神々の戦争と絶対者   作:Right_98

9 / 9
すみません。日常パートに入るつもりだったんですが、千夏の機体にスポットライトを当ててみたくなってしまってしまいました。
亀更新申し訳ありません。
それでは駄文ではございますが、よろしければどうぞ――


第七話「電子の世界での結末は?」

Side界貴

 

――周りは蒼い海だった。

 

本当に人の手のはいったものが無い、自然に彩られた世界だった。

夜明けが始まっている海の地平線は鮮やかな蒼穹を映し出し、幻想的な光を湛えている。

 

俺は今、千夏の言う隠れ家に赴くために日本近海を僅かに過ぎたあたりの海域上空を飛行していた。

 

もちろんABは千夏ともども纏ったままだ。

全身装甲であるそんなものを纏っていて暑苦しくないのか?と思うかもしれないが、事実全く暑くわない。

 

ABは操作性を極限まで向上させるために、装甲電子経路神経と人間の五感神経・脳内伝達回路を電子チップと全身に装着された装甲によって完全接続(フルリンク)しているので

そもそも纏っていると言う感覚が薄い。装甲に当たる風も皮膚に吹き付けているように感じるし、指先の細部の感覚まで生身で握っているのと感覚的に変わらない。

唯一、違和感があるのがこの機体、絶対者(アブソリュート)の特殊装備であるテールユニットだが、これもまた不思議なもので自分の筋肉と同じように動かせる。

 

それではコノABは生身は動かしていないのでは無いか?といわれると実は違う。

千夏は別のようだが、俺は装甲内の自らの身体の動きをトレースする形で機体操作が外部に出力されているのできちんと身体も動かしている。

人間が身体を動かすために脳から発している電気信号を機体・身体の両方に伝達しているので両方動いているのである。

 

蛇足だが、身体能力はどうやって変化しているのか?と言う点については、脳波からAIであるイデアが観測した出力を元にブーストするらしい。人間の筋肉へ伝達される命令の強さは身体能力

の個人差によって変化する。つまりは、地力が強いほど伝達される信号も強くなりABに出力されるパワーアシストも上昇する、と言うことらしい。

 

それに、いくら半重力操作能力と慣性を操作・相殺しているとはいえアブソリュートの移動速度、攻撃速度、旋廻性能は軽く音速を超えるので僅かながら身体にGは降りかかってくる。

速度が上昇するにつれ身体に掛るGは比例して増加するので、時速が12000Kmを超えた時点で普通の人間は体感限界とGに押し潰されることになる。

なので、現存三機存在するABの中でも瞬間速度で最高速を誇るアブソリュートを限界性能で振り回すには界貴のような人外の身体的耐久力と体感加速が必要になってくる訳だ。

 

閑話休題。

 

しばらく飛びっぱなしなので、秘匿回線(チャント)で千夏に呼びかける。

 

『おーい千夏まだ隠れ家には着かないのか?』

 

『そうでもないよ、もうすぐ見えてくるはずだよ。――ほら、見える?あそこのちいさな小島』

 

そういった千夏の答えから目線を前に向けてみれば、そこには緑と岸壁が半々になった小さな無人島があった。

 

『あそこに隠れ家が?』

 

『いや、違うよ。あれは入り口なんだ。隠れ家……正確には研究所は海中に、水深2600mにあるの。研究所というか、正確には新世代型潜行機能搭載のVTOL輸送機なの。で、あの無人島にあるのは常時潜行して移動してるVTOL機の座標を捕捉するためのレーダー。』

 

なんと水深2600mとは……普通の潜水艦では水圧でスクラップされてしまう深さだ。

 

『しかし、よく今までそんな代物が政府の探査機やスキャナーに発見されなかったな?』

 

『その研究所にはこの機体、セラと同じで熱源(サーモ)・光学《マテリアルカモ》の他にも色々なステルスを搭載してるし、水深2600mなんて深さに探査機を回す国なんてほとんど居ないからね。そのせいでABでも捕捉できないいだけれど――着いたよ。』

 

千夏の声に従って止まった上空の真下には例の無人島が合った。

 

  ☆★☆★☆★

 

俺たちは例の小島に存在する研究所へのトレース装置を用いて場所を特定した後、ABで沈降し中へと入った。

 

「どう?結構広いでしょ?」

 

千夏に先導されて俺は海中研究所へと入った。

 

そのまま廊下の先にある客間らしき部屋に入り、向かい合うように存在しているソファーへ腰掛ける。

 

研究所の中の様子を簡単に説明すると、居住スペース3.5割、ラボスペース6.5割と言った所だった。

 

想像が全く及ばないが俺が知る機械技術ではないだろう事はたしかだった。

 

住居スペースは洋風の作りで吹き抜けの洋間に巨大ディスプレイ。長い廊下の壁に幾つも部屋が存在している。ラボは……入り組んでいて把握できないが何に使うのか全く理解できない機材が所狭しとたくさんあった。

 

「……海の中にこんな者があるなんてなー。正直驚いてるよ。俺の居た世界ではこんな技術はなかったからな」

 

俺の世界では陸地戦・対空戦が主だったので海上戦はあまりなかった。海上戦が行われないかわりに空輸手段や戦闘機などが多く発達していた。

 

