熱斗くん、そろそろ起きなよ!熱斗くん!」
「ん~ ふ、あぁ~おはようロックマン」
アースラで一夜を過ごした朝、とんでもないことになってフェイトの家やSFに出てくるようなここアースラで生活することになっても、ロックマンはオレが秋原町で起床していた時間にいつも通り声をかけてくれる。普段はうるさいなと思うこともあるけど、今はそれがとてもありがたいものになっていた。
「おはよう、さっ支度をして朝ごはんに行こうよ」
「ふぁ~そうだな」
あくびを噛み殺し、借りていた寝間着から普段着へと着替え、オレ達は食堂へと向かう。
途中道を間違えそうになるもロックマンに教えてもらって食堂へとたどり着くと、リンディさんとクロノにエイミィさんが朝食をとっていた。
「あら、おはよう熱斗君、昨日はよく眠れたかしら」
「おはよう」
「おはよー熱斗くん」
相変わらずとても戦艦の艦長とは思えない穏やかな微笑を浮かべて挨拶をしてくれたリンディさんに簡素な挨拶だけのクロノにフレンドリィなエイミィさん挨拶一つで性格が出るな~と思いつつ挨拶を返す。
「三人ともおはようございます。昨日はばっちり眠れました!」
「皆さんおはようございます」
ロックマンも挨拶を返すと三人は揃ってきょとんとしたのち「ロックマンもおはよう」とまた三者三様の挨拶を返してくれた。
「ねぇねぇ熱斗くん!良かったら朝ごはん一緒にどうかな?私たちも食べ始めたところだし」
「それは良いわねぇどうかしら?」
「!よろしくお願いします!」
「朝食はそこのカウンターで受け取れるからとってくるといい」
エイミィさんとリンディさんに誘われたので二つ返事で了承しクロノが指さした方にあるカウンターに向かった。
「おはようございまーす」
カウンターへ近づくと用意している朝食のいい匂いが漂ってきてさっそくお腹の虫が鳴き始めた。
「はい、おはよう……と君はたしか次元漂流者の」
「光熱斗です、これからしばらくお世話になりまっす!」
「ははっ元気が良くていいわねぇよろしくね!今日の朝食はご飯かサンドウィッチか選べるけどどっちにする?」
「うーんそうだなぁ よし!お姉さん!サンドウィッチでお願いします!」
奥の厨房から出てきたエプロンをしたショートカットのお姉さんに挨拶し朝食についての説明を受けた。朝はご飯とサンドウィッチが選べるようで迷ったが今日はパン食にすることにした。
「はいお待ちどうさま、これは気持ちのいい挨拶をしてくれたからおまけよ」
そういってお姉さんはサンドウィッチに添えていたサラダにハムを付け足してくれた。
「ありがと!いただきまーす!」
サンドウィッチの乗ったトレイを受け取りオレはリンディさんたちのところへ戻った。
「おまたせしましたー」
「おかえりー熱斗くんはどっちにしたの?」
「サンドウィッチにしました!」
「お~私と一緒だね!お仲間だ♪」
「そうですね~」と返事をしながらエイミィさんの隣に座る。
正面に座ってるリンディさんとクロノはご飯を選んだようで白米に焼き鮭、みそ汁に納豆と純和風なラインナップだった。
「それじゃあいただきまーす」
手を合わせてさっそくサンドウィッチに手を伸ばしツナ、タマゴ、トマトにレタスとチーズとハムの三種類の中からタマゴを選んで口にした。
「ん~うまい!」
「お口にあったようで良かったわ~」
リンディさんは朝ごはんが好みに合うか気にしてくれていたようでホッとしていた。
サンドウィッチに舌鼓を打っていると
「リンディさん、なのはちゃんたちからこの件に関しての返事はあったんですか?」
と机に置いてたPETからロックマンがなのはたちのことをリンディさんたちに尋ねた。
するとリンディさんはまたあっけにとられたかのような表情になっていた。
「リンディさん?」
返事がないのでもう一度ロックマンが呼びかける。
