東方合気神   作:憂鬱な者

48 / 48
まだ、合気道がどんなものなのかよくわからない人の為に
出来るだけわかりやすく纏めてみました


【おまけ】合気道とは

書:瀬賀 剛二三

 

 

皆様、初めてという方は初めまして

知っているという方はこんにちは、瀬賀 剛二三と申します

これは、合気道について「よくわからない」という方や「インチキだ」などと言う方の為に、出来るだけわかりやすく説明したり、質問に回答したものを纏めたものです

もし、これを読んで合気道に少しでも興味を持ったり、誤解が解けてくれたらとても嬉しいです

 

 

Q.合気道ってなんですか?

 

A.合気道とは、大正末期から昭和前期にかけ、植芝盛平氏によって創始された、日本発祥の武道です

合気道は元々、「合気柔術」という武術でして

その合気柔術に植芝氏が「大本教」で得た思想を取り入れたものです

ですので、合気道とは合気柔術に和合の理念を取り入れたものなのです

 

 

Q.合気道と柔道は何が違うんですか?

 

A.一番の違いは力の使い方です

柔道は主に「引く力」を使うのに対し、合気道は主に「前に押す力」を使います

ですので、一見同じ様な技でも、根本的に異なるものなのです

後は、やはり理念でしょう

柔道は基本的に戦う為の武道ですが

合気道は極力戦いを避け、戦っても相手を痛めつけない武道です

 

 

Q.柔道から合気道に移りたいのですが、何か柔道の技術は使えますか?

 

A.使えません

柔道と合気道では、力の使い方が正反対です

合気道では、柔道の経験は殆ど活かせません

実際、柔道などから合気道に移った方の殆どは、柔道の経験が活かせず、つまずく人が多いです

 

 

Q.合気道を学ぶ際に必要な知識はありますか?

 

A.特にありません

合気道を学ぶ際は、出来るだけ何も知らない方が良いです

他の武道武術の知識や、スポーツの知識など

そういうものは綺麗さっぱり忘れ

白紙の状態で「素直」に学びに行く方が良いです

他の知識があると、あれこれ疑ったり、変にアレンジしたりして

合気道の姿勢を失う事があります

合気道を学ぶ際は、他の武道などの知識は捨て

白紙の状態で受ける方が覚えやすいです

 

 

Q.合気道の技は幾つありますか?

 

A.基本技は50前後程度です

ですが、基本技はあくまで基本技です

これがそのまま戦いに役立つわけではありません

実戦では、基本技を応用して戦います

 

 

Q.基本技って何ですか?

 

A.基本技は基本の動き、基本的な力の使い方を覚える為にやるものです

基本技を鍛錬することで、しっかりした力の使い方や、中心力や集中力などを鍛えます

基本技は実戦の「基礎」です

大抵の人は基本技を「模擬戦」か何かの様に見ているようで、「実戦でこんな攻撃は来ない」などと言います

基本技の稽古は実戦のシミュレーションではありません

ここをしっかり知ってほしいです

 

 

Q.合気道の受けは自分から跳んでますよね?

 

A.はい、そうです

ですが、正確には「跳ばざるを得ない」のです

あれは「受け身」というもので、怪我やダメージを防ぐ為にやるものです

ですが、受けが自分から跳んでいるからといって「インチキ」というわけではありません

特に、演武を観てインチキと言う方が多いですが

あれは仕方ないことなのです

演武で受け身を取らなかったらどうなるか?

受けの方は腕や肩を破壊されて演武どころではなくなります

合気道における演武とは、単に魅せる為のものではありません

やっている人達にとっては稽古なのです

自ら跳ぶのは、自分にどの様に力がかかっているか、どう崩されているのかを感じ取る為にやっているのです

受け身を取らなかったら、それらを研究する前に体がおしゃかになってしまいます

受け身を取るのは、仕手にとっても大切です

受け身を取ってくれることで、よりスムーズに稽古が進みます

受け身を取ってくれることで、正しい崩し方などが見つけやすくなるのです

受け身を取るのはインチキではありません

あれは怪我の防止と、彼等の練習の為にあるのです

実際、演武などで受け身を取らなかった人で、肩や腕の骨が砕けた人がいます

演武の受け身を観て「インチキ」と言うのは幾ら何でも早計ではないでしょうか?

どうしても疑うのでしたら、受けをやってみるのが一番手っ取り早いのですが

そうもいかないものです

 

 

Q.関節などを極めてますが、痛いですよね?

