このすば*Elona   作:hasebe

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第102話 首無し騎士(無収入)と聖騎士(変態)

「ギンギーの香草焼きあがりました! 三番テーブルにお願いしまーす!」

 

 威勢のいい掛け声と共に、大皿に乗ったギンギーの丸焼きが厨房からあがってきた。

 丸々と太ったギンギーは、油と様々なハーブの焼ける実に食欲をそそる香ばしい匂いを放っている。付け合わせのフライドポテトとにんじんのソテーも程よく仕上がっており、コックの腕のよさが窺えた。

 三番テーブルの客は中堅冒険者の青年だ。装備も体も汚れていないので、食事を終えてから仕事に行くのだろう。

 真剣な表情の彼は、現在一人のウェイトレスの尻に視線が釘付けになっている。

 長い金髪を後ろで一纏めにしている彼女は客どころか他のウェイトレスの視線と羨望をも一身に集める美貌の持ち主であり、羞恥で真っ赤に染まった表情と成熟したメリハリのある体は男性の劣情を煽ってやまない。

 今日飛び入りでやってきた期待の新人である彼女は当初皿洗いを希望していたのだが、一分で五枚の皿を割った後にウェイトレスに転向になったという輝かしい経歴を持っていたりする。

 力仕事に関しては全く不安の無い彼女だが、地味な割烹着姿からミニスカウェイトレスへのクラスチェンジは本人としても甚だ不本意なものだったのか、そわそわとしていて落ち着きが無い。必死にスカートを手で押さえる姿は周囲の視線を隠すどころか集めるばかりであり、全くの逆効果である。

 そんな知り合いの冒険者達に冷やかされながらもなんとかウェイトレスをやっている少女を横目に、あなたは青年に声をかけ、料理をテーブルの上に乗せた。

 

「ああ、やっときたか……はぁっ!?」

 

 ウェイターの執事服を着たあなたの姿に大声をあげる冒険者は、困惑とも畏れともつかぬ表情であなたの頭から足の先までじろじろと見つめてきた。

 

「え、えぇ……? こんなとこでそんな服着て何やってんだ。あっちのといい、素でびびったわ。前から思ってたんだが、もうちょっと仕事選べよ。王都でもブイブイ言わせてる超高レベル冒険者だろアンタ」

 

 その言葉には何を今更と答えるしかない。そして職に貴賎は無く、ギルド側も討伐依頼以外の仕事を受注拒否したことはない。

 何より大衆向けの酒場のウェイトレスやウェイターはこれといって専門的な知識や技能が必要ない、心身が健常であれば誰にでもできる仕事だ。

 よって、ちょっと人手が足りないからと顔見知りのウェイトレスに頼まれ、他に依頼を請けていなかったあなたがウェイターをやっていても何もおかしくはない。

 

「いや、そりゃそうだが……。アンタ他にもドブ浚いとか外壁工事とか犬の散歩とかやってるだろ? もうちょっと人目を気にするとか、高レベル冒険者としてのプライドを大事に……滅茶苦茶めんどくさそうに溜息吐きやがった! 俺か!? 俺が間違ってるのか!?」

「安心しろ、お前は何も間違っちゃいない! 大体みんなお前と同じこと思ってる! 怖くて普段は口は出さないけど!」

「そうよそうよ! あなたはよく言ったわ!」

「負けないでー!」

「み、皆……ありがとう……!」

 

 フリーランスの冒険者が自分の好きなように依頼を受けて何が悪いのかと閉口するあなたは、やけに盛り上がっている一団を無視して仕事に戻る。

 

「高レベルなら高レベルらしく、もっと派手に活動しろー!」

「冒険者の夢を壊すなー!」

「お金貸してー!」

 

 酒を入れて気が大きくなっているのか、あちこちから飛んでくるブーイング。触るなキケン扱いされている王都やノースティリスではこうはいかない。なんだかんだで町の住人として受け入れられているアクセルならではといえるだろう。

 気安い対応はあなたとしても悪い気はしなかったが、それはそれとして、最後の舐め腐った要求には客が飲み終わったグラスから取り出した氷を指で弾くことで答えておく。乞食に恵んでやる金は1エリスたりとも持ち合わせていない。

 額に直撃した氷にもんどりうって悶絶するプリーストの少年へ周囲が向ける視線は冷ややかだった。

 

「痛ったあ! 何これすっごく痛い! ヒール! ヒール!」

「今のは自業自得だわ」

「そうね」

「お前調子ぶっこきすぎた結果だよ?」

 

 さて、討伐や高難度の依頼がない限り、あなたがアクセルで消化している依頼はドブ浚いのような殆どボランティアじみた雑用など、誰も受けたがらずに塩漬けになっているものが多くなる。

