Side界貴
「紅崎界貴
――背部装甲展開。ブースター点火
俺は背部ブースターを点火させ
視界がスローモーションで流れ、俺は一瞬で上空に達する。
「これは確かに速いな。異常なほどの加速力だ」
メインカメラおよび複数のサブカメラと神経リンクされた視界が一気に広がった。
周りには三機の対戦車ヘリと全身装甲で身を固めたロボットのような機体が八機、そしてスマートなフォルムに部分的な装甲を纏った女性が三人(三機)が最初に目に入った。
女性が装着しているのが恐らくISだろう。
――エネルギー反応感知、スキャン完了。
――データを表示します
――目標をα1からα14と呼称。目標の詳細を表示します。
――α1:機体名:
――α2~3:機体名:
――α4~11:機体名:不明です。イデアAIを搭載されていないABの不完全体と予想されます。しかし性能的にはイデアAIを搭載されてABとは隔絶されて異なります。
性能的限界予測は第1世代IS初期と推測。武装状況は不明。
――α12~14:機体名:BO105P。ドイツ軍採用対戦車ヘリです。武装:対戦車52口径弾丸機関銃・多連装ミサイルランチャー
俺の視界に半透明のウインドウで敵機の情報が表示されその情報が一瞬で脳に理解される。
――戦闘力シュミレート完了。パイロットの身体能力から計算した結果89.3%の確立で殲滅可能です。
『システムコマンド、全装備武装
――
――レーヴァテイン、α、γ、β、δ、クルワッハ
――ブリューナク、加速収束機関完全起動、射出可能……OK
――他、光学兵器エネルギー充填MAX……OK
システムが全武装が使用可能なのを俺に知らせる。
「大したもんだな、本当の身体のように全ての間接、筋肉、四肢神経が身体そのままに動く」
俺の身体は本来全て装甲に覆われているが、神経接続されている恩恵か身体をなでる夜の風や温度まで精密に感じることが出来る。
感想を口に出していると千夏から脳内ネットワーク経由で通信がはいる。
『当たり前よ、今はもうその機体の装甲は貴方の肌と同じだし人間には無い尻尾まで完全に感覚があるからね。』
『すごいな千夏。これなら本来の人間では不可能な速度、膂力、耐久それをもとにした技術、すべてを生身では不可能な領域で再現できる』
『それはいいとして、早く目の前のISを無効化しないと危ないよ?』
そうだった。
一体感に耽っている場合じゃないな。俺はいま国家戦力相手に出撃していることになるのだから。
『あ、一応警告を出してね。正当防衛のお題目がつかないからね』
『ああ、分かってる。『一応』な』
SideOut界貴
Side クラリッサ・ハルフォーフ含むドイツ軍
私――クラリッサ・ハルフォーフは現在、『AB開発者、草神千夏博士の確保』と言う任務についていた。
それは今から30分前、緊急に軍本部から通達された任務だった。
概要は軍事機密を持ち出したらしい博士を追撃した特殊部隊から、連絡/監視していたライフセンサーのパルスが途切れたので、博士以外の協力者による妨害、および背後に組織だったものの関連性を疑えるためISを装着後、即時発進。草神博士を確保
拘束せよということだった。
出撃メンバーはシュヴァルツェア・ツヴァイク含むラファール三機及び対戦車ヘリ三機と言う破格のもの。
この出撃構成はただの本来の追撃任務ならありえない。
というより任務の前提条件からしてISが4機も出撃する幕ではない。
ISは戦略兵器並みに強力な国家戦力でありAB開発者といえど国家戦力を人間一人に動かすなど全くイレギュラーだ。
しかも尚イレギュラーなのは私たちに同行する全身装甲に無機質なカメラアイを備えた、このISではない『何か』となぜこれほどの戦力を軍部が人間一人に出すのかと言うことの詳細が全て非公開にされていることだ。
ミッション概要が非公開にされること自体はそう珍しいことではない。
しかし国家戦力であるISを動かすに当たって概要が不鮮明と言うのは完全なイレギュラーだ。
――軍部は何を隠している?博士が持ち出した機密とは何だ?