「あっあぁごめんなさいね、少し驚いてしまって、私たちは貴方のことをインテリジェントデバイスのようなものと考えていたのだけれど、ずいぶん違うみたいね。私たちの知るデバイスのAIは能動的に話しかけてくることや、まして世間話を話しかけてくることはほとんどないものですから。こうやって話していると本当に一人の人と話をしているようだわ」
リンディさんの説明でどうしてさっきから不思議な反応をしているか合点がいった。
「そういえばプレシアさんも初めて会ったときは驚いてたもんな」
「熱斗君!今、なんて!?」
オレがプレシアさんの名前を出すと三人とも真剣な表情で迫ってきて、たじろいだがオレはロストロギアの危険性も説明されプレシアさんには嘘をつかれていたと知ったので知っていることを包み隠さずに話した。
「夢を叶えるためにジュエルシードを集めていること、そしてフェイトはその手伝いをしているということ、これぐらいかな?オレが知っていることは」
「夢の内容というのは?」
オレの話を聞き終えたクロノが質問してきたが夢の内容までは知らないと答え、一瞬緊張した空気は元へと戻った。
「そうか」
「ありがとう熱斗君とても助かるわ」
「エイミィ食事がすんだら熱斗たちの居た世界の捜索に並行して本局にプレシア・テスタロッサの情報を問い合わせてくれるか?」
「了解!すぐに調べてもらうよ~」
クロノがエイミィさんに指示を出しエイミィさんは二つ返事で了承する。
どこに存在するかもまだわからないオレ達の世界の捜索に並行してもう一つ仕事をこなし更にはオペレーター業までこなすというエイミィさんの情報処理能力はずば抜けているのだろう。
気さくでフレンドリーなお姉さんといったイメージが強かったがオレは感心していた。
「さて、そろそろ食事を再開しましょうか。あと、なのはさん達についてだけど捜査に協力してもらうことになりました。あと少ししたらアースラに来る予定よ」
なのは達は話し合った結果、やはり捜査に協力するようだ。オレ達は何もしないままでここで保護されていていいのだろうか?いや、そんなことはないフェイトのことも気になる。オレは最後まで関わる覚悟を決めロックマンへと視線を移す、オレの気持ちが通じたかロックマンは黙って頷いてくれた、笑顔で。
少し姿勢を正しリンディさんに向き直る。リンディさんもオレの雰囲気を察したのか真剣な表情で向き直ってくれた。
「リンディさん頼みたいことがあります」
「ジュエルシード捜索の件に関してかしら?」
「はい、オレ達がこの世界にきて最初に助けてくれたのはフェイトとアルフなんだ!その二人が危険なこと、悪いことをしているなら、オレは友達として黙ってることなんてできない……お願いします!オレ達も捜査に協力させてください!!」
「……わかりました」
少しの沈黙の末リンディさんは許可を出してくれた。
「かあさっ艦長!何を言ってるんです!熱斗は次元漂流者で戦いに使用するのはロストロギア、ジュエルシードなんですよ!」
「えぇ承知しています。しかし協力してくれるなのはさんたちは魔導の才こそありますがまだまだ素人です。対して熱斗君たちは形は違えど何度かこういった事件に立ち向かい解決しています。さらにジュエルシードに関しても、かの大魔導士プレシア・テスタロッサの意見では大変安定し制御できているとのこと、これらのことを鑑みてこちらで充分なモニター、バックアップをすればロストロギアの暴走はほぼ防げるとは思わないかしら?」
「それは……そう思いますが、本局への報告はどうするんです?」
「あら、それこそ簡単よ、ここは管理外世界の中でも本局から離れた地よ報告書なんてどうとでもなるわ。ねっエイミィ」
真面目に話していたリンディさんが途端、明るい口調でさらっと怖いことを言い始めるのをみてリンディさんの強かなところを発見するのだった。
「もちろんですよ!おまかせください!クロノ君は頭が固過ぎだよ~」
「はぁ~わかりましたよ」
リンディさんとクロノのやりとりを聞いていたオレ達はクロノの苦労を垣間見た気がして少し同情してしまった。
「それじゃあ」
「えぇよろしくね、熱斗君、ロックマン」
