東方合気神   作:憂鬱な者

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合気道に打撃は無い
と思っていたのかぁ!?


【第二十九話】膝と突き

「さてさて、合気道における突きを教えましょうか」

 

「はい先生」

 

「合気道で突きと聞くと『入り身突き』が思い浮かぶ方が多いかもしれませんが、合気道にも空手の様に突く技もあるんですよ」

 

「へぇ〜」

 

「と言ってもボカスカ殴打するわけではないんですよ

まず、見てもらった方が早いでしょう

魔理沙さん、ちょっと受けてもらっていいですか?」

 

「え、私がか?痛いのは嫌だぜ」

 

「まぁ、そうおっしゃらずに

優しくしますから」

 

「う、まぁ、ちょっとだけなら…」

 

「じゃあ行きますよ?

まずは空手などの正拳突きです

はっ!!」

 

「うっ!!」

 

正拳突きと言っても加減するために掌底打ちで彼女の右脇腹

肝臓のところを突いた

 

「も、もうちょっと加減してくれよ〜」

 

「じゃあ合気道の突きを行きますよ?」

 

「お、おう…」

 

そう言うと彼女は同じく掌底を使った

しかし

 

「おえっ!!」

 

彼女がさっきとは違い、2m近く後ろに吹っ飛んだ

 

「ははは、如何ですか?」

 

「ゲホッ!!ゲホッ!!なんだ今の!?

まるで大きな岩が突っ込んで来たみたいな衝撃だぞ!?」

 

「はっはっは、さて美鈴さん

何故こうなったか、違いがわかりますか?」

 

「う、う〜ん

最初の突きは腰が入ってましたし〜、ん〜?」

 

「ふっふ〜ん、答えは重心と集中力です」

 

「え?」

 

「合気道における突き

それは『重心を前の膝に乗せる』んです

空手の突きとの違いはそこです

それに集中力をプラスしたんです」

 

「は、はぁ

で、でも先生

合気道では巻藁を叩いたり、瓦を割ったりするんですか?」

 

「あっはっはっはっは、美鈴さん、合気道でそんな無意味な鍛錬はしませんよ?」

 

「え、無意味?」

 

「美鈴さん、人はどれだけ頑丈か知ってますか?」

 

「え、それはその…」

 

「ブロックを割る様な突きで人は破壊出来ません

では如何すれば人を倒すことが出来ると思います?」

 

「え〜っと…」

 

「答えはダメージです」

 

「ダメージ、ですか?」

 

「えぇ、人は壊そうと思って壊せるものじゃありません

如何に肉体にダメージを与えるかが大切なんです

例えばこれ、何だと思います?」

 

そう言い、握り拳をみせる

 

「正拳、ですよね?」

 

「ではこれは?」

 

「一本拳じゃないですか、それがなにか?」

 

「じゃあ見ててください

魔理沙さん、行きますよ?」

 

「え、あ、お、おう」

 

そう言うと一本拳でさっきとは同じ突きをした

すると

 

「おえあぁっ!!」

 

同じく彼女は吹っ飛んだ

しかしその後が違った

 

「んーーーーー!!し、死ぬ!!がぁぁぁ!!」

 

彼女は腹を抑え、地面を翻筋斗打っていた

 

「さ、違いはわかりましたか?」

 

「え、えっと、一本拳だからその…、確かに与えるダメージは大きいと思いますが」

 

「一本拳でブロックを割れますか?」

 

「む、無理です」

 

「そう、人体とブロックは違うんです

ブロックは力さえあればいくらでも破壊出来ますが、人体は力任せに殴打しても中々ダメージは入らないものなんです

突きには『生物への突き』と『非生物への突き』の2つがあるんです

空手で使う突きはの大半はブロックなどを破壊する頑丈な突きです

しかし合気道は『人体の奥に浸透させる』突きを使います

そうですね、わかりやすく例えると

空手は『叩く』、合気道は『刺す』という様な感じです

表面的なダメージを与える空手に対して

合気道は内部にダメージを与えます

だから痛いんです」

 

