達也の周りは敵だらけ   作:黒以下

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来訪者編 始まり 其之三 2096年 元日

西暦2096年の元旦を、達也と深雪は二人で迎えた。そしてこれから二人は初詣に向かう処だ。達也は深雪が振袖に着替えるのを待っていた。

 

「お待たせしました」

 

「じゃあ、行こうか」

 

門の前には無人運転コミューターが停まっていた。無人といっても後部座席には九重八雲と小野遥が座っていた。

 

「明けましておめでとうございます。師匠」

 

「明けましておめでとうございます。九重先生。本年もよろしくお願いします」

 

「いやぁ、今日は一段と綺麗だねぇ~」

 

「先生・・・もっと他に言う事があるのでは?」

 

「小野先生。明けましておめでとうございます・・・しかし、いいんですか?師匠と一緒なんて」

 

「はい、おめでとう。新年早々、嫌な事聞くのね」

 

「あの。お兄様。揃ったのですから、早く駅に向かいましょう。待ち合わせに遅れますよ」

 

四人を乗せたコミューターが駅に向かって発進した。駅で電車に乗り換え待ち合わせの場所へ。

 

日枝神社 参道

 

「わっ~。深雪さん。綺麗です」

 

待ち合わせ場所で一番最初に声を掛けて来たのは美月だった。しかし、美月は深雪と違い振袖姿ではないが。

 

「明けましておめでとうございます。達也さん。良くお似合いです。すこし、意外でしたけど」

 

「明けましておめでとう。ほのかの振袖も良く似合ってるよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「しかし、意外・・・ってことは、やっぱり違和感があるのか」

 

振袖の深雪とは違い達也の衣装は袴姿だ。

 

「そんなことねぇと思うけど。良く似合ってると思うぜ。何処ぞの若頭って感じだ」

 

「俺はヤクザか!」

 

初詣の約束をしていたのは美月・レオ・ほのかの三人。エリカと幹比古は家の手伝いで、雫に至っては留学間近で忙しく来られなかった。

 

「ヤクザには見えなど、袴姿がそこまで様になる高校生も珍しいわ」

 

「達也君はヤクザ者と言うより、与力か同心の方が合ってるんじゃない」

 

「あれ?遥ちゃん?明けましておめでとう」

 

「明けましておめでとうございます。小野先生。・・・達也さん此方の方は?」

 

ほのかは八雲に目を向けながら達也に尋ねた。

 

「あぁ、紹介しよう。九重寺住職・八雲和尚。イヤ、忍術使い・九重八雲先生の方が分り易いか。俺らの体術の先生でもある」

 

「初めまして、達也さんと同じクラスの柴田美月です」

 

「俺も達也と同じクラスで西城レオンハルトっていいます」

 

「初めまして。深雪と同じクラスの光井ほのかです」

 

「うん。宜しくね」

 

互いの紹介を終え、本殿に向かい歩き出す。特に寄り道をすることなく。歓談を上がって神門を潜り拝殿前の中庭に入る。そこで達也は、不意に視線を感じた。その視線には八雲と遥も気付いた様だ。

 

「司波君。心当たりは?」

 

「特には」

 

「本当に?」

 

「えぇ、本当に」

 

「外人には達也君の恰好が珍しいのかな?」

 

八雲が言ったように達也が感じた視線の先には金髪碧眼の少女だった。ただ、今の時代相手の姿を見ただけで外国籍かは分からない。相手の少女も金髪碧眼であっても日本人的な面立ちだった。

 

「お兄様?一体何を見て・・・綺麗な子ですね」

 

「・・・お前程じゃないと思うけど」

 

「・・・いつもいつもそんな言葉で・・・それで彼女に何かご不審でも?」

 

「不審といえば・・・あの恰好は流石に・・・」

 

少女の服装は流行りに疎い達也の目から見ても違和感を覚えるものだった。

 

 

日枝神社 リーナ視点

 

「(さっきの二人が今回のターゲット司波達也とその妹の深雪)」

 

リーナはこの日、容疑者として挙げられていた達也と深雪に接触を試みていた。リーナ自身としてはファーストコンタクトは上手く行ったと思っている。しかし、彼女には気になる事が一点だけ。

 

「(この国ではそんなに外国人が珍しいのかしら?あの二人も周りの人達も珍しそうに私を見てたけど・・・)」

 

そんな事を思いながらリーナは今回の生活拠点のマンションのドアを開けた。

 

「お帰りなさいリー・・・ナ」

 

リーナを出迎えたのはシルビィア・マーキュリー。スターズ惑星級魔法師で若くして『ファースト』のコードを与えられたアンジーシリウスの補佐官。

 

「あれっ?帰っていたんですね。シルビィー」

 

「・・・」

 

「どうしたんですか?シルビィー?」

 

彼女の視線が明らかにおかしい事に気づいたがリーナにはその視線の理由が分からない。

 

「どうしたんですかって・・・そっちこそ、どうしたんですか?その恰好!」

 

「あぁ、これですか・不用意に目立たないように過去一世紀の日本のファッションを色々調べたんです。イヤ~結構苦労しましたよ。でも、どうです。似合ってません?」

 

「・・・そのブーツ。歩きづらくありません?」

 

「そうなんですよ。何度も転びそうになりました。日本の女の子はこんなブーツ履いてよく足をくじかないものです」

 

「リーナ。今日一日歩いて、同じタイプのブーツを履いた女の子を見ましたか?」

 

「・・・そういえば、見ていません。綺麗な和服姿の女の子が多かったですけど」

 

「元日じゃなくてもそのブーツ、イエ、そんな恰好をしている女の子はいないでしょうね」

 

「何故です?」

 

「何故って・・・ハッキリ言いましょう。そのリーナの恰好が流行遅れだからです」

 

「・・・えっ!それ本当ですか?」

 

「本当です。と言うか何故100年も遡るんですか?その恰好じゃ目立って仕方なかったでしょう」

 

「外国人が珍しいのかと・・・」

 

「いくらターゲットの注意を引き付けると言っても・・・関係ない人の注意まで引いてどうするんですか!」

 

「ご、御免なさい」

 

「総隊長。本日、以後の予定はキャンセルしましょう」

 

「えっ?何故です?」

 

「僭越ながら私が最近のファッション動向をじっくりと分り易く、ご説明差し上げます。いいですね」

 

「は、はい」

 

戦闘力では遥かにシルビィーを凌駕するはずのリーナだが、この言葉には逆らえなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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