達也の周りは敵だらけ   作:黒以下

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次の後日談で入学編は終わりです


入学編 終章

 

達也たち六人を乗せた車は現場に急いでいた。

 

「見えたアレだ」

 

「司波。現場ではどうするつもりだ」

 

「レオとエリカは現場に着いたらこの車の死守を第一に考えろ。逃げようとする敵の始末も忘れるな」

 

「了解」

 

「会頭は先輩と裏口へお願いします」

 

「了解した」

 

「分かったぜ」

 

「お前達は?」

 

「俺達は正面から」

 

やがて正面に目的地が見える。

 

「ゲートが閉じているな」

 

「ならレオは車に硬化魔法を、会頭はアクセル全開で突っ込んで下さい」

 

「準備はいいか?」

 

「はい!」

 

「いくぞ!」

 

「パンッツアー」

 

激しい衝撃。無理やりだが侵入に成功した。

 

「後は頼んだぞ二人とも」

 

「おう、任せとけ」

 

「頑張ってね」

 

「じゃあ、俺達も作戦開始と行きましょうか?」

 

「あぁ。お前達も気を付けろ」

 

「はい!」

 

荒れ果てた内部を進む達也と深雪。角を曲がると大きな扉が現れる。念のため達也は扉の奥を知覚する。

 

「いた!準備はいいか?」

 

「はい」

 

扉を開け注意深く部屋の中央まで歩いた時、閉ざされた窓から光が一斉に辺りを照らす。

 

「ようこそ、初めまして司波達也君。そちらのお姫様は妹の司波深雪君かな」

 

「お前がブランシュのリーダー。司 一で間違いないか?」

 

「そう。僕がブランシュの日本支部リーダーの司 一だ」

 

「そうか。一応は投降の勧告をしてやる。全員、武器を捨て両手を頭の後ろで組め」

 

「フッハハ・・・この人数相手に良くそんな虚勢が張れるね。魔法が絶対的な力だと思っているなら大間違いだよ。魔法師でも撃たれれば死ぬんだ。君は出来損ないのくせに一体どこからその自信が来るのかな?」

 

司が片手を上げると彼の部下が一斉に銃を達也に向ける。

 

「さて、良くもやってくれたね。本来なら君には此処で死んで貰うんだけど君一人なら助けよう。我々の仲間になれ。弟が知らせてくれた、アンティナイトを必要としないキャスト・ジャミングには興味がある。君が仲間になれば今回の事は水に流そう」

 

「壬生先輩や弟を使ったのはその為か」

 

「賢い子供は嫌いじゃないが解っていて、ここに来るのはやはり子供だね」

 

そう言いながら彼は掛けていた眼鏡を空中に投げる。そして、

 

「司波達也。我等の同士になれ」

 

司が前髪を掻き上げる。達也は持っていたシルバー・ホーンを降ろしてしまう。

 

「これで君は私の駒だ。まずは手始めに妹さんを殺してもらおうか。深雪君もお兄さんの手に掛かって死ねるなら本望だろう」

 

「光波振動系の邪眼(イビル・アイ)か・・・態度のでかい割には使う魔法は手品レベルだな」

 

「な、なぜ?」

 

「先輩の記憶もこれですり替えたのか?」

 

「お兄様、まさか?」

 

「あの先輩の記憶違いは不自然過ぎる。大方、会う度に何度も仕掛けたんだろ」

 

「このクズども!」

 

「私の催眠が効かないのか?」

 

「眼鏡を外す右手に注意を引き付け、その隙に左手でCADを操作。つまらん小細工だな」

 

「クソッ。生け捕りは止めだ。撃て、撃て!」

 

司は射殺を命じた。

 

「深雪がいるのにそんな事させると思うな」

 

突然、武器がバラバラになる。

 

「なんだこれは?」

 

「お前達はここで終わりだ。その運命からは逃れられない」

 

「う、うわー」

 

司は達也に言い知れぬ恐怖を感じ逃げ出した

 

「お兄様、追って下さい」

 

「分かった」

 

達也は司を追う事にした。司の部下も達也に恐怖を感じ近づけない。だが子供一人に怯えるのが情けないと思ったのか達也にナイフを持って背後を襲う者がいた。達也は振り向かない。

 

「この、クソガキがー」

 

だが彼の行動はそこまでだ。ナイフが達也に届く事はない。

 

「女の子相手だからって、敵に背を向けるなんて為ってないわね」

 

そこには一つの氷像が出来上がった。

 

「深雪。余り、はしゃぐな。使う魔法も選べよ。元々お前が手を下すような価値はないんだ」

 

「はい、お兄様」

 

達也は部屋を後にする。

 