 当然ながら報酬は少ないが、金が目的なら王都などの別の街のギルドを頼りにするだけの話だ。

 誰もやらないから仕事を選ばないあなたが消化しているのであって、ブーイングを飛ばしてくる彼らが率先してこれらの依頼を片付ければ、町のあちこちで雑用に励むあなたを見る機会は一気に減るだろう。

 町のあちこちから持ち込まれては塩漬けになる雑用仕事の多さに頭を悩ませているルナも、それらの仕事をホイホイ請け負ってしまうからとあなたに押し付けているのではないかと若干気にしているので、あなたの手が空けばそれはそれで喜ぶこと請け合いだ。

 

「冒険者のみなさーん、ギルドはいいお仕事いっぱい用意してますよー! 未経験者でも大歓迎! 楽しくてアットホームな職場です!」

 

 あなたの理路整然とした反論に追随するかの如く、窓口に座っているルナが百点満点の営業スマイルで口上を述べる。

 

「そういうのってきついわりに報酬が安すぎるし……」

「ドブ浚いとか女の子がやる仕事じゃないし……」

「スキル持ってないし……」

 

 威勢よく野次を飛ばしていた冒険者達は一斉に沈黙してしまった。

 あなたが雑用に励む日々はまだまだ続きそうである。

 

 

 

 

 

 

 時刻が二時を回ろうかというところでようやく客足が疎らになり、あなたは遅めの昼休憩に入った。

 どこで昼食をとろうかと空いた店内を見渡して発見したのは、テーブルに突っ伏した期待の新人ウェイトレス。度の過ぎたセクハラ発言をしたフルアーマーの冒険者をアイアンクローで宙に浮かせたのは午前中のハイライトだろう。当然のように場は大変盛り上がった。

 そんな腕力系ウェイトレスの名はダクネス。本名ダスティネス・フォード・ララティーナ。この国有数の大貴族の令嬢であり、あなたが知る限りこの国最硬のクルセイダーである。被虐性癖持ちなのに羞恥への耐久力が非常に低いのが玉に瑕。

 

「はぁ……」

 

 大衆酒場のウェイトレスという、貴族であれば死ぬまで一度も経験しないであろう仕事に励んでいたダクネスは、かなり精神的に疲弊していた。

 聞きたい事もあったあなたは、突っ伏しているダクネスの対面に座り、労いの声をかける。

 

「ああ、あなたか。……これは、私に? すまない、ありがとう」

 

 奢りと称してあなたから渡された冷たいオレンジジュースを豪快に一気飲みして喉を潤したダクネスは、人心地ついたといった様子で息を吐いた。

 

「体力的には問題ないんだが、慣れない仕事と格好による精神的な疲労はどうしてもな……。あとあいつらの顔は忘れんぞ……」

 

 暗い顔で笑うダクネスは散々からかわれたのを根に持っているようだ。

 

「分かってはいたが、やはり私にこういった仕事は向いていないな。私自身、鎧を身に纏って戦うほうが性に合っている」

 

 自嘲して自身のウェイトレス服姿を見下ろすダクネスだが、衣服自体は非常に似合っていた。ダクネスの器量のよさはあなたやカズマ少年のみならず、彼女を冷やかしていた冒険者たちもよく知るところである。

 ちなみにだが、冒険者ギルドに併設されている酒場のウェイトレスの制服は色鮮やかかつ非常に可愛らしい事で有名だ。カズマ少年とキョウヤ曰くアンミラという喫茶店の制服に酷似しているとのこと。この制服を決めたのは絶対に日本人だとも言っていた。

 時給も悪くないし、ウェイトレス服を着たいがためにバイトに応募する年頃の少女は少なくない。

 そして貴族にして聖騎士であるダクネスもまた年頃の少女であることに変わりは無い。

 

「べ、別に衣装目当てで応募したわけじゃないから……っ! 仕事で合法的にフリフリの可愛い服が着れて嬉しいとか本当にこれっぽっちも思ってないし……!」

 

 あなたの視線に晒された少女は俯いて震えてしまった。

 そんなダクネスがいきなり酒場で働き始めた理由だが、尋ねてみればあっさりと教えてくれた。別に実家が莫大な借金を背負ったなどの金銭目的の行動ではないらしい。

 

「この際だからハッキリ言ってしまうが、その、私は少し……いや、かなり世間知らずなところがあるだろう?」

 

 彼女は貴族だ。それもそんじょそこらの貴族ではない。この国有数の大貴族である。

 傅かれる身分の者として、世間に疎い部分があるのはむしろ当然であり、レインのように市井に完璧に馴染んでいる貴族の方がおかしいのだ。

 

「うむ、確かに私はダスティネス家の者で、私自身その事に誇りを持っている。そこに偽りは無いし、代々の先祖や父の名を汚さぬように常日頃から心がけている」

 