 

A.そんなことはありません

正しくやれば痛くないのです

では、何故痛くないのに相手は崩れるのか?となりますが

あれは、相手が「踏ん張りたくても踏ん張れない」様に力を流しているからなのです

人間とは不思議なものでして、力を入れていると、何処かに必ず弱いところが出来るのです

そこに力を加えると、相手は力が抜けてしまって、踏ん張れなくなるのです

合気道の技の殆どはこれを利用しています

その為、痛くなくても相手は簡単に崩れてしまうのです

ぎゅうぎゅう締め付けて痛がらせて喜んでいる様では、永久に合気道の高みには達せません

これが出来ないと、崩せる相手には限界があります

素人相手ならちょいと手首を捻るだけで降参させられるでしょうが

何かしらの修行を積んだ方には効かないでしょう

そうならない為に、相手の力を抜くことが出来る様にならないといけないのです

力を抜ける様になれば、どんなに我慢強い人でも、どんなに大きい人でも、皆同じ様に簡単に崩せます

これは合気道を極める上でとても大切なので頑張って研究してください

 

 

Q.相手の力はどうやって抜くんですか?

 

A.これは「見つけろ」としか言いようがありません

何せ、これは人によって違いますし、状況によっても変わります

何度も練習して、一瞬一瞬を捉えられる様になり、戦いの中で見つけるしかありません

練習あるのみです

弱いところを見つけ、力をちょいと入れるだけでいいです

そうすれば相手はカクーンと力が抜けて崩れます

 

 

Q.中心力って何ですか?

 

A.簡単に言うと、中心線を真っ直ぐに保つ力、もといそこから生まれる力のことです

これは合気道に限らず、本来はほぼ全ての武道武術格闘術にあるべきものです

格闘技などの経験がある方はわかるんじゃないでしょうか?

姿勢をピシッとした方が技が効きやすかったり、少ない力で相手を倒せたりなどあると思います

 

 

Q.集中力って何ですか?

 

A.簡単に言うと、体全体の力を一点に集中させること、集中させることで生まれる力のことです

合気道は力を使わないと言いますが、そんなことはありません

と言っても、一般的に思われている力のことではありません

一般的に言う力というのは、筋肉を力ませることで生まれる力のこと

ここで言う力というのは、体全体の筋肉、と言うよりは体全体を動かすことによって生まれる力のことです

まぁ、簡単に言いますと

全身の力と重心移動によって生まれる力です

 

 

Q.固定力って何ですか?

 

A.これは文字通り体を固定する力のことです

と言っても、力んで体をガチガチに固めればいいってわけではありません

力を抜いて、中心線は保ったまま体を固定するのです

この固定力が無いと集中力は活かせません

例えば、臂力の養成の稽古を観ればわかると思いますが

あれにも固定力が使われています

特に腰がそうですね

背中を真っ直ぐ保ったまま、体を前に押し出してますね

もし、この時に固定力が無かったら背中はふにゃふにゃに曲がってしまい、力は発揮されません

例えば、硬い鉄の棒で物を押すのと、柔らかいゴムホースで押すのなら何方が力が伝わるでしょう?

わかりますね?これと同じことなのです

固定力は腰に限らず、肘にも肩にも何処にでも使われます

固定と言っても関節を固定するわけではありません

その場に固定するのも固定力です

例えば、裏拳などは空間に固定して打つものですね

 

 

Q.呼吸力って何ですか?

 

A.これは中心力と集中力に加え、タイミングを加えることで生まれる力のことです

何故、呼吸力と言うのかと言いますと

これは呼吸のリズム、もとい息を合わせるなどするからです

呼吸を使うから呼吸力というだけです

呼吸のリズムと言いましたが、これはただ単に一定のリズムで呼吸をすればいいわけではありません

その場に応じて緩急をつける必要があります

例えば、相手の攻撃を誘う時には吸い、素早く動く時は止め、力を加えたり抜いたりする時は吐くなど

これを自然に出来る様になると、激戦の中でも疲れることがなくなります

散歩でもするかの様に楽に動けるからです

これは合気道を極める上で、凄〜く大切なので必ず覚えてください

 

 

Q.タイミングの力って何ですか?

