IS~ISと忍術と復讐と~   作:狐の面

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第18話 強襲

Side 無月

 

学園祭の翌日、授業は午前中で終わり、現在は20時。俺は地下へと続く階段を下りていた。表では語られていない地下研究所。ここに侵入者となれば誰かが来るのだろう。

 

「しかし、よくもまあこんなところを作るものだ」

 

地下50m。関係者しか入れない施設だが、入れるであろう人間の目星はついていたので、そいつから情報を取り、侵入には成功した。ここは日本政府が秘密裏に作った研究所で目的は学園に来る専用機の解析だ。

 

俺は北条さんからもらった端末をメインコンピュータに取りつけ、情報を抜き取り始めた。ここは警備システムがザルすぎるな。10年分の蓄積もあってか、30分ほど時間がかかったが、情報はすべて抜き取った。

 

俺は端末を巻物にしまい、同じ形をしたダミーを手にしておく。もうこの場所に用はない。俺は修羅道の力を使い、カラクリの武装を口寄せする。口寄せしたカラクリの腕から小型ミサイルが発射されて爆発が起きた。

 

ウーウーウー

 

けたたましい警報音が鳴り響き、地下で何か起きていることを告げた。

 

 

 

                 ◇

 

 

 

騒ぎを聞きつけた教員たちが慌ただしく動き出す。そんな光景を尻目に俺は廊下を歩いていた。そして、目の前にはこんな派手なことをしてまで会いたかった人物が来てくれた。

 

「・・・遅かったですね、楯無さん」

 

「霧雨くん。あなたの目的は何?事と次第によっては容赦しないわ」

 

ここに駆けつけてきたのは、IS学園生徒会長にしてロシア国家代表。そして日本政府対暗部用暗部・更識家第17代目当主・更識楯無だった。

 

「あなたは一体何がしたいの?」

 

楯無さんが真面目な顔をして言う。普段のおちゃらけた感じはなく、更識家当主としての顔があった。

 

「俺の目的は一切ぶれていません」

 

「復讐・・・やっぱりあなたは止まらないのね?」

 

楯無さんは割と本気で俺を止めようとしていたからな。

 

「臨海学校の時にね、俺は篠ノ之束に会いましたよ」

 

「・・・聞いているわ。大まかにだけど」

 

今思い出しても許すことができない。自分の気に入らない奴を排除するためには他人を巻き込むことを厭わないクズさと私利私欲のためにゴスペルの望まぬ強制的な暴走を引き起こした非道さ。

 

「楯無さん。ISは操縦者の命令通りは動かない、ということです」

 

「・・・話の意図が読めないわ」

 

篠ノ之束によってISが暴走させられるなんて夢にも思っていないのだろう。おそらくこれを知っている人間は世界でも俺達しかいない。

 

「楯無さんには感謝していますよ。退屈だった学園生活が楽しかった。楯無さんのおかげです」

 

これは本当だ。だからこそ楯無さんを打ちのめすようなことは避けたい。

 

「本当にそう。私も同じよ。けど、お仕事とプライベートは分けないといけないの。あなたは既に学園の敵、私の役目は学園の敵の排除。どいてほしいと思っているのなら諦めた方がいいわよ」

 

できる人は違うな。だが、俺も仕事とプライベートは分けることができる人間だ。俺は写輪眼を発動し、楯無さんを見る。目があった。悲しそうな顔をしているが、後輩に手をかけたくないだろうか?

 

「楯無さん、迂闊でしたね。俺と目を合わせるなんて」

 

「・・・何を言っているの?」

 

写輪眼相手に目を合わせて戦うことは自殺行為だ。戦うとしたら目にも映らないスピードで戦闘をするか目を合わせないで戦うしかない。まあ、前者はISでも不可能だと思うがな。

 

「魔幻・枷杭の術」

 

楯無さんの体中に杭が刺さった光景が映る。

 

「体に杭が・・・!?っ!どうして?体が動かない!?前みたいに何かしたわけじゃないのに!?」

 

この世界に写輪眼は存在しない。つまり写輪眼と戦うノウハウはない。楯無さんでも何が起きたのか気付かなかっただろう。

 

「さよなら楯無さん。次に会う時は敵でしょう。お元気で」

 

「ま、待ちなさい!」

 

俺は楯無さんの横を通り抜ける。おっと、マドカのためにも専用機持ちを集めておかないといけないな。

 

「楯無さん。あなたはしばらく身動きがとれませんが、ISのプライベート・チャンネルは使うことができるでしょう。俺はこれから第3アリーナに向かいます。あなたのこと、嫌いじゃありませんでしたよ」

 

「霧雨くん!!」

 

さて、これで奴らは来るはずだ。主賓が来るまでのいい暇つぶしになるだろう。

 

 

 

時刻は21時。少し楯無さんと話しすぎてしまったが、この時間ならアリーナに来る一般生徒はほぼいない。巻き込むのは気が引けるからな。真っ暗な第3アリーナの中央で俺は専用機持ち達が来るのを待っていた。

 

「霧雨!!」

 

急にアリーナに明かりが灯され、専用機持ち達が次々と現れる。織斑をはじめとする1年生の専用機持ちの面々。2、3年生はいないようだ。それに楯無さんの妹もか。しかし、専用機が6機。戦争ができる戦力だな。

 

「どうした?織斑。こんな時間に何か用か?」

 

「ふざけるな!!お前は自分が何をしたのかわかってるのか!?」

 

さて、楯無さんはどこまで話をしたことやら。

 

「話の意図が読めないな。俺が何をしたというんだ?」

 