 残念ながらそちらに関しては手遅れなのではないだろうか。口にこそ出さなかったが、あなたはそう思った。

 重度の被虐性癖持ちな末裔に、彼女の先祖も草葉の陰でどうしてこうなるまで放っておいたんだと泣いているに違いない。

 

「だが同時に私は冒険者でもあるわけだ。……だというのに、私が仲間のためにできることといえば、この身を盾にすること以外には実家の権力を持ち出すことくらいしか思い浮かばない。前者はクルセイダーとしての本懐ともいえるわけだからむしろドンと来いなのだが、私としてはあまり実家の権力をアテにしたくはない。無論、貴族としての私も私だと分かってはいるのだが……不当な権力の行使はダスティネス家として、その……」

 

 痛めつけられたり卑猥な目に遭いたいから武器スキルを習得しないという、親の顔が見てみたくなる性癖を除けば、ダクネスは良識と常識を持った性根のまっすぐな少女である。極力実家の権力を使いたくないという、ある意味貴族らしからぬ青臭い気持ちも分からないでもない。

 しかしカズマ少年達であれば、権力は使ってなんぼとばかりに困った時にダクネスの家の名前を持ち出し、その威光を以って状況解決を図る事くらいは平然とやりそうである。

 

「あなたもそう思うか。私もだ。だからこそ、できるだけそうならないようにと思っての今回だったのだが……世の中そんな簡単にいくものではないな……」

 

 物憂げに嘆息するダクネスは、仲間の為に自分ができることを増やしたいのだという。大貴族であるララティーナではなく、冒険者のダクネスができることを。

 だが最初からあまり難しいことにチャレンジしても失敗するのが目に見えているので、まずは簡単な仕事から始めようと、仲間に秘密で酒場の皿洗いに日雇いで応募。日頃から洗い物や掃除といった簡単な家事くらいはやっているので大丈夫だろうと思いきや、家事と書き入れ時の酒場はまるで勝手が違う。次から次に舞い込んでくる皿の山に翻弄され、緊張と不器用さが祟ってウェイトレス行き。

 この事は確実にカズマ少年達にも知られるだろう。女神エリスに負けず劣らずの不憫さと言わざるを得ない。

 だが仲間や友のために自分を高めようとする、ダクネスの志は立派なものだ。

 それは当たり前のことなのかもしれない。今回は上手くいかなかったかもしれない。

 それでもあなたは彼女の想いと自発的な行動を笑うことだけはしたくなかった。

 

「あ、ありがとう……そうやって真正面から褒められてしまうとなんだか照れくさいな……」

 

 あなたの真摯な賞賛を受け、ダクネスはコップを手で弄びながら小さくはにかんだ。

 だが彼女が手っ取り早く、かつ最も仲間の役に立てるのは武器スキルを取得してまともに近接戦闘を行えるようになることだ。

 現状のカズマ少年達のパーティーに最も不足しているのは前衛のアタッカーであり、ダクネスの腕力は並ではないのだから。

 

「それだけはできない」

 

 真顔で拒否されてしまった。

 そういうとこだぞダクネス、というカズマ少年の呆れ声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 さて、ダクネスが急にスキルアップに励み始めた理由についてだが、彼女が明かした事情はあなたを大いに驚かせることになる。

 

「これといった事件が起きていないからというのもあるが、ここ最近、カズマが妙に張り切っているというか、修行に励んでいるんだ。それも自発的に。あそこまで一生懸命なあいつの姿を見ていると、私も何かしなくてはいけないという気分になってな」

 

 自他共に認める安全第一、人生イージーモードを座右の銘とするような、楽ができるなら極限まで楽をしたいという性格の持ち主。それがあなたの知るカズマ少年だ。三人のアクの強い仲間たちに囲まれた彼が実際に楽ができているかは別として。

 しかしいつぞやのように借金漬けになっていたり切羽詰っている状況に追い込まれているならまだしも、今の彼はバニルとの取引やハンス討伐の賞金で暫く遊んで暮らせるほどの資金を得ており、さしたる脅威にも晒されていない。

 そんな彼が率先して修行に励むなど、いったい何が起きてしまったのか。明日は空からキノコとタケノコが降ってくるのかもしれない。場合によってはデストロイヤーや魔王軍を遥かに超える脅威になる。最悪、水の女神とウィズ魔法店一派が全力を出さなければアクセルは一夜を待たずして地図から消え去るだろう。

 

「あなたが驚く気持ちはとてもよく分かる。何せ()()カズマだからな。かくいう私も驚いた。とてもとても驚いた。あれでやる時はやる男なのは私もよく分かっているのだが……本当に追い込まれないと本気を出そうとせず、むしろダラダラ怠ける為に全力を発揮するくらいだからな、あの男は」

 

