IS~ISと忍術と復讐と~   作:狐の面

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第25話 交渉

Side 無月

 

「あそこみたいだ」

 

アーデルハイドの拠点はあの戦場からそう遠くない位置にあった。街中ではあるが、居住者は少数で見つかりにくい場所ではある。

 

「どうやって行く?正面からノックか?」

 

珍しく礼儀正しいことを言うマドカ。だがな、

 

「マドカ、それでいきなり仲間になってくれと言ったら撃たれるんじゃないか?」

 

「・・・そうか?」

 

たぶん、俺と会う前のお前だったら撃ってるよ?

 

「スコール何か良い案はないか?」

 

「そうね。爆発でも起こして隠れ家から出てきた時に攫って、人気のない所でお話っていうのはどうかしら?」

 

なんて物騒な案なんだ?さすが亡国機業。手段は選ばない。まあ、周りを巻き込まない案はそれしかないか。

 

「・・・不本意だが、それでいこう。ここから10km離れた所が人気のない開けた場所になっていたはずだ。そこでスカウトといこう」

 

そういって土分身を3体出す。1体あたり飛雷神を1回は使えるだろう。1体を走らせてその場に向かわせ、術式の書いたクナイを置きに行かせ、マドカとスコールをそちらに飛ばした。

 

「さて、俺は爆発でも起こしますか」

 

土分身をもう一度使い、国際指名手配犯に変化させ、口寄せした爆弾を持たせて無人の民家で爆発させに向かわせた。俺はアーデルハイドの隠れ家の前で待機し、爆発を待つことにした。

 

ドオンッ!

 

比較的規模の大きい爆発が起きる。民衆は騒ぎだし、警察が動き出す。周りは騒然と言う気配になってきた。

 

バンッ!

 

騒ぎに気付いたアーデルハイドが出てくる。背中まで伸ばした銀髪が鮮やかだ。そしてこの好機を逃すわけにはいかない。

 

「アーデルハイド・ローゼンベルグだな。少し来てもらう」

 

「貴様、何者だ!」

 

これ以上の問答は無用だ。俺はアーデルハイドに触れ飛雷神の術で飛んだ。

 

 

 

「こ、ここは?私は街にいたはずではないのか?」

 

急に風景が変わったことで驚くアーデルハイドだが、俺が近くにいることに気付き、警戒心を増す。

 

「貴様が原因か!目的はなんだ!」

 

こちらに殺気を向けてくる。密度の濃い殺気だ。

 

「なに、俺たちの仲間になってもらおうと思ってな。スカウトしに来たわけだ」

 

「戯言を。私は傭兵だ。自由に生きると決めている。誰がお前について行くものか!」

 

・・・やはり。自由という言葉を聞いて俺はアーデルハイドが何を求めているのか納得した。

 

「仲間になっても自由にしてくれて構わんさ。こちらの目的に協力してもらえればな」

 

「目的だと?」

 

アーデルハイドがこちらに問う。だが、素直に答えるわけにはいかない。

 

「そう慌てるな。お前は強いんだろう?俺も多少は自信がある。ちょっと勝負でもしないか?お前も自分より弱い奴の下にはいたくないだろう?」

 

そう言うとアーデルハイドはにやりと笑う。

 

「面白い。私に勝負を挑むとはな。私が勝ったら仲間になるという話は却下だ」

 

相当自信があるのか、勝負には乗ってくれるようだ。

 

「俺が勝ったら仲間になってくれるのか?」

 

「それも断る。まずあり得ないからな。お前は私に勝てない。見たところお前は男だ。ISは使わないでおいてやる。行くぞ!」

 

そういうや否やアーデルハイドが飛び出してきた。速い。少なくとも並の人間が出せる速さではない。俺も純粋な身体能力で勝負することにした。顔に向かって繰り出された拳をぎりぎりで回避する。

 

「ほう?私に挑むだけあるようだな。もっと速度を上げて行こう」

 

まだ上がるのか?正直勘弁してもらいたい。今の速さより少し上が俺の生身で対応できる限界だろう。それ以上はチャクラが必要になる。さすがとしか言いようがない。世界のトップレベルを軽く凌駕している。

 

そしてアーデルハイドの猛攻が始まった。

 

 

 

Side マドカ

 

「・・・凄まじいな」

 

生身での攻防が過熱していく。無月はぎりぎりで避けつつ反撃を試みるが、全て避けられ、防御されている。

 

「それについて行く彼も相当よ」

 

