本戦『ミラージ・バット』 予選第二試合で深雪は飛行魔法を使って他の選手を圧倒し
決勝進出を決める 多くの者達が深雪の決勝進出を喜ぶ中 彼等は穏やかではいられ無かった『無頭竜』 九校戦初日から主に一校に対する妨害をしている者達
横浜中華街 とある会議室
「十七号から連絡が入った」
「結果は?」
「ターゲットの一人 司波深雪は飛行魔法を使用して予選を通過したらしい」
「なんだと?」
「流石に予選では負けてくれないか」
「だが決勝で一位じゃなければ」
「別に一校はもう一位を狙わなくてもいい 三位以内で総合優勝だ」
「それに司波深雪の実力なら優勝しても可笑しくはない」
「損失額が大きければ確実に我々は本部に粛清されてしまう」
「そんな事は分っている!」
「最早 手段を選んでいる場合ではない」
「だがどうする? もう大会委員にコチラ側の人間はいないぞ」
「そこでだ 私は皆に十七号を使って観客を襲わせる事を提案する」
「殺すと言っても会場に武器は持ち込めないだろう」
「十七号ならリミッターを解除すれば素手で百や二百は屠れるだろう」
「観客の被害が大きければ大会も中止になるな」
「証拠さえ残さねば いい訳は何とでもなる」
「大会が中止になれば掛けも中止になる・・・その方が損出額も少ないか」
「そうだな」
「では この提案に異論がある者は?」
発案者がテーブル全体を見まわすが反対している者はいない
「それでは十七号のリミッターを解除する」
本戦『ミラージ・バット』会場
能力の開放された 十七号(ジェネレーター)は命令を実行する為 手始めに近くを
通り掛かった男性を手に欠けようと腕を伸ばす。だが逆に襲い掛かった男性に腕を取られその反動を利用され会場外に投げ出された。そして投げ飛ばされた十七号の眼の前には既に襲い掛かろうとしていた男 柳 連が見下す様に立っていた
「いきなり 殺しに掛かるとは いったい 何者だ?・・・イヤ 答えなくていい どうせ 答えられないのだろう?」
十七号が態勢を立て直し再び 柳に襲い掛かろうとするが 柳に吹き飛ばされる
「いつ見ても見事だね 体術と魔法の連動『転』」
『転』 相手の運動ベクトルを先読みし 増幅 反転させる技
緊迫した状況の中 柳に声を掛けたのは同僚の真田
「見てないでお前も手伝え 真田」
「手伝えと言われても 彼は既に藤林君の『被雷針』で確保されてるし」
そう言われて 十七号を見てみると 十七号の体には無数の針
『被雷針』 打ち込んだ針に電流を流し相手の動きを封じる魔法
一方 深雪は試合終了後 シャワーを済ませ 達也の部屋で昼食を取っていた
「お兄様にして欲しい事?」
「最近は九校戦で忙しくて構ってやれなかっただろう?」
「・・・お兄様は私を いくつだと思ってるんですか?」
「 じゃあ 俺にして欲しい事は無いんだな?」
「・・・先ほど決勝まで休むように言われました」
「そうだな できれば睡眠を取っておいた方がいい」
「では 私が寝付くまで隣にいて欲しいのですが」
「随分 甘えるんだな」
「甘えろとおっしゃったのはお兄様ですよ」
ベットに入った深雪は暫くすると眠りに着いた その後 響子からのメールが届く
内容は『ミラージ・バット』での不正工作とジェネレーターを使っての観客の大量虐殺の目論みを知らせる物だった
「(選手だけでなく観客も・・・見境が無くなったな。しかし 九校戦は明日で終わりだろうに今更どう云うつもりだ なにより未だに奴等が何をしたいのか分からない。イヤ そんな事はどうでもいい どんな理由でも深雪を巻き込むなんて許してはおけない 深雪が標的の一人にならなければ俺から動ごくつもりはなかったが もう奴等を生かしてはおけないな。まぁ元々奴等には生きる価値なんて最初から無いけどな)」
あの事故から既に数時間が立つが小早川景子が目を覚ましたと云う連絡は来ていない
別に達也は景子の事を心配している訳ではない。少なくとも身体にはなんの影響もないのだから それに達也が気にする事は常に深雪の事だけだ。『無頭竜』が深雪以外の誰に何をしようとも達也にとっては関係の無い事だ
「(身体には なんの影響もない・・・と言っても 心の方はどうかな?先輩は目を覚ました後また魔法を使えるだろうか?)」
魔法師の中には魔法を使えなくなる者がいる。その主な原因は魔法行使の失敗による危険体験であり、その時に味わった恐怖は簡単に忘れられるものではない
「(先輩が魔法が使えなくなったとしても、俺達が心配しても意味はないよな。後は先輩が魔法が使えなくなったと云う現実にどう立ち向かうかだ。まぁ魔法が使えなくなっても日常生活に支障はないわけだし イヤ でも魔法科高校には・・・)」
それから暫くして深雪は目を覚ます
「良く眠れたかい? 深雪」
「はい 大丈夫です! お兄様」
「なら早速で悪いけど作戦会議をしようか」
「分かりました」
そして二人っきりの作戦会議が始まる
「まず決勝で注意すべき相手は一色愛梨だけだ」
「他の方は宜しいのですか? 一色さんと私以外の決勝進出者の方は全員三年生ですよ」
「お前も分かってるだろ。 幾ら三年生でもあいつ等のレベルは高が知れてる」
「注意すると言っても私は彼女の戦い方を知りません」
「じゃあ これを見てくれ」
達也が深雪に見せたのは新人戦『クラウド・ボール』での愛梨の試合映像
「スバルと菜々美でも相手になってませんね」
「流石は ナンバーズだな」
「お兄様 確か 一色家の得意魔法は・・・」
「一色家が得意とするのは神経への直接干渉 しかも彼女はその得意魔法を自分に使っている」
「自分にですか?」
「運動神経を直接操作してるんだよ だからアレだけ早い動きができるんだろう」
「・・・」
「不安か?」
「そんな事はありません。むしろ楽しみです」
「じゃあ そろそろ 会場に行こうか」
遂に深雪と愛梨の直接対決が始まる