 やれやれと呆れるダクネスの表情に険は無い。

 

「だが、そんなカズマが誰にせっつかれるでもなく、自発的に修行をする。これはおかしい。明らかにおかしい。誰がどう見てもおかしい。何か変な物を食べたか病気にでもなったのかと私達は疑っていたんだが、カズマは季節外れのサンタクロースが傷心の俺に掛け替えのないプレゼントを届けてくれた。この恩に報いるためにちょっと本気を出さざるを得ない、あとお前らはもっと俺に優しくしろ、などと言ってな。わけの分からない修行を始めたんだ」

 

 仲間の奇行を赤裸々に暴露するダクネス。

 具体的な修行内容は鉤爪を使って壁をよじ登る訓練をしたり、弓だけではなく投擲技術も磨き始めたり、竹筒を使って水中に潜ったりと様々だ。

 

「他にもスリケンなる十字型の投擲武器や、マキビシなる鉄製の礫を鍛冶屋に作ってもらっていたな。アクア曰くニンジャ? という、カズマの国で諜報活動をしていた者の真似事らしい。ニンジャに憧れるのはカズマの国ではよくあることで、三日も経てば飽きてやめるだろうと言っていたがどうなることやら」

 

 女神アクアの言葉どおり、それはぐうの音も出ないほどに忍者だった。

 彼女は王城であなたの姿を見ている。ゆえにカズマ少年と黒衣の強盗との関連性を疑えなくもないのだが、黒衣の強盗が忍者を模したものであることに女神アクアは気づいていなかったようだ。カズマ少年には一目でバレたのだが。

 

 そんな一億五千万エリスの高額賞金首であるあなたは、何日か前に寝ているカズマ少年の枕元に修繕したエロ本(金髪ロリっ子触手モノ)が入った紙袋を届けた。恩というのはそれを指しているのだろう。

 直接彼の部屋まで赴いた理由だが、これは郵便受けに入れたのでは彼の同居人である少女達に見つかってしまうと気を利かせたからだ。ただのエロ本ならまだしも、王女アイリスを連想させる表紙のエロ本を見られるのは非常によろしくない。

 肝心のエロ本の内容だが、箱入りで若干おてんばな所もあるが、本当は心の優しい健気な王女が触手やスライムやゴブリンに性的にぐっちょんぐっちょんにされるというものだった。完全にアウトである。ダクネスに見つかろうものならば焚書は不可避だ。そんなことをされてしまっては、何のために夜なべしてエロ本を修繕したのか分かったものではない。

 サンタクロースなる者が何なのかは分からないが、カズマ少年の発言は十中八九エロ本を届けた事を指しているのだと思われる。ならばきっとサンタクロースはエロ本を枕元に届ける者なのだろうとあなたは解釈した。

 

 納得のいったあなたはダクネスに断りを入れ、テーブルの上にウィズが真心を込めて作った弁当を広げる。

 しかしながら、包みから出てきたのは二人ぶんの弁当箱。開けてみれば中身も両方同じだった。

 いつもより重いと思っていたが、ウィズはベルディアのぶんまで間違えて包んでしまったようだ。最近は夜遅くまで作業している日が続いているようなので、ついやってしまったのだろう。

 

「ベアさんか。思えば私は彼の事を全くと言っていいほど知らないな。あなたの仲間であり、ウィズと同じようにワケあり(アンデッド)だというのは知っているが、アルカンレティアにはついてきていなかったようだし」

 

 ベルディアは七日のうち五日を蘇生(起床)、風呂、食事、終末、死亡(睡眠)or朝まで生存(徹夜)というローテーションで過ごしているので家から出てこない。

 残りの二日も家で寝るか酒場で飲み明かすかサキュバス風俗に通うのが常なので、ダクネスが彼を知る機会はなかっただろう。

 本名をはじめとする魔王軍関係者であることと終末とサキュバス風俗を伏せ、あなたはダクネスにベルディアについて説明を行った。元騎士であること、普段は自宅の地下で鍛錬に励んでいること、以前は傭兵紛いの仕事をしていたが、あなたに敗れて助命の代価に降ったこと、ずっとあなたに養われていたがいい加減自分で金を稼ぎたいと泣きついてきたことなどなど。

 

「ふむ……」

 

 説明の後、ダクネスはこう言った。

 

「これは決してあなたを悪く言うわけではないので誤解しないでほしいのだが。あなたが私達のパーティーメンバーでなくて良かったと心から思う。あなたに事あるごとに突っかかっていくめぐみんを見るのは楽しそうだが、カズマとアクアが輪をかけて怠惰になりそうだ」

 

 まさかのダメ人間製造機扱いだが、呼び方としては同じ()()とはいえ、ダクネスの考える仲間(パーティー)ベルディア(ペット)は似て非なるものである。どこまでいってもペットは主人と対等には成り得ない。あなたはそう思っている。