――そもそも博士が機密を持ち出したというのは本当なのか?
「そんな…これは!?」
モニターから驚愕の声
「何事だ!!」
「現在地直下に高エネルギー反応!!きます!!」
直後、轟音が真下から突き上げた。
深紅の光が視界を埋め尽くし、それが一瞬で上空へ抜けて行った――
「何だ……今の光は…」
光の出所を見ればそこには地下から全ての岩盤を貫かれ大穴の開いた地面があった。
刹那、ISのハイパーセンサーでなければ捕捉できないほど高速で私たち(ドイツ軍部隊)の包囲の中を黒い何かが飛翔した
――なんだ今のは!? IS? 違うはずだ。博士がISを保持しているという報告や説明は入っていないし、博士にISの操縦経験があるという話も聴かない。
というよりあくまで個人な博士がISを保持できるわけがない。
ISのハイパーセンサーが上空のUNKNOWN(識別不明機)の存在を知らせてくる。
私はISが知らせてくる方角へと視線を上げた。そこには――
鋭く鋭利な刀身を体中に装備した『龍が人の形を成した』としか言えない漆黒の機体が自分たちを月光を背にして睥睨していた。
Side紅崎界貴
俺は千夏に言われたとうり『一応』あちら側に要求と警告を出してみる。
「こちら機体名:
『こちらドイツ軍IS特殊部隊
俺の要求にドイツ軍側の中心に居る多武装の黒い機体(恐らくこれがシュバルツェア・ツヴァイクだろう)が俺の要求に応答した。
「本官(俺)及び草神博士は此度の研究会合(千夏はこの間にデータを抜き取ったらしい。本人談)で貴官らドイツ軍による理不尽な情報開示を拒否した結果、不当な
武力行使・追撃を受け僅か(?)ながら負傷と私的な器物損壊を受けたが、そのことについて説明をもらいたい」
『本官の部隊及び森林探索部隊は草神博士がこちら……ドイツ軍の軍事研究機密情報を非合理に持ち出したと言う情報の元、草神博士の拘束・確保の任務を受けている。
その中に貴官及びその機体の情報は含まれて居ない。貴官とその機体は何だ?詳しい説明を要求したい』
記憶と一点食い違う所がある。拘束・確保と言う割には完全に殺しに来ていたぞあその部隊は。まあそれはいい。恐らく彼女たちと先ほどの森林での奴らの部隊では受けた任務内容に相違点が多いのだろう。
機体の性能・機能の説明は完全にデメリットだからここは、おれ自身のことだけ話しておこうか。
ちなみに話し遅れたが、この会話はABコア、つまりはイデアがISのコアネットワークに限定的に介入して回線を接続しオープン・プライベートチャネル(と言うらしい)を成立させているらしい。
(千夏談)
「機体情報は機体名意外はこちらの安全のためにも開示することを拒否する。本官(俺)は博士に雇われている傭兵で護衛兼、博士専属の≪AB≫パイロットだ。
それ以上でも以下でもない」
ここで俺が搭乗するこの機体がISではなく本家のABであるということを強調しておく。(ISを盗品していない事とこれから見るであろう
『森林捜索隊が4分前に変死体として回収されているが、このことに関しては?』
「捜索隊の隊長含む七人の目的が明らかに本官と博士の殺害であることが明確であったので実力を行使し『正当防衛』をしたまでの話だ。戦闘痕を確認すれば俺たちの位置関係と木に埋まったNATO弾の分布から状況が
シュミレートされれば分かるだろうが、これは正当防衛だ」
『――――ッ!!』
回線越しに僅かな怒りが感じ取れる。おそらく仲間を殺された怒りだろうか……
「で、本題に入るが私的な器物損害、ドイツ軍の強襲、この二つからこのまま話し合いの場を設けたとしても、博士の安全は保障されないことが明確だ。ゆえに、このドイツ軍の包囲網及びドイツ国内からの離脱を許可願いたい。本官と博士の安全が確保されたなら電子的に話し合いの場を設けてもいい。話し合いをするならばお互いに安全かつ対等な条件で行うべきだ。」
その瞬間、ABモドキ(仮称)のカメラアイが僅かに動き先頭の機体の右腕が震えたのを拡張されたクリアな感覚で俺は確かに見た。
おおかたあれのカメラアイの接続先が軍部の最高部門の会議室か何かだろう、あれ自体は無人機だと千夏がデータで先ほど教えてくれた。
