新人戦 四日目 行われるのは『ミラージ・バット』と『モノリス・コード』予選
達也は『ミラージ・バット』で ほのか スバルの担当
『モノリス・コード』は一校代表として森崎を始め三人が出場
『ミラージ・バット』会場 選手控室
達也はスバルのCADの最終チェックをしていた
「いい加減 慣れなよ」
「そうは言われても」
先ほどから達也は他校の出場選手と担当エンジニアの視線を感じていた
「警戒されているんだよ 天才エンジニアがどんな人物か」
そこに予選開始のアナウンスが流れる
「これより 新人戦『ミラージ・バット』の予選 第一試合を行います」
「じゃあ 行ってくるよ」
「(見た目とは違って 飛び続ける負担は大きいその負担をどれだけ減らせるか エンジニアの腕の見せ処だな)」
『ミラージ・バット』予選 第一高校 里見スバル 光井ほのか 予選突破
「(良かった 二人共 無事に予選突破できたな 決勝は夕方か)」
一校天幕
達也は担当選手の二人が予選を通過 次の決勝まで時間ができたので 達也は天幕に『モノリス・コード』の進捗状況を確認しに向かう。しかし なぜか天幕内は大騒ぎ
「あ! お兄様」
「いったい何の騒ぎだ」
「えっと その『モノリス・コード』で事故がありまして」
「事故じゃなくて四校のオーバーアタックだよ」
「ちょ! 雫 今の段階でそんな事 言わないの!」
「何が あったんだ」
「二試合目 市街地ステージだったんだけど ビル内で破城槌を受けちゃって 瓦礫の下敷きに・・・」
破城槌 天井などの面に対し強い加重が掛かった状態にする魔法
「それで 森崎達の容体は?」
「重傷よ」
「破城槌は本来 殺傷性Cランク だがそれを屋内で使えばAランクに格上げされる しかし なぜ 破城槌を三人共 受けるんです?」
「破城槌を受けたのは 試合開始直後だよ」
「何!」
「破城槌を三人に当てるには試合開始前に索敵しなきゃ無理使う魔法は兎も角 四校のフライングは間違いないよ」
「大会委員も大慌てですね。これじゃ『モノリス・コード』はこれで終わりだな」
「確かに中止の意見も出たけど 結局 今も ウチと四校を除いて 続行中よ」
「しかし これじゃ 総合優勝も難しいんじゃないですか? 新人戦は本戦の得点の半分ですけど 影響が全くない訳じゃないし」
「それに関しては十文字君が折衝中よ」
「代役を出場させるんですか?」
「大会委員が認めればね」
「そんなに総合優勝がしたいんですか」
「そりゃ 達也君にとっては思い入れがないだろうけど私達にとっては最後の九校戦だし 折角 ここまで来たんだもの」
「まぁ 俺には関係ない事ですけど」
「処で達也君 ちょっと相談があるんだけど」
そう言って 天幕にある部屋の一つを指さす 二人は部屋の中に消える
真由美は部屋に入ると遮音障壁を張る
「早速だけど今回のー」
達也は真由美の言葉を遮る
「今回の件が『バトル・ボード』と同じで何者かの妨害があったかどうかですか?」
「摩利の件で達也君はCADに細工された可能性を示唆しれたけど 今回の件 四校は破城槌なんか入れてないって言ってる」
「まぁ 入れる必要もないでしょう。恐らく 気が付かない内にCADを弄られたんでしょう」
「七校もあれから黙ったままだし」
「七校も四校も利用されたんですよ」
「・・・ウチが狙われるとしても目的は何かな? 春の一件の報復かな」
「春の一件ではないですよ」
「なぜ そう言えるの?」
「実は開幕日に武装した三人がホテルに侵入したんです。俺も偶々近くにいて そいつ等を捕まえる協力を」
「!! それ本当?」
「ウチにちょっかいだしてるのは彼らが所属する組織でしょう。なんでも香港系の犯罪シンジゲートらしいです」
「そう・・・教えてくれて有難う」
「分かってると思いますけど この事は他言無用ですよ」
「分かってるわよ 達也君も危ない事に首を突っ込まないようにね」
「俺だって好きでした事じゃないですから」
横浜中華街 とある会議室
「首尾はどうだ」
「予定通り一校は棄権だろう」
「新人戦とはいえ 得点に響く」
「これで一校の優勝はないだろう」
七月九日 午後 『ミラージ・バット』決勝
選手控室