「へーそれは気になるね。ねー教えてくれない?紅崎が居た世界のこと」

 

彼女に問いかけられて俺は迷う。

話すべきだろうか?俺の世界の話を、俺の体験を。

 

――生々しい話ばかりだ。けどこれから俺は千夏(彼女)と長い付き合いに成るんだろう。まだ確定したわけではないけれども、そんな気がする。

僅かな思考の後、俺は千夏に過去を話すことにした。

 

「そうだな……俺が居た世界を簡単に言うなら、軍事工学に特化した世界だったな」

 

「軍事工学?でもそれならなんでこの世界より文明の進化が遅いの?」

 

「俺の世界では銃器なんかを主とした個人兵装が進化していたんだ。それに対してあまりオーバーテクノロジーなパワードスーツなんかは生まれなかったよ」

 

「へ~きになるね。その銃器とかの個人兵装って言うのがどんなものなのか」

 

「俺の世界での個人兵装か――俺が生身の状態で装備している四肢装甲もその一つだ。真空状態で希少なレアメタル三種類を核にして、七種類の特殊鉄鉱を合金した金属で出来てる。この鋼鉄を開発者は『アビスダイト』と呼んでいたよ。」

 

そう言って俺はAB装着時にナノマシンによって分解されABの装甲に同化されていた四肢装甲をAB・絶対者(アブソリュート)の待機状態である、漆黒の小龍に手をかざし固形形成(イネーブル)する。

 

愛用の武器は俺の四肢に分解前と変わらない姿で形成された。

その鋭角的なフォルムの装甲は指先と手の甲の先端が鋭く刃上に削りだされ、肘先まで伸びた金属はそこでまた、鋭くとがっている。

 

脚部ではつま先に指は無く、靴のような先端に刃が削りだされ、足首より上には五角形(先端が足の脛)のような形になっている。

全てが黒で構成される装甲は、光を通さず、クルムブラックの表面を僅かに照り返すだけだ。

その黒はまさに深淵(アビス)

 

話を黙して聞いていた千夏の目の色が金属の話を聞いた瞬間にギラリと変わった。

 

――なんだ?

 

「……その装甲一回はずして見せて貰える?」

 

完全に目の色が変わっている。

 

「あ、ああ。分かった」

 

別人のような雰囲気に若干引きながら俺はボルトで外側から装着している装甲をはずして千夏へ渡した。

千夏は真剣な表情で鋼鉄の表面を撫でたり触ったりしながら検分している。

 

「……ちょっとだけ鉄部分を貰ってもいい?」

 

千夏が四肢装甲の脚部裏面を指しながら言うので、一応肯定を返しておく。

 

すると千夏は紅く光るドリルの様な機材をAB・セラの待機状態である純白の機械の鳥から取り出すと、装甲の表面に僅かに滑らす。

キィィン!!と僅かに澄んだ金属音を響かせて三ミリほど、金属がはがれた。それを千夏は鳥のくちばしの中にそっと入れ込ませた。

 

「――ッ」

 

――対物ライフルの50BMG(大口径)弾を受けても表面が僅かに焦げる程度しか損傷しないあの装甲をあんな機材でいとも容易く削っただと?

 

「――すごい……こんな金属をたった十種類の金属で作るなんて……しかも核の金属の性質を潰さずに混ぜ合わせてる」

 

千夏が感嘆の声を上げて装甲の表面を撫でた。

そしてこちらへ顔を向けた。

 

「君のこの装甲を作った人は天才だね。十種類の金属でこんな傑作をつくるなんて」

 

「そんなに優れた物なのか?まあ製作金額は俺の年収二年分が軽く跳んだが。あまりそこらへんは気にしたことが無かったんだがな」

 

そこで俺は気になっていることを千夏に尋ねてみる事にした。

 

「千夏は金属に詳しいのか?どうもその辺の知識が専門じみてると思ってな」

 

「うん。私の元々の専攻は鉄鉱学と金属工学なんだよ。そこにABを作るために機械工学とかを後から覚えたんだ。そのおかげであんまり普通教科とかは覚えてないんだけどね。君のアブソリュートの機体装甲に使われてる金属や、レーヴァテインに使われてる金属は私が1から作った金属なんだよ」

 

彼女は簡単に言ってのけたが、金属を1から作るというのは簡単ではない。自分の四肢装甲を製作する過程でその工程を見たことがあるが、とても常人の業で出来ることではない。

 

「さてと、話を戻そうか。君の世界には他にどんなものがあったの?」

 

「そうだなーまあ、一番特異的なものを上げるとすればゾンビかもな」

 

「ゾンビ?ゾンビってあの腐ってるみたいな?」

 

「ああ。まあゾンビって言っても正確にはウイルス感染者なんだけどな。」

 

「ウイルス?バイオハザード?」

 

「そう。とある国家機関が極秘裏に開発していた人体強化機薬(アドバンスドナノマシイ)……まあほとんどウイルスが暴走・拡散したのを原因に起きた巨大なパンデミックだよ。本来人間のDNAを僅かに変化させ、テロメアと身体能力をナノマシンの恩恵によって増幅・強化する物だったのが突然変異とも言えるナノマシイの暴走で第一被検体のDNAが根幹から変革してゾンビ化したんだ。それがこのパンデミックの始まり。さらに厄介だったのはこのナノマシンはテロメアを個人で増幅させるから個人の治癒力を向上させて死ににくくなるし、人間で言う歯や爪などからナノマシンが体内に入ってしまうと同じようにゾンビに変貌されてしまうんだ」