 そういうわけなので、いくら臨時パーティーを組んでいるとはいえ、あなたは衣食住をはじめとする何から何までゆんゆんの世話をする気は無いし、彼女を遺伝子合成機にぶち込んで強化する気も今のところ無い。無限残機を前提としたデスマーチはさせたいと常々思っているが。

 

「しかしなるほど、デストロイヤー討伐の際に感じていたが、やはり彼は騎士だったのだな」

 

 したり顔で頷くダクネス。

 彼女はあなたを先に進ませるためにゴーレム達をひきつけた後、真っ先に切り込んで獅子奮迅の活躍をするベルディアの姿を見たのだという。

 御伽噺に出てくるような、邪悪な竜を討伐する勇敢な騎士さながらの暴れっぷりだったそうだ。

 

「私とて伊達にクルセイダーをやっているわけではない。太刀筋を見ればその者が騎士かどうかくらいは分かる。……どうしたんだ? 何かおかしなことを言っただろうか」

 

 被虐性癖を満たすために各種武器スキルの取得を頑なに拒む、素手で殴りかかった方が圧倒的に強い聖騎士(グラップラー)に騎士の剣を語られてしまったのだから、微妙な気分にもなろうというものである。

 弱きを助け、いざという時は民草の為に真っ先に剣を取る彼女の気高さは間違いなく聖騎士に相応しいものなのだが。

 

「ゴーレムを一太刀で粉砕していく彼の豪剣は凄まじいものがあったぞ。私にはとても真似できそうにない」

 

 剣スキルを取ればいいのではないだろうかとあなたは再度提案した。

 ダクネスも腕力に関してはかなりのものだ。

 

「繰り返すが決してそれだけはできない」

 

 強い決意を感じさせる口調だった。相変わらずの性騎士っぷりで何よりである。

 

「ところで、あなたの奴隷ということは、ベアさんはあなたが私に説明してくれたような扱いを?」

 

 奴隷ではなく仲間だとあなたはダクネスの認識を修正しておく。

 とはいえ、ダクネスが想像しているようにベルディアが毎日死ぬような目にあっているのは確かだ。

 それこそ心身共に鍛え上げられた元騎士の精神が擦り切れるような日々を送っている。最近はだいぶ慣れて余裕ができたようだが。

 

「やはりそうか……。いいなあ、羨ましいなあ……一日でいいから私と代わってくれないだろうか……」

 

 強い情欲を感じさせる口調だった。相変わらずの性騎士っぷりで何よりである。

 

「元騎士のアンデッドが精神的に参ってしまうような修練、拷問……いったいどんな責め苦を……ぐふ、ぐへへへ……」

 

 カズマ少年に贈ったエロ本も顔負けの、知性と品性を著しく欠いた堕落しきった表情。

 折角の美人が台無しだ。

 人目を憚らずに妄想に耽るクルセイダーの姿はあまりにも痛々しい。

 

「……ん?」

 

 そんなダクネスだったが、ふとしたタイミングで顔色を変える。

 

「高い戦闘力を持つ元騎士のアンデッド……どこかで聞いた覚えが……そしてベアという名前……え、いやいやいや、そんなまさか。幾らなんでも流石に安直すぎるだろう……しかしこの町には既にウィズやバニルという前例が……」

 

 難しい顔でブツブツと何かを呟くダクネスにあなたが声をかけてみるも、彼女はなんでもないと答えるにとどまるのだった。

 

 

 

 

 

 

 あちらは既に昼食を終えているかもしれないが、あなたはベルディアに弁当を持っていってあげることにした。休憩の時間はだいぶ残っているし、何よりウィズの折角の手作り弁当を食べないなどあまりにももったいなさすぎる。

 

「ふう。やはりいつもの格好だと落ち着くな」

 

 同じ騎士としてベルディアがどんな仕事をしているのか興味があるとあなたについてきたダクネスは、現在ウェイトレス服から黒の半そでシャツと紺の長ズボンというラフな普段着に着替えている。流石にウェイトレス服で町に繰り出したくはないらしい。あなたはウェイター服のままである。

 

「それで、彼はどんな仕事に就いているんだ?」

 

 あなたが答えると、ダクネスは目を丸くした。

 

「そんな仕事をさせて本当に大丈夫なのか?」

 

 騎士としてのプライドを傷つけないか気にしているようだ。

 ベルディアのアルバイトは彼が見つけてきたものであり、あなたが斡旋したわけではない。そしてこの際働けて給料が貰えるなら何でもいいとは本人の弁である。

 終末狩りで鍛えた腕っ節を活かせる職場ではないが、少なくともベルディアに不服は無さそうだった。

 

「ふむ……」

 

