IS~ISと忍術と復讐と~   作:狐の面

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第26話 ALS

Side アーデルハイド

 

「俺の勝ちのようだな、アーデルハイド」

 

突然目の前に現れ、私と戦い始めた男・霧雨無月が私に告げる。迫りくる刃が私のブルートを斬りつける。

 

私はここでせっかく手に入れた自由を失うのか?

 

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ――――――!!!!

 

 

 

私は研究所で生まれた。ドイツのアドヴァンスド計画の一環として。研究所での扱いは悪くなかった。だが、それは私を思ってのことではない。ただ単に私がアドヴァンスド計画史上最高の能力を持っていたからだ。

 

来る日も来る日も繰り返される実験に戦闘訓練。振り返ると私の人生にはこの2つしかなかった。

 

必要なもの以外は何もない部屋。私の唯一の楽しみは取りつけられた窓から見える風景を見ることだけだった。空を自由に飛び回る鳥。私にはそれ一生無縁なものだと思っていた。だが、転機が訪れた。

 

「・・・これがIS」

 

13歳を過ぎた頃、私はISを手に入れた。乗ってみろと言われて乗ったISは自由に飛ぶという願いをかなえてくれた。ただ、当然、制限はあった。

 

研究所ではシールドが設定されており、建物の外に出ることは叶わなかったのだ。そしてISは訓練時以外では取り上げられた。私の中では建物の外の世界を飛びまわる夢は次第に大きくなっていった。

 

 

 

ある日、私のブルートにあるシステムが取りつけられた。アンチ・リミット・システム。通称ALSという代物だ。

 

モンド・グロッソ優勝者の動きを模倣するVTシステムと並行で研究が重ねられたというそれは、操縦者の脳信号に干渉して普段は押さえられている脳内のリミッターを強制的に外してしまうものらしい。

 

ISは操縦者の身体能力も操作技術に関係する。身体能力を向上させれば、今まで以上に強力なIS操縦者になれるのではないか、という構想の元にそれは作られたそうだ。計画は途中で頓挫したそうだが。

 

通常の人間がそれを使えば身体が崩壊する恐れもある危険な代物。ただ、アドヴァンスド計画史上最高の能力を持つ私なら試験データが取れるかもしれないと考えたらしい。

 

ALSが実装された最初の稼働実験。深紅のブルートが黒色に塗りつぶされていく。それと同時に私に信じられないほどの力が湧いてきた。

 

ここしかない。

 

そう考えた私はブルートのレーザーブレードを展開し、実験室のシールドを斬りつけた。今まで何をしてもビクともしなかったシールドは簡単に斬れた。

 

私は建物を突き破って空へと飛び出す。これが外の世界。初めて見る空には星は輝き、月は美しかった。だが、次の瞬間、思考が黒く塗られ始めた。

 

激しい頭痛と共に『全てを壊せ、焼き尽くせ、殺せ―――』という声が頭の中から聞こえ、握ったレーザーブレードに力が籠る。

 

ALSの影響か?私は慌ててALSを終了させる。システムの終了と同時に声は聞こえなくなり、身体に痛みが走った。どうやら筋肉が悲鳴を上げているようだ。

 

その痛みに耐えて私は騒がしさを増した研究所からの離脱を図った。ブルートは私のために作られたIS。速度には自信がある。

 

研究所から離れた人も少ないであろう山中でISを解除して一息ついた。ここまでくれば追手は追いつけないだろう。だが、早く国内から抜け出したかった。

 

木の上で一夜を明かすことにして、私は横になり、待機状態となったブルートを見て、今日の脱走について振り返る。今回の脱走はこいつがなければ決してできなかった。

 

鳥には羽があるように私にはISがある。もう研究所に縛られることもない。

 

「・・・ALSか」

 

信じられない力を手に入れる代わりに圧倒的な破壊衝動と体への副作用。がある今日は破壊衝動に染まりきる前にシステムの停止に成功したが、毎回上手くいくとは限らない。

 

「自由を得させてはくれたが、自由を奪うものにもなりうるか」

 