 

「なに、それ」

 

千夏の表情は浮かない。当然だろう面白い話ではないのだ。

だが、俺は話し続けることにした。これは千夏が聞きたがっていた俺の世界での兵器にも関わる話だからだ。

 

「それにこのナノマシンは感染させた生物の記憶やコンプレックスと言ったものや、無機物からその特性を吸収して自らの形態を変化させるものも居たんだ」

 

「それってつまりは、人間と鳥が混ざったものや空想生物を体現したようなのもいたの?」

 

「ああ。ドラゴンなんかのクソでかいのは居なかったけど、ライオンやトカゲ、鳥なんかと融合した合成獣(キメラ)みたいなのは居たよ」

 

「その話を聞く限り人間より身体能力的に優れてるのは確実だし、勝てっこないんじゃない?」

 

「ああ。パンデミック当初はそうだったよ、けど俺の世界の個人兵装が進化したのはこのゾンビ化ナノマシンによるパンデミックが1つの要因でもあるんだよ。このナノマシンキャリア――つまりはゾンビ達に対抗するために生み出された数々の武器たちは高威力を誇った」

 

――俺の居た世界のゾンビたちに対抗するために数々の兵器会社が作り上げた高威力の武器達。それはさまざまな形・姿を持ち、そのどれもが高威力を誇った。

 

対ゾンビ弾を使った様々な口径の銃器の数々。確実的な殺傷力も持った近接兵装。

 

「へーそれはとても気になるね。私はABをつくる上で必要だから色んな兵器を見て作って来たけど対ゾンビ武器なんて聞いたことないよ。それって何て名前でどんな効果があるの?」

 

「俺が使ってた中で一番使いやすかったのはBALROG-IXって言う近接武器だ。この武器はBALROG Charging System(以下、BCS)って言う攻撃時に爆破の能力を付与する力を持った武器だ。このBALROG-IXは俺の四肢装甲のモデルになった武器なんだ。他にも俺が使ってた武器は――やっぱりSUKLLシリーズだな」

 

「SUKLL?骸骨?」

 

「いや、武器に骸骨の装飾がついてるから骨武器とか言われてたけど、正式な名前だよ。SUKLLシリーズはSKULL9以外は対ゾンビ弾を使った高威力の銃器なんだ。その中で俺が使ってたのはSKULL-4――アサルトライフルを二挺持ちにした銃だった」

 

「へ~面白いね。その武器って紅崎は機構から性能まで記憶してる?」

 

「ああ、愛用していた武器なら自分でバラしてたからだいたいはね」

 

「うーん出来るかわからないけれど君の脳内チップを経由して記憶をデータ複写してスペックデータに変換してみようよ。データチップのセキュリティーに私をアンロックして」

 

「え?アンロックってどうやってやるんだ?」

 

「あぁ……ごめんこっちからアプローチするよ。ちょっと待ってて」

 

刹那、俺の視界にレッド表示に『WARING』の文字が浮かび上がる。

 

「――ッ!?」

 

――外部よりネットワークを介しいての外部ハッキングを受けています。BLUEICE(防御防壁)を六重展開。ハッキング目標による侵略行為に防御姿勢。

 

訳がわからない。これはどういう事だ!?ハッキング?まさか――すぐに思い当たった俺の頭の中になる電脳化チップは生体コンピュータと同じだ。それに千夏は目を閉じ額に日本指を当てている。

 

「千夏!!これは――」

 

「……硬い。けどイケる」

 

――第六防壁突破されました

 

――第五防壁突破されました

 

――第四防壁損傷――突破されました

 

物凄い速さでセキュリティーホールが分解され防壁が突破されていく。

 

――第三防壁突破されました

 

――第二防壁損傷――突破されました

 

――第一防壁に敵機接触、BLAKCICE(攻勢防壁)展開

 

「――ッ」

 

そのとき俺の頭の中に声が響く。

 

『マスター!!ネットへ潜ってください!!』

 

ネットへ潜る!?どうやるんだ?手っ取り早く説明しろ‼︎

 

『落ち着いて、私が連れて行きます――』

 

次の瞬間視界に没入(ダイブ)という文字が浮かび上がった瞬間俺の視界は闇に染まった。

 

 

☆★☆★☆★

 

 

目を開くとそこには機械的な三次元空間が広がっていた。

 

煌びやかな、ネオンのような光が空――いや宙に幾つも飛び交っている。

 

「――ここは?」

 

『私たちAIがネットと言う本来は二次元空間に自分たちのクオリアによって三次元空間へとシュミレーションしている空間ですよ』

 

声に振り向くとそこには現実でのアブソリュートの待機形態である漆黒の小龍が宙に浮かんでいた。

 

『貴方たちには理解できないかも知れませんがここは貴方たちがネットと呼ぶ二次元情報空間を三次元へ変換した世界なのですよ。今はマスターの脳内ネットワーク限定でシュミレートしていますがね』

 

「ここが、ネットだと?」

 

俺は身体を360度回転させてこの空間の全容を把握しに掛った。

 

