九校戦も新人戦が終了し、今日から本戦が再開 そして本戦も『ミラージ・バット』
と『モノリス・コード』を残す呑み そして今日の本戦『ミラージ・バット』には深雪が参加する
「どうも 波乱の前兆に見えるな」
「まだ 何か起こると?」
「起こると云う確証はないが起こらないと云う確証もない」
「お兄様 結局『無頭竜』の目的は分からないのですか?」
「そうだな あれから 特に連絡はない」
「全く あの人達は何をしてるんですか?」
深雪が言うあの人達とは風間達の事である。深雪はあの日の達也と風間の話を聞いていた
「そんなに怒るな あの人達も忙しいんだろ」
「はぁ~ 試合前だと云うのに不安になってきました」
「心配するな お前だけは何があっても守るから」
「頼りにしてますよ お兄様」
本戦『ミラージ・バット』 予選 第一試合
第一試合には一校代表として 三年 小早川景子が出場する
担当エンジニアは三年 平河小春
「先輩 随分と気合が入っていますね」
「まぁ 順調に行けば 今日でウチの総合優勝が決まるかもしれないし」
本戦 予選 第一試合
第一試合は開始直後から接戦だった。小早川景子は一校でも実力者である。しかし本戦『ミラージ・バット』に出場する他校の選手も実力者ぞろい。第一ピリオドが終了した時 景子が僅かにリードし一位だが二位の三校選手とそれ程の差が付いている訳ではない。少しでも油断すれば追い抜かれる事にもなりかねない状況だ
本戦『ミラージ・バット』 予選会場
会場にはエリカ達も見に来ていた 勿論 深雪が本戦に出場するからだ
「今日にもウチの総合優勝が決まるなんて ドキドキするよね」
「そうですね・・・」
「どうしたの 美月 なんか元気ないよ」
エリカは美月の方を見て直ぐに気が付く
「!! ちょっと 美月 眼鏡 外して平気なの?」
「正直 辛いかな」
「こんなに大勢いる処じゃその眼は霊子が見え過ぎて苦しいんじゃねぇか?」
「でも 何時までも自分の力から逃げてるだけじゃダメだと思うから」
「美月は別にー」
「でも見なくちゃいけない時に見えてるものから眼を反らすのはやっぱり間違ってる。
渡辺先輩の事故の時も私がちゃんと見ていたら何か分かったかもしれないし」
「だからって 今日 一日中 見張るつもり? 何も起こらないかもしれないのに」
「起こらないならそれでいいんです」
「敵の妨害の手弾が精霊魔法なら柴田さんの眼で何か分かるかもしれないでも結界で霊子光は軽減されるから後遺症が残る様な事にはならないよ」
美月達が見守る中 第二ピリオドが始まる。開始直後に三校選手に差を詰められてしまう
「(マズイ 取られた・・・でも これ以上は無茶出来ないし 一旦 足場に戻らなきゃ)」
景子は一旦 足場に戻ろうとした
「(このプレッシャーの中 焦る事なく冷静に次の行動に移る・・・流石だな)」
達也は この調子なら景子が予選突破をするのは難しくないと思っていたが・・・
「アレ? ちょっ! 何で魔法が発動しないの?」
だが異変は突如やって来た 景子がCADを何度操作しても魔法が発動しない 彼女は水面に向かって落下していく 水面に叩きつけられる直前に何とか大会委員の減速魔法が間に合ったが 彼女は気を失っていた
「どうして こんな事に? 私が調整したCADが原因なの?」
担当エンジニアの平河小春は突然の事に酷く混乱していた そんな小春を見ていた達也の端末に連絡が入る
「達也さん さっきの事故・・・」
「美月 何か視えたのか?」
「先輩が魔法を発動しようとした時 CADのあたりで 精霊が弾けたみたいに見えました」
「分かった 有難う 美月」
「お兄様 美月は何と?」
「深雪 次はお前の番だ 準備しろ」
「ですが・・・」
「安心しろ 二度目は無いだろ」
第一試合は一校は途中棄権となったが次の第二試合には深雪が出場する。達也は試合開始前に運営本部を訪れていた。競技開始前に出場選手のCADに違反がないかチェックを受ける為である
運営本部
「次の方」
「第一高校です。お願いします」
「では CADを検査装置にセットして下さい」
「(さっきの事故 もし 何かあるとすれば 怪しいのはやっぱりここだ。しかし 二回も連続で 仕掛けて来ないよな?)」
達也の眼には考えとは反対に検査されているCADに何かが入り込んだのが見えた
「問題ありませんね」
「ふざけるなよ」
達也は係員の胸ぐらを掴み投げ飛ばす そして逃げられない様に足で男の腹を踏みつける
「ぐっあ! な 何を?」
いきなりの騒ぎに別の係員がやって来る
「何の騒ぎだ」
「おい! 君 何をしてるんだ 止めなさい!」
「舐められたもんだな! 俺達の眼の前で堂々と不正工作か・・・」
止めようとした係員だが達也の言葉を聞いて 彼等の動きが止まる
「違う・・・わ 私は何も・・・」
「検査装置を使って細工とは考えたな。これなら どんなに注意しても妨害を免れない
さっきの事故も 同じ方法か?いったい何を紛れ込まれた 只のウイルスじゃないよな。それに他の仲間は何処だ! これまでの事故 流石にお前一人ではやれないだろ」
「だから 私は何も・・・」
「そうか・・・ 言いたくないならそれでいい」
達也は迷うことなく 懐のシルバー・ホーンを彼の頭に突きつける
「や やめろ・・・私は何も・・・」
「お前の所為で何人傷ついたと思ってる それに今度は深雪まで」
「何事かね? 騒々しいぞ」
そこに現れたのは 九島 烈
「九島閣下」
「君は 確か 第一高校の司波達也君だったね。どうしたのだ?」
「当校の選手が使用するCADに不正工作が行われたので、犯人を取り押さえました」
「・・・そうか このCADかね」
烈は検査装置に置かれていた深雪のCADを持ち上げる
「フム・・・確かこれは・・・電子金蚕」
「電子金蚕?」
「私が 現役の頃 広東軍が使っていたものだ」
電子金蚕 有線回路を通して電子機器に侵入し兵器を無力化するSB魔法
出力される電気信号に干渉しOSやアンチウィルスプログラムに
関わらず機器の動作を狂わせる遅延発動術式
「君は知っていたのか?」
「いえ 今 知りました。ですが自分の担当したCADですから何かが侵入したのは分かります」
「そうか」
その後 男は連れて行かれた
「さて 君も 戻って構わないよ CADは予備を使ってくれないか?このような事情だ 改めての検査はしなくていいから」
「分かりました」
「今回の件 君にも後で話を聞くかもしれん」
烈はそう言って去って行った