今回は自由を得るきっかけとなったが、破壊衝動に染まってしまったらただの殺戮人形と化してしまうのだろう。そうはなりたくない。

 

ALSは封印しようと心に誓った。

 

その後、ドイツを抜けた私だったが、私には生活していくには金がいる。私は仕事と言うものはわからない。知っているのは戦闘に関することだけだ。

 

だから中東に向かった。ここは紛争が絶えない場所で常に傭兵を求めているらしい。ISを所持し、通常の戦闘力でも常人とは比較にならない戦力となる私の名はすぐに売れた。

 

中には私をフリーの傭兵ではなく、専属の傭兵にしようとする組織もあったが、全て断った。私を戦闘人形にしようという意図が見え見えだったからだ。

 

他の傭兵がうらやむような金額の提示もあったが、私が欲しいのはお金ではない。自由なのだ。そういった類の誘いは全て断った。

 

名が売れると面倒なこともある。ドイツの諜報機関が私の噂を聞き付けて依頼者を装った騙し打ちもあったことも一度ではない。

 

戦友だと思っていた者もドイツを手引きして私を陥れようとしたこともある。信じられるのは自分だけ、そう思っていたし、そう思わなければ生きては行けなかった。

 

 

 

そんな中で現れた霧雨無月。そいつは私に勝負を挑んできた。

 

こいつも私を力で屈服させようとする類の輩なのだろう。こんな奴は数え切れないほどいた。今までの奴らと違うのは異常なまでに戦闘力が高いことだった。

 

そしてISまで使ってくるこいつに私は負けそうになっている。

 

ここで負けるわけにはいかない。私は14年かけてやっと自由を手に入れたのだ。仲間が欲しいと言ってもこいつは私を戦闘の道具に使う輩に決まっている。

 

それにヴォーダン・オージェのことまで知っていた。もしかしたら実験体に使われるのかもしれない。もう二度と研究所なんて嫌だ!

 

 

 

「・・・ALS起動」

 

私はエネルギーが切れかけたブルートにALSの起動命令を出した。ブルートが黒く染まる。

 

だが、様子が前とは違った。紫電が走り、ドロドロとした液体のようなものがブルートを包んでいく。

 

「なんだと?・・・痛っ!!」

 

『―――ろせ!殺せ!殺せ!!殺せ!!!』

 

大きく、そしてどこまででも暗い声が頭に響く。おかしい。ALSの停止命令を出しても受け付けを拒否される。

 

「うあああああああっ!」

 

私の意識は闇へと墜ちていった。

 

 

 

Side 無月

 

「無月、なんだあれは?」

 

騒ぎに気付いたマドカがこちらにやってくる。

 

「わからんが、おそらく暴走だ。だが、以前のVTシステムの時とは形状が違う。どういうことだ?」

 

軍人の時は暮桜の姿になったが、今回はそのような変化は見られない。アーデルハイドのISが黒いドロドロでコーティングされた形をしているだけだ。チョコレート人形みたいだと思っていると殺気を感じた。

 

「マドカ、危ない!!」

 

マドカを抱えて俺は飛雷神の術式の場所へと飛ぶ。すると黒いISはマドカのいた場所に刀を振り下ろしており、地面が割れていた。

 

「パワーが桁外れだな。スコールあれは何か知ってるか?」

 

「残念ながら知らないわ」

 

スコールも知らないようだ。ただ、あいつはVTシステムのように自衛ではなく、破壊衝動で動いているな。

 

「マドカ、スコール。少し離れていてくれ。あいつは危険そうだ。ISを使うのは俺がやられた後で頼む。まだ決闘の途中なんでな」

 

「加勢する、と言いたいところだが、お前は言っても聞かないしな。スコール避難しておこう」

 

そう言ってマドカはスコールと共にISを展開し、この場から離れてくれた。

 

 

 

「雫、あれは何なんだ?VTシステムではないようだが」

 

『あれはALS。アンチ・リミット・システムと呼ばれるものでしょう。操縦者の能力を超えた能力を引き出し、ISの性能をも限界を超えて強化しようという構想のもとで作られたものだそうです。ですが途中で研究はストップしたと聞いています』