「さて 決勝とはいえ 戦い方は変わらない。気力で勝負・・・なんてのはバカのやる事だ ペース配分を守れば二人で 1・2・フィニッシュはいただきだ」
「はい! 分かりました 達也さん 絶対優勝してきます」
「じゃあ そろそろ 行こうか? ほのか」
「じゃあ 行って来い 二人共」
試合開始直後からほのかとスバルは得点を稼いでいた他の選手は常に出遅れている
「まただ また 一校が早い」
各校 使うCADのハード面は同じである だが それでも差がある ハード面が同じである以上 差が付くのはソフト面
会場では 中条あずさも 達也の調整したCADの性能に驚いていた彼女はエンジニアであるが本戦が主な担当であり 今日はフリー。大抵の生徒は『モノリス・コード』を観戦するが あずさは『ミラージ・バット』を観戦している
「(起動式が小さいから処理速度が早いんだ)」
あずさは 達也と同じ一校生だから達也の見せる技術に関心する余裕があるが他校はそうではない。同じ高校生しかも三校以外エンジニアは基本一年ではない。年下に此処までの差を見せつけられて穏やかではいられない
「どうして 此処まで 差が付くんだ」
「なぜ あんな小さな起動式で あそこまでの複雑な動きが出来る」
「一校の担当は同じ高校生のしかも一年なのに 別に俺達はトーラス・シルバーみたいなプロと勝負してるわけじゃないんだぞ」
あずさはこの発言に苦笑いである
「(まぁ 司波君はトーラス・シルバーじゃなくて弟子だけど。でも 弟子があれだけできるなら 本物は恪が違うんだろうなぁ~。私も親がFLTの関係者なら司波君みたい色々教えて貰えたかな?やっぱり 本物に会いたいな~どんな人かな? 司波君はあんな人呼ばわりしてたけど)」
あずさはいつかの会話を思い出す
「司波君 トーラス・シルバーがどんな人か教えて下さいよ」
「なんで あんな人の事 気にするんです?」
「教えて 下さいよ」
「イヤ あんな人の事 知っても・・・」
「もう! お兄様あんな人 呼ばわりしないで下さい」
「(そう言えば 司波君 あの時 深雪さんに怒られてたな~。でも深雪さんが司波君以外の事で怒るなんて珍しい・・・アレ? そう言えば なんであの時 深雪さん 怒ったの?別に司波君がバカにされた訳じゃないのに むしろ 司波君がトーラス・シルバーをバカにしたんじゃ・・・)」
あずさはあの時の深雪の対応が今になって気になった
「(深雪さんは普段は怒らない 怒る時は決まって司波君がバカにされた時なのに
なんで シルバーの為に怒ったの? )」
あずさは改めて司波深雪に付いて考える
「(深雪さんは 容姿端麗 成績優秀 非の打ち処のない人・・・一点を除けば
彼女は基本 司波達也をバカにする者を 認めない者を許さない。じゃあ 本人が 司波君が自分を認めない時はどうするの? 怒るの?あの時 怒ったのは シルバーに対して?・・・それとも)」
あずさの思考回路が混乱してきた
「でもあの時 もし 深雪さんが シルバーの為に怒ってないなら・・・司波君がシルバーって事になるんじゃ・・・イヤイヤ それは・・・」
あずさは益々分からなくなる
「(はぁ~なんで 私こんな事で悩んでるんだろ シルバーがプロフィールを公開してれば・・・アレ! なんで公開してないの?出来ない理由があるから?」
あずさが新たな問題に直面していると
「クソッ~ 相手が最初から シルバーなら此処まで対抗意識を燃やさないのに」
と云う他校のエンジニアの声が聞こえる
「最初からシルバーなら?・・・ 最初から司波君がシルバーだと考えたら・・・」
あずさはまた考え込む そして
「もし 司波君が シルバーなら これまで 彼が見せた技術に納得できちゃう。
完全マニュアル調整も 最新技術の応用も 『氷炎地獄』を始めとする一般には
知られていない起動式のインストールが出来た事も」
あずさがこの仮説に辿り着いた時 『ミラージ・バット』の優勝者が決まった
優勝 第一高校 光井ほのか
準優勝 第一高校 里見スバル
「司波君が トーラス・シルバー? イヤ まさか でも・・・」
あずさには確証がないので答えは出せない
あずさの処 変な文章にはなってないと思うけど