そしてクラリッサが俺の要求を(多分無いが)受け入れれば即時ぶっ放すきだろう(無論、されたときには反撃するお題目がより確定されるだけだが)。
クラリッサの答えは予想道理の物だった。
『それは許可できない。本部隊の作戦内容に違反する。次いでこれは超法規的な問題だ。私一人の権限では決定できない』
「だが、こちらは軍部からの指示をまつつもりは無い」
交渉(?)は決裂したと見ていいだろう。
ならば戦闘に――と思ったところで千夏から
『ちょっと待って、紅崎。この情報をあの大尉に送ってみて。それでもまだ意見を変えないならその時は――遠慮なく潰して』
そうして1秒もなく千夏からデータが送られてくる。そして脳内チップを通じてその概要がすんなり頭に読み込まれる。
データの内容は博士(千夏)がABモドキ(仮称)と呼ぶ奴らの研究・開発に関するデータとあの時の部隊長の音声データらしい。
その全容が完全に丸裸にされていた。
その中には確実に表ざたには出来ない悲惨な人体実験などのレポートもあった。
「よくここまで会合中に抜き出せたな?そう簡単じゃないだろう」
『まあ普通の人間では無理だけど私や今の貴方は常時イデアを通じてネットにつながってる。PCが無くても計算と閃きがあれば可能だよ』
――いや、その計算と閃きを常人が持ち得ないから天才と呼ばれる人種が存在するんだが……。千夏は完全に天才の部類に入る人間だ。今確信した。
――普通の人間が対話しながら国家機密級の
『まあ試してはみよう』
俺はイデアが介入する回線を
「(今から送るデータを見てお前が博士をもう一度犯罪者といえるか、もう一度よく考えてみるといい)」
俺はクラリッサにデータを送る。
『(これはっ!?……まさかこんなものが我が国に……しかも軍部に……)?』
驚愕と焦りを声ににじませながらクラリッサは自分たちの布陣に居るABモドキ(以下略)を見つめる。
『(これは事実か?)』
「(もちろん。場所と研究員の所属も全て記されているだろう。それに森林捜索隊の正当防衛の件もこれで証明される)」
「(答えを聞こう。俺たちを逃がすかこのまま戦うか――Yes or Noで答えろ)」
クラリッサは――
SideOut紅崎界貴
Sideクラリッサ・ハルフォール
『(答えを聞こう。俺たちを逃がすかこのまま戦うか――Yes or Noで答えろ)』
――どうする!?
クラリッサは究極の選択を迫られていた。
これが情報がそろっているならば、即座にその証拠を漏洩させないために目の前の敵を撃墜することをえらぶだろう。
しかし、クラリッサは簡単に決断を下さない。いや下せない。
一つは目の前の敵を撃墜したとしても情報は博士も持っている。しかも博士はABの特性を除けば鉄鉱学ととエネルギー工学に関しては篠ノ野束に追いすがるレヴェルの天才だ。逃がせば絶対に今後のドイツの弊害になり自分は降格、最悪ISをおろされるだろう。
二つ目は目の前の機体及びパイロットの性能と能力が完全に不明なこと。分かっているのはあれがISではなくABであるということだけ。
この二つはどちらを念頭からはずしても破綻する。一番最悪なパターンはこちら側から発砲し、相手の性能・能力がこちらを上回っていた場合だ。
こうなると情報はもちさられ、ISも破壊され最悪ケースも覚悟しなければならない。
『(こちらは長くは待てない。30秒以内に決めて貰おう。見逃す場合はデータの公開はしないと約束しよう)』
この一言が決め手となった。
追い詰められた思考ではこの提案がすべて紅崎の口頭での約束でしかないことを深く考えられない。
それほどクラリッサにとっては祖国の、しかも自分が所属する軍部が本腰をいれて非人道的研究を実行していたことが精神的なダメージになった。
クラリッサは回線で――
「(Ye――)」
といおうとした瞬間、
「なっ!?誰が!!」
私が振り向いた先には――
ライフルの銃口から硝煙を上げている(データを見た限り)不完全ABの姿があった――
――拙い、拙い、拙い、拙い、拙い、拙い!!!!