 そうしてあなた達がやってきたのは、大通りで営業している一軒のパン屋。その名をベアーズベーカリー。直訳するとクマのパン屋。

 店主はアクセルの住人から熊先生と親しまれている、まさしく熊のようにずんぐりむっくりとした大柄の男性。

 パン屋の前は牧師として活動していた異色の経歴を持つ彼のパン作りの腕は確かであり、小麦とバターの焼けるいい匂いがあなた達の元まで届いてくる。

 

「がおがおがお、がおーん」

 

 そんな店の前では現在、一撃熊をデフォルメした茶色いクマのきぐるみがプラカードを持って客の呼び込みをやっていた。

 一撃熊といえば獰猛なモンスターだが、このクマはゆるさを前面に押し出した、とぼけた表情にはどことなく愛嬌が漂っている。

 

「わんぱんくま、もふもふー」

「キック! パンチパンチ! キック!」

「ちょっと男子ー、止めなよー」

 

 きぐるみの周りには何人もの子供達が群がっており、抱きつかれたり頭に乗られたり叩かれたり蹴りを入れられたりと様々である。

 ちょっかいを出してくる子供達に嫌な顔一つせず応対する姿はプロ根性を感じさせた。本人の面倒見がよく子供の相手をするのも嫌いではないというのも理由だろうが。

 

「きぐるみなのだから表情が分からないのは当たり前なのでは?」

 

 経験が浅いせいか、ダクネスはまだまだ見が甘いようだ。きぐるみを着て宗教勧誘のバイトをこなした経験を持つあなたにとって、きぐるみの中の人の表情を読むなど余裕である。

 試しにとあなたはわんぱんくまに声をかけた。

 

「…………がお」

「本当だ。物凄い嫌そうな顔をした気がする。うわぁ……って」

 

 直接声に出してはいないものの、確かに中の人は言っている。

 冷やかしに来たのか。さっさと帰れ。失せろ、と。

 

「しっしって手を振っているな、あなたに。凄まじく邪険だが、確かにベアさんが中に入っているようだ。私もウェイトレス姿を仲間に見られるのは勘弁してほしいからな……」

 

 ダクネスの言ったように、わんぱんくまの中の人はベルディアである。

 主従揃ってきぐるみのバイトをやり、しかもクマのきぐるみを着るとは運命じみたものを感じさせた。片やパン屋の呼び込み、片や宗教勧誘と仕事の内容には凄まじい差があるわけだが。

 宗教勧誘ときてあなたはピンときた。アクシズ教も入信者に女神アクアの抱き枕をプレゼントすればいいのではないだろうか。

 中々の案だと自画自賛するあなただったが、やはりダメだとすぐに考え直した。出回る前に信者達が抱き枕を独占する未来しか見えなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 少し時間を貰って人気の無い店の裏で話をする。

 

がおんがおがおーん(何しに来た)がおんがおんがおん(見て分かるだろうが仕事中だぞ)

 

 辟易とした様を隠そうともしないベルディアに、あなたはウィズの弁当を持ってきたと答える。

 しかしながら、既にベルディアは店のパンを食べた後だったようで、そちらで食べていいと言われてしまった。ちなみにベルディアの弁当はフルーツが二人ぶんだったらしい。

 

がおがおがおんがががおん(他に用事が無いならパンを買っていけ)

 

 きぐるみは強制的に言語が変換される仕組みになっていた。

 わんぱんくまの鳴き声は明らかに熊のそれではないのだが、細かいことは気にしないほうがいいのだろう。

 ただ意思疎通がめんどくさいので、普通に話せるのならそうしてほしいところである。

 

がお(了解)

 

 一鳴きして背中に丸太のような腕を回した。変換機のスイッチが付いているようだ。

 

「やっといてなんだけど、傍から見るとがおがお言ってるだけの俺とナチュラルに会話するご主人は紛うことなき危ない人だな。実際危ない人だが」

 

 致死性の毒電波入りの天上の美声で格下を発狂死させる、お喋り好きな聖人系女子を友人に持つあなたにとって、謎言語と意思疎通するなど朝飯前だ。

 

「むむむ……」

「さっきからこいつは何なんだ。どっかで見た覚えのある顔な気もするが」

 

 辟易した様子のベルディアを気にも留めず、ダクネスは真面目な顔でわんぱんくまの頭を押したり引いたりしている。頑丈にできているのかきぐるみの首はびくともしていないが。

 

「固定されていて簡単には脱がせそうにないな……仕方ない。こうなったら……」

「お、おいやめ……やめろ馬鹿!!」

 

 突如として野生を剥き出しにした一撃熊が、力ずくできぐるみの首を引っこ抜こうとしたダクネスの頭を引っぱたいた。

 爪の無い分厚いきぐるみの腕では全く威力が出ておらず、名前負けも甚だしいものだったが、それはそれとして、あなたはすぐさまダクネスの手を止めて暴挙を諌める。

 

