IS~ISと忍術と復讐と~   作:狐の面

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大変お待たせいたしました。
4か月ぶりの更新です。



第44話 違い

Side 織斑千冬

 

教室が吹き飛んだのと同時に私は飛んだ。私の暮桜の武装は雪片1つ。対して霧雨はまだ何の武装も展開していない。

 

こいつがIS学園を去る前の戦闘を見たが短刀へと移動する術も持っていた。原理はわからないが、間合いを潰される恐ろしさは理解している。それに恐ろしい切れ味の刀に加えて炎を操る。

 

強敵であることは疑いようがない。だが、負けるわけにはいかない。私は雪片を展開し、構えをとる。私の攻撃は零落白夜を利用した一撃必殺。これで世界を取った。それだけの自信もある。

 

「・・・長かった。ここまで来るのに10年。だが、それも今日で終わる」

 

「・・・・・・」

 

復讐。私が束に協力した白騎士事件で霧雨の両親が死んでいた。それを恨んだ霧雨は私と束を狙っていた。白騎士事件で犠牲者が出たことは霧雨に言及されるまで気がつかなかった。

 

「俺はあの日の事を忘れたことはない。両親の無念、今日ここで晴らす」

 

「私は取り返しのつかないことをしたのだろう。だが、ここで易々とやられるわけにはいかん」

 

私が敗れれば学園は落ちるだろう。かろうじて戦線を支えている生徒たちのためにも負けるわけにはいかない。

 

「・・・お前の全てを否定してやる」

 

そういって霧雨が展開したのは例の短刀だ。あれのある場所に奴は一瞬で移動してくる。警戒をしつつ、霧雨の様子を窺うと、さっそく短刀を投げてきた。距離を取ろうとするが、霧雨が手で何かを形作っていた。

 

「手裏剣影分身の術」

 

「なっ!?」

 

パンッと手を合わせると飛んでいた短刀が分裂し、圧倒的な数となり、こちらに飛んでくる。何て数だ。

 

何百もの短刀が私に殺到する。捌き切る事は出来ないが、回避する道が1か所あった。わかりにくいが、ここなら抜けることができる。そう判断した私はその穴に向かって飛ぶ。

 

「そう・・・避ける道はここしかない」

 

目の前に突然霧雨が現れた。誘いだったか。眼前に霧雨の刀が迫るが、私はそれを雪片で受けた。

 

そして私と霧雨の戦いが本格的に始まった。

 

 

 

Side 無月

 

「さすがはブリュンヒルデと呼ばれていただけはある。だが、残念だ」

 

俺は何度か織斑千冬と切り結んだ。確かに強い。零落白夜は当たれば一撃必殺とも言える効力を持つが、当たらなければどうということはない。

 

速さ的にはアーデルと同程度、第2世代機なのに感心する。それほど暮桜はスピードに特化した性能を誇っていた。それに本人の身体能力も相まってか、一撃に重さがあった。

 

「相手が俺でなければそこそこ戦えていただろうに・・・相手が悪かったな」

 

「黙れ!!」

 

織斑千冬の攻撃は零落白夜を利用したヒット・アンド・アウェー。零落白夜を敵に当てる直前で発動させるためエネルギーの消費が少ない。その動きをぎりぎりまで見極めてカウンターで蹴りをくらわす。

 

「鈍っているな。自らの力に驕ってISに乗らなかったツケは重かったな。そしてあんたは俺に決して敵わない。何故だかわかるか?まあ、次がないお前に言うことはないがな」

 

「黙れ!!」

 

織斑千冬と同タイプの攻撃を得意とする俺やアーデルが決して負けない理由。それは眼だ。写輪眼を持つ俺にとって織斑千冬の狙いと次の動きは予測が可能だ。写輪眼が対応できない速さがあれば俺と戦えるが、それは叶わない望みだ。

 

それに、奴がISに乗っていない間も俺はISに乗り続け鍛錬を積んだ。目標を掲げ、一心不乱に鍛錬を続けた俺とISに乗る事さえしなかった織斑千冬。その差は明らかだった。

 

「・・・時間とは残酷だな」

 

新月に風遁のチャクラを込め、織斑千冬を切ろうとした時、何かが近づいてくる気配を感じた。

 

「うおおおおおおっ!!」

 