床も構造物もすべてが幾何学、または機械的な見た目の空間が天上が開いているドーム状になっていて、質感も硬質な感触が手のひらに帰ってくる。宙は最初に見上げたときとおなじでネオンのような光が高速で飛び交っている。

 

部屋の中央には紅い幕で覆われた立方体の蒼い水晶宙にが浮かんでいて、酩酊を繰返している。

 

そして何よりこの空間は現実に環境のみが酷似していることに驚いている。

 

ただ、唯一この空間が現実と違うのは酸素が存在していないことと、酸素を吸わなくても生きていけるという事だ。それなら呼吸と言うプロセスは必要ないのか?答えは否である。人間は生まれたときから口で酸素を吸い、肺で吸収し口・鼻から出すという呼吸を繰り返している生き物である。

身体に染み付いたプロセスというのはなかなか抜けないものだ、つまりは吸って吐いてをしていないと息苦しく感じるし落ち着かないのである。

 

――BLAKCIECE(攻勢防壁)ロジック分解されました。

 

――第一防壁突破されました

 

そのとき、まるで地響きのような轟音が響き渡り俺の真後ろの壁が音を立てて爆散して純白の閃光が宙に抜ける――

 

それとほぼ同時に、俺の視界を純白の人型の何かが横切った。

一瞬で通過したソレを俺は目で追うと、そこには――純白の機体色に大型のデュアルウイングスラスターに一対の推進光体翼(オプティカルウイング)の四枚羽、翼から銀色の粒子を振りまく天使の様な機体、AB――セラの姿があった。

 

「セラ!?千夏か?」

 

『紅崎?もうダイブしてきたの?』

 

「なんでこんな事をする?ハッキングなんてする必要があるのか?」

 

千夏は俺の声を遮って問いに答える。

 

『君や私の頭の中のブレインチップは内側からの操作は簡単だけど外側からの操作は結構難しいから、一回君のチップの防壁を丸裸にして自由操作できるようにする必要があったんだよ』

 

「……そういう事か。ならなんで最初からそう説明しない?」

 

『申し訳ない話だけど、君が言葉で言って簡単にファイアーウォールの設定を弄れるとは思えなかったから。それと、もう1つ理由があるの』

 

「なんだ?」

 

何かメンドクサイ空気があるのを俺は直感的に感じながらも、千夏に問う。

 

『――それは君の機体の戦闘データ。私も遠目に検察していたけどやっぱり自分で作ったものは自分の眼で、身体で感じたい。作ったものには責任がある。だから君と戦うために私は強引な手段をとった』

 

「それはつまり、俺と1VS1で俺と戦うと?この場所でか?」

 

千夏がABでこの場所の壁をブチ抜いてきたことから考えるにこの空間でもABでの戦闘は可能なのだろう。

そして彼女が言ったこともまた本気なのだろう。

 

『自分のABから聞いたかもしれないけれどこの空間は電子世界……現実世界ではなくここで見聞きしているものは全部データなの。だからここで物を壊しても現実世界には物質的な影響は無いんだ』

 

彼女がどういう人間かはこのわずかなあいだだけでも分かったことがある。

 

それは自分に責任が持てる人間であるという事。なにより俺が好感がもてるのはその意志力と決断力。

俺がIS3機とNABを破壊したあの後で絶対的な戦闘力を理解しながらも俺に自分の意思をたたきつけた彼女の勇気は凄いとおれは思う。

 

だから、俺は殺意(仮面)を4割ほどかぶせて威圧感として彼女に叩きつけた。

 

「最後に1つ聞こう、君は俺が人を殺せる人間だという事を理解しているか?これから起こる戦闘に手加減は無い。俺は君が動けなくなるまで戦うだろう。だから止めるなら今しかない。それでも本当にやるのか?」

 

最終通告

 

彼女の意思は揺るがなかった。

 

『――同じことは二度言わないよ』

 

声は震えている。

機体からも身体の震えが見て取れる。

だがしかし、そこには斯くとした意思があった。

 

了解(ヤー)。これより戦闘行動を開始する」

 

――来い、アブソリュート。戦いの時間だ。

 

《私は貴方の剣。あなたが成すがままに》

 

小龍の姿が段々と輪郭をなくして行き、この空間ではデータの塊となって俺を包む圧倒的な暴力の化身と化す。

 

一瞬の視界のオワイトアウト。

 

次の瞬間にはそこに漆黒の絶対者が立っていた。

 

鋭い爪、刃の身体、しなやかな尻尾、紅い翼。

 

――AB・『絶対者』(アブソリュート)機体アセンブル表示および三次元ネット空間による処理領域確保開始。

 

高機動近接戦闘形態(ハイ・コンバットモード)へ移行します。

 

 AREM:R:L

 

  HAND――超振動波動式物理爪刃HMWNH=レーヴァテイン……OK

 

 

  ELBOW――超振動波動式肘刃HMWEH=レーヴァテイン……OK

 

 

  BODY:R:S:L

 

 

  SHOULDER――高出力ビーム式短剣×8=クロイファ……OK

 

 

  BAKC――超振動波動収束式貫通砲HMWPB=ブリューナク……OK

 

 

  WAIST――超振動波動式連結型厚刃尾HMWRTH=クルワッハ……OK

 

 

  REG:R:L

 

 

