「え?役目は果たしたって…
どういうことですか?」
美鈴が慌てた表情で聞く
「私がここですべき事は終えたということです
もう、私がここにいる必要はありません」
「…そんな」
彼女は肩を落とし、俯く
そんな彼女に背を向け、数歩歩いたところで振り返る
「おっと、まだ有りましたね
私がここで最後にやるべきことが」
「え?」
「貴女の試験です」
彼女はニカッと笑い
下駄を脱ぎ、袴から手を出す
「さぁ、最初で最後の試験ですよ」
そう言うと、彼女は口を真一文字に結び
真剣な表情で言う
「好きにかかって来なさい」
「!!」
見たこともない彼女の威圧感に彼女は動揺しつつも
肩の力を抜き、戦闘の姿勢に入った
「本当に手加減無しで行きますよ?」
「構わん」
「では…!!」
彼女の了承の直後
彼女は一気に間合いを詰めた
肘まで届く範囲にまで一気に近付いたが
彼女は直立不動だった
「ふん!!」
彼女は渾身の力を込め
彼女の胸を狙って水平に手刀を打ち込んだ
しかし
「ほれ」
当たると思った瞬間
彼女の視界は上下逆転していた
投げられたのだ
手刀を捕られ
四方投げの形に投げられたのだ
「…っく!!」
しかし彼女は投げられることを想定の上でかかった為
投げられた瞬間、空いている左手で地面を突き飛ばし
受け身を取った
間髪入れず、彼女は次の攻撃に移った
左腕の突きだ
しかし
今度は当たる瞬間に彼女の体が背後に弾き飛んだ
『跳ね返し』である
拳を捕られ、伸びきった瞬間に一気に押された為
壁に衝突したのと同じ様な衝撃を食らった
彼女は何とか受け身を取ったものの
肘を痛めた
(くそ…やっぱり普通に攻撃しても全部捌かれる…
どんなに速くかかっても、どんなに重い技を使ってもきっと捌かれる…)
冷や汗をかきながら間合いを図る
(駄目元であれを使うしかないかな…
自信は無いけど…いや…
私は出来る!!誰にも負けない!!)
「…。」
(ほぉ、心を積極的に使うことで氣を出そうとしてますか
ですが、氣で挑めば氣が多い方が勝ちます
まだ未熟な貴女無理があるでしょう)
「す〜…は〜…」
彼女はその場で止まり
ゆっくり、静かに深呼吸をし始めた
「…。」
(藤平式呼吸法を?
まさか…独学で見つけたんですか…)
数分ほどすると今度は
軽く爪先立ちになり、手を素早くぶらぶらと降り始めた
「…。」
(指先ぶらぶら体操…
誰でも楽に体の力を抜くことが出来るリラックス体操…
これまで覚えたんですか…)
また数分ほどすると
彼女は目を瞑り、臍下丹田に指先を当て
ゆっくりと呼吸を始めた
すると
見る見るうちに彼女の気配に落ち着きが現れ
肌の血色がより良くなって来た
「心身統一…いや
貴女のそれは天地の氣に合いした心身統一ではありませんね?」
彼女が聞くと
彼女は目を開け、答えた
「私はまだまだ心身統一をものにしていません
ですが、私の『気を使う能力』を応用することで再現しました」
「!!
そうですか…ふふっ
貴女に感じていた不思議な才能はそれだったんですね
面白い!!さぁ、かかって来なさい!!」
「わかりました」
そう言うと彼女はゆったりと歩み寄る
お互い、間合いに入った
数分の沈黙後
「!!」
(いける!!)
美鈴が突き出そうとしたその瞬間
「待った!!」
彼女が手で止めた
「え!?」
「貴女のその攻撃は当たります
いや、大したものです
氣力で負けてしまいました、いや〜結構です」
ポカンと呆気にとられる彼女の肩を叩き、試験を終わらせた
「えっと、あの
これって…」
「美鈴さん、いえ…
紅 美鈴さん、貴女に合気道八段位を与えます」
「え?えぇぇ!?」
より一層戸惑った顔で叫ぶ
「貴女は私に当てられる攻撃を出せる様になりました
これほど上達した方は貴女が初めてです
これを機に、さらに修練に励んでください」
「は…はは…
あ、ありがとうございます…
何だかな〜…」
頭を掻き、苦笑する
「さて、これで本当に私の役目は終わりました
私を元の場所に帰らせてください」
「わかったわ」
紫にそう言い
彼女はスキマを出した
「思い残すことは無いのかしら?」
「えぇ、役目を果たした今
私がここにいる必要はありません」
「先生…行ってしまうんですね…」
悲しそうな表情で言う
そんな彼女に彼女は笑顔で応えた
「美鈴さん、貴女はとても強くなりました
そんな悲しい顔をしないでください、心と身体は一如です
心を明るく持ってください、心を強く持ち、氣持ちよく笑ってください
そして、美鈴さん
貴女は此処で合気道を教えてください
争わざるの精神を、和合の心を皆んなに教えてください
正しい心を、正しい武道を教える
貴女はその資格を持ちました
日々、皆んなと共に修練に励んでください」
「先生…わかりました
先生から学んだこと、大切にします!!
どうかお元気でいてください!!」
お互いに笑顔で握手をした
「では、美鈴さん
ありがとうございました」
「ありがとうございました」
お互い礼をし、彼女はスキマの中へ消えて行った
「…おや?」
気がつくと彼女は自分の寝室にいた
「戻って来たみたいですね…」
起き上がり、布団を片付ける
「大分空けてしまいましたね…
皆さんに心配かけてしまいましたかね?」
玄関を出て
門を開ける
すると
《おはようございます!!先生!!》
数十人の弟子達がちょうど来ていた
「はい、おはようございます
長い間空けてしまい、すみませんね」
「え?」
「?」
「何言ってるんですか先生
昨日会ったじゃないですか」
「今日は何時ですか?」
「5月10日ですよ、何を寝惚けてるんですか?」
「あぁ、そうでしたね
どうもありがとうございます」
(こっちの時間は進んでない訳ですか)
頬をポリポリと掻き、誤魔化す
「まぁ、それはそれとして
さ、稽古をやりましょう」
《はい!!》
全員で玄関に向かう
が、途中で
「あれ?先生
その下駄どうしたんです?
随分と年期が入ったものの様ですが」
「ん?あぁ…これですか」
少し間を開け
彼女は朝の快晴の空を見上げて答えた
「私の貴重な記念品ですよ」
これにてこの作品は完結です
彼女の活躍は別作品にて出すと思います
最後まで読んでくださり、ありがとうございます
これを読んで少しでも合気道に興味を持ってくれると嬉しいです
正しい合気道、武道が広まるのを私は願っています
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