織斑が零落白夜を全開にして切りかかってきた。俺はそれを避け、距離を開ける。織斑は織斑千冬を守るように前に来た。

 

「・・・一夏か!?」

 

「千冬姉、無事か!霧雨!お前の相手は俺だ!!」

 

なぜ織斑がここにいる?アーデルと優子に勝てるはずがない。だとすれば1つか。

 

「相方を捨ててくるとはな」

 

「違う!俺は箒を信じてここにきた!それにこの戦い、お前を倒せば終わる!!」

 

なるほど。篠ノ之束の妹を信じたのだ、と。

 

「あいつがアーデルと優子に勝てるとでも思ったのか?それができるのかどうかは、2人と戦ったお前が一番理解しているはずだが」

 

「・・・・・・」

 

絢爛舞踏は既に攻略済みだ。こちらも回復しながら隙を見て絢爛舞踏をする間も与えない連続攻撃を叩きこめば簡単に沈む。だからこそ、連続攻撃に長ける優子に任せた。

 

「まあ、いい。俺としては手間が省けた。2人とも消す」

 

チャクラを風遁から雷遁に変え、手にチャクラを集める。

 

「雷遁・雷獣散華!」

 

雷が2匹の虎を形作り、2人に向かって駆けた。

 

 

 

Side マドカ

 

「そっちも終わったか」

 

「ああ、思ったより粘られたがな」

 

「やはり予測を超えては来るようじゃの」

 

篠ノ之を連れたアーデルハイドと優子が屋上に来た。暴走機を片づけた私達は屋上に集合していた。まだ暴走機が残っている戦場もあるらしく、ナターシャはそちらの援護に向かっていた。

 

「お前たちの目的はなんだ!?」

 

ここに連れてこられたのはボーデヴィッヒ、デュノア、篠ノ之の3人。話しているのは篠ノ之だ。負けたのに騒がしい奴だ。

 

「無月の演説を聞いていなかったのか?あれが全てだ」

 

「だれがそんな嘘を信じると思う?」

 

食ってかかってきたのはボーデヴィッヒか。やはりアーデルハイドと若干似ているな。

 

「ならお前が勝手に想像しろ」

 

もう話すこともないので無月の方に集中する。遠目に見ても無月が2人を圧倒していた。2人で攻めているのに防戦一方になっている。

 

「ブリュンヒルデといえどあの程度か。期待するだけ無駄だったな」

 

いつの間にか隣に来ていたアーデルが言う。

 

「まあ、仕方なかろうて。じゃが、時々見せる動きはやはり元世界最強といったところかの。時間とは残酷じゃな」

 

優子が続く。

 

「・・・そうだな」

 

私は2人の講評を聞きながら無月と以前した会話を思い出していた。

 

 

 

               ◇

 

 

 

「はぁ・・・やられたか」

 

無月は肩を落としながら今日の訓練の反省をしていた。

 

「私とアーデルハイドと優子の3人相手に1人で戦えるなんて世界中探してもお前くらいだ。全く、こっちの身にもなってみろ」

 

無月は私たち3人相手に模擬戦をしていた。アーデルハイドと優子が近接戦をし、私が2人の間を縫ってフレキシブルで攻撃を浴びせる。

 

国家代表クラスでもこの攻撃に何分耐えられるだろうか?一見無謀とも言えた訓練内容だが、無月は新月と忍術を駆使して戦い、私たちを追いこむ場面も多々あった。

 

「無月。1ついいか?」

 

「なんだ?」

 

「おそらくお前はこの世界で一番強いだろう。どうしてまだ強くなろうとする?」

 

おそらく・・・いや、確実に無月は世界最強だろう。復讐対象である織斑千冬を殺すのは容易いレベルの強さだろう。織斑千冬が全盛期の力を誇っていたとしても、だ。

 

「護る力が欲しいから、かな?奴を殺すだけ壊すだけの力なら、今すぐにでも問題はない。だが、戦争が始まればいくらお前達でも追い込まれる場面はあるだろう。だが、その時に俺に力があればお前達を助けることができるはずだ。もう大切な者が死ぬのは見たくない」

 

無月は遠い目をして空を見上げた。まだ両親のことを後悔しているのか。圧倒的な力は壊す力であると同時に護る力にもなり得る。私たちの道は決して甘いものではない。強さに驕っている場合はないということだろう。