「なるほど、要するに力を狭い面積に集中させ、かつそこに体重を乗せるんですね?」

 

「はい、しかしちょびっとだけ違いますね」

 

「え?」

 

「確かに狭い面積に体重を乗せた突きを打ち込むのは合ってます

しかし、それは空手でも同じです

違うのは『重心の移動』なんです」

 

「はい?」

 

「空手は足から腕まで連動させて体重を乗せます

しかし合気道では全身ごと動かし体重を乗せます

この違いがわかりますか?」

 

「う、う〜ん」

 

「そうですね、大雑把に言うと

空手は『バットのスイング』

合気道は『タックル』といったところでしょうか」

 

「は?」

 

「私の動きをもう一回見せますからよく見ててくださいね」

 

そう言いさっきの突きの動きを見せる

 

「ん〜?

あ!!後ろの足にほとんど体重が乗ってませんね!!

前の足に体重が乗って、かつ全身の力が拳に集中してますね!!」

 

「うんうん、つまり、飛び込んでる様な感じです

じゃあ、違いを体感してみましょう」

 

「え?」

 

「じゃあ私が貴女の胸を腕で突き飛ばしますね?

行きますよ」

 

「は、はい」

 

まずストレートの様に腕を突き出し、押した

 

「うっ、うん、中々の衝撃ですね」

 

少し踵が浮いたが楽に踏ん張れるほどだった

 

「じゃあ合気道の突きをやりますね?」

 

「は、はい」

 

同じく受けた

すると

 

「いっ!?」

 

彼女の体浮き、後ろにぶっ飛んだ

 

「す、凄い!!なにこの衝撃!?」

 

「ははは、如何ですか?

合気道のこの突きは、相手が肩を突き飛ばしに来たのに合わせて体を突き出し、相手を弾き飛ばすのや

背後から飛びついて来た相手に合わせて弾き飛ばすのと同じような感じです

大男相手でも結構吹っ飛びますよ?

まぁ、吹っ飛ばすだけじゃなくダメージを与えるのも大切ですけどね

その為に私は一本拳をよく使います」

 

「なるほど、しかし如何やって練習しているんですか?」

 

「美鈴さん、合気道の基本の構えを覚えてますか?」

 

「あ、はい

あの足や手や腰や頭などを一線上に結んだやつですよね?」

 

「はい、合気道の鍛錬であの構えから体を前に押し出す『臂力の養成』というものがあるんですが

あれが突きの鍛錬にもなっているんです

合気道では突きを鍛えるのに拳をガチガチに鍛え上げるんじゃないんです

集中力、重心の運び方を鍛えることで突きが強くなるんです

まぁ、多少は拳を丈夫にしていないと打ち所によっては痛めますけどね」

 

「なるほど〜

つまり合気道の突きは体運びによって変わるわけですか

いや〜、他の武術とはまるっきり違いますね」

 

「ははは、そこが合気道の面白いところでもあるんですよ」

 

「いや〜、勉強になりました

まさか拳を鍛えた突きと、体運びを鍛えた突きとでこんなに差があるなんて」

 

「まぁ、生物に対して有効な突きですからね

ちなみにこの原理はタックルをするようなスポーツでも役に立ちますよ

ラグビーとかレスリングとか」

 

「?何の話ですか?」

 

「天の声です」

 

「?」




合気道の突きって見た目は弱そうですけど、受けた人にとってはすんごいですよ
でも、そう簡単に出来るものじゃないんですよね
失敗するとすんごい弱いですから
合気道は成功と失敗との差が凄いんですよ
だから達人と弟子とであんなに差があるわけです

いや〜、私も塩田さんとかと一戦交えてみたかったです
負ける気しかしないですけど(苦笑)
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