達也の周りは敵だらけ   作:黒以下

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来訪者編 吸血鬼事件 追跡・捜索 其之ニ

レオが吸血鬼に襲われてから、二日が経った。当然、レオはベッドの上だ。しかし、レオの意識ははっきりしているので達也はそこまで心配していなかった。

 

「レオ君、大丈夫でしょうか?」

 

「大丈夫だろ。目立った怪我も無かったみたいだし・・・まさか、エリカが嘘ついたと思ってるのか?」

 

「そういう訳じゃありませんけど・・・」

 

「そういえば、今日は二人共遅いな」

 

事業開始まで後少し、という時間にもかかわらず、エリカも、幹比古もまだ、登校していない。エリカに関しては昨日も遅刻ギリギリだった。

 

「おはよ~」

 

「お早う、達也、柴田さん」

 

「ギリギリだったな」

 

そう、達也が呟くと事業開始のメッセージ画面が立ち上がった。

 

 

その日の昼休みは、達也たちの行動はいつもと違っていた。エリカは食堂にも行かず、自分の机でお昼寝。幹比古は保健室。美月はその付き添い。達也は深雪とほのかと一緒に行動していた。

 

「雫、いきなりゴメンね」

 

「うん、どうしたの?」

 

「えっと、達也さんが、雫に聞きたい事があるって」

 

「聞きたい事? 私のスリーサイズ?」

 

「悪いけど真面目な話なんだが」

 

「あ、こんばんわ、達也さん。久しぶり」

 

「あぁ。久しぶりだな」

 

「それで、真面目な話って?」

 

「悪いな、そっちはもう夜だろ。メールにしようと思ったんだが、直接話さないと要領を得ないだろうから」

 

「気にしないで、まだ、八時だよ」

 

「ほのかに聞いたんだが、そっちでも吸血鬼が暴れてるそうだな。詳しい話を聞きたいんだが」

 

「・・・あぁ、あの話、日本では本当に吸血鬼が出たの?」

 

「日本では?」

 

「アメリカでは今の処、都市伝説扱いなんだ。メディアでは報道されてないから」

 

「そうか・・・」

 

「何かあったの?」

 

「・・・レオが吸血鬼らしきモノの被害に遭った」

 

「・・・えっ!西城君。大丈夫なの?」

 

「命に別状ないし、本人の意識もはっきりしてるからそんなに心配するな」

 

「・・・そう。分かった。それで、西城君を襲った吸血鬼は・・・掴まってないよね」

 

「あぁ、残念ながら、情報少ないからな」

 

「だから、私にコッチで何が起こってるのか知りたいんだ」

 

「ただ、どうしてもって訳じゃない。分かる範囲で良いんだ」

 

「でも、達也さんはアメリカに手掛かりがあると思ってる」

 

「手掛かりというか、正直、俺は吸血鬼はアメリカから来たと思ってる」

 

「えっ!」

 

達也の発言に雫も、隣にいた深雪もほのかも驚いた。

 

「何か分かれば連絡が欲しい。ただ、くれぐれも危ない橋は渡るなよ。そっちの情報が必須じゃないからな」

 

「・・・分かった。無理はしない。だから、期待しないで待ってて」

 

 

 

 

 

都内で被害者を出し続けている吸血鬼事件に対して組織的な対応を取っている勢力はエリカの知る限り三つあった。

 

一つ目は警視庁を主力とし、警察省の広域特捜チームと公安の警察当局。

 

二つ目は七草家と十文字家の十師族の捜査チーム。

 

三つ目は吉田家の協力を得て千葉家が組織した私的な報復部隊。

 

「やっぱり先輩達に協力した方が良かったんじゃ・・・」

 

「・・・」

 

「街路カメラとか防犯システムが使えるようになれば、効率も上がるんじゃ」

 

「そんなことしても意味無いわよ。そのシステムを使える警察が尻尾を掴めないんだから」

 

「人手を頼るにしても、連携がないよりあった方がいいと思うけど」

 

「だから、協力をお願いしてるでしょ」

 

「いや、僕達だけじゃなくて・・・」

 

「ミキ、どっち?」

 

エリカは十字路で足を止めた。それと同時に幹比古は木の杖を十字路の真ん中に突き立てた。

 

「コッチね・・・」

 

木の杖は十字路の右を指していた。エリカは杖の指した方へ足を向ける。その際、後ろを振り返りもしなかった幹比古は苦笑いを浮かべつつエリカを追いかける。幹比古は追いつく寸前で端末を取り出し、設定を確認する。端末は自分の位置を登録したグループに通知する設定になっていた。

 

 

 

 

チャールズ・サリバンは、新たに獲得した身体能力の全てを使って必死に逃げていた。

サリバンを追うリーナに、幾度となく想子のノイズが浴びせられる。その度にサリバンを見失うが、テレビ中継車に偽装された移動基地の想子レーダーが居場所を捉えて逃がさない。

 

「総隊長、次の角を右です」

 

「クレア、レイチェル、サリバンの正面に回りなさい」

 

リーナはモーターバイク並みのスピードでサリバンを追いかけながら、ダガーをサリバンに向け投擲した。リーナのダガーは武装一体CADで投げるだけで移動魔法が発動し、術者が設定したルートを辿って標的に突き刺さる。

 

サリバンは自分に向かって飛んで来る刃を寸前で知覚した既に躱す時間はない。しかし、得意の物体軌道干渉はまだ間に合う。上手く行けばサリバンを狙って放たれたダガーは、軌道を変えてハンターRに突き刺さる筈だった。

 

「ぐっ!!」

 

しかし、彼の術式はリーナの需式に干渉する事ができなかった。更にハンターRのコンバットナイフがサリバンを襲う。一瞬の隙を見逃さずリーナは拳銃を抜く。不意に街路樹の影からリーナへ電撃が放たれた。完全な奇襲だったが、その電撃はリーナの反射的に展開した領域干渉で無効化された。その間、リーナの腕は銃を離さなかった。銃口はサリバンの心臓を照準していた。

 

リーナの指がトリガーを引く。情報を強化された銃弾が、全ての防御を無視してサリバンの心臓を破壊した。その穴かも確認せずリーナは再びスタートを切る。彼女の目には電撃を放った吸血鬼の遠ざかる背中に固定されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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