IS~ISと忍術と復讐と~   作:狐の面

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第13話 奪還作戦

Side 無月

 

夏休みも中盤に差し掛かり、俺はIS学園を抜けるための算段を考えていた。この間の臨海学校の時に篠ノ之束の情報は掴んだし、ここにいる必要はもうないといっていい。篠ノ之束の居場所自体は不明だが、気配自体は覚えている。近くに行けばわかるはずだ。

 

そのためにもアジトを探す必要がある。最悪、織斑姉弟や篠ノ之束の妹を人質にとればあちらから向かってくるだろう。知っていそうな者がいれば人間道の力で情報を抜きとればいい。ただ、対象者が死んでしまうのが難点だ。

 

狙うなら学園祭の終了後。学園に襲撃をかければ織斑千冬も当然出てくる。奴には挨拶をしておく必要があるからな。

 

そしてゴスペルはやはりコアの凍結処分を受けたらしい。ナターシャさんにはコアの位置を見張っていてもらうことを頼んである。情報の伝達は基本的にはメールだが、緊急の際は電話をしてもらうことにしている。

 

ゴスペルの奪取は1週間後。その際にナターシャさんもアメリカから行方不明になってもらう予定だ。コアを持って消えるというところが難点だが、手段は選んでいられない。

 

俺もその時に備えて仮面を用意している。オビトが被っていたような仮面だ。右目に穴が開いており、その穴を中心に螺旋を描いている。これで正体がばれることはないはずだ。

 

ナターシャさんからゴスペルが保管してある場所の構造は送られてきているので、俺は立てた作戦に穴がないかもう一度考えてみることにし、イスに座り、机に向かった。

 

 

 

                 ◇

 

 

 

Side 無月

 

それから4日後の深夜。突然俺の携帯にナターシャさんから連絡が入った。

 

「無月くん、緊急事態よ。とにかく早く来て」

 

「わかりました。話はそちらで聞きます」

 

よほどの緊急事態らしい。俺は急いで作っておいた忍装束に着替え、仮面を被ってナターシャさんの元に飛雷神の術で飛んだ。

 

 

 

「本当にいきなり現れるのね。驚いたわ」

 

「まあ、そういう移動手段ですから」

 

ナターシャさんは全身黒のスーツを着ており、サングラスをつけている。ボディラインがくっきりと見え、目のやり場に困ってしまう。とても似合う。とても似合うんだが、なぜそんな格好?普段着で良くないか?

 

「ナターシャさん。普段からそのスーツで生活してるんですか?」

 

「あら、スパイをする時はこの格好の方が身が引き締まると思わない?それにあなたに言われたくはないわ。その仮面は何がしたいの?」

 

ナターシャさんは呆れたような表情で俺に言う。

 

「顔を見られたら困るので。それに良いでしょう?悪の組織っぽくて」

 

「うーん、良くわからないけど、あなたが良いのなら、いいんじゃないかしら」

 

どことなく投げやりなナターシャさん。いや、こんなことをしている暇はないか。

 

「それで何があったんです?」

 

「ゴスペルが保管されている場所が襲撃されたわ。どこの組織かまではわからないけどここに来た以上、ゴスペルを狙っているのは間違いないわ」

 

どうやら襲撃を受けているらしい。ナターシャさんは専用機を持っていないので防衛には加わらず、俺を呼んだらしい。

 

確かにここでゴスペルを奪われるわけにはいかない。普通に考えれば危機的な状況だ。しかし、俺はこの状況を逆手に取ることにした。

 

「ナターシャさん。まずはゴスペルを奪われてみましょう」

 

「な、何を言ってるの!?ここでゴスペルを取られるわけにはいかないわ!!」

 

 説明を省きすぎたな。ナターシャさんが混乱してしまった。

 

「落ち着いてください。今回の作戦には1つだけ穴がありました」

 

「・・・穴?」

 

ナターシャさんは俺がただ奪われるのではないと思ったのか、落ち着いて話を聞いてくれるようだ。

 

「ナターシャさんがコアを持って逃亡したと思われることです。しかし、襲撃犯に奪われて、それを止めようとしたナターシャさんは死亡した。こう思わせることができれば今後、動きやすくなるはずです」

 

ナターシャさんは考えるような仕草をする。なんか絵になるな。

 

