達也の周りは敵だらけ   作:黒以下

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横浜騒乱編 横浜事変 それぞれの動き

深雪達が本格的に非難を開始し始めた頃、第一高校生徒会長の中条あずさは生徒+講師陣と共にシェルターに避難するために地下道を進んでいた。しかし、達也の予想通り武装ゲリラと鉢合わせしてしまう。しかし、運よく、その場に遅れて来た沢木、服部と合流、数も少なかった為に死傷者を出さずに済んだ。

 

響子の隊はオフロード車両二台に響子を含めた8人だったが、全員が手練れであると思われる雰囲気を纏っている。

 

「藤林少尉殿」

 

「何でしょう?十文字さん」

 

「車を一台お貸しいただきたい」

 

「どちらに行かれるおつもりで?」

 

「魔法協会支部へ、私も代理とはいえ、師族会議の一員です。協会への責任を果たさなければなりません」

 

「・・・分かりました。楯岡軍曹、音羽伍長。十文字さんを協会まで護衛なさい」

 

 

第3高校の代表団と応援団は、来る時に使ったバスで避難することに方針を決めていた。バスは国際会議場から離れた大型車両専用駐車場に待機している。しかし、駐車場についてバスを確認すると、バスはロケット砲の直撃を受けていた。幸い着弾点がずれバスの車体は無事だったが、タイヤがダメになっていた。

 

「先生」

 

「どうした吉祥寺」

 

「タイヤの交換を済ませましょう。もし、敵が来るようなら将輝たちに任せましょう」

 

「しかし・・・」

 

「ここは大型車両や特殊車両の専用駐車場です。簡単な整備の為の設備もあるみたいですからタイヤの予備くらいはあると思います」

 

「そ、そうだな、よし、手の空いた者はタイヤ交換の準備を」

 

 

あずさに率いられた集団は他校に遅れて地下シェルター入り口に到着。あずさは先にシェルターに避難している集団に扉を開けて貰う様に交渉をしていた矢先、後方でと十三束と警戒に当たっていた廿楽が叫んだ。

 

「皆さん、頭をかばって伏せて下さい!」

 

天井と壁にひびが入り、崩れ落ちてくる。巻き込まれれば全員が生き埋めになる最悪の結末が予想された。しかし、一校の生徒は生き埋めにはならなかった。見ればコンクリート破片の大きな塊が円弧上に噛み合い互いの重量を支えているおかげで中腰で立てる程度の空間ができている。

 

「(・・・そうか!ポリヒドラ・ハンドル!廿楽先生の魔法!)」

 

『ポリヒドラ・ハンドル』 構造物を三角錐や四角柱等の単純な多面体の集合体に抽象化し、その構成要素である仮想単純立体を操作することで大規模構造物の変化をコントロールする魔法。

 

「皆さん!早くこちらへ!」

 

あずさは即座に生徒達に移動を促すと同時に早く扉を開けるようにシェルターに訴えた。

 

 

天井崩壊に巻き込まれた平河千秋は驚きの余りへたり込んでいた。そんな彼女に手を差し伸べる十三束。

 

「何してんの!早く逃げなきゃ!」

 

「え、あ、うん」

 

「大丈夫?」

 

「うん、あ、あの・・・ありがとう」

 

「んっ?どういたしまして」

 

 

 

響子の部下に先導されて地下シェルターが設置されている駅前広場に辿り着いた真由美達はその惨状に言葉を失う。広場は大きく陥没。その上には巨大な金属の塊。

 

「直立戦車・・・一体どこから?」

 

広場陥没の原因であろう直立戦車。全高約3メートル半、肩高約3メートル、横幅約2メートル半、長さ約2メートル半の機体。市街地においても効率的に歩兵を掃討することを目的に元は東欧で開発された兵器。

 

「このっ!」

 

「花音、『地雷原』はまずいよ」

 

「そんなもの使わないわよ」

 

目の前の惨劇を起こした原因に沸騰した花音が五十里の制止を振り切って魔法を発動しようとした。

 

「えっ!?」

 

しかし、彼女の見据えた標的は僅かな間に真由美と深雪によって、穴だらけになって、白く凍り付いていた。

 

「流石ね二人共、私達が手を出す暇も無かったわ」

 

「地下の皆は大丈夫みたいです。誰かが生き埋めになっている形跡はありませんね」

 

