その日 光井ほのかは親友である北山雫の家を訪れていた。北山家は豪邸である。初見ならその門を潜る事を躊躇する程の立派な門。だがほのかにとっては何年も前から潜り続けた門なので苦労することはない。門を潜り、大豪邸の中の雫の部屋に迷う事なく辿り着く。
北山家 雫の部屋
雫の部屋に入るとほのかの目についたのはCAD。
「雫、それもしかして、新しい特化型CAD?」
「そうだよ」
素っ気なく答える雫 そのCADはほのかも見覚えのあるもの。
「それ 達也さんと同じ」
「そう シルバーモデル」
「いいな~」
「ほのかは特化型CADは使わないでしょ」
「そうだけど」
「それと不定期だけど このCADの調整してくれることになった」
「え!いいな~」
「相変わらず専属契約は断られたけど」
雫の目標の一つ、達也とのCADメンテナンスの専属契約はまだまだ先の様だ。
「次はほのかの番だね」
「う うん」
ほのかは九校戦の新人戦『ミラージ・バット』優勝祝いと云う名目で後日 達也と出かけることになっている。
「それで どうするの?」
「え?」
「だから 当日は何をするか決めてるの?」
「まだ何も」
「告白は?」
「!?」
「好きなんでしょ」
「でも~」
「達也さんは超が付くほどの鈍感だよ。ほのかから積極的に告白すべきだよ」
「私から告白なんて無理だよ~」
「達也さんは今回の九校戦で注目されたから、この先、近づいてくる女は多くなる。あんまり のんびりしてたら達也さんを他の女に取られちゃうよ」
「それはそうだけど」
「頑張れ ほのか」
そして その日がやって来た
とある繁華街
「待たせたか?」
「イエ わ 私も少し前に着いたばかりですから 全然 待ってませんよ」
「それで ほのか 今日はどうするんだ」
「それがまだ何をするか決めてなくて」
「取り敢えず 色々な店を回ってみて それから 決めたらどうだ?」
「は はい! そうします」
「何か欲しいのがあれば買ってやれるけど」
「え! いいですよ そんな事までしていただかなくて」
「構わないよ 優勝祝いに奢るって言ったろ」
そして 時間は過ぎ 夕方 買い物を終えた二人は近くの公園で少し休んでいくことに。
「今日は ありがとう ございました」
「元々 約束はしてたんだから そんなに畏まらなくても」
楽しい時間は終了し、ほのかがやるべき事は告白を残すのみ。ほのかが意を決して口を開く。
「あ あの 達也さん」
「あれ あの子」
達也の眼の先には明らかな迷子であろう女の子が。
「・・・迷子みたいですね」
「まぁ ここら辺は賑わってるからな」
告白を先送りにしほのかが声を掛け女の子の親を探す事に・・・幸い女の子の親は直ぐに見つかる。
「済みません ウチの子がご迷惑を」
「イエイエ 迷惑だなんて」
「ほら 貴女もちゃんと お姉ちゃんとお兄ちゃんにお礼を言いなさい」
「ありがとう お姉ちゃん お兄ちゃん」
「お母さんが見つかって良かったね」
「次からは気を付けるんだよ」
「は~い」
「御免なさいね 折角のデートのお邪魔して」
「え! デート」
「俺達はそんな関係じゃないですよ」
達也はほのかの為を思って訂正する。
「あら そう 御免なさいね」
「そ! そうですよ。私達はそんな関係じゃないですよ。(はぁ~)」
それから親子と別れ、
「良かったな 割とすぐにあの子の親が見つかって」
「そうですね」
「・・・そういえば ほのか」
「何ですか? 達也さん」
「あの子を見つける前 俺に何か言いかけてなかったか?」
「え! そ それは~」
ほのかが返答に困る そんな状況で二人に声を掛ける者が、
「あら 達也君 それに光井さんも こんな処で会うなんて奇遇ね それにしても何だか珍しい組み合わせ・・・でもないか」
そこには 真由美
「会長!?」
「どうも 奇遇ですね こんな処で会うなんて」
真由美は二人をニヤニヤしながら観察している。
「フフッ それで二人はこんな処で何をしているのかしら」
「何って 買い物ですよ」
「買い物じゃないでしょ デートしてたのよね」
「別に俺とほのかは付き合ってませんが」
「お似合いに見えるけど」
「俺みたいのが彼氏なんてほのかに悪いですよ」
達也のこの言葉でほのかは撃沈した。達也がこの調子では後で告白しようにも断られる確率が高いだろう。一方の真由美はほのかのリアクションを見て余計な事をしたと理解し、ほのかにだけ分かる様に目で「御免なさい」と誤って帰って行った。
「じゃ じゃあね 二人とも」
その場から離れようとしていた真由美だったが
「あ! そうだ 光井さん 帰りはちゃんと達也君に送って貰うのよ」
「言われなくても そのつもりですよ」
「それじゃあ またね 二人共」
それからほのかは達也に送られほのかが一人で住んでいるマンションへ。
「あの 達也さん 今日はありがとうございました」
「別にお礼を言われる様なことはしてないよ」
後日 再度 雫の部屋で ほのかの結果報告
「それで そのまま達也さんを帰しちゃったの?」
「う うん」
雫は呆れていた。
「はぁ~ ほのかは一人暮らし してるんだから部屋に上がって貰えば良かったじゃない」
「無理だよ~達也さんを部屋に呼ぶなんて私にはハードルが高すぎるよ~」
「仕方ない。何か別の方法で・・・」
その後 二人の話し合いはしばらく続いた。
次からは夏休み編です