 

「・・・そうか」

 

 

 

                ◇

 

 

 

「鈍りの影響もあるのだろうが、世界最強と言われたのは何年も前の話。最強の座に胡坐をかいていたんだ・・・無月に敵うはずがない」

 

確かにかつては敵なしだったのだろう。実際に時折かつての輝きを見せる動きもあるが、何年もまともにISに乗っていなかった織斑千冬とこの日のために鍛錬し続けた無月。比べるまでもない。

 

それに無月は2年前の時点で既にスコールやアーデルハイドより強かった。そしてその強さに驕ることなく上を目指し続けていたのだ。

 

「貴様!教官を侮辱することは許さんぞ!!」

 

ああ、そういえばこいつは織斑千冬に恩があるんだったな。

 

「お前の目は節穴か?侮辱でも何でもない。これは客観的な評価だ。相手の力量もわからない奴がよく隊長を張れていたな。もうじき終わる・・・大人しくしていろ」

 

「くっ!」

 

無月は執拗に織斑一夏を狙っていた。連携では息があっていてもどうしても織斑千冬が織斑一夏のフォローをしなければならない場面が出てくる。いくら織斑一夏が成長していたとしても経験不足は否めない。

 

それ故、無月の攻撃に晒され続ける織斑一夏を織斑千冬は守らなければならない。そしてそこに隙が生じる。無月はそこを狙っている。

 

「織斑一夏の存在が織斑千冬の集中を乱しているな。織斑千冬は心のどこかで弟を守らなければと思っているのだろう。注意力が散漫だ」

 

アーデルハイドも私と同じような感想を持ったようだ。

 

「・・・一夏」

 

力なき者に守れるものは何もない。懸命に弟を守ろうとした織斑千冬だったが、それも限界のようだ。飛雷神の術で織斑一夏を切り捨てようとした無月から身を呈して織斑一夏を守って織斑千冬は切られ、エネルギーを失ったのだった。

 

 

 

Side 無月

 

「千冬姉ぇーーーーー!!!」

 

織斑の絶叫が木霊する。俺は織斑を狙い続け、織斑千冬はフォローに奔走した。そして身を呈して織斑を庇ってエネルギーが切れたのだった。織斑を狙い続けるという即興の作戦だったが、上手くいったものだ。

 

「まあ、このまま落とす気もない。そこで弟がやられるのを見ておくんだな」

 

俺は落ちて行く織斑千冬を捕まえて、教室へと放り投げた。床に叩きつけられたが、まあ、死んではいないだろう。

 

「霧雨ーーー!!!」

 

激昂する織斑。

 

「恨むなら俺ではなく、無力な自分を恨むんだな。現に織斑千冬はお前のせいで俺に斬られた。まあ、過保護という問題もあったがな。言っただろう?お前は口先だけの奴だとな。お前に守れるものは何もないんだよ」

 

「うおおおおおっ!!!」

 

再び零落白夜を用いて突っ込んでくる織斑。興奮すると周りが見えなくなる性格は変わっていないらしい。織斑千冬でも俺に当てることは叶わないのだ。その織斑千冬よりも経験で劣る織斑が当てれるはずもない。

 

「神羅天征!」

 

「がはっ!?」

 

瞬時加速で突っ込んできた織斑に神羅天征をぶつける。加速が速ければ速いほどカウンターとしての神羅天征は威力が高くなる。

 

「風遁・真空玉!」

 

展開した芭蕉扇から真空玉を出し、織斑を攻撃する。神羅天征で体勢を崩し、反応ができなかった織斑に真空玉は避けられるはずもなく、直撃した織斑のエネルギーは切れた。

 

「・・・ぐっ!」

 

織斑は偶然にも織斑千冬と同じ場所へと飛んで行った。

 

「もう、いいか。せめて2人同時に送ってやろう」

 

俺は新月を振り上げ、チャクラを溜める。過去に金髪とやった時もこれと同じ攻撃だったか。そんなことを思いつつ、俺は具現化した風の刃をまだ起きあがれないでいる2人に向けて放った。

 

バシャンッ!

 

しかし、どこからか展開された水の盾が風の刃の行く手を阻んだのだった。

 

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