「お前達も運が悪い。私の目の前でお兄様に手出ししなければ少し痛い思いをするだけで済んだのに。結果が全てではない。お兄様がお前達程度にケガを負う事は無いが。お前達は私の目の前でお兄様に銃口を向けた。私にとってはそれだけでお前達をこの世から消す十分な理由になる」

 

深雪はCADを使わずに魔法を発動する。辺りが凍り始める。

 

「さ、寒い。体が動かない」

 

「まさか?この魔法は振動減速系広域魔法『ニブルヘイム』?」

 

「祈りなさい。本気はだせないから運が良ければ死なないかもね」

 

深雪は出来上がった氷像達に吐き捨てる様に言った・・・が 直ぐに後悔した。

 

「(しまった。使う魔法を間違えた。もう、私のバカ。お兄様に注意されたのに、怒りに任せてこの人達を・・・イヤ問題なのはそこじゃないけど)」

 

問題は結果が残る事。この惨状は必ず後で調べられるだろう。そして深雪がこの惨状を作り出した本人であることも。今は目立つ訳にいかない。十師族に目を附けられるのも御免だ。自分達の正体がバレる様なことには為って欲しくない。

 

「どうしよう?」

 

深雪が悩んでいた頃、達也は着実に司を追い込んでいた。

 

「後はここだけ」

 

達也は直ぐに扉を開ける事はしなかった。扉の中の存在を知覚しまず最初に彼らの銃をバラバラにした。

 

「さて、これでいいか」

 

達也は部屋に入る。司は笑っていた。

 

「どうだ、これが本物のキャスト・ジャミングだ」

 

不快なジャミング波は後ろからも聞こえる。達也は挟まれていた。

 

「フフッ。よくもこれだけのアンティナイトを用意できたな。流石は大亜連合と言った所か。あいかわらず卑怯な連中だ」

 

「なぜそんな事。お前は一体?」

 

「まぁいい。お前等が連中の下っ端でも今回は国を信じてお前等の身柄は公安に任せようか。奴等との決着はまだ先だな」

 

「何をしているお前達、早くコイツを殺れ!」

 

達也はシルバー・ホーンの引き金を引く。

 

「バカがこの状況で魔法が使えるはずー」

 

「ぐっあ!」

 

「うっわー」

 

司の部下が次々倒れる。

 

「なぜ、なぜキャスト・ジャミングの中で魔法が使える」

 

「『魔法は絶対ではない』お前のこの意見には賛成だ。『魔法は絶対ではない』だがキャスト・ジャミングも魔法師にとって絶対ではないんだよ」

 

司は後ろの扉からまた逃げよとした。だが、

 

「ひぃー」

 

扉が壊れ、そこから出てきたのは、

 

「ん?ちっ!此処も外れか?」

 

「イエ、当たりだと思いますよ桐原先輩」

 

「当たり?でも残りはそいつ一人だろ?」

 

「えぇ。残るはそのリーダーの司 一。一人です」

 

「あぁん?リーダー?コイツが!お前か壬生を誑かしたのは!」

 

桐原は司に切り込む。彼の持っているのは摸造刀だが使う魔法は高周波ブレードなのでそこらの安物の刀より切れ味抜群なので腕を切り落とすのは簡単だ。

 

「うぎゃー」

 

彼は痛みに耐えかね失神してしまう。

 

「この野郎!」

 

「その辺にしておけ」

 

達也は黙って見ていたが克人が止めた。

 

「これで敵は全てか?」

 

「おそらく」

 

「ならウチの者を呼ぼう」

 

達也は後方に向けシルバー・ホーンの引き金を引く。

 

「(全く、あれ程言ったのに。まぁ、深雪の事だから俺の代わりに怒ってくれたんだろう)」

 

日が傾いた時、全てが終わった。十文字家関係者と思われる者達が後始末をしている。

 

「これで終わりか。なんか呆気ないな」

 

「ここまで来て、あんまり戦えなかったなんて」

 

「まぁ、会頭や達也が敵を打ち漏らすとも思えないけど」

 

「結局、私の処には5人も来なかったなぁ」

 

関係者が出入りする中、深雪は達也が戻るのを感じた。

 

「お兄様、お怪我はありませんでしたか?」

 

「大丈夫だよ」

 

「良かったです。あの、お兄様。実は私」

 

「心配するな」

 

「え?」

 

見ると次々に倒されたテロリストが運ばれていた。そこには深雪が凍らせた者もいた。

 

「お、お兄様。まさか・・・申し訳御座いません」

 

「謝るな」

 

「あ、有難う御座います」

 

深雪は達也が何をしたのか理解した。彼らが生きているのは彼らの運が良かったからではない。そこには達也の力が働いている。

 




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