 

人間の脳にはリミッターが設けられていると聞く。確かにどこかでやられていそうなものだが。

 

「・・・リスクがあったから中止になったものなのだろう?」

 

『ええ。通常の能力を超える過度の能力を引き出す代わりに操縦者の身体への負担が大きく、最悪の場合、操縦者が再起不能になる可能性があるようです』

 

それはやばいな。ならばさっさと止めないとアーデルハイドが死んでしまう。

 

『無月様、気をつけて下さい。相手の能力が強ければその分、能力も高まっているはずですから』

 

そういうことだろうな。

 

「ああ、わかってるよ」

 

そういって黒いISのいる場所へと向かった。

 

 

 

「破壊衝動に染まったその姿・・・お前が求めていた自由には程遠いな」

 

自由を得るために戦い、結果、自由を失うとは。それほど思うところがあったのだろうな。黒いISはレーザーブレードを構えたまま動かない。が、一瞬でこちらに接近して、ブレードを振り下ろした。

 

「っ!」

 

なんとか新月で防ぐが、写輪眼でも追いきるのがやっとの速さだ。カウンターで合わせる云々の話じゃないぞ?

 

距離を一度とる。こちらのエネルギーは残り少ない。一度でも食らえばアウトだ。それにアーデルハイドが死にかねない状況だ。さっさと決めてしまいたい。

 

その時間は必要ないようだ。アーデルハイドのISの速度はこちらの予想を上回っており、問答無用で切りかかってきた相手に気づかなかった。これでは新月で防げない。

 

ガキンッ!

 

「・・・危なかった」

 

須佐能乎をなんとか部分展開し、一撃を防いだ。そのまま須佐能乎を全身展開させ、切りつける。これを食らえば一撃で終わるだろう。と思ったが、反応が速すぎる。

 

須佐能乎の放った一撃は空を切り、地面に大きなクレーターを作っただけだった。

 

「あれを避けるか。須佐能乎では防御しか無理だな」

 

どうしたものか、と考えていると雫が言う。

 

『飛雷神の術しかありませんね。あれならば避けられないでしょう』

 

「それしかないか。さあ、決着をつけよう」

 

作戦は決まった。俺は短刀を展開し、地面に投げる。当然、相手には避けられる。避ける隙に飛んでもいいが、賭けの要素が強い。あの反応速度では避けられかねない。

 

回避不可の状況を作るしかないのだ。となると地表すれすれまで誘導しなければならない。その間も敵は猛攻を仕掛けてくる。この動きはアーデルハイドの負担にもなっている。さっさと決めないとな。

 

「ぐっ!」

 

新月で切りつけられた一撃を防ぐが、やはりパワーが桁外れだ。そのまま押し切られ、飛ばされるが、これを利用する。

 

飛ばされたことを利用して俺は短刀が多く刺さっている地点めがけて後ろ向きで飛んだ。当然、相手は俺を追尾してきて攻撃を仕掛ける。しかし、俺にさっきまでの焦りはなかった。相手は速く鋭い一撃だが、操られているだけだったからだ。

 

こいつは確かに強力な相手だが、破壊衝動に置かされたこいつでは自由に戦っていたアーデルハイドには及ばないだろう。

 

そうしているうちに地面が近づいてきた。ぶつかる寸前に俺は飛雷神で飛び後ろから斬りつけた。だが、これには反応される。一度離れて体勢を整える。

 

俺は短刀を展開し、上に向けて放り投げると同時に相手の一番近くにある短刀に飛んで、切りつける。当然これも防がれるが、さっきの攻防からこれは予測していたことなので焦らない。

 

鍔迫り合いになるが、俺よりもパワーで上回る相手に長くは持たない。俺が押しきられる、と言うときに俺の求めていたものが来た。さっき投げた短刀が落下してきたのだ。

 

「うおおおおっ!」

 

俺はそれを見て力を振り絞る。相手もさらに力を込めてくるが、その視界から俺が突然消える。押しあいで敵が消えたのだ。勢い余った相手は体勢が崩れ、俺は後ろを取った。

 

「これで最後だ。苦労させやがって。絶対に仲間になってもらうからな」

 

ズバッ!