どうやら幹比古は精霊を放って地下の様子を探っていた様だ。

 

「そうですか。吉田家の方がそう仰るなら確かでしょうね」

 

「それで、これからどうします?」

 

「そうですね、こんな所まで直立戦車が入り込んできてますから、事態は思ったより、深刻です。私としては野毛山の陣内に避難をお勧めしますけど」

 

「しかし、それでは、敵の攻撃目標になるんじゃ」

 

「でも、軍と別行動しても危険は減らないわよ」

 

「なら、野毛山に?」

 

「私は此処で、逃げ遅れた人の為に、輸送ヘリを呼ぶつもりよ。摩利は皆を連れて響子さんと一緒に・・・」

 

「お前一人で残るつもりか?」

 

「私も十師族の人間だからこう云う時くらい、使命を果たさないとね」

 

そんな真由美の決意に最初に声を挙げたのは摩利でなく、五十里だった。

 

「だったら、僕も残ります。百家も十師族程じゃありませんが良くしてもらってるので」

 

「啓が残るなら私も・・・ウチも百家だし」

 

「じゃあ、あたしも残って問題無し。千葉の娘だし」

 

「私も残ります。お兄様だけを戦わせるつもりはありませんから」

 

「わ、私も残って戦います」

 

「私もここに父の会社のヘリを呼ぶように手配するので残ります」

 

「俺はナンバーズじゃないですけど、下級生をおいて逃げるつもりないんで・・・」

 

「俺もです。こんな時の為に鍛えてるんで」

 

「私も戦えます」

 

「ウチはナンバーズじゃありませんけど、優遇して貰ってる点では同じです」

 

「私は、直接的な戦力にはなりませんけど、私の眼なら役に立つと思います」

 

「下級生が残ると言ってるのに、2人だけで逃げれないよなぁ~」

 

「そうですね、真由美さんは抜けてところもありますし、一人残すのは不安過ぎます」

 

啓・花音・エリカ・深雪・ほのか・雫・桐原・レオ・紗耶香・幹比古・美月・摩利・鈴音が次々にその場に残る事を宣言する。

 

「あ、あのねぇ~」

 

「頼もしいわね」

 

「御免なさい。響子さん、この子達、聞き分けが非常に悪いので」

 

「では、部下を置いていきます。くれぐれも無茶はしないこと」

 

「いや、それには及びませんよ」

 

突然、後ろから掛けられた聞き覚えのある声。

 

「あら、警部さん」

 

「げっ!和兄貴!?」

 

「軍の仕事は外敵の排除、市民の保護は警察の仕事。ここには我々が残ります。藤林さんは・・・藤林少尉は本体と合流を」

 

「・・・了解しました。千葉警部、後は宜しくお願いします」

 

響子は敬礼し、颯爽とその場を後にした。

 

大型特殊車両専用駐車場でゲリラ兵を相手にしていた三校生は、その過半数が吐き気を抑えられずに戦闘不能に陥っていた。戦闘の援護をしていた、一色愛梨と十七夜栞もいつの間にか援護から、生徒の介抱に回っていた。

 

「一条、少しは加減を・・・」

 

「先輩!何を寝ぼけた事言ってるんですか!加減なんてできる訳ないでしょ!」

 

将輝は先輩の批難に耳を貸さず、ゲリラ相手に拳銃形態の特化型CADを向ける。

 

『爆裂』一条家の秘術。対象物内部の液体を一瞬で気化する魔法。

 

将輝の目の前で紅の花が何度も咲く。『爆裂』を人体に行使した結果だ。血漿が気化し、その圧力で筋肉と皮膚がはじけ飛ぶ。紅の花の乱れ咲きはしばらく続いた。

 

侵攻部隊 偽装揚陸艦隊 内部

 

「シェルター確保に向かていた工作員。連絡途絶えました。直立戦車、応答無し」

 

彼らの作戦では、事前に潜り込ませていた工作員が人質を確保した処で、一気に機動部隊を投入する予定だったが、工作員の損耗が予想以上に激しい。特に国際会議場と周辺施設に差し向けた部隊は大きな損害が出ている。

 

「機動部隊を上陸させろ」

 

司令官は自国製の直立戦車と装甲車の出動を命じた。状況は刻一刻と変化する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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