神々の戦争と絶対者   作:Right_98

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登校が遅れて申し訳ありませんでした。


第一章:「物語は混乱をもって幕を開ける」
第二話「夜の森で彼と彼女は」


俺の視界が光に包まれる。

 

無数の光の乱反射が視界を覆い尽くしている。

万華鏡のように重なって消えていきまた広がっていく。

 

無限に続くかのような光の回廊の中で俺は下向きに墜ちていた。

 

身体の感覚が無く、視覚だけがやけに鮮明に見えている。

 

――どれぐらい墜ちたのだろうか?

 

 

体感時間がおかしくなり始めたころに乱反射している光の回廊の遠い先に黒い穴のようなものが見えてきた。

 

――出口か?

 

出口(?)が見え初めてからは速かった。

まるで穴が自ら近づいて来るかのような感覚。

 

そしてついに俺の視覚が穴と重なった――

 

刹那、全身の感覚が鮮明になり、鮮明に成った俺の感覚が強力な浮遊感と落下感覚を知覚する。

 

――墜ちている!?

 

今まで光の明るさに包まれていた視界が今は漆黒に包まれている――

 

しかし、今度の落下は長くは続かなかった。

 

闇の中で鋭敏化した視覚がすぐに目の前に広がる夜色の風景を捉える。

 

今までよりも急速にちかずいてくる風景。

 

――月明かりに照らされている針葉樹の群れ――

 

「――あれは、森……なのか?」

 

そしてついに闇の(ホール)を――抜けた

 

「ッツ!!」

 

一気に視界が広がった。

目の前に広がる夜の森とその遠くに見える人口的な光。

 

その二つが俺に完全に異世界へと転生したことを瞬時に理解させた。

 

今までよりも強烈な落下感覚と風圧が全身を包み込む――

 

さらに加速的に進む自由落下が俺の本能に警鐘を鳴らした――

 

「このままじゃ……マズい!!」

 

コンマ数秒でぼやけている思考を切り替える。

 

グングンと重力に引っ張られ風圧で身体を持っていかれそうになる。

 

しかし、界貴の身体と今までの経験が体勢の維持を支える。

 

地上から目測で150mを切った――

 

界貴は身体を空中で大きく広げ空気抵抗を増大させ一時的に速度を落とす。

しかしそれだけでこのこの高度からの落下速度を相殺できるわけはない。

 

わずかに減速するもまるで針地獄のように連なる森がさらに近づく。

 

針葉樹の針のような先端が一mに迫る――

 

そこで界貴は鼻先に迫った針葉樹の先端を特殊装甲で覆われた手甲で横合いから掴んだ。

 

「これで――っ」

 

身体をしならせて針葉樹の横合いに体勢を入れ替えて針葉樹の幹を軸に身体を回転させることで逃がす。

 

回ること8回転、縦の慣性を横の力に変換した界貴は次の行動に移す。

 

こんな芸当は普通な人間では実行不可能だしまず考えない。

しかし、彼の経験と異質な身体能力はそれを用意に現実のものに変える。

 

「っと!!」

 

そのまま隣の木に身体を投げ、足から着地、さらにそこから三角とびの容量で地面に飛ぶ、そして空中で身体を前転させて両足で地面へと着地した。

 

腐葉土を深く踏みしめる湿った音と共に、走行の鋲が土を削る。

脚部装甲ごしに土の感触が返ってきた。

 

「何とか無事に着地できたか……」

 

上空に投げ出されたときにはさすがに焦ったが。

 

「ヘリからの急降下ミッションの経験がこんなとこで役にたつとは、皮肉なもんだ……で、ここはどこなんだ?」

 

周りを見渡しても、木、木、木しかない。人が居る様子も人が通る可能性も皆無である。

 

「ティリアに位置座標は設定して貰うんだったな……」

 

今更に後悔が込みあがってくるが、後悔先に立たず、だ。

 

仕方ないので精神を落ち着かせて周りの音や気配を探ってきることにする。

 

音を探知するのに視覚は邪魔なので眼はつぶる。

自分の呼吸音も邪魔なので息も止める。

 

段々と自分の知覚や聴覚が鋭敏化されていくのが理解できる。

身体操術を特に重視する界貴の集中によって『聞きたいモノ』以外を切り捨てて脳の音を理解する部分――の伝達効率、頭の回転効率を上げ立体的に音を知覚する。

 

まず初めに森のざわめきがよりクリアになり、遠くで羽ばたく夜鳥の羽ばたきの音が聞こえ始め、そして――

 

