IS~ISと忍術と復讐と~   作:狐の面

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第8話 決闘と乱入者

 

Side 無月

 

翌日。男装は普段と変わらない生活をしていた。織斑は俺を明確に敵視してくるが、どうでもいいことだ。ただ、俺はアリーナに来ていた。果たし状なるものが机に置いてあったからだ。また古典的な。

 

差出人はどうやら目の前にいるもう1人の転校生の軍人だったらしい。既にISを装着し目がギラギラしている。

 

「あの果たし状は読んだようだな。私と戦ってもらう」

 

「・・・・・・」

 

どうしてこう好戦的な奴が多いかな。それにこのやりとりは何回目だ?楯無さんに猫に軍人。3人目か。

 

「どうした何か言え」

 

「模擬戦なら断る。お前と戦う理由もないし戦う気もない。公式戦で当たったらやってやるから帰れ」

 

おそらくこのやり取りも無駄なんだろうな。過去の2人とも同じやり取りをした。

 

「なら、戦わざるを得ない状況にしてやろう」

 

そういってISを展開した軍人は俺に向かってレールカノンを突きつけ、あろうことか撃ってきた。俺はとっさに須佐能乎を腕の部分だけ展開し、銃弾を弾く。

 

「バカが。そこまで戦いたいのなら戦ってやろう。絶望を教えてやる」

 

俺は雫を展開し、飛んだ。

 

 

 

俺は時空間移動の術式を刻んだ短刀を軍人に向かって投げる。短刀は弾かれ、避けられ、止められた。あれは確か何かで読んだな。

 

「雫、あれはAICか?」

 

『はい。確かにAICは強力ですが、実体のあるものしか止めることができません。無月様なら問題ないかと』

 

サラっと言ってくれる。信頼してくれるのは嬉しいがな。そして俺はある武装を展開した。

 

「・・・何だそれは?そんなもので私と戦う気か?」

 

 俺が展開したのは芭蕉扇。傍から見ればただのデカイ団扇。しかし、これは俺の火遁を含めたあらゆる性質変化を口ではなく芭蕉扇から放つことを可能とした武器だ。俺は片手印を結び術を放つ。

 

「火遁・鳳仙花!」

 

芭蕉扇から無数の炎が飛んでいく。1発の威力は弱いが、チャクラで統制しているため軍人へと向かっていく。ただ、これはあくまで牽制。本命は別にある。

 

「くっ!こざかしい真似を!」

 

毒を吐きながらも軍人は鳳仙花を両手に展開したプラズマ手刀で墜としきろうとしていたが、それを待つ気はない。

 

「火遁・火龍炎弾!!」

 

火でできた龍が軍人へ飛ぶ。これは牽制狙いではなく、直撃を狙ったものだ。何度避けても対象に向かうようチャクラを多めに込めた。

 

軍人は何度か避けたが、避けきれないと悟ったのか壁際まで行き、そこから瞬時加速をすることでシールドと火龍炎弾を相殺させた。

 

「貴様!真面目に戦え!!」

 

「そうか、ならこいつはどうだ」

 

そういってもう一度火龍炎弾を放つ。

 

「それはもう効かん!」

 

 軍人は先程のように相殺を狙うが、次は本気で当てに行くことにする。俺は写輪眼から輪廻眼に変え芭蕉扇を持つ手と反対側の掌を軍人に向けた。

 

「万象天引」

 

「な、なんだと!?制御が」

 

万象天引で軍人は俺に向かって引き寄せられる。当然、制御がきくはずもない。火龍は俺に引き寄せられるしかない軍人に向かっていく。性質の悪いジェットコースターだと思う。

 

ドオンッ!!

 

火龍炎弾が軍人に直撃し、爆発が起こる。決まったかと思ったが、まだだった。ところどころ損傷を受けながらもまだ戦えるようだ。おそらく肩についているレールガンで事前に爆発させ直撃だけ避けたということか。

 

「く、くそおおおおっ!!」

 

軍人は瞬時加速で俺に接近してくる。どうやら俺に接近戦を挑むつもりらしい。俺は芭蕉扇から新月に武装を変え、軍人を迎え撃った。

 

 

 

ガキンッ!ガキンッ!!