「……何故止める? 脱がされると困るのか?」

 

 剣呑さを漂わせるダクネスの青い瞳があなたを射抜く。

 止めるのも困るのも当たり前だ。幾らダクネスがわんぱんくまのきぐるみが欲しいからといっても、他人の仕事の邪魔をしてはいけないし、追い剥ぎなどもってのほかである。

 

「えっ!? ち、違う! 私は決して追い剥ぎを目論んでいたわけではない!」

「じゃあ問答無用で首をもごうとした理由を言ってみろ」

「……中身がどうなっているのか知りたかったんだ」

「そこらのヤンチャなガキみたいな発想だなオイ。そこまで気になるなら構わんが、ガキには中の人はいないって事になってるからバラすなよ」

「私は真面目な話をしているんだが!?」

「はいはい分かった分かった真面目真面目」

 

 投げやりに答え、ベルディアは背中からきぐるみを脱いだ。

 

「ほれ脱いだぞ。これで満足か?」

「…………」

「おい、なんとか言ったらどうだ」

「……首」

「あん?」

()()()()()()()()()()()

 

 ぴくり、とあなたとベルディアが反応する。

 空気が鉛のように重くなった。

 

「……何を言い出すかと思えば。そんなもん見りゃ分かるだろ」

 

 なんでもないことのように、ぐるんぐるんと繋ぎ目の無い首を前後左右に回すあなたのペット。

 その姿はこの国の者なら誰もが知っている、卓越した剣技と死の宣告で相対する者に不可避の死を約束する魔王軍幹部の首無し騎士(デュラハン)には見えない。

 ベルディアの首は遺伝子合成で会得した合体スキルで繋がっており、だからこそあなたもこうしてベルディアを自由にさせていた。

 

 どれだけ限りなく正解に近づいたとしても、最後の最後、デュラハンの首は繋がっていない、繋がらないというこの世界における常識が立ちはだかる。

 ベルディアの首を触ったりして本当に繋がっているのか確かめた後、ダクネスはあなたたちに頭を下げた。

 

「すまない、もしかしたらベアさんは魔王軍幹部のベルディアなのではないかと疑っていた。私の勘違いだったようだ」

「お、おう、そうか。疑いが晴れたなら良かった」

 

 流れる冷や汗を隠すようにベルディアはきぐるみを着直した。

 これは自身の身バレによって芋づる式にウィズにも危険が迫り、なんやかんやで最終的に世界が滅ぶことを懸念する冷や汗だ。

 

 

 

 

 

 

 硬くなった雰囲気を解すためにというわけではないが、ベルディアとダクネスが軽く互いの自己紹介をすることになった。

 ベルディアがアンデッドだったりウィズが魔王軍幹部のリッチーだとダクネスが知っていることなどを、通りすがりに聞かれても問題ない程度にぼかしながら。

 

「なるほどな、事情は大体理解した。俺はまたてっきり、お前はご主人の三号さんあたりかと」

「三号さん?」

 

 ほぼ初対面の相手に失礼なことを言うものではないと、ペットの軽口を諌める。ダクネスが言葉の意味を理解していないのは幸いだった。

 彼女は貴族なので側室に理解はあると推測されるが、それとこれとは話が別だ。特に仲がいいというわけでもないあなたの妾扱いはいい気はしないだろう。

 

「私が三号なら一号と二号は誰なんだ?」

「一号さんに当てはまる奴はいない。こういうのは二号、三号、四号と続いていくものだからな」

「そうなのか。ならば二号さんとは?」

「そりゃもちろんゆ……ごふっ!!」

 

 このままでは余計な誤解を招きかねないと、あなたはベルディアの腹をぶん殴った。抉り込むように拳が突き刺さったわんぱんくまの巨体が1メートルほど垂直に浮き上がる。

 しかしきぐるみを一切傷付けることなく、衝撃だけを中身に叩き込むあなたの業は匠の域にある。ちなみにウィズを一号さん呼ばわりしなかった賢明さに免じて痛みは与えていない。

 

「む、無駄に器用な真似しやがってからに……」

 

 彼がゆんゆんを二号さん呼ばわりしようとしたのは火を見るよりも明らかだ。

 あの時ベルディアは即座に逃げたので知らないが、あるえの小説を読んで錯乱したゆんゆんは実際にあなたの二号さんになろうとしたので洒落になっていない。

 

「彼の反応を窺うに、よほど人として不名誉な意味合いなのか? 性欲処理担当とか苗床とか」

「まあ人によっては不名誉といえなくも……なんだって?」

「人として、女としての尊厳を奪われ、名前ではなく番号で管理され、物のように扱われる……もしくは助けの見込めない地の底で母体として永遠に生かさず殺さず……三号さんとは実に素晴らしい、じゃなくてまったくもって度し難い、同じ女として興ふ、義憤を抱かずにはいられないな!!」