 

A.特定のタイミングに合わせることで生まれる力のことです

ですが、これを知ってる人はとても少ないです

よく、合気道の演武などを観ていて「攻撃をあんな簡単に捌けるわけない」などと言う方がいますが

そういう方達はタイミングが生み出す効果を知らないのです

例えば、合気道では手刀を手刀で弾いて相手を吹っ飛ばすなんていうのがありますが

あれはタイミングの力を使ったものです

相手が力を100%出してから打っては駄目、かといって出す前にやっても相手は感づいて止めてしまいます

力が100%出る寸前で打つのです

この時に打つと、相手は力を入れる方向を突然変えられてしまいますから

例えば、正面に打ちたいのに、横に力の向きを変えられたら、意思とは違う方向に打ち込もうとした力が行きますから、横に吹っ飛んでしまうのです

さらに、此方が勢いよくやると相乗効果でとてつもない力が生まれます

要するに、銃を撃とうとしたら銃口を撃つ寸前に曲げられたのと同じです

相手のスタート直前に打ち込むわけですから、此方は全然力はいりませんし、力がぶつかり合うわけではありませんから此方の手が痛くなることはありません

ですが、相手は自分の力が跳ね返って来たわけですから、相手の手はダメージを受けます

人によっては手が真っ赤に腫れ上がった方もいます

タイミングの力は日常生活でも体験することがあるでしょう

例えば、野球でジャストミートした時に殆ど反動は無いのにボールは遠くに飛んでいくのが良い例です

 

 

Q.誘いって何ですか?

 

A.簡単に言いますと、相手の攻撃を誘う挑発みたいなものです

此方が攻撃を寸止めしたりして相手の防御を崩すのはフェイントですが

誘いは、此方が防御を甘く見せたり、相手が動かざるを得ない様なことをして隙を出させることです

例えば、此方が顎を突き出してやったりしたら相手はそこを狙いたくなりますし

手をひらひらしてやったりすると、そっちに意識が集中したりします

手に意識が集中している時にスッと手を動かしたりなんかすると、相手はそれについていったりします

相手の股下で足を踏み鳴らしたりすると相手が反射的に避けようとするのも、誘いの要素が入ってますね

誘いは、相手が攻撃を仕掛けてこない時などに使います

でも、出来ることならなるべく使わない方が良いですね

 

 

Q.合気道って多人数相手に勝てますか?

 

A.勝てるか勝てないかと言ったら勝てます

と言うよりは勝てないといけないものなんですけどね

武道武術と言うのは元々、戦場で使われていたものです

戦場では1対1なんて戦いは普通ありませんから、単体に集中するよりも、縦横無尽に動いて相手を翻弄する技術の方が大切だったのです

だから、武道は多人数相手に戦うのが当たり前なのです

1人にしか勝てない様なのは武道武術として、価値が低いでしょう

さて、ではどうやって合気道は多人数相手に戦うのか?となりますが、簡単に説明しましょう

これには鉄則があります

1つ、集団の中で一番強い奴を最初に倒す

2つ、相手の闘志を掻き立てて自分を襲わせる

以上です

集団というのは通常、最も強い人を中心に活動するものです

強い人はまぁ、用心棒みたいな立ち位置です

周りの人は、そういう人に依頼心を抱いているもので、心の拠り所なのです

そんな人が倒されてしまうと、周りの人は心の拠り所を失い、一気に統率が崩れます

こうなると周りの人は戦術もクソもなく、闇雲に攻撃するしかありません

こうなったら合気道の格好の獲物です

相手は冷静さを失って、怒りに任せて攻撃して来ます

相手は此方をブッ飛ばす一心ですので、動きが大きく、隙が大きいですし、予測しやすいです

相手からしてみれば、必死なのでしょうけど

此方からしてみれば、普段の演武の動きと変わらないものなのです

技術の無い相手ほど倒しやすい相手はいません

集団というのは戦術を失うととても弱いものです

囲まれている時なんかは、攻撃をパッと躱すだけで、相手は味方同士ぶつかり合ったりしてしまうんですからね

ひらひらと避けているだけでも、自滅を図れてしまうのです

集団戦は武道の独壇場と言っても良いでしょう

何せ、専門なのですから

 

 

Q.氣って何ですか?

 

A.簡単に言いますと、自然の力ですね

心身統一することで生まれる不思議な力のことです

まぁ、心のベクトルですかね

 

 

Q.氣は何が出来るんですか?

 

A.一言で言いますと、本来の力が出せます

と言っても、火事場の馬鹿力とは異なります

あれは体のリミッターが外れているのであって、こっちは違います

生物の本体というのは心です、体はその影

つまり、心と体というのは、鏡に映った姿と同じです

本体が動けば鏡の中の自分も動く、これと同じです

心が動けば体が動く、心が不動なら体も不動なのです

心に任せた状態が本来の姿と言って良いでしょう

 

 

Q.氣を出すとどれくらい強くなりますか?