 

軍人のプラズマ手刀と俺の新月がぶつかる。実体剣ならば俺の新月と打ち合うことは出来ないが、そこはプラズマ手刀。切られずに持ちこたえている。だが、俺は写輪眼もあって接近戦が得意だ。

 

俺は一太刀も浴びることなく軍人にダメージを与えていく。軍人にも余裕がなくなってきたようだ。

 

「くらえ!」

 

軍人はわざと作った俺の隙に気がついたらしくAICを展開させ俺の動きを封じた。とたんに得意げな顔になる。

 

「確かにお前は強いが、このAICの前では無力だ。反撃させてもらおう!」

 

そういうと肩に背負ったレールカノンの俺に向けてきた。

 

「お前は軍人だろう?敵を殲滅するまで決して気は抜くなと教えられなかったか?」

 

「っ!減らず口を!!」

 

軍人のレールカノンが発射される。が、俺は既にそこになく、弾丸が俺に直撃することはなかった。

 

「ど、どこに行っ―――がはっ!」

 

「気を抜くなって言っただろ?」

 

俺は最初に投げた短刀の所へ飛雷神の術で飛び、軍人の元へ瞬時加速。そして加速の勢いを殺さずに思いっきり蹴り飛ばした。そこで軍人のエネルギーが切れた。

 

 

 

だが、軍人のISは解除されることなく、次の瞬間に異変が起きた。

 

 

 

Side ラウラ・ボーデヴィッヒ

 

私は霧雨無月という男に決闘を申し込んだ。だが、どうしても乗ってこようとしなかったのでレールカノンを撃ち、決闘をせざるを得ない状況へと追い込んだ。しかし、数分後にはそれが馬鹿な行為だったということを思い知らされた。

 

「私が遊ばれているだと!?」

 

ありえない。ドイツ最強のIS部隊、シュヴァルツァ・ハーゼを率いるこの私がだ。隊長は統率力も大事だが、何よりも実力がいる。私は教官の指導によって隊長まで上り詰めた。誰が相手でも互角以上に戦える。そんな自負があった。

 

「く、くそおおおおっ!」

 

火龍の直撃を避けた私は得意の近接戦闘を挑んだ。しかし、目の前の光景はどうだ?奴は私の攻撃を一切食らうことなく、こちらへダメージを与えてくる。

 

プラズマ手刀を用いてもワイヤーブレードを用いても来る場所がわかっているかのように先読みされ反撃を受ける。

 

なんとかAICで捕まえたが、奴からは焦った様子が見受けられない。それどころか私に説教をする余裕すらあるらしい。

 

「っ!減らず口を!」

 

いかに奴が化け物じみた強さを持っていてもこの状況では何もできないはずだ。私はレールカノンを撃ち、直撃させた、はずだった。だが、撃つと同時に奴の姿が消えた。

 

「ど、どこに行っ―――がはっ!」

 

後ろから思い切り蹴飛ばされた。もうわけがわからなかった。そして同時に恐怖する。ここで負けてしまっては私の存在意義が待たなくなってしまう。また落ちこぼれの烙印を押されてしまう。

 

それが怖かった。力が欲しい。奴を倒す力が。ドクンッと私の中で何かがうごめいた。

 

『―――願うか?汝、自らの変革を望むか?より強い力を欲するか?』

 

言うまでもない。力があるのなら、それを得られるのなら、私など――空っぽの私など、何から何までくれてやる!だから、力を・・・比類なき最強を、唯一無二の絶対を――私によこせ!

 

Damage Level・・・D.

Mind Condition・・・Uplift.

Certification・・・Clear.

 

Valkyrie Trace System・・・boot.

 

 

 

Side 無月

 

「あああああっ!!!!」

 

突然、軍人が絶叫をすると同時に軍人のISから稲妻が走り、ISが変形していく。ISの変形はあり得ないが、変形した後の黒いISを見て俺は愉快になった。

 

「最高だ!ここにきて正解だったようだな!!」

 

暮桜。黒いISはまぎれもなく織斑千冬の機体。間違えるはずがない。奴の正体が判明して以後、奴の試合は全て見た。もう戦うことがないと思っていた機体と対面できたのだ。嬉しくないわけがない。

 

奴はISから引退したらしいが、復讐のフィナーレは奴を完膚なきまでに叩きのめすことに決めている。その後に断罪し、復讐は完結を迎える。

 

ただ中には軍人が乗っている。殺す技を使うわけにはいかないのが歯がゆい。新月を構えると暮桜が俺に向かってきた。が、がっかりした。

 

確かに剣速は速く太刀筋も鋭いが、イメージを重ねた奴とは違いすぎた。所詮は紛いものか。俺は新月で打ち合う必要性も感じなかったため攻撃を見切り、カウンターで蹴り飛ばした。

 

「やはり紛い物ではこんなものか。いや、本物もこの程度かもな。もういい。消えろ。お前はこの手で葬ると決めている」

 

偽物であろうと俺の復讐対象の姿だ。だったら俺が消すべきだろう。そう思い、新月を構え、風遁のチャクラを込める。一気に勝負を決めようと瞬時加速の準備をするが邪魔が入った。

 

「うおおおおっ!」

 

織斑が突如乱入してきて暮桜に向かっていったのだ。だが、その特攻も叶わず避けられ逆に斬り飛ばされた。

 

「織斑、こいつは俺の戦いだ。邪魔をするな」

 

「そんなこと関係あるか!あれは千冬姉のデータだ。千冬姉だけのものなんだよ!」

 

言っている意味がわからないが、要は姉の技はデータでも使われたくないということか?

