新人戦『ミラージ・バット』は 見事 一校代表 光井ほのかの優勝が決まった
同じ代表の里見スバルの準優勝と云うおまけ付きで
しかし その一方で新人戦『モノリス・コード』の代表チームが負傷し棄権する羽目に
ルール上 代役は認められない 新人戦の獲得ポイントは本戦の半分だが総合優勝を目指す一校にとっては大問題である
達也は新人戦『ミラージ・バット』終了後 会場を後にする。ほのかとスバルと別れた後部屋に戻ろうとしたが 真由美に呼び止められた
「疲れてるとこ 悪いけど ちょっといいかな?」
「何でしょう?」
「大事な話があるから会議室まで来て欲しいの」
「・・・分かりました」
急遽 真由美に連れられた会議室 集まっていたのは今回の九校戦 一校関係者 全員
相変わらず 一年男子は達也に対して敵意がある勿論 一部の上級生にも
「達也君 今日もご苦労様でした お陰で今日もウチが新人戦で一位です」
「労いの言葉なら俺じゃなくて 選手に言うべきでは?」
「はあ~ いい加減にしろ 謙遜するのが悪いとは言わんが やり過ぎは良くないぞ。君の功績は既に多くの者に認めているんだ」
「・・・そうでしょうか?」
達也の目線の先には達也を認めていない者達 彼らの達也に向ける視線は相変わらずだが 達也が気にすることはない
「・・・それで 話とは?」
「さっきも言ったげど現在 新人戦はウチが一位 そして二位が三校でその差50ポイント。このまま『モノリス・コード』を棄権しても新人戦は準優勝できると思うの。新人戦が始まる前はそれで十分かなって思ってたけど此処まで来たら 新人戦も優勝を目指したいの」
「・・・会長は自分が何 言ってるか分かってます?新人戦はもう終わりですよ。ウチは『モノリス・コード』は棄権だし ルール上 代役も立てられないんですから」
「それが・・・明日 急遽 十文字君の交渉のお陰で代役チームでスケジュールを変更して予選を行える事になりました」
「・・・話と云うのは 俺に代役チームのCADの調整をしろって事ですか?」
「そうじゃないわ」
「当り前だ 勘違いするのもいい加減にしろ! お前みたいな奴に大事な競技のCADの調整を任せる訳ないだろ」
達也の早とちりに一年男子が反応するが
「おい 静かにしろ 話が進まん」
摩利に怒鳴られる
「達也君は三校の代表に一条君と吉祥寺君が出るのは知ってる?」
「えぇ 勿論 流石に 知らない人はいないでしょう。それに 俺は本人達から直接 聴かされましたから」
「そうなの?」
この発言に皆が驚く あの二人に声を掛けられる事の意味が分からない者はいない
「彼等は必ず決勝に出てくるでしょう。新人戦優勝を目指すと云う事は彼等に勝つ事も念頭に置かなきゃいけないわ。でも簡単じゃない。ウチもそれなりの相手をぶつけなきゃいけない」
真由美の視線は相変わらず達也に固定されている
「だから 達也君 負傷した森崎君達の代わりに出てくれませんか?」
この真由美の言葉に特に驚いたのは一年男子 彼らは真由美の話を聞いて
もしかしたら 代役に・・・と考えていたから
「会長! なぜ コイツが選ばれるんですか?」
「会長 いくらコイツが認められてるからって・・・コイツが認められてるのは
あくまでエンジニアとしてです。『モノリス・コード』の代役は務まりませんよ」
反対意見が多い。 何より達也も唖然としている
「・・・なぜ 俺 なんです?」
「達也君が相応しいと思ったからよ」
「納得してない者もいるようですが?」
「お前が他人の評価を気にするのか?」
「そんな事は気にしませんよ コイツ等を気に掛ける価値はありませんし」
「なっ! お前 調子に乗るのもいい加減にー」
「静かにしろ それと君も煽り過ぎだ」
「それじゃあ 改めて聴くけど 出てくれますか?」
「お断りします」
「ど どうして?」
「俺にとって九校戦の結果はどうでもいい事です。そんなどうでもいい事の為に頑張ろうだなんて思いませんよ」
「どうでもいいだと! 何を言ってるんだ お前!ウチは三連覇が懸かってー」
「だから それがどうでもいいって言ってるんです。俺には何処が優勝しても関係のない事ですから」
「それは 達也君には関係ないかもしれないけど そこを なんとか お願いできませんか?」
「俺じゃなくてもいいでしょう。俺はスタッフです。一競技にしか参加してない選手がいるんだから 代役はそいつ等でいいでしょ」
「そんな細かい事 気にすんなよ 司波」
「代わりができる選手がいるのにスタッフから選べば後々 精神的なしこりが残ります。そして そこから生まれる彼等の下らない嫉妬心は俺に向けられるんですけど」
「甘えるな 司波」
「は?」
「お前は既に代表の一人だ そして今回の非常時にお前が選ばれた。代表なら義務を果たせ」
「義務なら十分に果たしたでしょう エンジニアとして」
「どんな立場であろうとも 選ばれたなら勤めを果たせ」
「・・・」
対峙したままの達也と克人 周りはいったい どうなるのかと不安である 暫らくして達也が口を開く
「はぁ~ 今回だけは協力してあげます」
「本当に?」
「勿論 只で協力はしませんけど」
「何が望みだ」
「それは 後で」
「なんだか 怖いわね」
「兎に角 これで一安心だな」
「それで 俺以外はどうするんです?」
「お前が決めろ」
「は?」
「残りの人選はお前が決めろ お前がチームリーダーだ」
「相手が了承しない場合は?」
「説得には付き合おう」
「できれば メンバー以外から選びたいんですけど」
「えぇ! それはちょっと」
「何 勝手な事 言ってんだ お前が選ばれてるだけでも頭に来てるのに 俺達じゃ足手纏いとでもいいたいのか?」
「そう 言ったんだが 聞こえなかったか?」
「ふざけるな お前なんかにー」
「はぁ~ お前達はもう帰れ」
「・・・分かった 好きに選べ」
「ちょ! 十文字君」
「この件では既に例外を重ねている 一つや二つ増えても今更だろ」
「なら 深雪 レオと幹比古を連れて来い 玩具も忘れるな」
「は はい! かしこまりました お兄様 」
「なぜ その二人なんだ?」
「俺はアイツ等の事 余り知りませんから」
「成程 さっきの二人の事なら知っているか」
「大丈夫ですよ。 ちゃんと実力もありますから」
達也はレオと幹比古を説得できるだろうか
後編は其の十で足りるかな?