放課後 図書館いた達也だが深雪から鈴音が探していることを聞いて、魔法幾何学準備室の前にいた。
「失礼します。司波達也です」
「どうぞ、入ってください」
魔法幾何学準備室で達也を迎え入れたのは三人。三年 市原鈴音 二年 五十里 啓
そして、二年B組の実技担当者 廿楽計夫(つずらかずお)廿楽は数字の20を意味する。彼の実家はナンバーズ百家。
「あの、それで自分にご相談というのは」
達也の質問に答えたのは鈴音ではなく、廿楽の方だ。
「司波君は今月末に魔法協会主催開かれる論文コンペがあるのは知っていますか?」
「知っています。ただ、詳細は知りません」
「まぁ、華やかな九校戦と違って論文コンペは地味ですから詳しく知らないのも無理はありませんね」
廿楽は一呼吸おいて達也にとんでもない提案をした。
「今回の相談は市原君と私からの相談というかお願いなんですが」
「はい」
「司波君。第一高校の代表として論文コンペに参加してくれませんか?」
「・・・はぁ?オレ・・・じゃない、自分がですか?」
「そうです。君がです」
「何故 自分なんですか?」
「本来は此処にいる。市原君と五十里君そして三年の平河小春君の三人での出場を予定していたんですが」
「平河先輩 退学届けを出してきたんだ」
「(平河・・・あぁ 九校戦で小早川先輩の担当エンジニアだった人か)」
「さすがに退学は思いと留めさせましたが、いまの状態の彼女を代表メンバーに入れる訳には行きません。そこで白羽の矢が立ったのが君なんです」
「だから、何故、一年の自分が選ばれるんですか?確か出場者は校内の論文選考会で選ばれましたよね。それに、自分は論文を出してすらいませんが」
達也の言う通り、達也は学校側が出場者を募集している時期に論文は出していない。飛行魔法開発に忙しく、また、可能な限り目立つ事は避けたかったので完全スルーしていた。
「プレゼンの準備は共同作業ですし、まぁ 詳しい話は市原君に聞いて下さい」
そう言って廿楽は部屋を後にする。
「司波君を推薦したのは私です。他の代役は拒否させてもらいました」
「えぇ~」
どうやら達也に拒否権は無い様だ。達也からすればこれ以上目立ちたくない。
「でも、選考会に論文を出していない自分をメンバーにしても納得する人はいないでしょう。自分より、先輩たちの次点の人をメンバーに入れればいい話でしょ」
達也のこの言葉に珍しく鈴音が反応する。
「関本君はダメです!彼はこの作業に向いていません」
「関本? 関本って風紀委員の関本先輩のことですか?」
「えぇ~と、彼と私では・・・その・・・方向性が違うので」
「論文コンペの出場者はメインの執筆者一人とその補佐のサブ二人の三人で出るんだ」
「つまり、市原先輩の論文をサポートするのが自分の役割ですか」
「そうです」
「でも、それなら二人目のサブが自分である必要はないんじゃ」
「そんな事はありません。今回のテーマでは司波君の力が必用になってきます」
達也は疑問に思った。何故、そんな確証があるのか。達也は自分の名前で論文を出したことはないというのに。
「今回、私が論文コンペで発表するテーマは『重力制御型熱核融合炉の技術的可能性』です」
「へぇ~」
「司波君がどんな研究に興味があるか少し前に深雪さんから聞き出しました」
深雪には自分の事でボロを出さない様に常に言っていたのだが
「(深雪も気を付けてはいたんだろうがな)」
「はぁ~そう云う事なら仕方ありません。今回の件は自分にとってもプラスになるかもしれませんから」
「参加してくれるんですね」
「宜しくおねがいします」
そう言って達也は鈴音と握手を交わす。