世界平和という塩田さんの夢はまだまだ遠いみたいです。
2人が長々と話しているといつの間にか人里に着いていた。
「へぇ〜、中々賑やかで良いところですね。」
「そうですか?」
「はい、賑やかなのは良いことです。」
にっこりと彼女に微笑む
「さて、買い物でしたね。早く行きましょう。」
「あ、はい!!」
・・・・・・・・・・
小一時間程人里を回り買い物を済ませる。
「え〜っと、これとこれ、あとこれを買えば終わりですね。
これください。」
「あいよ。」
中々の量で彼女は両手がいっぱいだ。
「大丈夫ですか?私も手伝いますよ?」
「いえいえ、先生に持たせるなんてとんでもないですよ。」
「そうですか。」
(ぐぅ〜…。)
彼女の腹がまた鳴る。
「あははは、すみませんね〜。」
「大丈夫ですか?帰りに何か食べて帰りましょう。」
「忝い。」
そう言い2人とも団子を買い、食べながら帰る。
「そういえば先生はお幾つですか?」
「17ですよ。」
「17!?」
「(こんなに小さな子があんなに強いなんて…。)」
「歳なんてどうでもいいじゃないですか。」
「そ、そうですか…。」
団子を食べ終わり、ふと見渡すと、何やら人だかりが目に入る。
「おや、何かあったのでしょう?」
「みたいですね、少し見てみますか?」
「えぇ。」
そう言い、見てみると。
「てめぇがボケボケしてんのが悪ぃんだろうが!!」
「なんだと!?てめぇの方こそ避けなかったのが悪ぃだろうが!!」
何やら男が掴み合って揉めていた。
「一体、何事ですか?」
野次の1人に聞く。
「あぁ、どうも歩いていたらぶつかって、それで揉めてるらしい。」
「あぁ、よくありますね。
私がいる都会でもよく見かけましたよ。」
「あぁ!!先生、殴り合いになりましたよ!!」
「ふぅん、どれ、私が一肌脱ぎますか。」
そう言い、殴り合う2人に仲裁に入る。
「あー、あー、2人共喧嘩は良くないですよ?」
「何だてめぇ!!人の話に割り込んでくんなよ!!」
「そうだ、引っ込んでろ!!」
仲裁に入るも怒鳴られ相手にされない。
「あんな子供が大人の喧嘩に入ってどうするんだよ。」
「怪我してもしらねぇーぞ。」
「ていうか、何処の子供だ?」
野次馬達がヒソヒソと彼女の話をし始める。
「せ、先生…。」
少し心配そうに美鈴が彼女を見守る。
「う〜ん、あまり使いたく無いのですが、仕方ありませんね。」
そう言い彼女は少し彼らから距離を置くと。
「ほっ!!」
取っ組み合う彼らの1人の脇腹に『突き』が入る。
「うおぇ!!」
すると彼はなんと2m程も吹っ飛び、野次馬達の中に突っ込む。
「喧嘩は良く無いですよ。」
「———————!!!!!」
吹っ飛んだ彼は翻筋斗打って、痛さのあまり声も出ない。
「な、なんだてめぇ!!」
もう1人が彼女に向かって叫ぶ。
「まぁまぁ落ち着いて。」
そう言うも彼は彼女に掴みかかる。
「てめぇ!!」
どうやら混乱しているようだ。
しかし彼は彼女を掴むほんの寸前で止まる。
「うっ……!!」
彼は何やら苦しそうに顔色を変えている。
「如何したんだ?」
「何が起きたんだ?」
ざわざわと野次馬達が騒ぐ。
「あ!!あれを見て!!」
美鈴が彼の足元を指差し、野次馬達に教える。
「っつ!!いででででで!!」
彼は足を押さえて悶える。
なんと、彼の親指が彼女の親指で抑えられているのだ。
そして急に彼女が野次馬達に説明し出す。
「これは簡単そうに見えますけどね。
実はこれ『集中力』なんですよ。」
彼は彼女の脚をペチペチと叩くが彼女は微動だにせず説明を続ける。
「これは親指の腱を抑えていましてね。
そう簡単に立ち上がれなくなるんですよ。
今、こうやって皆さんに話してますがさっきも言った通り『集中力』ですから。
皆さんに説明するために愛嬌振りまいてますがね。
『集中力』が切れると途端に効かなくなりますからね。」
とうとう彼は半ベソかきながら彼女に謝る。
「も、もうしませんから離してください!!」
そう言われ彼女は足を退かす。
すると彼は脱兎の如く去って行く。
「ふ〜、これで一件落着ですかね。」
しかし、気が緩んだ彼女の背後から男が飛びかかってくる。
さっきのもう1人の男だ。
「てめぇ!!」
「ふっ!!」
(ドンッ!!)
しかし彼女はサッと後ろに下がり、背中が彼の胸を叩き。
彼は後ろにすっ飛ぶ。
「おえぇぇぇぇぇ!!」
反射的に彼は衝撃で吐き気を催す。
「惜しかったですね〜、どれ、もう一度チャンスを与えますよ。」
彼女はニヤニヤしながらうずくまる彼を見下ろす。
「て、てめぇぇぇぇぇ!!」
またも彼は彼女に飛びかかる。
しかし。
「よっ!!」
彼女の人差し指が彼の喉元に突き刺さる。
「っえっ!!」
(ドタン)
彼は後ろに180°程回転し、地面に倒れる。
「これはですね、この人差し指。
指が『集中力』で即、剣になるのですよ。」
またも彼女は野次馬達に説明をする。
「てっめ!!ざけんな!!」
腰に手を当てて仁王立ちになってる彼女の手首を掴む。
しかし。
「これ、ちと痛いんですがね。こうやると。」
「いででででで!!痛い!!痛い!!」
掴みかかった彼の手首が捻られている。
彼は地面に這いつくばり、身動きが取れない。
「これ、離せばいいんですけどね。
中々離してくれませんね〜。」
そう、彼女は『掴んでいない』のだ。
彼が『掴んでいる』のだ。
そして彼はとうとう痛さに耐えかねて泣き出す。
「———っ!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!もうしませんから!!勘弁してください!!」
そう言われ彼女は技を解く。
彼もサーっと直ぐ逃げた。
そんな彼を見送りながら彼女が一言。
「もう喧嘩はするんじゃありませんよ〜!!」
そう言い、彼女は野次馬達の前に「どうだ!!」と言わんばかりに胸を張る。
(パチパチパチパチパチパチパチパチ)
拍手が送られる。
「さて、問題も解決しましたし、帰りましょう。」
「あ、は、はい!!」
美鈴にそう言い、帰る。
「(やっぱり凄いな、この人。)」
足の指抑えるのって滅茶苦茶効くんですよね。
次回、彼女の名が幻想郷中に広まる!?