「よろしく~」
「よろしく頼む」
「はい!よろしくお願いします!」
「頑張ろうね!熱斗くん!」
こうしてオレ達は正式にジュエルシードの捜索に参加することになった。
朝食を食べ終え艦のミーティングに参加するためにアースラの艦内を歩いているとなのは達に出くわした。
「あっ熱斗くん、おはよう!」
なのはは名前の通り花の咲くような笑顔で
「おはよう熱斗」
ユーノはフェレットではなく人間の姿で挨拶をくれた。
「おはよう二人とも!」
オレも笑顔で挨拶を返す
「二人はミーティングに行くところ?」
ロックマンが確認すると
「うん、そうだよ」
「じゃあ一緒に行こうぜ」
「うん!」
やはりなのは達もミーティングに向かってたようなので一緒に行くことにした。
「というわけで本日0時をもって本艦全クルーの任務はロストロギアジュエルシードの探索と回収に変更されます。また、本件においては特例として問題のロストロギアの発見者であり結界魔導士でもあるこちら」
「はい!ユーノ・スクライアです」
「それから彼の協力者でもある現地の魔導士さん」
「たっ高町なのはです!」
「それからもう顔を合わせた人もいると思うけどこちらの」
「光熱斗です!よろしくお願いします!」
「以上三名が臨時局員の扱いで事態にあたってくれます」
「「「よろしくお願いします」」」
ミーティングが始まりリンディさんからの紹介とオレ達の挨拶が終わるとなのはがクロノに微笑みかけ顔を赤くしそれを見ていたユーノがなぜか仏頂面になっていた。どうしたんだろうか?
捜査の方針や決まり事、緊急時の対応など特に問題なくミーティングは進んでいき、最後に捜査に協力するオレとロックマンがどの程度の実力を持っているか把握しきれていないのでクロノと模擬戦を行うことになりミーティングは終了した。
「さて、それじゃあトレーニングルームへと行こうか」
「りょーかい!」
ミーティング終了後、さっそく模擬戦を行うらしくオレはクロノに連れられてトレーニングルームまでやってきた。集まったのは責任者のリンディさんにデータ取りのためのエイミィさん、それから見学したいというなのは達だ。
「よしっやるぞ!ロックマン!シンクロチップスロットイン!」
「「クロスフュージョン!!」」
トレーニングルーム内に入りオレ達はクロスフュージョンし準備を終える。
「熱斗君、非殺傷設定は大丈夫ですね?」
「はい!プレシアさんのところでフェイトと模擬戦するにあたって出来るように教えてもらいましたから!」
「クロノも準備は良いわね?」
「はい、いつでもどうぞ艦長」
クロノも肩に装甲が付いた黒いバリアジャケットにデバイスを展開し臨戦態勢になっている。
「それではこれより模擬戦を行います、始め!」
「よし、先手必勝!いくぜロックマン!バトルオペレーションセット!!」
『イン!!』
リンディさんの試合の合図とともにロックバスターを放つがクロノはこともなげに躱し反撃してきた。
「スティンガーレイ!」
高速で迫る魔力弾をこちらも躱しロックバスターを打ち返す。
「ハッ!」
撃つ、躱す、撃ち落とす、ロックバスターと魔力弾が入り乱れ射撃戦を展開するがお互いにまだ有効な当たりはない
「埒が明かないなロックマン」
『そうだねそろそろ流れを変えようか』
「よし!行くぜ!ストーンキューブ、スロットイン!」
クロノの射撃に合わせてストーンキューブを三つ召喚し壁にする。
「なっ物質創成!?」
『熱斗くん!』
「おう!次行くぜ!エアシュート、スロットイン!」
面を食らって一瞬、隙を見せたクロノに向かってストーンキューブを一つ射出する。
「なに!?けどっ!」
「ブレイズキャノン!」
高速で迫りくるストーンキューブに対して避ける間は無いと判断したクロノは高威力の魔法で強引に破壊した。
「ヒュウ!やるなぁクロノ!」
『そうだね』
強敵とネットバトルをしている時のような高揚感を感じクロノに称賛の声を送る。
「簡単にはやられないさ」
