達也の周りは敵だらけ   作:黒以下

18 / 107
九校戦編 中編 其の三

達也は予選試合を見終えると一人である場所に来ていた

 

「お邪魔します」

 

「取り敢えず 座りなさい」

 

部屋には既に数人がいる。全員知り合いだ。最初に声を掛けたのは 風間だった

 

「俺は此処で」

 

達也は入り口から離れようとしない そこへ

 

「コラコラ 大人を揶揄うものじゃないよ」

 

そう言ったのは 真田繁留

 

「早く 座れ」

 

と言ったのは 柳 連

 

「はぁ そうですか? 分かりました」

 

達也が席に着くと紅茶の入ったティーカップが差し出される 差し出したのは 集まったメンバーで唯一の女性 そしてこの中で一番 達也と仲がいい 藤林 響子

全員に紅茶が行き渡ると風間が口を開く

 

「夕べの件だが 賊の正体は無頭竜で間違いない」

 

「目的は?」

 

「九校戦には間違いないが詳しくは調査中だ」

 

「情報はなるべく早く下さいね」

 

「分かっている」

 

「それにしても 良く現場に居合わせたわね 警戒してたの?」

 

「まさか? 本当に偶然ですよ」

 

「でも 遅くまで何を?」

 

「九校戦の準備ですよ」

 

「そう云えば 君も出るんだったな」

 

そう声を掛けたのは 治癒魔法師の 山中 幸典

 

「エンジニアですけどね」

 

「チームメイトは君がシルバーだと知っているのか?」

 

「まさか その事は秘密ですよ」

 

「しかし シルバーがエンジニアとは今年も一校が優勝だね」

 

「それは分かりませんよ。新人戦には一条も出ますし」

 

「ねぇ達也君?」

 

「なんですか?」

 

「選手として出ないの?」

 

「俺には向いてないですよ」

 

「『スピード・シューティング』と『アイス・ピーラーズ・ブレイク』なら『雲散霧消(ミスト・ディスパージョン)』で優勝できると思うけど」

 

「確かに物質に直接干渉して物質を元素レベルにできる『雲散霧消』は有効かもしれないけど規定威力違反だよ」

 

「あら ご存知ないんですね 『スピード・シューティング』と『アイス・ピーラーズ・ブレイク』には制限はないんですよ」

 

響子はこの中で唯一の九校戦出場経験があるので他のメンバーよりも詳しい

 

「それに残りの競技も『フラッシュ・キャスト』の技術が有れば 優勝を狙えるんじゃない?」

 

「それも秘密にしないと」

 

「残念だが達也の力をこんな処で見せられんだろう」

 

「だから出ませんよ」

 

「分かってると思うが・・・」

 

「分かってます もし 出る事になっても 『分解』は使いませんよ」

 

「まぁ そんなに怒るなよ」

 

「怒ってませんよ 第一俺はスタッフですから選手に選ばれるとは思いません」

 

「しかし 驚いた エンジニアとは云えお前がこんな大会に出るとはな」

 

「君はこんな大会に興味ないと思ったが」

 

「まぁ 懇親会までは後悔してました」

 

「今は?」

 

「来て良かったと思います」

 

「何か 収穫があったみたいだね」

 

「えぇ まあ」

 

暫くして達也は部屋を後にする

 

「もう直ぐ 始まるな」

 

「お兄様 こちらですよ」

 

達也は深雪に近づく しかし いきなり胸ぐらを掴まれる

 

「お兄様? お楽しみだったみたいですね?」

 

「ちょ! 深雪さん?」

 

深雪は響子の香水の匂いを嗅ぎ取ったのだ

 

午後からは『スピード・シューティング』の決勝リーグが始まる

 

予選とは違い対戦形式だ

 

「会長の『魔弾の射手』流石ですね」

 

「それだけじゃない 知覚系魔法『マルチ・スコープ』の併用が厄介だ」

 

「やはりレベルが違い過ぎて勝負になりませんね」

 

「今は競技だからいいがこれが実戦なら 会長の攻撃には死角がないから逃がる事もできないな」

 

十師族 七草家 長女 七草 真由美 

 

七草は現在十師族 序列2位であり『万能』の二つ名を持つ 『万能』つまり 一芸に特化してはいないが不得意な系統魔法も無いと云う事でもある しかし 真由美は珍しく精密射撃に優れた魔法師である

 

準々決勝 準決勝 そして決勝ですら他校の代表に圧倒的な差を見せつけ 真由美は見事に優勝した

 

現在その真由美は女子役員と祝勝会を行っている

 

「会長 『スピード・シューティング』優勝おめでとう御座います」

 

「ありがと! 摩利も『バトル・ボード』準決勝進出おめでとう」

 

「何とか予定通りだな」

 

「『スピード・シューティング』は男子も優勝したし」

 

「だが男子の『バトル・ボード』は焦ったぞ 服部が何とか残ったが」

 

「CADの調整が合ってなかったみたいです」

 

「今日は木下君とずっと調整していたようです」

 

「明日 半蔵君はオフだし気の済むまでやらせましょう」

 

「でも木下君は明日 女子『クラウド・ボール』も担当してますけど」

 

「彼はサブですから抜けても」

 

「だからって 泉 一人に任せるのは」

 

「では 明日 明後日 オフの司波君に代わりを頼んでは?」

 

「じゃあ 頼めるかな 深雪さん」

 

「はい!」

 

宿舎 達也の部屋

 

「それで こんな遅くに」

 

「・・・ご迷惑でしたか」

 

「・・・別に 知らせてくれたのは有り難いが いくら ホテルの中でも こんな時間に出歩くもんじゃない」

 

「はい! 申し訳ありませんでした お兄様!」

 

「謝るつもりないだろ」

 

「はい!」

 

「オイ!」

 

「フフッ」

 

「まぁ 伝えてくれてありがと 送って行くよ」

 

「イエ! 一人で大丈夫ですから これ以上お手間は」

 

深雪は達也の後ろを気にしている

 

「作業中と言っても これは遊びみたいなものだから」

 

「遊び? でもそれCADのプログラム?」

 

「九校戦とは無関係だよ このプログラムも玩具みたいなものだ」

 

「玩具?」

 

「こんなものよりお前の方が優先に決まってるだろ」

 

「!! 私の方が大切?」

 

「(あーあ また始まった)」

 

達也は深雪の手を引っ張る

 

「ほら 行くぞ」

 

「あの! 私もです!」

 

「何が?」

 

「私も お兄様が何よりも大切です」

 

その後 深雪は部屋に着いてもご機嫌だった

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。