 

新月が相手を切り裂く。そして、次の瞬間、俺達は白い光に包まれた。

 

 

 

「何だここは?」

 

  真っ白な空間に俺とアーデルハイドがいた。アーデルハイドもこの空間に驚いていたようだが、口を開いた。

 

「お前は何を求めている?私は負けるのが嫌だった。負ければ今を失う。だから力を求めた。結果は・・・この通りだがな。私は負けたのだ。実験体にするなり好きにすればいい」

 

そういうことだろうな。だから勝ち続けるしかなかった。

 

「俺が求めているのは仲間だ。実験体としてのお前が欲しいんじゃない。仲間としてのお前が欲しいんだ」

 

これは断言できる。するとアーデルハイドは驚いたように言う。

 

「なぜ仲間を求める?お前の力なら何でもできるだろう?」

 

「1人でできることには限りがある。俺の目的は世界を相手にすること。1人じゃ絶対に無理だ。だから信頼できる仲間が欲しい。それに俺は今の仲間といて楽しいんだ。不思議だよ。俺は全てを憎んでいたが、楽しいなんて思ってしまう」

 

「・・・仲間か。私にそんなものはなかった。常に1人で戦い続けたし、他人を疑うことしかしなかった。そうしなければ生きられなかったからだ」

 

そうだよな。こいつはそういう生き方をしてきたんだ。だったらこれからは違う生き方をすればいい。

 

「俺と一緒に来い。アーデルハイド」

 

「だが、私は常にドイツから追われている。私にはそれだけの価値がある。お前も私を売るかもしれない。裏切られるのはもう嫌なんだ」

 

一体何度裏切られ、何度絶望したのだろう。だが、そんなことはもうさせない。

 

「そんなことはしないし、させないさ。もし追手が来ても俺がお前を守りきってやるよ。もう1度言うぞ。俺と一緒に来ないか、アーデルハイド?」

 

そう言って俺は手を差し出す。そして目ではしっかりとアーデルハイドを見つめる。

 

「・・・お前を信じてもいいのか?」

 

「ああ。自慢じゃないが、俺は女の子との約束を破ったことはないんだ。お前は俺が守ってやる。約束だ」

 

しばらく考えていたアーデルハイドは俺の手を力強く握り返してきた。

 

「お前を信じよう、霧雨無月。私はお前について行く」

 

「ああ、よろしく頼むぞ、アーデルハイド」

 

そう言って俺も手を握り返したところで空間は閉じ、俺の腕の中でアーデルハイドは眠っていた。安らかな寝顔だった。あの空間はなんだったんだ?月読ではないし、不思議な空間だった。

 

「終わったか?」

 

マドカとスコールもここにやってきてISを解除する。

 

「急いでここを離れた方が良いわ。騒ぎを聞きつけて軍が来てる」

 

「わかった」

 

そう言っていったん、アーデルハイドをマドカに預け、影分身を3体作る。

 

「さて、帰ろうか」

 

それぞれに影分身をつけ、ホテルの部屋に飛んだ。

 

 

 

「ふう、終わったな」

 

今回はけっこうぎりぎりだった。予想以上の強さに加えて暴走だ。飛雷神の術がなければあの速さに対抗するのは骨が折れただろう。

 

「それでどうだったんだ?見たところ勝ったようだが」

 

「ああ、スカウトは成功だ。一度ユーゴスラビアに帰ろう」

 

一度帰って体勢を立て直そう。それにまだスコール達もユーゴスラビアに帰っていない。3人娘もまだまだだ。もう1人を仲間に加える前に全員鍛え直した方が良いかもしれない。

 

「この子はどうするの?」

 

そうだったな。アーデルハイドの部屋は取っていなかった。

 

「うーん、起きるまでマドカの部屋で寝てもらうか。俺と一緒の部屋は問題があるし、スコールと一緒だったら俺がオータムに殺されかねん」

 