  SHIN――超振動波動式脚部刃HMWSH=レーヴァテイン……OK

 

 

  TOE――超振動波動式脚甲刃HMWTH=レーヴァテイン……OK

 

 

  HEEL――|高出力ビーム式ブレード……OK

 

 

  BUSTER:反重力制御超高出力ブースター×2……OK

 

 

  SUBBUSTER:脚部高機動多方向高出力ブースター……OK

 

 

  UNROKCUNT:ウイングユニット式半重力制御用化変則翼……OK

 

――全武装スキャニング完了。エネルギー充填率全武装100%……OK

 

――搭乗者との神経リンク及び感覚同調完了。シンクロ率78.9%……OK

 

――SYSTEM ALL GREEN

 

――三次元ネット空間による戦闘行動による現実世界との齟齬0.2%。問題なし。

 

『さて、こちらは準備OKだ。千夏』

 

そっちは?と言葉なしに伝える。

 

『こっちもOKだよ。確かめよう私たちの力を――』

 

――全武装セーフティーアウト

 

――超振動波動展開。武装付与完了。出力72%

 

アブソリュートの機体を濃い深紅の光が僅かに覆い、水晶を震わすような鈴なりが音叉する――

 

俺は腕を胴体の前で水平に、腰を落とし僅かに前傾姿勢。

 

――カウント開始

 

 

☆★☆★☆★☆

 

Seid千夏

 

全武装スキャニング開始。及びエネルギー充填臨界点までチャージ

 

 AREM:R:L

 

 HAND――超電磁コーティングビームシールド=ブリッツ……OK

 

 HANDGARED――高出力電磁伸縮鞭=カラード……OK

 

 BODY:R:S:L

 

 BAKC――高濃度粒子加速収束砲=ラグナ……OK

 

 WAIST――超電磁加速砲=イース……OK

 

 REG:R:L

 

 SHIN――荷電粒子収束砲=クライシス……OK

 

 WINGUNIT:R:L

 

 1――多方向出力式高出力デュアルウイングスラスター=アイゼン……OK

 

 2――推進力増強用光体翼装備=オプティカルウイング=エージュ……OK

 

 WING WEPON:R:L

 

 1――空間圧縮型小型粒子砲=アイブルブ……OK

 

 2――光学迷彩形成用粒子拡散機=コロイドアーツ……OK

 

 SAICO WEPON:MAIN

 

 BIT――超高出力ハイレザー照射機(マイ・クリアズ)=則天去私×4

 

 BIT――思考制御型彎曲ビーム機(セラフ)=熾天×8

 

――全武装スキャニング完了。全武装エネルギー充填率100%。

 

――全武装セーフティーアウト

 

『さて、こちらは準備OKだ。千夏』

 

は大丈夫かと、かれは言葉なしに私に聞く。

 

「こっちもOKだよ。確かめよう私たちの力を――」

 

と、私は彼に答える。

 

正直、彼に対する恐怖もある。何せあのISとNAB、戦艦数隻をたった一人で沈めたオトコだ。怖くないはずが無い。

しかし、自然とこの場から逃げるという選択肢を撮りたくない、自分がいた。

 

――彼と戦いたい。

 

なぜか、その思いが私の中に渦巻いていた。何故かはわからない。

 

彼が腰を落とし、腕を水平に構える。

 

――全火器砲門開放、目標、アブソリュート。

 

すべての火器の対象を彼に設定し、私は待つ。

 

 

――カウント開始

 

 

☆★☆★☆★☆

 

――5

 

――4

 

――3

 

お互いのブースターに炎が煌き――

 

――2

 

――1

 

界貴から殺気が解き放たれる――

 

千夏は思考をめぐらせる――

 

――0

 

「『戦闘開始(オープンコンバット)!!』」

 

☆★☆★☆★☆

 

Side千夏

 

「――ッ」

 

思考トリガー

 

すべての砲門の引き金を全て頭の中で引ききる――

 

セラの機体の各所の砲門が破壊の光を吐き出す――

 

計16門の銃口が赤・青・緑・白・純白といった無数の残光を残しながら界貴に殺到し、命中――

 

「なっ!!」

 

千夏の見つめる先アブソリュードの姿が何の前触れも無く、掻き消える。

 

音も無い、ただ消えた。

 

そこにあるのは陽炎の残滓

 

――警告、左舷二時方向より高エネルギー物体接近

 

「――ッツ!!」

 

ほぼ反射的に首元を両手でガードし手の甲に装備されている結晶体が半自動的に超電磁コーティングされたビームシールドを展開する。

 

霞のような紅い光が横合いから迫り、衝撃と共にセラは空中へ弾き飛ばされる。

 

「……吹き飛ばされた!?!?」

 

ビームシールドを展開した状態で逆方向に姿勢制御まで掛けたというのに吹き飛ばされた。

 

吹き飛ばされながら千夏は紅崎を見る。

 

そこには紅く輝く右足を下ろす彼の姿が有った。

そこでようやく彼が繰り出したのが蹴りだという事を理解した。

 

「でも、これなら!!」

 

――システム『天罰(Nemesis)》』起動(ジェネレイト)

 

それは人の脳と機械の脳をつなげる本来合ってならないコネクター。

 

