遂に達也は『無頭竜』の幹部達を追い詰めた。一方で九校戦も最終日を迎える。九校戦最終日に行われるのは本戦『モノリス・コード』決勝リーグ。深雪と達也の在籍する一校代表には 十文字克人 辰巳綱太郎 服部刑部小丞範蔵が出場。彼等は順当に勝ち進み決勝に駒を進める。九校戦で最も人気の競技。しかも最終日で観客も多い。しかし客席に達也はいなかった。達也は風間の元にいた。理由は勿論、昨日の報告
「昨日はご苦労だったな」
「ご苦労と言われても昨日のは私情ですよ」
「私情ではない 俺達も当事者だ」
「昨日の情報は公安は勿論のこと内情(内閣情報管理局)も喜んでいたぞ」
「たかが犯罪シンジゲートのトップの情報にそんなに価値があるんですか?」
「『無頭竜』は『ソーサリー・ブースター』の供給源なんだよ」
「それって 確か魔法増幅装置の事ですよね」
「達也君は『ソーサリー・ブースター』の元が何か分かるかい?」
「さぁ?」
「それは人間の脳だ 正確には魔法師の大脳」
珍しく 真田が感情的である
「あんな物 あっていい物じゃない」
「まぁ 感情面を抜きにしても軍事的に脅威だからな」
『モノリス・コード』決勝前
克人の元には真由美が来ていた
「大変だったみたいだな」
「まぁね とても疲れたわ」
「それで十師族の方々は納得されたのか?」
真由美は此処に来る前に関東魔法協会支部にいた
モニターには各地に散らばる十師族に名を連ねる者達
横浜にある協会支部には七草 三矢 四葉が それ以外は 各地の協会支部でオンライン設備を使っている。
「それでは始めようか」
宣言したのは集まったメンバーの中で最年長 九島真言
「まだ 十文字殿が・・・」
一条剛毅が空白の席を指す
「先程 連絡がございましたわ 今日はどうしても都合が付かないそうで」
四葉真夜が十文字和樹 欠席の理由を話す。
「どんな理由であれ大事な会議を欠席するのはどうかと思うが・・・」
「別に今回の議題はそれ程 重要ではないでしょう」
「そうですね しかも 今回の会議は急遽 決まったにも関わらず、これだけのメンバーが揃っただけでも良いのでは?」
真夜に続いて発言したのは六塚温子
「今回の議題は 司波達也君と司波深雪君 この二人をどうするかでしたね」
八代雷蔵が確認の意味を含めた発言をする
「二人の映像は見せて貰いましたよ いや~実に素晴らしい」
三矢 元が二人を称賛する
「報告ではどれだけ調べても彼等に関するデータが出てこなかったと云う事ですが本当ですか?」
二木 舞が七草弘一に現状を聞く
「えぇ 親が会社員の様ですがそれ以外は特に情報が・・・」
その話を聞いて
「七草さん 確か お嬢さんの真由美さんは一校で生徒会長をされてますよね。真由美さんは何か彼等から直接聞いていたりしないのですか?」
五輪勇海が思い出した様に発言する
「では 真由美をここに連れて来て 聞いてみても宜しいでしょうか?」
そして 真由美が連れてこられた 基本的に質問するのは弘一
「では 彼等について知っている事を話してくれ」
「前にも言いましたけど 私もそこまで彼等の事は詳しくは・・・」
「知っている事だけ答えてくれればいいですよ」
「まず二人は一般出身と云うことで間違いないんだね」
「はい そう聞いています」
「二人のご両親について何か知らないのか?」
「以前 二人のご両親はFLTの研究者だと聞きました」
「ほぉ~FLTの研究者」
「彼のCADの調整技術が素晴らしいのは彼がトーラス・シルバーから教えを受けているからです」
「トーラス・シルバー本人に?」
「ご両親が知り合いだそうで・・・」
「成程 それなら 納得できますね」
「確かにCADの調整技術には納得できましたが・・・戦闘技能の方は・・・」
「真由美は彼の戦闘技能があれ程 高い理由は知っているかい?」
「彼は九重寺で九重八雲先生の教えを受けています」
「何! 九重八雲?」
突然 挙げられた名に 真言が反応する
「九重八雲・・・確か古式魔法師として有名な方では」
「成程 その様な方から指導を受けているのならアレだけの戦闘技能も納得もできる」
「だからといって 彼を認めるのは・・・」
「我々 十師族の立場もありますし」
「他のナンバーズから反感を買う様な事は・・・」
だがここで一条剛毅が二人を擁護する
「彼等も魔法師だ 我々は魔法師を守る立場にもある ナンバーズじゃないからといって
認めないなど」
「一条さんは悔しくないのですか?」
「彼は将来この国の戦力になる それは喜ばしい事だ」
そして四葉真夜がとんでもない事を口にする
「それにナンバーズが全て・・・と云う訳でもありませんし」
「!! 四葉殿 貴女がその様な事をおっしゃるのか?」
「ですが時には強大な力を見せつけるのも我等のやるべき事では・・・」
それから暫く議論は続いて・・・
「それで・・・」
克人は続きを促す
「高校生のお遊びでも十師族の力に疑いが残るような事があってはならない・・・だって」
「あの試合は とてもお遊び・・・なんて言葉で表せる試合内容じゃないと思うが・・・」
「あの二人が少しでも十師族の血を引いてくれてればこんな面倒事に巻き込まれなかったんだけど」
「十師族はこの国の魔法師界の頂点 時には力を誇示する事も必要になるだろう」
「御免ね 十文字君に押し付けちゃって」
「イヤ これは俺がすべきことだ」
その頃 他のナンバーズ 及び百家の元には弘一がいた
「それで七草殿 彼等の処遇は?」
「不用意に彼等の背後関係を詮索しない事 そして不必要に干渉しない事になりました」
「詮索をしない?」
「彼等が本当に裏で誰かと繋がっている として それが 国防もしくは政府関係者なら色々面倒な事になりかねませんから」
「それは・・・そうですね」
「これ以上互いの関係性を崩す訳にもいかんな」
「それで干渉しないとは?」
「彼等に近づかない・・・と云う事です」
「参ったな あの二人をウチにと思ったのですが・・・」
「そうですか 皆さんも真夜さんと同じですか?」
「!! 四葉殿もあの二人の事を?」
「真夜さんは深雪君の方にご執心の様で 出来れば娘にしたいと まぁ 勿論 二人のご両親との話し合いの元ですけど」
弘一が帰ってからも 一部のナンバーズと百家の当主達の会話は続いていた
「まさか 四葉家も 狙っていたとは」
「あれ程の才能だから 仕方ないか」
「どうします?」
「引き下がるしかないだろう」
「ナンバーズ同士の争いはご法度 まして あの四葉とやり合うなどあり得ん」
「では この後はどうします?」
「もう 此処に留まる理由は無いだろう ナンバーズ以外であの兄妹以上に優れた選手はいない様だしな」
こうして ナンバーズや百家の当主は会場を後にした。