「今素晴らしいって言った? 興奮するって言った?」

「い、イってない……んくっ」

 

 自身が嬲り者にされる様を幻視したダクネスが恍惚にぶるりと震えた。

 一歩距離をとったベルディアも、彼女がどういう人間か理解し始めたようだ。彼は女好きだが、ドリスで会ったようなオープンすぎる相手は好みではないのだ。

 

「おおっと、これは俺の手に余るド変態だぞ」

「そ、そんなに褒めないでくれ。照れる……」

「言葉が通じても会話にならない。俺の周囲がコミュニケーション能力に難を抱えた奴だらけすぎて困る」

 

 さておき、このままでは世の中の二号さんや三号さんが多大な風評被害を受けてしまうと気づいたあなたは二号さんが何を指すのか教えてあげた。

 

「なんだ、二号さんとは側室のことだったのか……」

 

 ダクネスはがっくりと肩を落として言う。

 

「生憎私と彼はそういう関係ではない。顔見知り、という関係が適切なのだろうな。彼の仲間にしてもらおうと家に押しかけたことはあるが」

「……悪いことは言わんから止めておけ。経験者として言わせてもらうが、比喩抜きで死ぬほど痛くて辛い目にあわされるぞ」

「望むところだ! 最高の環境じゃないか! 頼む! 一日でいいから私と代わってくれ!」

「なんなのこいつ。苗床志望のドMとか悪い意味でキャラ濃すぎだろ。……は? クルセイダー? 性に狂った駄目女、狂性駄ーとかの間違いじゃなくて? 謝れ! 世界中のクルセイダーに謝れ!!」

 

 その瞬間、騎士としての矜持までは捨てていないベルディアの叫びをかき消すように、大音量の警報が一帯に鳴り響いた。

 デストロイヤー接近の際にも聞いた、最大級のエマージェンシーを知らせる警報だ。

 

 

 

 ――緊急警報! 緊急警報! ドラゴンです! 中型のドラゴンが五匹と大型が一匹、正門方面から一直線に接近中です! 冒険者の方々は至急、装備を整えて正門に! 街の住人の皆様は直ちに避難してください!!

 

 

 

 悲鳴にも似たルナの声の内容に、あなたとベルディアは一気に警報への興味を失った。

 

「なんだ、ドラゴンか」

 

 まったくだとあなたは同意する。またぞろデストロイヤーのような超高額賞金首と思いきや、とんだ肩透かしだと言わざるを得ない。

 

「さて、俺はそろそろ戻るぞ。初日でクビにされるとか笑い話にもならん」

 

 あなたは時計を見やった。

 だいぶ時間を潰してしまったが、まだウィズの弁当を食べる時間くらいは残っている。

 

「いやいやいやいや待て待て待て待て! 何二人してしれっと日常に戻ろうとしてるんだ!」

 

 ベルディアと別れ、手頃な場所で昼食にしようとしたのだが、ダクネスがあなたとわんぱんくまの腕を掴んだことでそれは止められた。

 

「なんだよもう。俺は仕事があるっつってんだろ。構ってほしいならご主人に頼め」

「今の警報を聞いていなかったのか!? ドラゴンだ、アクセルにドラゴンが迫っているんだぞ!」

「聞いてたが、それがどうした。たかだかドラゴン程度でぴーぴー喚くなみっともない。デストロイヤーよりマシだろ。それにどこからともなく湧いたドラゴンの群れに襲われるなんぞ日常茶飯事だろうが」

「錯乱しているのか!? しっかりしろベアさん! 確かにデストロイヤーよりマシかもしれないが、ドラゴンの群れに襲われるなんて狂った日常は魔王軍に脅かされる王都でもありえない! ありえてたまるものか!」

「…………!?」

 

 ダクネスがやけに真剣なのは街の危機だからか。

 そんな肩を揺さぶるダクネスの叱咤を受け、ベルディアは雷に打たれたように硬直した。

 

「そう、だ、な……そうだったな……そうだよな……」

 

 そのまま震え声で膝から崩れ落ちた。

 自身がいつの間にか脳みそまで終末狩りに浸りきっていたことを、自覚の無いままに彼岸に足を踏み入れていたことを自覚してしまったのだ。

 

 あなたには今のベルディアの心境が手に取るように理解できた。

 何故なら、彼が立っている場所は遠い昔にあなたが通り過ぎた場所でもあるからだ。

 廃人の仲間として順調に染まっていく頼もしいペットの姿に、ダクネスの叱咤をそういえばそうだった、程度にしか思っていなかった彼岸の住人(あなた)は感慨深げに頷くのだった。


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