 

「関係ないのはお前だ。俺はこいつと戦っていたんだ。いきなり横やりを入れてきて何様のつもりだ」

 

「あいつは俺がやる!邪魔をするって言うならお前から倒す!」

 

「そうか。ならお前が消えろ!」

 

言うと同時に俺は飛雷神の術で織斑の近くに飛び暮桜から離すように蹴り飛ばす。

 

「がっ!」

 

織斑は抗うことができず、蹴り飛ばされた。俺は短刀をそちらに飛ばし織斑の真上に飛ぶ。そして空中で姿勢を整えようとした織斑の頭を掴み、地面に向かって瞬時加速し、叩きつけた。

 

「ぐはっ!」

 

「口ほどにも無い。お前はここで終わりだ」

 

俺は織斑を切り捨てようと新月を振りかざす。これで邪魔者は消えるだろう。暮桜は動こうとはしない。自分の脅威となるものにしか攻撃しようとしないのだろう。そして織斑と戦い始めた俺は暮桜にとって直接の脅威ではない。

 

「終わるのは君だよ、霧雨無月」

 

チャキッと後ろから俺の頭に銃を突きつけたのは男装だった。どうやら近くにいたらしく、俺にやられかかった織斑の助太刀に来たらしい。

 

「負け犬が一体何の用だ?」

 

「っ!一夏を助けに来たんだよ。その手をどけてもらう!」

 

揃いも揃って無粋な奴らだ。どうして俺の邪魔をこんなにもしたいのか。

 

「俺は奴と戦っていた。正式な決闘をな。決闘を邪魔していい道理はないだろう?それとも何か?負け犬にも優しい正義の味方の織斑のやることは全て正しいから悪者の俺はどいていろとでも言うのか?」

 

「そういうわけじゃない!あれは一夏にとって許せないものなんだ。だから一夏に戦わせてあげてもいいじゃないか!」

 

それが決闘を邪魔してもいい理由なのだろうか?

 

「話にならないな。それにお前はもう俺を脅す側じゃない―――俺に脅される側なんだ」

 

「そ、そんな・・・あり得ない。一体どうやって・・・」

 

俺は男装が話に気を取られているうちに飛雷神の術式の書かれた短刀を男装の後ろに仕掛けておいた。そこに飛んで男装の後ろに回り込み、首元に新月を突きつけた。

 

「シャルルを離せ!」

 

俺の拘束から解かれた織斑が姿勢を戻し、叫ぶ。

 

「・・・もういい。好きにしろ。はっきりしたよ。俺はお前達が嫌いだ。口を開けば自分勝手な感情論。他人のことなんてまるで考えていない」

 

「・・・何が言いたい」

 

織斑が俺をにらみながら言うが、取り合う気にもならない。

 

「お前だけがあれに思い入れがあるとでも思ったか?お前だけがあれを倒す権利があるとでも考えていたか?」

 

「だから、何が言いたいんだ!」

 

俺の意図することが読み取れず織斑は声を張り上げる。俺はこれ以上やり合う気もないので雫を解除して出口に向かう。

 

「待てっ!」

 

「お前が知る必要はないし、言う気もない」

 

そう言い残し、俺はアリーナから去った。織斑がまだ何か叫んでいるが俺にはもう興味がなかった。

 

 

 

「今頃来て何の用です?」

 

更衣室へと続く廊下で、俺は織斑千冬に待ち伏せをされていた。

 

「霧雨、お前は何を考えている?それにさっきの言葉。何を意味している?」

 

不信感に満ちた目で俺を見る。聞いていたのなら鎮圧に来れば良かったのだ。それを泳がせておいて何がしたいんだ?お前が何を考えている?

 

「個人面談は受け付けかねますね。最初にも言ったでしょう?あなたのような人に話しかけられたくはないと」

 

「・・・それが何を意味しているのかと聞いている」

 

今、言う必要もないことだ。

 

「さて。自分の胸に手を当てて考えられては?生徒から答えを教えてもらう教師というのも格好悪いでしょう?」

 

「貴様・・・まあ、いい。お前には謹慎処分が科されるだろう。それを伝えに来ただけだ」

 

「それは構いませんが、理由を聞いてもいいですか?」

 

謹慎処分がされたとしても俺には関係のないことだ。雫と訓練をする時間が確保できるため逆に嬉しくもある。

 

「ボーデヴィッヒとの模擬戦が原因だ。さすがにやりすぎだ。相手はドイツの隊長。一生徒のお前があそこまで破壊したとなると庇いきれん」

 

立場に違いがありすぎるということか。中立と言われるIS学園はどこに行ったのか?