広大に拡張された彼の感覚はそのなかで慌しく東に動く対象を捉えた。

 

「これは……足音か?しかもこのスパイクが土を削り、金属がこすれる音が複数……恐らく何らかの軍事的な部隊か」

 

位置的には現在地から東に600から750mそこそこか……

 

どうする?行くか?しかし、軍(?)と無闇に接触するのは少々リスクが高い。

しかし、ここで迷っていても最悪野宿かサバイバルすることになるので行ったほうが賢明か……こちらの人間が俺の知る人間と同じかどうかも確認しなければならないことだしな。

 

「仕方ない……行くとするか」

 

界貴は自らが知覚した音源の進行方向を頭に入れて跳躍ーー身近な木へと体を平行に着地するとまた跳躍、高い位置の太い枝に一瞬着地し、また跳躍。

それを繰り返し月の明かりだけで照らされる針葉樹林を高速で移動していった。

 

 

 

 

Side????

 

「はあ、はあ、はあ――」

 

私は森の中を逃げていた。

 

息が切れる、呼吸が乱れている。

酷使されている身体が休ませろと悲鳴を上げている。

 

しかし、とまる訳には行かない。

後ろからドイツの猟犬(死神)が追ってきているのだから――

 

何故追われているのか?

 

確かなことは自分では分からないが、恐らく私が開発した兵器について何か自分たちに都合の悪いことが発生したと考えるのが妥当な線だろうか。

 

追われる決定的な追われる原因と成ったのは自分の発した警告だった。

 

『これ以上無認可の盗作を続けるなら告発する』という私の警告が彼らを即興策に走らせたのだろう。

 

いま思えばかなり無謀なことをしたと思う。もう少し自衛策を練ってから言うべきだった。

確実的な自衛法はあったはずなのに、それを自分の独りよがりな思い上がりで拠点に置いていってしまったことが今更ながら悔やまれる。

 

しかし、私は自分の心血を注いだ兵器が無認可で量産され、違法に汚されて行くのが耐えられなかったのだ。

 

「はあ、はあ、はあ、っく!!」

 

そろそろ限界がちかずいてきている、足が段々と重くなり慣れない過度の運動と森の中という環境が私からスタミナを容赦なく削り取っていく――

 

自分は段々衰えているのに負ってきている兵士はまるでペースを落とさない。

さすがは腐っても特殊部隊ということだろうか。

 

「そろそろ……マズ…い」

 

十分に酸素が脳に与えられず視界が霞んでくる、それに伴って走行する速度も落ちてしまう――

 

足音はすぐ近くまで迫ってきている。

 

自分の隠れ家兼研究所まで逃げおうせばなんとかなるが今の丸腰ではどうにもならない。

 

「あっ!!」

 

足元の木の根につま先を引っ掛けられ私の身体は慣性に従って前倒しに倒れた。

 

「っつーー」

 

痛みよりも恐怖と諦観が浮かんでくる。

もう、逃げられない。

 

自分を追いかけていた複数の足音がすぐ近く――二メートルほどで止まった。

 

「……てまどらせてくれたな、博士」

 

見上げると先頭に居る迷彩柄の野戦服の男が私に語りかける。

顔は暗視ゴーグルに覆われ、口元しか見えない。

一文字に引き結ばれた口元は一切の感情を感じることはできない。

 

「隊長、本当にこの人がABを開発者なんですか?ただの女性に見えますが……」

 

その横に居たもう一人の男が隊長と呼ばれた先頭の男に話しかける。

 

「いや、この女であっている」

 

男が肩から提げた小銃――恐らくHk11(軍用アサルトライフル)を私に照準する。

 

「申し訳ないが博士には消えていただく――我が国の名誉のために」

 

名誉のためとは笑えたものだ。

 

「はぁ…はぁ…名誉じゃなくて……面子でしょうに」

 

野戦服の隊長は何も答えず引き金に指をかけ――

 

 

 

「おいおい、女一人に特殊部隊員が7人とは少々、度が過ぎるんじゃないか?」

 

 

 

 

いきなり私の背後から低いがしかし、良く通る声が響いた。と、同時に全身を苛む痺れと指先から冷えていくような悪寒が身体を支配し始めた。

 

振り向いた私の視界に移ったのは――

 

 

漆黒のレザーの軍服を纏い手足には漆黒の輝きを放つ装甲を装着した長身の男の姿だった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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次回はバトルパートです。
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