 

A.とても強くなると言う他ありません

具体的には少なくとも「今の10倍以上の力が出せる」ってとこです

氣を出せればとても強くなります

私の様な小さい人でも熟達すれば、小指一本で7人の大男を押し返すことも出来ますし、どんなに力の強い人でも腕を曲げられませんし、持ち上げられません

心の自分が不動なら、体は決して動かないのです

心の自分が強ければ、現実でも強いのです

氣を出して挑戦すれば、何事もとても良い結果が出ます

仕事は捗りますし、病は早く治ります、勉強では良い成績が出せますし、考え事があれば良いアイデアが浮かびます

氣を出せば、自身の最高の力が出せるのです

胡散臭いと思う方もいるでしょうけど、事実氣の実践者は現在にもいます

例えば、氣を出すことで大成功した人で有名な人を挙げますと

王貞治さんや長嶋茂雄さん、荒川博さんが有名なところです

氣の経験者では

今は亡き、千代の富士さんなどがいます

千代の富士さんは、肩の脱臼癖を治す為に、氣圧療法を受けたそうです

氣圧療法を受けている写真もあります

 

 

Q.氣圧療法って何ですか?

 

A.簡単に言いますと、氣が出てない人や弱い人に氣を入れてあげることです

これは、氣を出せる人が氣が止まっている人に触れ、氣を入れることで治療するものです

氣は生物が持つ本来の力を引き出します

氣が出ると、自然治癒力がとてつもなく上がります

ちょっとした病ならこれで完治させられます

肩こりから、脱臼や骨折まで、様々なものを治せます

よほどの病は流石にキツいですが、その場合は本人が氣を充実させられれば治せます

肝臓病ぐらいなら治った人もいるようです

氣を入れることで治すと言っても、魔法みたいに直ぐ治せるわけではありません

あくまで自然治癒力を高めるものですので、ものによっては長くかかります

千代の富士さんの脱臼癖の治療にも、3ヶ月とかかかったそうですが

脱臼癖はちゃんと治ったそうです

 

 

Q.氣と気は何が違うんですか?

 

A.根本的に違います

氣とは本来、絶えずこの世を回っているものです

対して気は溜めて出し、無くなったら補充するものです

例えるなら

氣は水道管で、気はタンクといったところですね

氣は常に取り込み、常に出ているものなのです

文字にも現れてます

氣とは、气(天地)から常に米(発する)から氣と書きます

気は、气から発する氣を〆(閉める)から気と書きます

米は八方に広がる状態を意味しており、〆は閉じることを意味してるのです

 

 

Q.合気道に最適な体って何ですか?

 

A.これといってありません

合気道は誰でも出来る様に出来ていますからね

太ってる人、痩せている人、力の強い人、力の弱い人、背の低い人、背の高い人、体が欠けている人、体が腫れている人

誰にでも出来る様に出来ています

優れた人や才能がある人にしか極められない様なものには価値がありません

誰にでも出来るからこそ価値があるのです

まぁ、どんな体がやり易いかと言ったら

スマートな体が一番でしょう

でも、合気道が誰にでも出来る理由があります

それは、個人個人に合った鍛錬をするからです

全員が全員同じ稽古をやるわけではないのです

合気道は自然に動けないと出来ません

自然に動くにはどうすればいいか?

自分に合ったやり方をすればいいのです

自分の自由な動き方で出来るから合気道は誰でも出来るのです

体が小さいからといって無理に鍛えたり、歳をとったのに昔と同じトレーニングをしたりしたら無理が生じます

その時その時に合った最善の方法をとることが大切です

一瞬一瞬の変化を捉えるのが極意である合気道故に言えることですね

まぁ、武道武術なら全てに言えるべきことなのですが

 

 

Q.「歩く姿が武である」ってどういう意味ですか?

 

A.これは、開祖である植芝氏の言葉ですね

私はこれには複数の意味があると思ってます

一つ、歩いている時も戦闘態勢に入っている

二つ、歩いている姿も武として美しい

三つ、日常が武道の戦場である

四つ、自然な姿が武道の極意である

など

とりあえず簡単にまとめてみますと

歩く姿というのは、文字通り歩いている時の様子でもあり、「日常」の光景でもある

日常というのは、無意識に行なっている行動のことですね

車の運転や歩くこと、息をすることや唾を飲み込むことなど

これらは「自然」と行なっているものですよね

つまり、「歩く姿」というのは「歩行」や「自然」のことを意味してるのだと思ってます

ダブルミーニングってやつですね

武道とは日常全てが戦場です

スポーツとは違い、武道は何時如何なる時も戦えなければいけないのです

 

 

とりあえず一通り、よく聞かれることを書きました

まだ何か疑問がお有りでしたら、お気軽に質問してください

これを読んで合気道に興味を持ったり、誤解が解けてくれれば嬉しいです

合気道に限らず、武道武術に興味を持ってくれたら武道家としてとても嬉しいです

 

それでは、また何かでお会いしましょう

ご愛読ありがとうございました


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。