「まあ、消去法でそうなるな。わかったこいつは預かっておくさ」

 

俺はマドカの部屋にアーデルハイドを運び、ベッドに寝かせておいた。時間は昼を過ぎている。それにアーデルハイドは明日まで寝ているだろうし。

 

その後、俺達は出発の準備を整えつつ、夕食を終え、俺はいつもより早めに寝ることにした。

 

 

 

Side マドカ

 

夜明け近くになり、目を覚ました私は驚愕していた。この部屋で寝ていたはずのアーデルハイドがいないのだ。逃げたか?とにかく無月に確認をした方が良いと判断した私は無月の部屋に向かった。

 

「おい、無月!大変だ、起きろ!」

 

だが、返事は一向に帰ってこない。あいつはこんな時も。呆れて私は常備している針金を取りだす。磨いておいたピッキングの技術が役に立つ時が来たようだ。

 

「・・・入るぞ、無月」

 

そういって部屋に入って行く。なんだか夜這いみたいな状況だな。いや、断じてそんなことはない。私はアーデルハイドがいないから来ただけだ。別にやましい気持ちはない。この行為は正当な行為なのだ。

 

「起きろ、無月!アーデルハイドが―――お前は」

 

ドアを開け、中に入ると差がしていた奴がそこにはいた。

 

「お前は―――霧雨無月の仲間か。どうした?朝から慌ただしいと思うぞ?」

 

「お前を探しにだな―――ん?その手はどういうことだ?」

 

私はベッドの横に座っていたアーデルハイドの手を指差す。アーデルハイドはベッドから少し出ていた無月の手を握っていた。しかも指と指を絡める恋人つなぎと言うやつで、だ。私だってしたことがないというのに!

 

「これか?これは霧雨無月との約束だ」

 

「なっ!?」

 

ニコッと笑みを浮かべながらアーデルハイドは言った。約束だと!?どういうことだ?手をつなぐ約束でもしたというのか?

 

「ふぁ―――どうしたマドカ?それにアーデルハイド?何でこんなところにいるんだ?それにどうして俺は手をつないでいるんだ?」

 

騒ぎに気付いた無月がのそのそと体を起こす。

 

「おはようだな、霧雨無月」

 

「ああ、おはよう。で、どういう状況?お前はマドカの部屋で寝ていたはずだろう?」

 

無月が握られた手を離してアーデルハイドに問う。

 

「お前は私を守ってくれるのだろう?だから一緒にいるのは当然ではないか?」

 

なんだと!?そんなこと聞いていないぞ?

 

「無月、どういうことだ?」

 

「いや、追手が来るかもしれないから、アーデルハイドを守ってやるって言ったんだ」

 

いや、わかる。だが、それがどうして手をつなぐことになる?

 

「ああ、アーデルハイド、こっちは織斑マドカ。仲間だからよろしくな」

 

「ふむ。マドカ、よろしく頼むぞ」

 

私の疑問が解消されないまま、手を差し出すアーデルハイド。私もしっかりと手を握り返す。

 

「織斑マドカだ。よろしく頼む」

 

「さて、朝か。アーデルハイド、今日は俺たちの国に帰るぞ。準備するものがあったら今のうちに準備しておいてくれ」

 

そういって無月は体を伸ばす。

 

「いや、特にないぞ。それに私の事はアーデルでいい」

 

「そうか、なら朝飯を食いに行こうか。行こう、アーデル、マドカ」

 

「「わかった」」

 

そういって無月は部屋から出て行き、無月の腕にくっついてアーデルハイドが出て行った。

 

「・・・なんなのだ、この感情は」

 

アーデルハイドは嫌いではない。そもそも仲間を嫌う理由はない。だが、無月にくっついて行くアーデルハイドを見ているとムカムカする。

 

「待て!私も行く!」

 

遅れないように私は走り出す。きっと空腹で気分が良くないだけだ。きっとそうだ。そう思うことにして朝食を取りに食堂へと向かって行った。

 

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