達也の周りは敵だらけ   作:黒以下

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九校戦編 後日談 エリカ

その日の朝も千葉エリカは早朝鍛錬に勤しんでいた。早朝鍛練は彼女の日課であるが九校戦期間中はできなかった。早朝に走る事はできても竹刀を振る事は出来なかった。だから九校戦も終わり、本格的な夏休みである初日から思う存分竹刀を振る事ができると一人誰もいない部屋で竹刀を振り続けていた。

 

 

「(そろそろかな?)」

 

しばらくするとエリカは竹刀を振るのを止め、外に出る。ある人物と約束をしていたので家の門の前で待っているとその人物がやって来た。

 

「あ! 来た来た」

 

「おはよう エリちゃん」

 

「おはよう サーヤ ついでに桐原先輩も」

 

エリカの前に現れたのは高校の先輩である壬生紗耶香と桐原武明。

 

「俺は次いでかよ」

 

「今日はお世話になります」

 

「いいって そんなに畏まらなくて 誘ったのはコッチなんだから」

 

二人は一校でトップの剣士。そんな二人は後日行われる剣道大会に出場することになっている。だが一校には相手になる者はいない。だが千葉門下には二人でも敵わない様な猛者が大勢いる。試合前の付け焼刃であるが二人にとっても相当なスキルアップが期待できるだろうと言う事で千葉家の道場に招待した。

 

「じゃあ コッチ」

 

エリカが案内した道場には大勢の門下生。エリカが道場に入ると稽古していた者達が稽古を中断し全員がエリカに対し腰を深く折る。

 

「おはようございます!」

 

「おはよう」

 

「なんか すげぇな お前」

 

「まぁ ここは実力主義だから」

 

要するにエリカは強いらしい。

 

「あの その二人は?」

 

一人の門下生が当然の質問をする。

 

「一校の先輩で 壬生紗耶香さんと桐原武明さん。大会が近いから貴方達と戦うのもいいんじゃないかと思って招待したの 誰か桐原先輩の相手してあげて私は壬生さんの相手するから」

 

「じゃあ 僕とやろうじゃないか」

 

「はい! お願いします」

 

「じゃあ サーヤは私とね」

 

「お願いします」

 

それからしばらく、紗耶香はエリカに、桐原は道場に今いる中でも実力者に稽古を付けて貰っていた。

 

「ふ~ じゃあ 切りもいいし 休憩にしよっか?」

 

「有難うございました」

 

道場の端の壁に依り掛かり休憩する二人。

 

「やっぱり エリちゃんは強いね」

 

「サーヤも強いって」

 

そこに桐原も加わる。

 

「流石に 此処にいる人達は強えーな」

 

「桐原君 ボコボコにされてたね」

 

「でも相手できるだけ先輩も強いですよ」

 

休憩中 入り口に目を向けると道場に足を踏み入れる者が・・・現れたのは渡辺摩利

 

「あ! どうも」

 

「桐原 壬生? お前達 どうして此処に?」

 

「千葉に招待されまして」

 

「そ そうか」

 

「随分 来るのが 遅いんですね」

 

他の門下生より遅く来た摩利をエリカが皮肉る。

 

「委員会の引き継ぎとかで忙しいんだよ」

 

「いつも達也君に仕事押し付けてるくせに」

 

「な! なんでそんな・・・」

 

「友達だもん 愚痴の一つくらい聴くわよ」

 

「別に私は達也君に仕事を押し付けてなど・・・」

 

「じゃあ アタシは これで」

 

「エリちゃん?」

 

「サーヤは その女に相手でもしてもらいなよ」

 

エリカは道場を去る。摩利がいる以上、集中できそうにない。だが部屋にいてもすることがない。時刻はお昼前。そこでエリカは気分転換に出かけることにした。

 

とある繁華街

 

食事も済ませ目的も無く歩く。そんなエリカの前に見知った顔が。

 

「こんな処で奇遇だなエリカ」

 

「達也君? 何してるの?」

 

「何 といわれても」

 

「深雪は?」

 

「見ての通り一人だ」

 

「・・・もしかして 今 暇?」

 

「もしかしなくても 暇だが・・・」

 

「じゃあ ちょっと 付き合って」

 

「何をさせる気だ」

 

「男なら約束の一つくらい守りなさい」

 

「約束? あぁ あの時の」

 

エリカとの約束 それは九校戦でのこと

 

新人戦 『モノリス・コード』準決勝前

 

昼食を取る為に移動していた達也達がホテルのロビーでエリカを目撃する。エリカは一人では無かった 直ぐ傍にいたのは渡辺摩利とそしてもう一人。

 

千葉修次 『千葉の麒麟児』と呼ばれる 防衛大に在籍中でありながら 三メートル以内の間合いなら世界屈指の魔法白兵戦技の英才。

 

「なぜ 次兄上がこの様な処に・・・兄上は任務でタイに主張中のはず」

 

「イヤ 一時帰国の許可は貰ったから」

 

「態々こんな女の為にですか?」

 

「コラ!エリカ 摩利に謝れ」

 

「お断りします! 兄上はこの女と付き合い始めて堕落しました。私の考えは変わりません」

 

と言って その場から走り去ったエリカは達也達とバッタリ出会う

 

「あ!・・・もしかして 今の見てた?」

 

「まぁ その 今から昼食にしようとしたから 取り敢えず部屋に来ないか?」

 

「うっ・・・今度何か奢ってね」

 

「まぁ そんなに高くないものなら」

 

「渡辺先輩の恋人ってエリカちゃんのお兄さんだったんですね」

 

「はぁ~あのバカ兄貴」

 

「次兄上でしょ」

 

「ちょ!さっきのは忘れてよ」

 

「エリカってお兄さんの事好きなのね」

 

「違う!」

 

「知らなかったわ エリカがブラコンだったなんて」

 

「な!? あ アンタみたいなのと一緒にするな! この超絶ブラコン娘が~」

 

 

場所は変わって 二人はとあるお店の中にいた。

 

「・・・良く入るな」

 

エリカの前にはたくさんのスイーツ

 

「良く言うでしょ 甘いものは別腹よ」

 

「まぁ それは・・・」

 

「後で取った分のカロリーの二倍は消費するから大丈夫よ」

 

「余り ムチャはするなよ」

 

「ムチャはするわよ 女の子が体型維持するのは大変なんだから」

 

「(ならそんなに食べなきゃいいのに・・・)」

 

「ん 何よ?」

 

「イヤ 機嫌は治ったみたいだなっと思って」

 

「スイーツで機嫌が治るなんて 達也君 アタシのこと子供だと思ってる?」

 

「別に思わないが 何が原因だったんだ」

 

「あぁ それはあの女と会ったから」

 

「・・・委員長か」

 

その後 達也はエリカの愚痴を聴かされたり買い物に付き合わされたりした。

 

そして 時刻は夕方

 

「じゃあね 達也君 今日はアリガト」

 

「家まで送って行こうか?」

 

「大丈夫 寄り道しないで帰るから」

 

「そうか じゃあな」

 

「また 何か奢ってね」

 

「え!」

 

「何よ それくらい普通でしょ」

 

「・・・あぁ まぁ そうだな 分かった」

 

エリカは満足そうに帰っていった

 

「(はぁ~ 俺って 押しに弱いのか?)」

 

そんな事を思いつつ帰路に着く達也 そして 家に帰っても深雪から何の連絡もしなかったことで怒られてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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