達也の周りは敵だらけ   作:黒以下

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なんか文章が可笑しく見える


九校戦編 中編 其の四

翌日 7月4日 大会二日目

 

本戦 女子 『クラウド・ボール』会場

 

「今日は宜しくね」

 

今日の達也は本来であればオフであったが急遽、先輩エンジニアの代わりにサポートに入る事になった。

 

「おはよう御座います。会長」

 

「あら?深雪さんは一緒じゃないの?」

 

「アイツはエンジニアじゃないですよ」

 

「そうだけど、貴方達いつも一緒じゃない?」

 

「学校じゃいつも別ですよ」

 

「でもいつも一緒だから達也君一人じゃ逆に違和感が」

 

「会長は俺達を何だと思ってるんですか?」

 

「それは~」

 

「答えられないんですか?」

 

「・・・でもこの会場には居るんでしょ?」

 

「『ピーラーズ・ブレイク』を見に行ってますよ」

 

「へぇ~本当に別行動してるんだ」

 

「離れると心配じゃない?」

 

「大丈夫ですよ。何処にいても俺達は互いの存在を認識できますから」

 

「そ、そう?」

 

『クラウド・ボール』 ルール説明 

 

制限時間内にシューターから射出された低反発ボールをラケットまたは魔法を使って相手コートへ落とした回数を競う競技。

 

一セット、三分、ボールは二十秒ごとに追加され最大九つのボール操る。女子は三セットマッチ、男子は五セットマッチ。

 

一校出場選手の一人には真由美がいた。

 

「会長。もしかして、その恰好で出るんですか?」

 

「そうだけど、似合ってない?」

 

「イエ、お似合いだとは思いますけど・・・」

 

真由美のウェアーはスコートタイプで、そのスコートもかなり短い。この競技は『スピード・シューティング』とは比べ物にならない様な激しいものであるはずだが。

 

「(まさか、その場から動かないつもりじゃ)」

 

「達也君、ちょっと手を貸してくれる」

 

真由美は柔軟運動を始めた。

 

「なんか新鮮!」

 

「は?」

 

「私って兄と妹はいるけど弟はいないのよね~」

 

「そうらしいですね」

 

「達也君って私の事特別扱いしないじゃない」

 

「・・・馴れ馴れしいってことですか?」

 

「違うわよ。そうじゃなくて」

 

「?」

 

「変に構えたり、オドオドしたり、ソワソワしたりしないし」

 

「それで?」

 

「だから弟ってこんな感じかな~って」

 

「そうですか」

 

達也は自分がそんな風にみられているとは思ってなかった。

 

「それで、何か他に手伝う事は?」

 

「もう、十分よ」

 

「なら、俺は他の選手の様子も見ておきたいので、これで」

 

「じゃあ、宜しくね」

 

「その必要はないわ」

 

声を掛けたのはこの競技のメインエンジニア 三年 泉 理佳

 

「必要ない?」

 

「貴方は此処で七草を見てなさい。残りは私が見るから」

 

「御一人で大丈夫ですか?」

 

「大丈夫よ。貴方に心配される言われもないし」

 

そう言って彼女は去っていく。

 

実は彼女も達也の存在が気に要らない一人である。自尊心が高く他人の力を借りる事を良しとしないタイプである。

 

「はぁ~、悪い子じゃないんだけど」

 

暫くして真由美の試合が始まる。

 

「やれやれ」

 

この競技でも真由美は他校の代表を圧倒していた。左右に激しく動き続ける相手に対し真由美は試合中一歩も動かなかった。

 

第二セット インターバル

 

「お疲れさまでした」

 

「まだ、試合は終わってないけど?」

 

「もう終わりですよ」

 

「なんで、そんな事が言えるのよ」

 

「相手はサイオンの枯渇でこれ以上は」

 

「そうかな?」

 

真由美が振り返ると相手のエンジニアが審判と話している。

 

「まぁ、会長を相手に良くやった方ですが」

 

十師族の直系は同じ高校生代表であっても圧倒的な差があるものだ。

 

「次の試合の為にCADのチェックをします」

 

「じゃあ、お願い」

 

「先輩はラケットは使わないんですね」

 

「この競技はいつもこのスタイルなの」

 

「CADも汎用型じゃなくて特化型ですか?」

 

「この競技で余り多くの魔法は使わないし」

 

「さっきのは『ダブル・バウンド』ですか?」

 

「そうよ」

 

「他には?」

 

「他にもいくつか起動式を格納してるけど基本はこればっかりよ」

 

「そうですか」

 

「それより、どうかな。私のCAD」

 

「良くできてますよ。これなら余り俺が手を加えなくてもいいみたいですね」

 

「あれ、もう終わり?」

 

「余り時間はありませんから」

 

そして次の試合が始まる

 

「(・・・あれ? 何、これ)」

 

真由美は次の試合でも圧倒的な差を見せつける勝利した。しかし試合終了後、彼女は達也に詰め寄った。

 

「ちょっと、どう云う事?」

 

「何か問題がありましたか?」

 

「性能が上がってるじゃない!」

 

「それで?」

 

「時間が無いから特に何もしないって」

 

「そうですね。特別な事はなにも」

 

「でも何もしないで性能が上がる訳ないでしょ」

 

「いいじゃないですか。性能が下がった訳じゃないんですから」

 

「それは~」

 

真由美は口で達也に勝てない。

 

「何したの?」

 

「ゴミ取りをしただけですよ」

 

「ゴミ取り?」

 

「ソフト面のゴミを取り除いたから性能が少し上がったんでしょう」

 

「・・・ねぇ達也君」

 

「なんでしょう」

 

「後でそのゴミ取りのやり方教えてくれる?」

 

「いいですけど、目先の試合に集中して下さい」

 

「フフッ、それは任せなさい」

 

その後真由美は見事に『クラウド・ボール』で優勝した。

 

 

本戦 女子 『アイス・ピーラーズ・ブレイク』予選会場

 

第一高校の代表の一人に花音がいた。花音の担当エンジニアは啓である。

 

深雪は雫と共に見に来ていた。

 

「一回選は最短で勝ちましたね」

 

「やっぱり、凄いね千代田先輩は」

 

「流石は地雷源の魔法師ね」

 

千代田家は振動系統遠隔個体振動魔法。中でも地面を振動させる魔法が得意であり、この魔法特性。故に二年生で本戦を任されている。

 

「相手選手の防御も効いてないね」

 

「でも自分のまで倒してるわ」

 

「花音は制御が苦手だから。倒されるなら倒しちゃえって感じなんだよ」

 

花音は見事 決勝に駒を進める。

 

第一高校 特設天幕

 

達也は深雪達と合流する。それぞれ結果報告に来たのだが。天幕の空気は重い。

 

「何かあったんですか?」

 

「男子『クラウド・ボール』の結果が思わしくないので総合優勝の見直しを」

 

「そんなに悪い結果なんですか?」

 

「えぇ、予想以上に」

 

「『クラウド・ボール』は桐原君達が出てましたよね」

 

「桐原君で二回戦まででした」

 

「総合優勝を考えると他を落とす訳にはいきません」

 

「厳しくなりそうですね」

 

「新人戦の成績も関わってくるでしょう」

 

このセリフを聞いて雫と深雪は気を引き締めた。

 




夜に書くのは辛い
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