「楯無さんから全部聞いた!この騒ぎを起こしたのがお前だってな!」

 

さすがは楯無さん。あの状況で要点をかいつまんで教えたというのか。

 

「霧雨、お前の目的は何だというんだ?」

 

織斑の隣にいた篠ノ之束の妹が冷静に言う。他の面々もまだ戦闘を開始する気はないようだ。

 

「さてな。言うなら・・・気まぐれであり・・・計画でもあり・・・戦争のためでもあり・・・平和のためでもある」

 

「・・・これだけ騒ぎを起こしておいて平和だと?」

 

軍人が言う。

 

「さあな。いずれわかることだ。この場でお前達に言っても意味がない」

 

「だいぶ、ずれてるみたいだね」

 

負け犬が続き、

 

「あなたが何を企んでいるかなんてこの際関係ありませんわ。今ここで捕えればいいだけですもの」

 

「あんた、この人数相手に本気で勝てると思っている?」

 

金髪と猫が言う。まだ自分達が有利だと思っているらしい。数で押しても意味がなかったゴスペルとの戦いをもう忘れたのだろうか?

 

「霧雨、覚悟しろ!」

 

そういうと全員がISを装着する。だが、先手は常に取るものだ。俺は天牙を口寄せすると同時にチャクラを一気に爆発させ、専用機持ち達の前に現れる。

 

「なんだと!?」

 

ターゲットは一番手前にいた織斑。一気に天牙を振りおろし、戦闘不能にしようとするが、負け犬が盾を展開して防ごうと前に立ちはだかった。何の変哲もない実体の盾。そんなもので防げるはずはない。

 

ズバッ!

 

「そんな!!」

 

盾ごと切り捨て負け犬にダメージを与える。だが、浅い。エネルギー切れには至らなかったようだ。この光景を見て全員が空中に飛び、俺の攻撃を逃れた。

 

「貴様、本当に人間か?」

 

軍人が信じられないというように聞いてくる。さて情報戦と行きますか。

 

「俺のISは特別製でな。展開しなくてもある程度は性能を発揮して戦闘することができる。俺自身は普通の人間だ」

 

もちろんこれは嘘だが、奴らには確かめる術がない。俺の言葉を信じるしかないのだ。

 

「行こう、雫」

 

俺は雫を展開して飛びあがった。

 

 

 

                  ◇

  

 

 

Side 無月

 

「絢爛舞踏か、なかなか面白いワン・オフ・アビリティーだ」

 

戦闘が始まってから10分ほど。6人で俺に向かってきている。篠ノ之束の妹は失われたエネルギーを回復させる力を持っているようだ。篠ノ之束の妹を金髪が守りながら戦っている。

 

そして近接戦闘を仕掛けてくる織斑や猫がエネルギーを失えば代わりに軍人や負け犬が代わりに入り、戦ってくるが、決定打に欠ける上に俺とは近距離戦に置いて隔絶した力量があった。だが、数回落としても回復してまた向かってくるのは面倒だった。

 

「じゃあ、こちらから攻めさせてもらおう」

 

そういって俺は近接戦闘の奴らから距離を取り、短刀をばら撒いた。

 

「気をつけろ!来るぞ!!」

 

軍人が叫ぶ。飛雷神の術を体験した1人だ。間合いを一瞬で潰される恐ろしさは理解しているのだろう。刺さった短刀から全員が距離を取る。だが、それが自分達の動きを阻害する枷となる。

 

俺は芭蕉扇を展開し、印を結び、振った。

 

「火遁・豪火滅却!!」

 

視界を覆う炎の壁が金髪と篠ノ之束の妹に向かって行く。高速で飛来する巨大な炎の塊は横の幅が広く、上下にしか避けようがない。2人は下に避けるが、それを見切っていた俺はその近くにある短刀に飛び、篠ノ之束の妹の持つ刀を弾き、捕まえた。

 

「まずは1人目」

 

「くっ!離せ!!」

 

そういって抵抗する篠ノ之だったが、武器がない。このまま切り捨てて撃墜しようとしたが邪魔が入る。

 

「箒ぃーーー!!!」

 

織斑が零落白夜を全開にして突っ込んできた。あれに当たるわけにはいかないので、篠ノ之束の妹を離して攻撃を避けた。

 

「すまない、一夏」

 

「ああ。お前がやられるわけにはいかない。気にするな」

 

貴重な回復役を守るために必死になっているようだ。だが、印はつけた。

 

「鈴、シャル、ラウラ!4人で一斉攻撃だ!!」

 

「「「わかった!!」」」

 

そういって4人で向かってくる。金髪も俺をけん制しようとビットで攻撃を仕掛けてきた。そして篠ノ之束を守るものは誰もいなかった。

 

4人の一斉攻撃が当たる直前。俺は印をつけた篠ノ之束の妹の元に飛び、風遁のチャクラを込めた新月で思いっきり切りつけた。

 

「なっ!」

 

何が起きたかわからないという表情をする篠ノ之束の妹だが、もう遅い。エネルギーを失い、奴は下へと墜ちて行き、ISが解除された。

 

「何故だ!?箒は短刀には近づかなかったはず!」

 

分析力に長ける軍人が言う。確かに軍人との戦いで見せたのは短刀への移動。ただ、飛雷神の術は術式の書いてある場所への時空間移動。短刀から短刀へ移動する術ではないのだ。

 

「これで回復役はいなくなった。もう終わりだよ、お前たちは」

 

俺の一方的な蹂躙が始まった。

 

 

 

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