武装の切っ先を不完全ABに向けることで動きをけん制するもののクラリッサにできたのはそこまで。
最悪なパターンが今ここで再現されてしまった。
「アブソリュート!!これは――」
その瞬間、ずん、と腹の底を震わす振動が鼓膜を揺らす。ただの一瞬で距離など消し去り、漆黒に深紅の輝きを放つ刃爪がクラリッサの身体を切裂き、切斬面から血が溢れ――
静寂が戻った。
自分の身体には何も起こっていない、傷一つ無い。
そこで理解した。
先ほどの「錯覚」は上空の傭兵がただ開放した殺気の産物に過ぎないと。
ゲリラに四方八方囲まれ銃口を向けられたあの時と同じ、いやそれを圧倒的に上回る悪寒とリアルさ。自然と息が切れる。
「はあ、はあ、はあ…(――ただの一瞬で、明確に死をイメージさせられた……)」
上空を見ればまだ奴は動いていない。ただ
――いまなら、いまならまだ――
と言う、淡い希望は即座にアブソリュートの発した冷言の前に踏み潰される。
「敵性有りと確認。実力を持って全機体の
両者の戦闘は片方は思惑のまま、片方は想定に全く無い。すれ違いの中で開始された――
SideOutクラリッサ・ハルフォール
Side紅崎界貴
俺は
本来、クラリッサが判断して打つはずがABモドキが勝手に発砲してくれるとは。(放たれた弾は面倒なので
そこで俺は完全に自らに仮面をかぶる。残虐かつ狡猾な
――自らの中で何かが急速に氷結していく。――未知への興味――彼女への感情――敵の内情・感情――戦闘に不必要なものが一瞬で凍てついて行く――
感情の入れ替えに伴い普段は抑えている俺の裏面――
自分でも凍てついた声だと思える声で自ら戦闘開始の宣言を放った――
「敵性有りと確認。実力を持って全機体の
――背部・脚部ブースタ点火。半重力制御演算開始、及びPIC独立起動。
――
AIからの電子音を聞きながら、スローモーションに遅延する風景と加速する自分の
フルオートで打ち出される敵機の弾丸をスローモーションの体感内で全て最小限の駆動で回避しなが速度を落とさず二列に並んだABモドキの紫色の装甲を超振動波動を纏ったブレイドネイルで身体を斜め右回転させ、敵胴体部左右の爪を用い相手の防護フィールドの抵抗も許さず苦も無、く切断。一瞬の間を置いて二機の機体が爆散した。
アブソリュードの最大の特徴であるレーヴァテインは超振動波動と呼ばれる超高濃高周波を纏うことでいかなる物理物体も分子結合を破壊し、切り刻む、もはや狂気ともいえる切れ味を保有している。
その思想はISでも考えられたことはある。しかし実装には至らなかった。
――何故か?
