達也の周りは敵だらけ   作:黒以下

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来訪者編 留学生 其之一

達也と深雪が通う第一高校も冬休みが終わり、今日から三学期。A組には雫の代わりに留学生が来るはずだが、達也からすれば他人事だ。深雪と同じクラスになる以上、無関係とはいかないが、達也は自分から関わろうという意志は無い。しかし、その留学生は早くも噂になっていた。

 

「何かすっごい美少女なんだって」

 

クラスの各所から聞こえる留学生の噂は聞き流していたが、流石に目の前から自分に向けて話をしているエリカの噂話を聞き流すことは出来なかった。

 

「綺麗な金髪で、上級生まで見に来てるらしいよ」

 

「エリカは見に行かないのか?」

 

「あんな人だかりに入って行かないって」

 

「オメーでも遠慮ってモンを知ってんだな」

 

その言葉を発したレオがその瞬間、床に倒れた。

 

「達也君は興味ないの?美少女」

 

「・・・俺はここに来れば美少女が毎日、見れるから、行くつもりは無いよ」

 

その言葉を発したその瞬間、達也は椅子から転げ落ちた。

 

「・・・もう、やだぁ!達也君たら口がうまいんだから」

 

「(やっぱり、エリカは褒めても貶しても口より先に手が出るタイプだな。次からは無難に返答しよう)」

 

立ち上がりながら心の中で達也はそんな事を誓った。

 

「あたしは女だからね~。いくら美少女って言われても、人込みかき分けてまで見に行きたいとも思わないのよね」

 

「魔法科高校に留学生なんて何年も無かったことだから、好奇心くらいは湧くんじゃないか?」

 

「以前の事は知らないけど、留学生が来たのはウチだけじゃないらしいよ」

 

留学生の噂話に口を挟んだのは幹比古。

 

「第2、第3、第4高校にも留学生の受け入れがあったそうだよ。それに大学の方にも共同研究の名目で何人か来てるって」

 

「あぁ、それならアタシも聞いた。噂じゃ横浜の件で探りを入れて来たんじゃないかって」

 

「じゃあ、A組の奴もスパイってことか?」

 

「・・・あんたねぇ~」

 

「レオ君。そういうのは思っていても言わない方が・・・」

 

「僕達も同級生として付き合って行かなきゃいけないんだから」

 

「・・・イヤ、付き合うって、そいつA組だろ?俺らに接点ねぇだろ?」

 

「バカね。A組には深雪とほのかの生徒会役員が二人もいるのよ。留学生が学校に慣れるまで、どちらかが面倒を見る事になるでしょうし、深雪とほのかと関わり合いができれば流石に無関係じゃいられないわよ」

 

 

その関わりは、思ったより早く出来た。お昼の約束をした学食。達也たちの前にやって来たのは深雪とほのかと留学生の少女。散々、朝から美少女と聞かされていたので驚きはしなかったが「おやっ?」と思った。達也の前に現れた留学生が日枝神社で見た、あの少女だったからだ。

 

「ご同席させてもらっても良いかしら」

 

「えぇ、勿論」

 

「リーナ、まず、お皿を取って来ましょう」

 

「お皿・・・あぁ、食べる物、という意味ね。分かったわ。」

 

既に席に座っている達也たちは自分の分を取ってきている。深雪に促されリーナはほのかと共に配膳カウンターへ向かう。

 

「なぁ、達也・・・彼女、どっかで見たような・・・」

 

「うわっ、古い手口」

 

「実は私も・・・」

 

「えぇっ、柴田さんも?」

 

「・・・日枝神社」

 

「・・・あっ!」

 

「・・・?」

 

レオの疑問に達也がぼそっと答えると、レオと美月は納得し、詳細を知らないエリカと幹比古は首を傾げた。そこに深雪達が帰って来た。

 

「お待たせしました、お兄様」

 

達也の隣に腰を下ろす深雪。正面にはほのか、その隣にリーナが座る。

 

「達也さん、紹介しますね。アンジェリーナ=クドウ=シールズさん。もう聞いているとは思いますけど、今日からA組に来た留学生の方です」

 

「・・・えっと、ほのか?皆さんほのかのお友達なんでしょ」

 

「そうだけど」

 

「だったら、こちらの方だけでなく、他の皆さんにも紹介して欲しいのだけど」

 

「えっ?・・・あっ!ご、御免なさい」

 

「・・・まぁ、ほのかだし」

 

「ですね」

 

「え~。じゃあ改めて。アメリカから来たアンジェリーナ=クドウ=シールズさんよ」

 

「リーナって呼んでください」

 

「E組の司波達也です。深雪と区別がつかないでしょうから『達也』と呼んでください」

 

「ありがとう。じゃあ、私のことも『リーナ』って呼んでください。それから敬語は無しにしてくれると嬉しいんですけど」

 

「えっと、分かったよ。リーナ」

 

「宜しくね、達也」

 

「アタシは千葉エリカ。エリカで良いよ。これから宜しくねリーナ」

 

「私は柴田美月っていいます。美月って呼んでください」

 

「俺は西城レオンハルト。レオって呼んでくれ」

 

「吉田幹比古です。僕の事も『幹比古』で良いよ」

 

「エリカに、美月に、レオと幹比古ね。宜しく」

 

「あぁ、リーナ。コイツの事は『幹比古』じゃなくて『ミキ』って呼べば通じるから」

 

「ちょっ!エリカ?」

 

「あら、そう?じゃあ、ミキ、って呼ばせてもらうわ」

 

「いいけど・・・なんでエリカが勝手に」

 

 

自己紹介を終えた達也たち。そろそろ全員が食べ終わろうか、という頃にはリーナも随分と打ち解けた様に見えた。そこで、E組のメンバーガ疑問に思っていたであろうことを達也が訪ねた。

 

「・・・なぁ、リーナって、もしかして九島家と関係があるのかい?」

 

「あるわよ。私の母方の祖父が九島将軍の弟なの」

 

「へぇ~」

 

「そういう縁もあって、今回の交換留学の話が私の処に来たみたい」」

 

「じゃあ、リーナも自分から希望したんじゃないんだね」

 

エリカの何気ない疑問に一瞬だけ動揺と緊張を示したのを達也は見逃さなかった。

 

 

 

 

 

夜の闇を這いずり回るのは、何も後ろ暗いところのある者達ばかりではない。そうしたアウトローに市民生活が脅かされずに済んでいるのは、混沌と戦う秩序の使途が同じ闇の中を駆けずり回っているからだ。この日、稲垣警部補と千葉寿和警部も闇の中を這いずり回っていた。

 

「よくもまぁ、次から次へと厄介事が」

 

「・・・」

 

「大体何が起こってるんだ?」

 

「それを調べるのが我々の仕事でしょ」

 

稲垣が上司の泣き言を一喝した、その時、レシーバーからコール音が。

 

「・・・了解しました。直ぐに現場に向かいます」

 

「警部、五人目みたいです。死因もこれまでの該者と同じ衰弱死、外傷がない処も同じです。そして・・・」

 

「そして血が無くなってるのも同じなんだろ。・・・全く、一か月で五人の変死体。マスコミを抑えるのもそろそろ限界だぞ」

 

寿和はため息を付き、面倒くさそうな顔をしながらも、その眼には鋭い狩人の眼光を宿していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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