side フェイト
広域探索魔法を使いここから少し離れている海鳴温泉という場所で
ジュエルシードの反応を捉えたので今日はそこへ向かう予定だ。
アルフとロックマンには温泉に向かう準備や電車やバスのルートをリビングで調べてもらっている。
昨日の夜、私は転移魔法ですぐに行こうって提案したんだけど熱斗が温泉に行くなら
電車やバスを使って行くまでも楽しもうといって聞かなかったので熱斗の案で次の日
つまり今日温泉まで行くことになったのだ。
二人が調べ物をしてくれているので私はまだ寝ている熱斗を起こすことに。
熱斗の部屋に入るとベッドにはとても気持ちよさそうに寝ている熱斗がいた。
「熱斗、朝だよ起きて」
「……」
声をかけてみるけどまったく反応がなく熱斗はまだ夢の中だ。
「熱斗、ほら起きて」
「う~ん」
今度は肩を揺すりながら声をかけるが熱斗はまだ起きない。
「全然起きてくれない……どうしよう困ったな」
「いつものロックマンみたいに起こせば起きてくれるかな?」
私は毎朝ロックマンが熱斗を起こしているときのことを少し思い出す。
『熱斗くん!朝だよ起きてっ!ほら早く!今日はフェイトちゃんと町に出る予定でしょ!』
ついこの間見た熱斗とロックマンのやり取りを思い出した私は心の中で練習してみる。
(熱斗!朝だよ起きてっ!ほら早く!今日は熱斗が楽しみにしてた温泉に行く日だよ!)
「うん、これなら起きてくれるかも」
心の中でシュミレーションしてみるが普段と全く違う調子だから少し恥ずかしいけど
私は意を決して大きく息を吸い込んだ。
「すぅ、ねっ熱斗!起きてっ!ほら早く!今日は温泉に行く日だよ!」
「う、う~ん」
思い切ってロックマンの真似をして声をかけたのに熱斗はもぞもぞと動くだけでまったく起きてくれない。
「そっそんな……」
もう、本当にどうしたら起きてくれるのかと考えを巡らせていると調べ物や準備が済んだのか
アルフとロックマンが部屋に入ってきた。
「準備終わったよ~フェイト!ってなんだい熱斗のやつまだ起きないのかい?」
「う、うん全然起きてくれないんだ」
「まったく、熱斗君は……」
side 熱斗
「熱斗くん!いい加減に起きて!ほら早く!」
「うわぁ!」
ゆらゆらと波に揺られるような心地よい夢を見ていたのに
いきなりロックマンの怒鳴り声が飛び込んできてオレは飛び起きた。
「なんだよロックマンせっかくいい夢を見てたのに」
「はぁ、おはよう熱斗くんもうみんな起きて準備終わってるよ」
あきれたようなロックマンの声がする方を見て見ると部屋には
PETを持ったアルフにフェイトとこの家で生活している全員がそろっていた。
「あれ?どうしたんだみんなして集まって?」
「熱斗はロックマンが起こしてくれるならすぐに起きるんだね……私が何回起こしても起きなかったのに」
「えっ?悪いフェイト今なんて?」
「……知らない」
「まったくあんたは本当ねぼすけだねぇ今日は温泉に行く日だろ?」
「あっそうだっ今日は温泉に行くんだった!」
なぜか不機嫌そうなフェイトに
あきれ顔のアルフの言葉でやっと完全に目が覚めた。
今日はジュエルシードの反応があった海鳴温泉に行くんだった。
「ほら、あたしとフェイトはリビングで待ってるから早く来なよ」
「おう、すぐ行くぜ」
オレはアルフからPETを受け取りダッシュで着替える。
「なぁロックマン、なんかフェイトのやつ機嫌悪くなかったか?」
「う~ん朝話したときはいつも通りだったけど?」
結局なぜフェイトが不機嫌だったかはわからず二人で首をひねりながらリビングに向かった。
「お待たせ!さぁ行こうぜ!」
「うん、それじゃあいこっか」