――単純、物体を一瞬で分子分解するほどの高周波を纏ってなお自壊しない超硬度の金属を練成できなかった事と、自らに刀身が触れた場合のリスクが高すぎるからだ。
まさに諸刃の剣。
しかし、アブソリュードにはそんなことは起こりえない。イデアが誇る演算シュミレーター能力はいかなる場合でも即時対応する。自らを斬るなどと言う失態は犯さない。
まあ、彼の場合はそもそもイデアの演算を必要とするのは神経リンクとブースターの出力調整ののみなのだが。
二機を切り捨てた直後に反応すら許さず、後塵の真ん中に割り込み三角形に布陣する三機内の一機を蹴り切りで胴体を切断。二機目をネイルブレードで引き裂き、三機は胴体を円運動する形で振り切られる厚刃連結尾で胴体を肩から叩き斬られる。
背後でほぼ同時に爆発する三機には目などやらずこちらへようやくメインカメラアイを向ける二機を両肩から金色のエネルギー刃を形成するダガーを引き抜き、音速など軽く突破して投擲。
ダガーはソニックブームを撒き散らせながら二機の機能中枢を突き破り貫通。爆散させる。
この間、わずか6秒。
――そこでようやく
二機のラファール合計四丁の銃口を俺に照準と同時に発砲。恐らくアサルトカノンと推測されるそれは俺に弾幕を振り掛けるが――あまりに遅い。
後方に位置していたABモドキに右背部ブリューナクを照準&(出力40%)で発射。螺旋状に直進した深紅の光は40%の出力でもABモドキの膝から上を消滅させる。
ラファールの弾丸は避ける必要もない、タイムロスだ。じゃあどうするって?もちろん――弾く。
俺は秒間数百発の弾丸をスローモーションの世界の中で、命中弾を見極め全てブレードネイルの外側を滑らせて、身体の外側に弾く。
ここで疑問だが何故彼にはスローモーションの世界が体感されるのだろうか?
もちろんABにもISと同様にイデアからもたらされる演算の恩恵で神経加速は出来る。しかしそれISなら弾丸が飛んでくるのが『見えない』からバッティングセンターの160kmだいの『かろうじて見える』に変化する程度。
ABなら『見えない』から80km台のスローボールに変わる程度だ。
無理に神経を
しかし彼は元々神経加速を体感し肉体がそれに対応している。
そう、彼ならば耐えられるのだ。ABのイデアがもたらす常人では不可能な
『なっ!?そんな馬鹿な!?』
オープンチャネルから何か聞こえるが無視。
目標を先ほどから鬱陶しい掃射をしてきている
再びブースター点火、一瞬で音速を超過し、まさに瞬間移動でもしたかのような速さで高度1200mへ到達。そこは丁度ヘリ同士が重なり合う位置――
一機目をブースターで超加速の威力を上乗せしたローリングソバットが斜め45°の角度で機体を音を置き去りにして両断。超振動波動は振られたときに真空を生み出し、真空に流入した空気圧の衝撃が切り口を拡大させる。回転する軌道に抵抗せずブリューナクを起動――イデアの弾道計算(約0.3秒)完了と同時に発射。
深紅の螺旋光は寸分たがわず機体正面と側面を消滅させ夜空に残光を残して消えていく。
ターゲットを
俺を捕らえそこなったワイヤブレードはツヴァイクに戻ろうとして空中で先端のブレードだけが制御を失い地上へと突き刺さった。
『何ッ!?――まさか、あの時にワイヤー部のみを切断したのか!?』
「黙って――死ね」
俺はツヴァイクの前にブースター跳躍して距離を潰し、
即座に対応。
目の前の敵を、タックスする勢いのまま前転し振り上げた片足で、踵部ビームブレードを展開。踵落としで地上に叩き落す。
ショットガンを接近しながら撃ち込んでくるラファールに対し、左右に身体を揺らしながらブースト――これが高速で接近しながら行われるとラファールからすれば弾丸が2つにぶれる絶対者をすり抜けていくように見える。
――接近。相対距離4m
3mを切った瞬間、紅崎は両手を広げ急制動し加速をOFF。
絶対者の機体が急降下し、ラファールの視界から消えた。
『消えたっ!?』
『アウラ後ろだ!!』
クラリッサの狼狽した声がアウラ――ラファールパイロットに届くころにはもう遅い。
紅崎は無防備なラファールの背中にブレードネイルの二連撃を叩き込み沈黙させる。
――シュバルツェア・ツヴァイキ及びラファールリヴァイブ、絶対防御発動。ツヴァイク:小破戦闘可能、ラファールエネルギー消失操縦者意識無し。
AIからの報告を聞きながらこちらから距離をとり多連装大型ランチャーを打ち込んでくるα3を確認。
面倒だ。一気に消す――
――ブリューナク出力30パーセントで固定。
――
――やってみろ!