「わかった。どのみちアメリカにいられなくなるんだもの。英雄として出て行った方が気持ちいいわ。けど、大丈夫なの?あなたの専用機は使えないんでしょう?」

 

そうなのだ。俺の専用機の情報は回っているはずだ。能力までは知られていないだろうが、専用機を使えば俺が追われてしまうだろう。追われること自体は構わないが、今はまだ時期じゃない。

 

「ISがなくても問題ないですよ。正々堂々と奪い取るわけじゃないですから」

 

「なら、行きましょう。出口は1つしかないからそこから出てくるはずよ。救援が来るまでには逃げるでしょうから」

 

そう言うとナターシャさんは走って出口の方へと向かって行った。俺はそれを慌てて追いかけた。

 

 

 

「防衛戦力はどうなってるんです?」

 

「ISが1機いるだけで他の重要施設と大差はないわ。軍はいるけど、役に立たないでしょうし」

 

ふむ。おそらく相手もそれをわかって襲撃を仕掛けてきている。だが、ISが防衛しているとわかっていても襲撃を仕掛けるぐらいだ。相手もISを持っているのだろう。

 

俺達は出口の近くで待機している。ナターシャさんには演技をしてもらわなければならない。死んだという結果が求められるからだ。危険な行為だが、ナターシャさんはOKしてくれた。

 

すると騒ぎが大きくなってきた。そろそろ来るのだろう。

 

「それじゃあ、ナターシャさん。作戦通りにお願いします。気をつけて下さい」

 

「任せといて。危なくなってもあなたが助けてくれるんでしょう?」

 

そういってウインクをするとナターシャさんは騒ぎの方へと向かって行った。これは必ず助けないとな。俺は飛雷神の術式がついたクナイをあらゆる場所に投げておいた。

 

 

 

「そのコアを渡すわけにはいかないわ!」

 

「ああん?なんだ、てめえは?」

 

ナターシャさんが出口の前に立ちはだかる。出てきたのは黒と黄色の背中に8つの独立したPICを展開している装甲脚を備え、蜘蛛を模したISだった。

 

「それはアラクネ!ますます逃がすわけにはいかないわ!」

 

ナターシャさんの口ぶりからいくと、どうやらあのアラクネと呼ばれたISはアメリカのISらしい。しかし、ISを使う組織か。少し興味が出てきた。

 

「へぇ。知ってんのか?しかし、何の冗談だ?生身でISの前に立ちはだかるなんてよ」

 

今のナターシャさんはISを装備しておらず、手に持ったハンドガンしか武器はない。IS相手には無謀としか言いようがない。

 

「あなた頭が悪そうね。何の策もなくこんなことしていると思うの?」

 

「なんだとコラァ!」

 

挑発に乗りやすい奴だなあ。このまま思惑通りに動いてくれないかな?でもナターシャさん、挑発慣れしてないか?気のせいかな?

 

「このオータム様をこけにするなんて許さねえ。何か仕込んでいようが瞬殺すれば関係ねえだろ?」

 

そういうとオータム?は8本の足の1つの砲門をナターシャさんに向けた。そろそろか。

 

「怖くて何にも言えねえか。じゃあな」

 

ドンッ!

 

「きゃあ!」

 

ナターシャさんは胸から血を流す。

 

「ぐっ・・・本当に撃つなんてね」

 

「当り前だろうが。もう死にそうだな。バカな奴だ」

 

オータムは勝ち誇った笑みを浮かべ、せせらと笑う。

 

「なら・・・最後の・・・抵抗をさせてもらおうかしら」

 

そういって息も絶え絶えなナターシャさんが取り出したのは小型の爆弾。ミラージュが開発した小さいながらも爆発力は折り紙つきの1品だ。

 

「てめえ。正気か?」

 

「死ねば諸共って言うでしょ?一緒に死んでもらうわ」

 

そういうとナターシャさんはオータムに向かって爆弾を放り投げた。

 

ドゴオオンッ!!

 

掌大の爆弾とは思えない爆発が辺りを包み、爆炎が立ちのぼった。

 




まだ投稿して日も浅いのですが。多くの感想を頂いています。
作者としてはご指摘された点を踏まえて、内容を修正していきたいのですが、4月から個人的な事情で更新がしばらく止まってしまいます。

更新停止が長期間になるのは避けたいので、申し訳ないのですが、まずは話を進めていくことを優先させていただきます。

なんとか3月中に完結させたいです。
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