「最初は電車で次はバスに乗っていくからね道案内はボクに任せて」
「あいよ、フェイトに熱斗、忘れ物はないかい?」
「大丈夫だよ」
「同じく!」
こうしてオレたちは海鳴り温泉へと向かった。
フェイトと二人で悪戦苦闘しながら券売機で切符を買い少し間違えそうになったけど乗り換えを何とかこなしまた電車に揺られ、入ったトンネルを抜けると都会とは比べ物にならないほどの色彩豊かな緑が目に飛び込んできた。
「おぉ~見て見ろよフェイト!すっげぇいい景色だぜ!」
「うん、本当だね、とってもきれい」
フェイトに外の景色を指すと顔をほころばせて景色を見つめている。
朝の不機嫌もどこかへいったようだ。
駅に着き目当てのバスに乗り込みようやく俺たちは海鳴温泉にたどり着いた。
「ん~ここが海鳴温泉か~」
バスから降りて体を伸ばし息を吸い込むと温泉特有の硫黄のにおいがして
あらためて温泉に来たのだと実感する。周囲は連休とあってか家族連れや
カップルなどが浴衣姿で楽しそうに歩いており結構な賑わいをみせていた。
「迷わずにたどり着けて良かったね」
「ロックマンがしっかりルートを教えてくれたおかげだね」
「あたしも乗り継ぎ間違えそうになったのをちゃんと気づいたぞ」
「うん、アルフもありがとね」
「よーしそれじゃあさっそく温泉に行こうぜ!」
「あっ熱斗、待ってよ~」
俺たちはさっそく事前に調べた人気の温泉に向かって駆け出した。
side フェイト
「ふ~気持ちいいねぇ~」
「うん、こんなに広いお風呂初めてだね、それに景色もいいよ」
温泉に着いた私たちは熱斗に引っ張られるように調べた評判の良い温泉に向かいおすすめの露天風呂に浸かっていた。
入る前は大勢の見ず知らずの人たちの前でお風呂に入ることが恥ずかしかったからジュエルシードの位置特定に行こうとしたら
熱斗が『なに言ってんだよフェイト!温泉にきて温泉に入らないなんて駄目だぜ!一度は経験しておいた方が絶対いいって!』と、押し切られ温泉に入ることになったんだけどここから見える青々とした山に聞こえてくる川のせせらぎはとても癒されるし温泉もぽかぽかしてとても気持ちが良い、今は温泉に入って本当に良かったと思ってる。
『それじゃ!お互い楽しんで来ようぜ!』ととてもいい笑顔で男の人用の方へ入っていった熱斗には感謝しないと。
「フェ~イト!熱斗のこと考えてただろ~」
「えっ!ど、どうしてわかったの?」
「顔、笑ってたよ」
「うっうそ!ほんとに?」
「ほんとほんと」
「う~恥ずかしい」
アルフに指摘されて慌てて顔に両手を当てたけど時すでに遅し、恥ずかしいところ見られちゃったな。
「けどさ~フェイトもやっとまた少しずつ笑えるようになってきたね」
「そうかな?」
「そうだよ~」
「そっか」
熱斗の方が二つお兄ちゃんだけど喜んだり驚いたり表情がころころ変わるから一緒にいて楽しいから笑っちゃうのかも。
けど熱斗たちは次元漂流者だからいつかは元の世界に帰っちゃうんだよね……
私は熱斗たちが元の世界に帰ってしまったときのことを考えるとリニスが居なくなったときのような寂しさを感じてしまった。
まだ出会ってそんなに経ってないのに寂しさを感じたことに私は少しびっくりした。
「フェイト?」
「うん?どうしたの?」
「いや、なんだかよくわからない顔をしてたからさどうしたのかなって」
「ううん、なんでもないよ、次は屋内のお風呂に行ってみよっか」
私たちは露天風呂を出て、屋内にあるヒノキという木で作られたお風呂に向かうことにした。
第七話でした。
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