――
完了と同時に俺の視界に迫るランチャーと拡散する弾道が光点と曲線で表示されロックオンが0・7秒で完了
「ファイヤ!!」
銃身から光が射出されランチャーと接触直前で前方に拡散、散弾がランチャーを全て空中で迎撃。
α3にもシャワーのように紅い光が降り注ぎエネルギーシールドを一秒も掛けずくらい尽くし絶対防御発動。
地上へと墜落した。
――地上から飛行物体接近
ツヴァイクか――見れば両腕のプラズマ手刀で俺の背後を取りに来ている。だがしかし――
「ノロい、くたばれ」
即座に対応。肩と腰のサブブースターが俺の意識を感知し、自動的にクイックブースト。
俺の身体を反転させる。
中段から迫るプラズマ手刀を肩から引き抜いたダガーで一瞬受け止め後方へいなし、振り向きざまに来るプラズマ刃をブレイドネイルで挟み刀身が消されない間に下方へと投げる。
追走――
「捕らえた――」
半重力制御開始――ブースター射出方向高速スクロールします
つまり起こるのは機体の高速前転運動だ。尻尾がブレイドのこの機体でそれを行えばどうなるか――超良性能回転ノコギリの完成だ。
威力を調整したのはドイツ軍に余計な恨みを重ねたくないからだ。好意じゃない。
俺の機体が高速で前転し間接を固定され一振りの剣となったクルワッハがツヴァイクの機体を完全に切り刻み、絶対防御理論値限界まで追い込んだ。
ツヴァイクの機体が地面にたたき付けられバウンドした。殺すつもりならここから踵落としでさらに浮かせ、蹴り上げの後、中空で斬撃乱舞だな。
――敵機:シュバルツェア・ツヴァイク、シールドエネルギー0。全武装及び機体損壊:大破。戦闘能力はありません。
「ガハッ!!……はあ、はあ、
クラリッサが虚ろな瞳で俺を見る。
「何故、殺さ…なか…った?」
「勘違いするな。お前がそこで息をしているのはただの偶然だ」
本当のところはあとあとにこの女を殺害していることが明確になるとめんどうなことになりそうな予感がするからだ。
それに彼女が知りえた軍部の機密、それをもとにいろいろと内部的に潰しあってくれればこちらとしては損はない。
この女を殺すよりは生かしておいたほうがメリットがある、ただそれだけの利己的な理由だった。
「その機体が頑丈であったことを喜ぶといい」
俺はそういい残して戦闘終了とともに送られてきた千夏との合流座標へと機体を飛翔させた――
こうしてAB最新鋭機:
コンバットレポート
アブソリュート:撃破機体数14機
IS:
第三世代:シュバルツェア・ツヴァイク×1――大破
第二世代:ラファールリヴァイブ×2――大破
その他:
試作型無人量産AB『ABモドキ(千夏呼称)』×8――機体損害計測不可
Bo105P対戦車ヘリ×3――エンジン動力消滅及び電子回路多数断線
使用武装:
AREM:
HAND――
ELBOW――
BODY:
SHOULDER――高出力熱伝道粒子収束刀(仮称:ビームダガー)×8=クロイツ
BAKC――
WAIST――
REG:
SHIN――
TOE――
HEEL――|高熱伝導粒子収束刀(仮称:ビームブレイド)
MAIN BUSTER:反重力制御超高出力ブースター 5門/各部独立PICユニット3機
SUB BUSTER:脚部高機動他方向高出力ブースター 各部3門 計6門/各部補助PICユニット2機
どうでしたでしょうか?
何か感想いただけたらうれしいです(笑)
追記、大幅に修正しました。
1万文字超えてます……