千夏のブレインチップを橋として感覚と演算領域が融合(マージ)、千夏の視界が拡張され、いままで見えなかったもの鮮明に、各所のセンサーを通じて外界がよりクリアに写る。

 

見つめる先、彼の姿がまた加速する――しかし、今度は消えない。

 

霞んではいるものの視界から逃がさない。

 

機械の誇る処理速度とセンサーアイと千夏の演算速度が相乗された情報処理速度は界貴の姿を映し出す。

 

千夏は連射に優れれる腰部の超電磁加速砲(レールガン)、イースを界貴に向け3連射、計三発の超加速弾は吸い込まれるようにアブソリュートに――当たらない。

 

彼の機体前面に火花が散ったと思った瞬間にはレールガンの弾丸は切裂かれ、分子状態まで粉々にされていた。

 

「なら、これで!!」

 

次に千夏が取った行動は脚部装備の荷電粒子収束砲、クライシスを界貴の機体へ向けて、機体をこちらに向けてダガーを引き抜いた彼に照準、思考トリガー。

 

銃口から純白の閃光が二条放たれアブソリュートを襲うが、それは彼の機体の残像をすり抜けるのみで当たらない。

 

だがしかし、ここでは終わらない。

 

彼は両手のダガーを投擲。

光の円盤とかした刃が千夏を襲う――

 

――マルチロックオンシステム起動。パイロットとの神経リンク及び脳内演算同期開始――完了……OK

 

千夏の視界が暗闇に包まれ外界の速度が遅延する。視認できるのは自分とアブソリュードのみ。

その中で千夏は目標を逃し遠ざかる自らの閃光を見る。

 

――パイロットによるイメージジェネレーターの周波起動を観測――弾道演算修正。指向性弾道誘導開始。

 

イメージするのは曲線。光が弧を描いて曲がるイメージ。

千夏が手を伸ばし指先で弧を描いたその刹那、閃光が曲がる(・・・)

 

二条の閃光は自らの起動を弧を描いて曲げ、背後からアブソリュートをホーミングする。

 

そこで千夏はさらに両側のクライシスを六発連射。計12発の荷電粒子砲の閃光がアブソリュードに三次元的に彎曲、屈折を繰り返しながら迫るり、こちらに飛来するダガーに命中爆散させる――

 

アブソリュートに放たれた荷電粒子砲の閃光は14発。

これは回避できないはずだ。

 

電子世界の空中で巻き起こる爆風。

 

千夏は直撃を確信した。

 

「――()った!!」

 

『――誰をだ?』

 

――声は真後ろから

 

次の瞬間、セラの機体に無数の紅い線が走る――

 

襲ってきたのは無数の衝撃と果てしない痛み。

 

 

「――ガァッ!!」

 

口から漏れるのは苦悶の声。

全身からの痛みが脳に伝播し、視界が赤く染まる。

 

――機体装甲5.8割損壊

 

――背部メインスラスター及び推進増強光体翼、中破。

 

――機体エネルギー減衰。残り56%

 

頭の中に響き渡るAIのダメージ報告と警告。

 

大きく体勢を崩しながら、それでも何とか体勢を立て直そうと機体を横ロールさせてアブソリュードの間合いから逃れようとバックブースト――

 

しかし、またも衝撃は背後から襲ってくる。

 

こんどは激痛の前に意識が飛びかける。

 

「(セラの装甲には25種類の合成金属に装甲エネルギーバイパスで作られてて硬度も跳ね上がってるはずなのに!!たった三撃目で機体装甲をここまでけずられるなんて!!)」

 

尋常ではない攻撃力だ。

自分で作っておいてなんだが、速度・攻撃力共にもはや神域である。

 

それに加え紅崎界貴の戦闘技術と身体能力・反射速度が組み合わさり引き出される性能と膂力のせいで一撃当てることも出来ない。

 

「でも、まだ、終われない!!」

 

――機体装甲7.8割損壊

 

――機体エネルギー減衰。残り31%

 

――前方に高エネルギー体、現出

 

千夏はほぼタイムラグなしで全砲門を開放し前方のアブソリュードに向ける。

 

――マルチロックオン――

 

残像を引き摺りながら目先に現れたアブソリュートの機体主要箇所に黄色の円が表示されロックオン。

ロックオン完了と同時に最高速度で思考トリガー。

 

計12門の銃口がそれぞれの閃光と弾丸を吐き出し圧倒的な弾幕がアブソリュードへ殺到する――

 

彼我の距離は500mを切っている。

着弾の早い光学兵器をこの距離ですべて回避するのはいくらアブソリュートの旋廻性能でも不可能なはずだ。

 

予想どうりアブソリュートは正面から動かない。

しかし、不動では無い。

 

腕を交差させ、身体を前傾姿勢で固めている。

 

まさか――受けるというの?このセラのフルバーストを?