パラパラと降り注ぐ打ち砕いたストーンキューブの破片を浴びながら不敵に笑うクロノ。
「次は僕の番だ!スティンガースナイプ!」
クロノが放った魔力弾を避けるが魔力弾はオレを狙って追尾してくる。
何度か避けても再度狙ってくるのでロックバスターで迎撃しようとするが
「マジかよ!」
魔力弾はバスターの射線から逃れ尚もこちらに向かってくる。
オレはクロノの魔力弾の制御に舌を巻く。
「なら!」
オレは残っているストーンキューブへと駆ける、ストーンキューブにぶつかりそうになる直前に
「インビジブル、スロットイン!」
インビジブルを使いストーンキューブを通り抜ける、直前まで迫っていた魔力弾はストーンキューブを砕き消滅した。インビジブルの効果が残っているうちに隠れてもう一度ストーンキューブを射出しようと最後のキューブに近づき姿を現すと
「かかった!」
「なっなんだ!?」
『バインドだ!熱斗くん!』
バインドに捕縛され身動きが取れなくなる。
「ブレイズキャノン!」
「バリア、スロットイン!」
バリアを発動した直後にブレイズキャノンが着弾、爆炎が上がりバリアは一瞬で消し飛び余波でバインドも崩れた。
「ラッキー!バインドも外れたぜ」
『この煙に紛れて奇襲しよう!熱斗くん!』
「あぁ行くぜ!カゲブンシン、スロットイン!」
煙の中で三体に分身、煙の中から一斉に飛び出しクロノを捕捉する。
「今度は分身!?まったく君には本当に驚かされるよ!」
杖をこちらに向け魔力弾の光球を三つ生成したクロノに向かって
『熱斗くん!今だ!』
「フミコミザン!スロットイン!」
一気に加速しソードを振りぬく!
「ぐっ!」
すんでで魔法をキャンセルし身を引いたのか浅かったようで有効打にはならなかった、だが体勢を崩したここで畳み掛ける。
「うおおお!」
「くぅ!」
フミコミザンで展開したソードを振るい追撃をかけるがクロノは体勢を立て直すため宙へと舞い上がった。
「逃がすか!エアシューズ、スロットイン!」
クロノを追いかけ今度は空中戦へ
何度かクロノと切り結ぶが空中戦は不慣れなので浅い傷が増えていく。
「くっこのままじゃジリ貧だどうにかしないと」
『熱斗くん!クロノ君の懐に入るんだ!』
「……っ!オーケー!エリアスチール、スロットイン!」
起死回生の一手を狙ってエリアスチールで一気に距離を詰めクロノにソードを振るうがデバイスで受け止められてしまう。さらにクロノは空いた片手をオレの腹に手を添え
『熱斗くん!』
「間に合え!エレキソード、スロットイン!」
「ブレイクインパルス!」
ソードが瞬時にエレキソードへと組み変わり、受け止められているデバイスを介して強力な電撃をクロノへ与えることに成功するが、クロノに添えられた手から凄まじい衝撃が走り二人とも同時に墜落する。
「がはっ」
「ぐあ!」
地面に叩きつけられ朦朧とするが何とか立て直しオレがバスターを構えるとほぼ同時にクロノもデバイスをこちらへ向けた瞬間
けたたましいアラーム音がトレーニングルームに響き渡り模擬戦を見ていたリンディさんのアナウンスが流れる。
「はい、そこまで、タイムアップよ二人とも」
「……ふぅ」
「……はぁ」
オレとクロノは向けあっていた腕を下ろし一息ついた。
「いやークロノは強いな!ナイスバトルだったぜ」
「うんうん、本当にすごかったよ」
クロスフュージョンを解いたオレはクロノに向かって手を差し出す。
「僕も君には驚かされてばかりだったよ、いい試合だった」
そう言ってクロノは差し出したオレの手を握り返し、こうして模擬戦は時間切れの引き分けという形で終わった。
熱斗とクロノの模擬戦でした。
バトルチップの効果についてですがゲーム、アニメ等から離れすぎない塩梅でオリジナル設定を交えつつ使っていこうと思っています。どうかご容赦ください。
ここまで読んでくださってありがとうございました!
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