スコールも呆れている。確かにアーデルハイドの猛攻を凌いで、反撃をする無月も十分化け物だ。だが、違和感がある。

 

「おかしい。無月は生身でISに対抗できるはずだ。なぜ劣勢に立っているんだ?」

 

実際に私相手に勝っているのだ。生身で負けるはずがないと思っていたのだが。そうこうしているうちに無月が顔面に一発食らって飛ばされていた。

 

 

 

Side 無月

 

「どうした?なかなかやるようだが、その程度か?」

 

アーデルハイドは相当な強さだった。生身で対抗するに限界がある。それに戦闘の途中から奴の目が金色になっていた。

 

「そいつがヴォーダン・オージェか?」

 

アーデルハイドはヴォーダン・オージェが知られていたことに驚いたようだ。一瞬構えを解いてこちらを見る。だが、次の瞬間、その顔に嫌悪の感情が現れる。

 

「ほう、知っているようだな。いや、知っていて仲間にしようと言うのか?どいつもこいつも私を使おうとするばかりで胸糞が悪い」

 

こうして傭兵をやっていても勧誘されているのだろう。戦闘マシーンとして。

 

「バカを言うな。その眼を持っている程度で仲間にしようなんて思うはずがないだろう?それに俺も良い眼を持っている。ヴォーダン・オージェだけで良い気になるなよ?」

 

「・・・なんだと?」

 

そう言って写輪眼を使う。生身でやるのはここまでだ。ここからはチャクラも使わせてもらおう。

 

「目に模様が?なんだ、その眼は?」

 

「写輪眼って言ってな、お前のヴォーダン・オージェに負けない代物だ。さあ、第2ラウンドと行こうか!」

 

そういってチャクラを足に集中して一気に接近する。顔面を狙って蹴りを放つが、アーデルハイドはそれをしゃがんで回避し、銀髪が数本、宙を舞った。ぎりぎりでこちらの攻撃を避けたアーデルハイドは俺から距離を取る。

 

「・・・この一撃を避けるとはな」

 

ヴォーダン・オージェを使っているとはいえ信じられないな。

 

「舐めた奴だ。まだ本気ではなかったとはな。だが、負けん!」

 

そう言って構えを取るアーデルハイドだが、そろそろ生身ではなくISを出させないとな。俺は写輪眼から輪廻眼に切り替える。

 

「また眼が変わっただと?貴様、一体何者だ?」

 

「まあ、いいじゃないか。それより次の攻撃は避けられるかな?」

 

そういって左手をアーデルハイドに向け、右手を近くにあった大岩に向ける。

 

「万象天引!」

 

「なんだと?か、体が!」

 

俺に引き寄せられるアーデルハイド。だが、それだけではない。大岩も万象天引の効果で引き寄せられているため、空中でアーデルハイドに衝突しそうになる。

 

「くっ!やむを得ん!!」

 

そういってISを展開したアーデルハイドは大岩をレーザーブレードで切り捨て、地面すれすれに浮き、俺を見る。

 

「面白い奴だ。思わずISを展開してしまった」

 

しまった、と言わんばかりの表情をするアーデルハイド。律義な奴だ。

 

「なら生身の戦いはこれで終わりにしよう。ここからはISを使った勝負と行こうじゃないか!」

 

「お前は男だ。ISを使えるはずはない。それともあそこにいる仲間に頼むつもりか?」

 

これは驚いた。どうやらマドカとスコールがいることに気づいていたらしい。

 

「そんな無粋な真似はしない。戦うのは俺だ。行こう、雫」

 

そういって俺は雫を展開した。

 

「さて、名乗っていなかったな。俺は霧雨無月。世界で2番目の男性IS操縦者だ」

 

本当は世界で最初なんだが、順番なんてどうでもいいから訂正はしない。

 

「霧雨無月だと?聞いた話では行方不明と言う話だったがどういうことだ?」

 

「ああ、あれは日本政府のついた嘘だ。俺は自分でIS学園を抜けた。それである目的のために仲間集めをしている途中なんだよ」

 

もちろんその過程でアーデルハイドを仲間に加えたいんだがな。

 

「それで私か。まあいい。ここでお前は負ける。私には関係ないことだ」

 

「いや、勝つのは俺だ。なんとしても仲間になってもらう!」

 

そう言ってアーデルハイドから距離を取り、芭蕉扇を展開して印を結ぶ。

 

「火遁・火龍炎弾!」

 

炎の龍がアーデルハイドに向かって走る。これはチャクラを練り込んであり、対象を追尾する術。避けても無駄だ。それに以前軍人がやったような相殺できる場所もない。まずは一撃か。

