本当に合気道には現在の人智が通用しません。
対決が終わり、昼になった。
瀬賀は紅魔館の庭を散歩していた。
美鈴と一緒に。
「ふん、ふ〜ん♪」
「……。」
幻想郷も丁度春で、とても気持ちのいい天気だ。
彼女はご機嫌で鼻歌まで歌う。
そんな彼女を見つめる美鈴。
そして彼女は突然背後から瀬賀に殴りかかったのだ。
「せいっ!!」
「ほいさっ。」
ドタン!!
彼女の拳はあっさりと避けられ、腕を捕られ、軽々と投げられる。
「くっ…。」
悔しさで言葉を失う。
そして彼女は突然瀬賀の前に土下座をし、叫ぶ。
「私を弟子にしてください!!」
突然の弟子入りに少し驚く瀬賀。
「いきなりどうしたのですか?」
「貴女の素晴らしい武術を学びたいのです!!お願いします!!」
「……。」
彼女は美鈴に背を向け、呟く。
「貴女は何故闘うのですか?」
「え?」
彼女に質問される。
「それは…。」
少し間を置き、答える。
「仲間を守る為です。」
「では貴女は平和とは何かわかりますか?」
「争いの無い世界のことです。」
「えぇ、確かに間違ってはいません。ですが…。」
彼女の方に振り向き、こう言う。
「貴女は敵を傷付けて平和が生まれると思いますか?」
「そ、それは…。悪はあってはいけないので多少の怪我は…。」
すると彼女は溜息を吐き、こう言う。
「それは駄目です。それでは貴女は憎まれ、敵は再び悪事を働くでしょう。」
「え?ではどうすればいいのですか?」
彼女はにっこりと微笑み彼女の肩に手を置き、答える。
「それは、敵とお友達になればいいのです。」
「そ、そんなこと出来ません!!敵の仲間になるなんて!!」
「そうじゃありません。自分を殺しにかかってくる敵に「憎しみ」を生ませないようにするのです。」
「そ、そんなことどうやって…。」
「貴女は既に経験している筈ですよ?」
「え?」
彼女は困惑する。
そんな様子の彼女に瀬賀はこう答える。
「貴女が私に投げられた時、痛かったですか?」
「え?…そ、そういえば全然痛くなかったです。」
「貴女はその時、私のことをどう思いましたか?
恨もうと思いましたか?」
「そ、そんなことありません!!」
その答えに彼女は微笑む。
「そう、相手を傷つけずに相手を感服させる。それが武術において「敵と友達になること」なのです。
傷付け、痛めつけて負かすなど、それは「和」から外れています。
相手を傷つけずに相手を負かす。そうすることで相手は憎もうとは思わなくなるのです。」
そう言われ彼女はハッと気付く。
「力で相手を迎撃するのではありません。
相手の「心」を受け入れ、それを受け流すのです。
そうすれば相手に「悪い心」を生まさず、相手の憎しみを「解消」出来るのです。」
「瀬賀さん…。」
「痛いというのは「心」に邪念が入るから感じるのです。
邪念を捨て、優しい心を攻撃に使うことで「傷付かない攻撃」になるのです。」
「つ、つまり、合気道というのは「誰も身体に、心に傷が付かない武術」ということですか?」
「正解!!」
すると彼女は美鈴の頭を撫でて褒める。
「合気道は「和合」の為の武道。
相手を叩きのめす為のものでは無いのです。」
「瀬賀さん…。いえ、先生と呼ばせてください!!」
「合気道を学びたいですか?」
「はい!!」
「誰も傷付けたくないですか?」
「はい!!」
すると彼女は笑顔で美鈴に手を差し伸べる。
「弟子入りを許可します。」
「—————っ!!ありがとうございます!!」
彼女は瀬賀の手を両手でギュッと握り、涙を流す。
紅 美鈴、合気道入門である。
遂にめーりんが合気道に入門!!
和合の武術「合気道」
その真髄を彼女が学んで行く物語の開幕である。
次回、タネ明かし?