 

直撃、後に爆風。

 

硝煙の晴れたソノ先には紅い波動を半円球状に展開しているアブソリュートの姿があった。

 

アブソリュードの機体――特に両腕は焼き焦げてクローブ部分が破損しているが、機体の本体には痛撃といえる攻撃が通っていない。

 

アブソリュードの最大の機体特徴、HightperMaicroWevesBreaherSestem(超振動波動発生機構)は超強力な高濃度振動波を特殊なフィールドで形成展開することによって、それに触れた対象を分子段階で分解する能力だ。

しかし、この波動は使用時の形成が非常に難しくABの処理速度低下を招く上、設計上は付与・延長・収束・照射しか出来ないはずだった。

だが目の前の現実はそれを覆し円形のシールドを形成するという実例を実行している。

 

千夏にとって誤算だったのは、紅崎界貴自身の空間把握能力や情報処理技能を戦闘中の計算に入れていなかったことだ。

彼女の知る由も無いことだが、彼は前世界で超音速飛行機の免許や情報処理技術者試験を次席でパスしているのである。

 

アブソリュードはクローをパージ。

それと同時に両肩からエネルギーダガーを引き抜き、背後のブースター炎が煌いたと思った瞬間には視界から消え去った。

 

「まだ!!」

 

最後の抵抗。

 

千夏は脚部ハンドガード内から筒状の柄を取り出しそのまま機体を回転させながらに振るった――

 

筒状の柄の先からはしなる高出力電磁刃が生み出され長く伸びつつあたりの空間を引き裂く――

 

バチッ!!と言う音が自分の右側から響いたと、思った瞬間には身体に浮遊感が感じられ、そこから無数の衝撃と連撃。最後に落下感覚と背中から床へ叩きつけられた事だけが理解できた。

 

機体への蓄積ダメージが大きすぎ、私のABは強制解除され無装備状態で私は硬質の床へ投げ出された――

 

☆★☆★☆★☆

 

Side界貴

 

自分に迫る10本の閃光と2発の電磁加速弾。

この二つの前に俺は回避を諦めた。

 

どちらにしろこれ以上千夏の機体にダメージを与えれば彼女本体を傷つけかねないし、危険だ。

 

ゆえに望むは短期決戦。

 

だから回避はしない。

防御に徹する。

 

――アボソリュート、超振動波動をシールド方式で展開することは可能か?

 

――不可能では有りません。しかし、腕部で展開した場合、クローに対する付与展開が弱まり損壊の恐れがあります。ついでこの機体にはまだシールドとしての展開方式の形状プログラムがインストールされていません。

 

――クローが壊れるのはかまわない。形状プログラムは俺が即席で組む。インターフェイスをウインドウで開け。

 

そして俺はコンピューター言語で展開方式をできるだけ間違いなく、高速でくみ上げていく。展開出力、展開範囲、展開形状、姿勢制御などの必要最低限のみを打ち込みAIに叩きつける。

 

――インターフェイスよりプログラムインストール完了。言語視野を変換完了。形状プログラム構築開始。

 

――完了。展開します。

 

それと同時に荷電粒子収束砲、粒子加速砲、電磁加速弾、空間圧縮弾頭などの攻撃がこちらげ届いた。

 

腕を襲う衝撃。

想像していたのよりも強い衝撃に腕がしびれる。

 

しかし、クローは破損したものの機体には僅かな傷がついたのみで腕以外に損害は無い。

 

これで、終わりにする。

 

両肩からダガーを引き抜きエネルギー刃を展開。痺れの残る腕を無視して加速に入る――

 

――ブースター点火。

 

背部ブースターと脚部ブースターを同時に吹かしセラの右斜め前に回りこむ――

 

最後の抵抗のように振り回された鞭を両腕のダガーで切り払い、右斜め前にポジショニング。

 

ここからは連激で確実に沈める。

 

一撃目、まずがら空きの胴体に身体ごと右足のミドルキックで切り込み二撃目、ノックバックするセラの機体に追従するように回し蹴りを叩き込み三撃目、バックブーストで身体を持ち上げサマーソルトキックでセラを空中へ打ち上げ四撃目、踵部エネルギーブレイドを展開し踵落しで地上へ沈めた。

 

セラの純白の装甲はひび割れ、中から千夏の白い肌が見えていた。

すると、セラの装甲が薄れるように消え千夏の身体が生身で床に投げ出された。

外見から判断するに生身に目立った外傷はなさそうだった。

 

こうして白い天使と黒い龍の戦いは龍の勝利で幕を閉じた。

 

 

☆★☆★☆★☆

 

俺は上空から硬質の電子の床へ着地するとABを解除する。

 

彼女の横に膝を着くと千夏は俺に顔を向けた。

 

「……凄いね、君は。この短期間でその機体を使いこなすなんて。私なんてセラを上手く動かすのに半年近く掛ったのに」

 

「俺と君では過ごしてきた環境が違う。俺は子供のときから戦うことしかしてきてないと言ってもいいからな」

 

少し、気になることがあるので俺は彼女に伝えることにした。

 

「あ~千夏。非常に言いにくいんだが……隠さないのか?」

 

端的に今の彼女の体の状態を言い表すなら半裸。

ABの中では神経リンクを高めるために薄目の専用のスーツを着るのでABの装甲の中ではそれ一枚だ。

 

本来ならそれで問題ない。

しかし、彼女はのスーツは俺との戦闘でABの装甲を破壊されボロボロに破けている。

胸元は申し訳程度にスーツ生地が張り付いているだけで、彼女の白い肌で深い胸の谷間が丸見えで僅かに出っ張った先端が浮いている――非常に眼福。

 

日本人にしては色白な千夏の肌に、戦闘で取れたのか分からないが結ばれていない艶のある茶髪が散っていて凄く色っぽい。

 

