森を出て直ぐ目に入ったのは大きな館。
その真紅の館の名前は「紅魔館」
幻想郷で知らないものはいないと言える程有名な建物だ。
「ほぇ〜、こりゃまた立派なものがあるねぇ〜。」
紅魔館は元々かなりの大きさだが、身体の小さい彼女にはより一層大きく見える。
「おや、彼処に見えるのは関係者の方かね?」
紅魔館の門の前に一人の少女を見つけると彼女はすぐさまそばに行く。
「ちょいと、そこの方。
お聞きしたいことがあるのですが宜しいですか?」
「……」
「こりゃ、熟睡してますな〜。」
駆けつけるも、その少女は寝ていたのだ。
それも立ったまま。
紅いロングヘアーが美しいこの少女の名前は「紅 美鈴」
この紅魔館の門番である。
「困ったね〜。
色々と聞きたいことがあるんですがね〜。」
彼女は少し難しい顔をして暫く考えた。
「中の方にお伺いしてみようかね〜。」
そう言うと彼女は門に手をかけ開けようとしたが、その直後。
「待ちなさい。」
すぐ隣りから声が聞こえた。
「起こしてしまいましたかね?」
彼女は門番が気付いたと思って渋々門番の方に顔を向ける。
が。
「ここを通す訳にはいきませんよ〜。ムニャムニャ」
「はっはっは、寝言ですかい。
可愛いもんだね〜。」
気付かれたと思ったら寝言であった。
彼女は門から手を離し、ふぅ、と息を吐く。
「何も言わずに入るのは悪いし、やっぱりこの方に聞きましょう。」
そう言うと彼女は美鈴の身体を揺さぶる。
「もしもし、聞こえますか?
起きてください。
お聞きしたいことがあるのですよ。」
すると。
「ん、ん〜?」
「ほっ、やっと起きてくれましたか。」
数分程続けてやっと目を覚ました。
「これで話せる。」と思った彼女だが違った。
「!?、な、何者だ!?」
「はい?」
突然大声を出されて一瞬戸惑う彼女。
何とか説明しようとするが。
「落ち着いて下さい。
私はただ……」
「怪しいやつめ!!
さては浸入者だな!!」
話を聞いてくれなかった。
彼女は一旦距離を置いて再度説明しようとするも。
「落ち着いて下さいって。
私はただお話を……」
「問答無用!!
覚悟!!」
そう言うと美鈴は彼女に向かって正拳突きを放つ。
彼女の顔面を捉えたと思った瞬間。
美鈴の視界に映ったのは、一瞬にして天地がひっくり返った風景だった。
「へ?」
間抜けな声をあげる彼女。
そのすぐそばには顔を覗かせる瀬賀の顔が。
彼女は投げられたのだ。
さっきの一瞬で美鈴は彼女に投げられたのだ。
(な、な、何が起きたの!?
確かに私は彼女の顔を捉えた筈!!)
「あんた、中々良い筋してるね〜。
おかげで投げやすかったですよ。」
混乱する美鈴に彼女はそう言った。
「な、投げられた?私が?」
「えぇ。」
「一体どうやって!?」
「まぁ、顔を突いてきましたから。
ひょいっと、避けて貴女の身体を受け流しただけですよ。」
「???」
彼女には全く理解出来なかった。
当然だ。
殴った筈なのに自分が投げ飛ばされるなど普通は信じられない。
だが投げられたというのは事実。
彼女はそれは認めたが、原理がわからないのだ。
「も、もう一度殴っていいですか?」
彼女は確かめる為にもう一度同じことをするつもりだ。
「えぇ、構いませんよ。
何時でもどうぞ。」
彼女は余裕たっぷりで手を背後で組んですらいる。
美鈴は少しイラッとして違うことを考えた。
(殴るふりをして、蹴りを入れてみよう。)
そう思い彼女は行動に出る。
正拳突きを寸止めで戻し、すかさず上段蹴りを繰り出したのだ。
「これはいける!!」
そう思った彼女だったが結果は驚きだった。
足首を触られた様な感触がしたと思った瞬間。
また天地がひっくり返ったのだ。
今度はひっくり返されたのだ。
「え?え?」
さっきよりも困惑する美鈴。
そこに瀬賀が一言。
「見え見えですよ。」
そう言うと彼女は美鈴に手を差し出す。
「大丈夫ですか?」
「え?あ、はい。」
手を取り合い起き上がる美鈴。
「とりあえず、お話したいことがあるので宜しいでしょうか?」
「あ、はい。
とりあえず中にどうぞ。」
そう言われると彼女は微笑み、お辞儀をして門を通り、紅魔館に入る
彼女のそばを一緒に歩く美鈴は彼女を見つめながら考え事をしていた。
(この人は一体……)
合気道って凄いんですよ?
インチキとか言う人が信じられません。