俺の個性が知られたらヤバイ。 作:サイヤマンZ
「これから三年間。雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。
”更に向こうへ”さ、……全力で乗り越えてこい」
グランドにてイケメン化した相澤先生。
俺たち新入生が行う最下位者除籍処分の個性把握テスト。
除籍処分ということで緊張とやる気をみなぎらせるクラスメイト達。
しかし、俺は除籍処分とかどうでもよかった。
そう、俺の頭を支配しているのは……。
八百万(おっぱい)の雄々しい姿を見れるかどうかだけだ!!
こうして緊張と一部ムラムラが高まる空気の中、除籍処分を賭けたテストが開始された。
第一種目;50メ―トル走
足にエンジンを搭載した個性を持つ飯田(いいだ)天哉(てんや)をはじめとする優秀な個性もち達が驚愕の記録や平凡な記録を出していく中。
俺の順番がやってきた。
「斉藤……グランドに大穴を開けないようにしろよ。
後片付けが面倒だからな」
イケメン化が解けて通常のけだるげな表情を見せながらスタートラインに向かう俺に忠告する先生と先生の忠告を聞いてざわつくクラスメイト達。
そこで俺は考えた。
ここですさまじい記録を出せば八百万(おっぱい)の関心を得ることができるのではないかと。
少なくともさっきのようにツンツンした態度は取らないだろう。
むしろ素敵!とかカッコイイ!!とか思われるかもしれない!!
そう思ったら四肢に今まで以上の活力とやる気がみなぎってくる!!
妄想するのはクラスメイトの揺れる乳達。
体操服に包まれた人類の神秘。
みなぎる!!みなぎるぜぇええええええ!!!
うおぉおおおおおおおお!!
ふるえるぞおっぱい!燃えつきるほど激しい性欲!!
「バーストォォオオオオオオオ!!」
スタートと同時に全力のダッシュ。
スタート地点をドゴンと音を立て、入試以上のスピードで50メートルを駆け抜けた。
駆け抜けた後振り向くと地面は一直線に軽く抉れ、計測器をなぎ倒していた。
『ガガガ……1…秒』
俺の記録を告げると共にボン!という破裂音を出して大破した計測器。
俺は壊れた計測器を看取った後、すぐさま八百万を見る。
きっと彼女は驚きと熱い視線を……。
ワクワクしながら彼女に注目する俺。
最初は予想通り、驚愕の表情を見せていた彼女だが俺と視線を合わせると……鋭い目で俺を見てきた。
あれ?
思っていた状況と違い、唖然としていると先生が俺のそばまでやってきて。
こう言った。
「後で穴を埋めとけよ」
あれれ?
それから握力、立ち幅跳び、反復横飛び、ボール投げと驚異的な記録を八百万の気を引こうと頑張ったのだが……。
ヤベーよめっちゃ俺を睨み付けてくるよ。
俺の一挙一同をめっちゃ睨み付けてくるよ。
熱い視線をビシバシ感じるよ。
そしてボール投げが終わった後、彼女の近くを通り過ぎようとしたら……。
「身体能力が高いだけではヒーローは務まりません。
私は貴方には負けませんからそのつもりで」
まさかの宣戦布告!?
出会った時以上に最悪の状態に!?
なんてこった!!ツンツンからツンケンにクラスダウン!?
敵認定ですか?ライバル上等ですか?
そういうのはバトル漫画で十分なんだよ!!
おれが欲しいのはちょっとエロくて楽しい学園ヒーローラブコメなんだよ!!
恋人がほしいのであって決してライバルが欲しいわけじゃないんだよ!!!
精神的に激しいショックを受けた俺は変身が解けた状態で全種目を終了。
途中で緑なんとか君が先生と何やらやっていたがもうどうでもいいや。
「んじゃ、パパッと結果発表。
トータルは単純に各種目の評点を合計した数だ。
口頭で説明するのは時間の無駄なので一括開示とする」
もはや記録も除籍もどうでもいい。
早く帰って寝たい。
「ちなみに除籍は嘘な。
君らの最大限を引き出す合理的虚偽」
「はーーーーーーーー!?」
「あんなのウソに決まっているじゃない…。ちょっと考えればわかりますわ…」
先生の虚偽発言に一部驚愕の表情と叫び声をあげるクラスメイト達と荒ぶるクラスメイトにあきれた表情を見せる八百万。
ああ、敵意ではなくあきれた表情を向けられる眼鏡達が妬ましい。
把握テストが終了し、クラスメイト達は教室へと帰っていく。
俺も彼らに続こうと足を教室へと向けるが……。
「斉藤、忘れずに穴を埋めろよ」
「あ、ハイ」
どうやら俺はまだ教室に帰ることは出来ないようだ。