神々の戦争と絶対者   作:Right_98

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駄文ですがお許しください。

それでは、どうぞ――


プロローグ:「絶対者の目覚め」
絶対者


――銃声。

 

――飛び交う弾丸と血しぶきに人の部品。

 

――そう、ここは戦場だ。

 

俺は人間が本当に満ち足りているときはいつなのかを戦場でよく考えることがある。

 

これに大した意味などない。

どうでもいい思考遊戯だが、凄惨きわまる戦場ではそんなことでも考えていないと余計なことが頭によぎるからだ。

 

小銃――AK47をこちらに向ける兵士、もといゲリラ兵の顔は恐怖に満ちている。あの顔はよく俺に向けられる顔だ。

 

殺さなければ殺される。

ならば殺してもいい。

戦場ではお互いがそれを許される。

ある意味、それはこの非平等的な世界で唯一の対等――フェアゲームだといえるのかもしれない。

 

俺――紅崎界貴(くれざきかいき)は傭兵である。若干19歳にして世界を飛び回っている。

 

そんな19歳の若造である俺が死なないのはほんの少しの幸運と人間をやめたからだろう。

 

人間をやめるとよく戦場でよくこう呼ばれる。

 

「こ、この化け物めーーーー!」

 

、と。

 

絶叫と共にAKを乱射するゲリラ兵。

 

短い間隔で連続する破裂音とマズルフラッシュ。

銃弾が吐き出されたころには俺の体はもう銃口の前から動いていた。

 

――界貴の筋肉質な長身が一瞬にしてゲリラ兵の視界から掻き消える。

 

何も難しいことはない。

ただ姿勢を低くして横へ飛び、斜め前へ踏み込んで相手の真横へ移動しただけ。

それを速くおこなっただけ。

 

「な!?いつの間に!?――がぁ!?」

 

だがゲリラ兵の動体視力では何が起きたのかすらわからなっかたのだろう。

 

刹那の間にゲリラ兵の意識は永遠に閉ざされる。

界貴が指先からひじ先までを覆う金属の手甲の腕で厚いとはいえないゲリラ兵の胸板を突きで貫いたからだ。

 

俺の膂力で人体に突きを行えばこうなる。

一撃で生命を陵辱する。

 

常人の数十倍以上の剛力と伸縮耐久性をもつ筋肉、その筋肉へ高速で命令を送る判断速度と反射神経、銃弾飛来箇所を読みきる勘と経験。

そしてそれを支える金属並みの高度と強靭性をもつ骨格と、打撃のインパクトをあまさず人体に伝え一撃の下に殺傷する技。

 

あまたの武人が到達しようともがき、苦しみ、そして挫折し諦めきれずに手を伸ばし続ける武の(いただき)に彼は平然と佇んでいた。

 

本来は奥義ともいえそうなそれを彼は安売りでもするかのように繰り出し、自らに向けられる殺意に対して平等に返礼として死を買わせていく。

 

人間の目にはとうてい捉えられない速度の銃弾も、四角から襲ってくるナイフの凶刃も、投げつけられた手榴弾の爆轟でさえ彼を捉えることは許されなかった。

 

彼は人間と言う性能の枠の外にいた。

 

体力、忍耐、身体能力、戦闘におけるセンス、殺しの才能、視野の広さ、そして揺るぐことを消して良しとしない意志力。

 

戦いという枠の中において、彼は人間という生物の枠組みを超越している。

 

無論、なまやさしい過程のはてにこんな怪物的な人間が形成されたわけではない。

 

度重なる負傷・修行による過負荷。体は急速を求める。しかし彼はそれを許さない。さらに体を酷使する。体は休息を求める、しかし許されない。

その結果、彼の肉体は休息による健康維持をあきらめた。

 

ならばどうするか――

 

それは肉体の超強化。

単純である。

『治させないなら、壊させない』

彼の肉体は休んで癒えるのを諦め、自らを硬く、柔軟に、強固にして壊されないことを選び、進化した。

 

その超強化人体をさらに鍛え、数多の修羅場を自らの力で切り開いた末の姿がいまの彼である。

無論、彼自身のみの結果ではない。彼が師事した数多くの人物やそれに付随する経験。

そして数えきれぬほどの薬物や試験薬、矯正器具、耐性訓練も内包する。

 

「あんた達が少しでも俺のようなハズレタやつを知っていたならそこに転がる人数は減っていたかもな……」

 

せめてもの手向けに帰ってこない言葉を投げかけて殺したものたちに彼は背を向けた。

 

「さて――」

 

次の目標に向けて疾走する。

 

多数の銃口が彼を狙う。

 