 

「なら、学年別トーナメント明けまで謹慎ということにしておいてください。俺のISにも負担がかかっていてトーナメントに出場できそうにないので」

 

「・・・お前がダメージを受けているようには見えなかったが」

 

確かに俺はノーダメージだ。出場しようと思えばいつでも出れる。が、公衆の面前で目立つことは避けたかった。

 

「ダメージはなくても機体に負担をかけてるんですよ。ISに無理をさせると自己進化の影響で取り返しのつかないことになると、この間の授業で習いましたが、間違っていましたか?」

 

もちろんこれは嘘だ。さっきの技のほとんどは俺の能力。だが、それを知らない者は俺の力をISのものと錯覚するためちょうどいい隠れ蓑となるだろう。

 

「いいだろう。では学年別トーナメント終了までの2週間。お前には謹慎処分を与える。これでいいな」

 

「はい。ではまた2週間後に」

 

そして俺には2週間の謹慎処分が下されたのだった。俺は部屋で待機しているように命じられ、更衣を終えた後、部屋に向かった。

 

 

 

俺は部屋で待機していると山田先生が呼びにきた。謹慎処分を下された生徒は専用の部屋に移動させられ謹慎期間を過ごすらしい。すごく申し訳なさそうにしていた姿が痛々しい。

 

「霧雨くん。本当にすみません。私の力が足りないばかりに」

 

「いいんですよ、山田先生。俺もやりすぎましたから。じゃあ、また2週間後にお願いします」

 

今日は何もすることがない。それに授業を受ける必要もない。課題は出されてもすぐに終わる。ならば休暇だと思えばいいだけだ。

 

 

 

Side 楯無

 

「・・・これは驚いたわね」

 

夜の生徒会室。更識家で調査していた報告書が上がってきて私は驚愕した。不審に思っていた彼の言っていた事故というものを調べていたのだが、彼の両親は交通事故で死んだわけではなかった。

 

「まさか白騎士事件の被害者がいたなんてね」

 

被害者が0と言われていた白騎士事件。だが、その裏で2人の死亡者が出ていた。この死亡記録の偽造には政府が関与したらしく、調べるのには相当苦労した。私も彼の言葉がなければここまで深く調べようとは思わなかっただろう。

 

霧雨くんの両親は白騎士事件の際に発射されたミサイルで倒壊したビルの下敷きになって死亡していた。幼い彼が何を思ったのかは言うまでもないだろう。

 

「まさか復讐の相手っていうのは・・・」

 

普通に考えれば白騎士事件の首謀者。だが、各国がされたハッキングをした者も白騎士の正体も不明とされている。そう、公式には。白騎士の正体は依然不明だが、ハッキングを行ったのは篠ノ之博士であろうと裏では言われている。

 

それほど技術の求められる行為をしたのだ。ISという超常兵器を作り上げた博士ならば可能であるといわれている。だとすれば彼の復讐は篠ノ之束の抹殺と考えていいだろう。だが、これはあくまで予測。詳しいことは本人しか知らないだろう。

 

そして今日付けで彼に謹慎処分が科されたということが伝わってきていた。なんでもドイツの転校生と決闘し、相手のISを破壊しすぎたようだ。決闘自体を申し込んだのは転校生の方だと言われている。

 

下された2週間の謹慎処分というのは重すぎる気もするが、状況が悪かった。その転校生のISが暴走したからだ。詳細は不明だが、ドイツの焦りようからして条約に引っかかる類のものだろう。彼が破壊した影響であることにすればドイツの面目は守られる。

 

彼はスケープゴートにされたのだ。ただ、本人は気にしていないだろう。むしろ都合が良いと思っているかもしれない。彼はそういう人間だ。

 

それに謹慎処分中の部屋にはほとんどの生徒が近づかない。彼と接触するにはいい機会かもしれない。

 

そう考えた私は、今まで集めた情報を整理し、謹慎期間中に彼と接触することにして、書類に目を通すことにした。

 




ラウラは学年別トーナメント前にVTシステムで暴走しました。学年別トーナメントに出場し、そこで一夏がフラグを立てます。

でも千冬さんの事件への対処能力ってどうなんでしょう?毎回、敵に先手を取られているイメージしか湧かないです。
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