 

「はあっ!」

 

どうやらこちらの術に対する過信だったようだ。アーデルハイドは掛け声とともにレーザーブレードを一閃。居合いの要領で火龍を切り裂いた。

 

「ふん。この程度では私を倒そうなんて到底無理なことだぞ?さあ、次はこちらからだ!」

 

そういうとアーデルハイドは瞬時加速でこちらに向かってきた。俺は新月を展開して迎撃する。

 

 

 

Side マドカ

 

「スコール、アーデルハイドに勝てそうか?」

 

目の前で繰り広げられる戦いを見て思わずつぶやく。

 

「どうかしら?マテリアル・ハイとは相性が悪いから戦いにくいわ。それに、マテリアル・ハイ抜きなら負けるわ。速すぎるもの」

 

無月の雫に対抗する速さと言うのも驚きだが、アーデルハイドのISはヴォーダン・オージェの使用が前提のようだ。超高速戦闘能力と言える。昨日の戦いでは手を抜いていたのだろう。

 

だが、私はそれを見て対抗心を覚えた。この戦いはおそらく世界でトップレベル。モンド・グロッソ決勝戦よりもレベルが高いだろう。私もこのレベルまで行きたいと思う。

 

そして戦闘自体は互角と言える。タイプが同じな上に2人とも特殊な目を持っている。戦闘自体は長引きそうだ。だが、無月には能力がある。飛雷神の術を使う暇はなさそうだが、それだけではないからな。

 

 

 

Side 無月

 

「驚いた。まさかここまでやるとはな」

 

アーデルハイドの強さは想像を超えていた。昨日見せた戦闘では手を抜いていたとしか言いようがない。

 

「こちらもだ。だが、勝ちは譲らない。白銀の戦姫の名。知らしめてやろう」

 

そして、背中に4枚の翼のようなスラスターが現れる。まだ速くなるのか。とことんスピード特化だな。

 

「これが私を白銀の戦姫たらしめる所以だ。このブレードしか使えなくなるが私には都合が良い」

 

そう言うや否や瞬時加速のようなスピードでアーデルハイドが突っ込んでくる。それを避けるとまた同じスピードで向かってきたので、それも避けた。おかしい。瞬時加速はこんな滑らかな移動は不可能なはずだ。

 

「・・・瞬時加速じゃないのか?」

 

「これが通常だ。瞬時加速はもっと速い。くらえ!」

 

先ほどよりもさらに速くなった。これ瞬時加速か。なんとか直撃は避けたが、かすってしまった。それにバカでかいブレードだけに一撃が重い。

 

「速いな。でも速さだけでこれは回避できないぞ?」

 

そういって新月にチャクラを込める。これは奥の手だ。

 

「風の刃・乱れ桜」

 

そういって刀を素早く振り、風の刃を連発する。いつもと違うのは見える刃に見えない刃を混ぜて飛ばしていることだ。

 

それを知らないアーデルハイドは斬撃を食らう。だが、さすがヴォーダン・オージェ。少しは見えているようだ。掠りはするが直撃はしていない。

 

「くっ!こざかしい真似を!」

 

斬撃を凌ぎ切ったアーデルハイドがこちらに瞬時加速を仕掛けてくる。ここだ。

 

「神羅天征!!」

 

瞬時加速の勢いに負けないためにいつもよりチャクラを込めた神羅天征を放つ。

 

ズドオンッ!

 

「ぐうっ!」

 

壁に当たったようにアーデルハイドが跳ね返される。そして体勢が崩れた。俺は瞬時加速で距離を詰め、新月を振り上げる。

 

「俺の勝ちのようだな、アーデルハイド」

 

「くそおおおっ!!」

 

避けられないと悟ったのか、アーデルハイドが悔しそうな声を上げる。そのまま俺は新月でアーデルハイドを斬りつけた。残りのエネルギーでは耐えきることは不可能だろう。

 

アーデルハイドはそのまま地面に墜ちて行く。俺もそれに続いて地面に降りて行こうとした。俺もエネルギーはそう多くない。瞬時加速の一撃のダメージが思っていたよりも大きかった。

 

俺は地面に降りたが、違和感がある。なぜかアーデルハイドのISがなかなか解除されない。

 

「うあああああああっ!!」

 

アーデルハイドがさっきとは異なる叫び声を上げた。ISからは紫電が走る。

 

「まさか、暴走か!?」

 

軍人の時に見せた現象と似ている。黒いドロドロとしたものがアーデルハイドを包んでいった。

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