しかし、照準が―――追い着かない。

 

照星で照準した瞬間にはそれは残像へと変わっている。

 

彼は左右にジグザグに反復しながら前進しているだけ。

しかし、それも彼の肉体で行われれば残像を残すほどに速くなる。

 

「う、撃てーーー!いくら奴が化け物でも弾幕で圧殺すれば逃げ場などない!!」

 

そう、いくら彼の反射神経が人外の領域にあるとと言っても音速をわずかに超える速さで数百発飛んでくるAKやM4の弾を回避するのは不可能。

 

ゆえに彼はかわすなどとは考えない。かわせないなら弾けばいい(・・・・・)

 

 

彼の腕から拳までを包む漆黒の金属――もとい特殊合金装甲は手だけではなく彼の両足にも装備されている。

金属につつまれた両足の筋肉が内側から膨張し力をためて――開放した。

 

立っていた地面が爆ぜると同時に彼は次の目標との距離をつぶしにかかっていた。

彼は両手を風圧に抗わず、後ろに流す。

 

 

「――はやく――早く――速く!!」

 

外界がスローモーションまで遅延され、加速された意識の中で黄金色の銃弾が自分に向かって飛んでくる。

 

全てが遅い。

 

しかし、大気すらもが水中のような重苦しさをもたらすこのスローモーションの中で彼だけは速度を損なうことなく突き進む。

 

彼の意識はまだ加速を続ける。

 

1秒、いや0.5秒、違う。0.01秒を置き去りさらに果てしなく――

 

彼の中で外の世界が停止する。

 

世界が自分の正面以外が純白に染まる。

 

その速さ域の名を阿頼耶(あらや)、または雲耀(うんよう)という。鋼鉄の装甲を纏った足が地を踏みしめ、自らの進路を妨害する低速な弾丸を手甲で打ち払い、停止しているに等しい敵を手甲に包まれた両腕で頭蓋を砕き胸を爆砕させ、延髄を手刀で削いで殺傷する。

 

30人以上を肉塊に変え、三回跳躍からしたところで、方位門は――抜けていた。

 

彼の体内時間が収束され、ようやく時間が帰還する。

一瞬の停滞、加速しすぎた体感時間を身体が外界と帳尻を合わせるために求めた1秒にも満たない空白。

 

刹那――6方向から感じた殺意に対し、体が半自動的に迎撃を開始した、が――

 

超高速でひらいする何かを凄まじい轟音とともに5発弾き飛ばすが、6発目が肩口をかすめ飛来物がともなうインパクトダメージが彼の体制を崩した。

 

衝撃が体を貫いた。

 

自分の体を見下げる――そこには巨大な穴がコンパスでくり貫かれたように空いていた。

7発目が、あったのだ。

 

視界を正面に戻す――40メートルほど離れたビル街の隙間、そこには銀色に輝く長い銃身、定規を平行に並べたような形状。

 

自分の空洞となった胸板を見下げて足下を見れば、自分の周囲に7つの直径60cmは軽く超えそうなクレーターが生まれていた――弾痕だ。

 

それは――小口径携帯超電磁加速収束砲(アサルトレールガン)

 

「――ああ、そうか……」

 

今回のミッションの究極目標をいまさら思い出す。

 

それは強奪された『アサルトレールガン』の奪還。

ただ、それが複数であったということになぜ気づかなかったのか…

 

彼の中で銃器を扱うことに関して神業をもつ、この世界で最強の男の姿が脳裏に浮かんだ。

 

おそらく、嵌められたのだ。

 

7機のレールガンを同時操作し自分の隙を逃さず急所に打ち込める者などあの男しかいない。

 

 

「……くそ…失念したなぁ…」

 

視界が段々と白くぼやけていく。

けどれども何故か走馬灯は浮かんでこない……

 

「……ま、あいつを捨て…た…むくいか…か」

 

もはやぼやけて何も見えない。

 

「…すまなかった…カレン…」

 

波乱に満ちすぎていた彼の生で最後に口にした言葉は愛した女への謝罪だった。

 

その言葉を最後に最強の傭兵、血染め(ブラッディ)の短い人生は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

黒く染まった世界の中、俺は墜ちていく――その中で、おれは呼ぶ声を聴いた――

 

 

 

 

「私たち神々の戦争(ゲーム)に参加するなら――その命、再び生きさせる事ができます」

 

「お願い――私を助けて――」

 

伸ばされた白い華奢な手を俺は――掴んだ。

 

 

 

 

 

 

次回――第一話「神々の戦争(ゲーム)へ」




次回から本編に入るところに入ります(多分)
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