腹部の生地は所々切れ、スリットの入った新ファッションのようになってしまっている。

 

千夏は自分の現状を見直すと、顔が段々と真っ赤に染まっていく。

「――いやっ!!み、見ないで!!」

 

「……ああ」

 

そこから目を離すのは非常に心残りだったが何とか目を離す。

 

「――――」

 

背後で何か彼女が呟いたきもしたが聞き取れなかった。

 

数分後

 

「……もういいよ」

 

俺は背後へ振り向くとそこへには白色のカーディガンにモモ丈のカットジーンズ、そして編み上げの黒い長ブーツと言う服装に着替えた彼女が立っていた。

白い足の曲線美が非常に綺麗だ。

 

「で、どうするんだ?これから」

 

「君のブレインコアにワイヤードでアクセスして君の記憶の中にある世界と武器のデータをサルベージする」

 

「そうか、なら早速やってくれ」

 

「少し頭が痛むかもしれないけれど、我慢してね。行くよ――」

 

千夏が紅い幕がなくなった水晶に手を触れ、何かを呟いた――――

 

瞬間、俺の頭に鈍痛が走る。

溜まらず目を閉じる。

 

「――グッ」

 

記憶の暗闇の中に浮かんでは消えていく数多の風景。

それは俺が生まれてからこれまで生きていた世界の記憶。

 

俺は自分の記憶をフラッシュバックのように見ているのか?

 

浮かんでは消えていく風景や場面の中には、赤い髪の女性――カレンの姿もあった。

 

記憶の高速のフラッシュバックも長くは続かず、俺が死ぬ原因ともなったレールガン奪還作戦を最後に暗闇に包まれフラッシュバックは終わりを迎えた。

 

「……これが、君の生きていた世界なんだ……」

 

千夏は宙に視線を向けながら、声を発した。

 

「理解できたようで……何よりだ。もう、戻ろうか」

 

「うん。離脱実行(ログアウト)

 

次の瞬間には視界が暗闇に閉ざされ、離脱の文字が視界に浮かんで消えた。

 

☆★☆★☆★☆

 

目を開ければそこは電子世界に入る前と同じリビングだった。

俺たちはそこから一歩も動いていない。

 

向こう側ではあんなに激しい戦闘をしたのに現実では俺たちの身体はただ寝ていただけだ。

 

「目が醒めた?ダイブとログアウトの感覚は慣れるまで安定しないから気をつけてね」

 

千夏は先にこちら側に戻ってきていたらしく、先ほどの向こう側と同じ服装で俺の前にいい香りを漂わせるティーカップを置いた。

 

「私のお母さんがブレンドした紅茶なんだ。口に合うか分からないけど落ち着くと思うから飲んで」

 

言われたとおり紅茶を口に運ぶと不思議な味が口に広がり香りがクセなく鼻から抜けていく。味はダージリンよりだが、一概には表せない不思議なあじである。ただし美味い。

 

「……美味いな」

 

「口に合ったようでよかったよ」

 

彼女は蒼い瞳で俺を見て優しく微笑んだ。

その笑い方が何となくカレンに似ていて俺は彼女に手を伸ばしそうになる。

しかし、動きかけた左腕を俺は右腕で押さた。

 

「どうかしたの?どこか痛むの?」

 

「いいや、何でもないさ。ただ懐かしい事を思い出しただけだ」

 

「まあいいけどね。今日はもう疲れたと思うから寝よう。君の部屋は階段を上って左から三番目の部屋だよ」

 

「わかった、悪いな部屋まで使わせてもらって」

 

「いいんだよ。紅崎は私の……護衛なんだから」

 

一瞬口ごもった言動が気になったが、俺は何も言わず階段を上り言われたとおり三番目の部屋のドアを開け、電気をつけた。

 

そこにはベットと机。天井にはLEDライトがあり机の上には極薄型のナノスマートフォンとタブレットが置かれていた。

タブレットとスマホの上にはピンク小さな文字が書かれた紙が1つ置かれていた。

 

『このタブレットは3Gだから常時ネットに繋がってるから調べたいことがあればご自由に使ってね。スマートフォンの方は私の連絡先を入れてあるからこれで連絡できるから何かあったら言ってください。おやすみ』

 

と書かれていた。

 

フフと自然に口から笑が漏れた。

 

しかし、調べ物をする気は起きず俺は部屋備え付けのシャワーを浴びて、柔らかいベットに寝転がると眠りに着いた。

戦闘行動での身体・精神共の疲れで俺は速やかに眠りに導かれていった――

 

 

 

 

 

 




文総量が15000文字を超えてしまいましたwwビックリですww
そして分かる人にはもう界貴の生きていた世界の内容がアラカタ理解できたと思います。
若干、作者の作った創作が入っておりますがそこはご愛嬌でお願いします。
さて、今回の作成に掛った時間は約8時間長かったですね~次回も更新は遅くなってしまうと思われますがこの作品を気に入ってくれている人は引き続きご愛読のほどをよろしくお願いいたします。
次回は主役ふたりの視点を外れてアノ天災ともう一人のイレギュラーにライトがあたります。
次回、第八話:番外「閃光と天災」パイロットとしての最強と科学者としての最高が出会ったとき、ナニが起こる?
お楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。