遂に弟子入り出来た美鈴。
そんな彼女達のところに1人の少女が。
「ここにいたのね貴女達。」
「あ、咲夜さん。」
「なに泣いてるのよ。」
「あ、すみません。さっき凄く嬉しいことがあって。」
服の袖で涙を拭く。
「で、何か用ですか?」
「貴女達にお使いに行ってほしいのよ。」
話に割り込む瀬賀。
「お使いって、此処にお店があるのですか?」
「えぇ、あっちに真っ直ぐ行けば『人里』があるのよ。」
「ほぉ〜、私も行ってみたいですね。」
彼女はまだ幻想郷のことを知らないため、好奇心が擽られる。
「一緒に行きましょう先生!!」
「先生?」
咲夜が反応する。
「はい、ついさっき弟子になったんです!!」
「そう、弟子ね。」
瀬賀を見下ろす。
しかし瀬賀は笑顔で返す。
「怒ってますか?」
「いいえ、勝負で負けたんだもの。恨みなんて無いわ。」
「それはよかったです。」
「ぐぅ〜…。」
彼女の腹が鳴る。
「あはは、そういえばまだ何も食べてませんでした。」
「もう昼過ぎましたよ先生、早く行きましょう。」
「そうですね、では行きましょう。」
彼女らを見送る咲夜。
「はぁ…。一体何だったのかしら、あの時…。」
道中にて
「先生、聞きたいことがあるのですが良いですか?」
「はい、何ですか?」
「咲夜さんとの闘いの時、先生はどうやってナイフを止めたり、瞬間移動をしたりしたのですか?」
「う〜ん、知りたいですか?」
「凄く知りたいです。」
「では教えましょう。」
そう言うと彼女は美鈴の前を「後ろ向き」で歩きながら話し始める。
「まず、ナイフを止めたことですが、別にあれは何も不思議なことではないのですよ?」
「え?」
「刃物って、どうやって物を切ってると思います?」
「え?え〜っと…。」
「正解は『摩擦』です!!」
「摩擦ですか?」
「はい、鋸はどうやって物を切ってるかわかりますか?」
「え?それは〜あれですよ。小さい刃が少しずつ削ってるんですよね?」
「はい、その通りです。では、ナイフはどうでしょう?」
「あ!!もしかして、目に見えない程細かい凹凸で削ってるんですか?」
「ピンポーン。正解。」
手で丸を作り、褒める。
「刃物というのは細かい凹凸で物体を構成する分子を『払って』切断するのです。
つまり、刃物という物は『滑らせなければ』切れないのです。」
「た、確かにそうですが、一体どうやって?」
「ふむ、実際に体感した方が早いでしょう。」
そう言うと彼女は走り出す。
「あ、先生!!どうしたんですか!?」
追いかける美鈴。
「はい!!ストーップ!!」
急に止まる瀬賀。
「うわわわぁー!!」
ザザザーっと滑る美鈴。
「き、急に止まらないでくださいよ!!」
「はい、問題です!!」
「へ?」
「貴女は今どうなりましたか?」
「え、え〜っと、滑りました。」
「はい、では滑ってどうなりましたか?」
「止まりました。」
「何故でしょう?」
「え、そ、それは〜あれですよ。ブレーキがかかるからですよ。」
「そうです。徐々に速度が落ち、止まりましたよね?」
「はい。」
「では、私がナイフを止められたのは?」
「ブレーキがかかったからですよね?」
そこで彼女はハッと気づく。
「も、もしかして先生。指でブレーキをかけて止めたんですか?」
「はい。」
「で、でもそれじゃあ指が切れてしまいますよ!!」
「美鈴さん、手を出して下さい。」
「え?あ、はい。」
手を出すと彼女は手を掴み、彼女の指を摘み、グリグリと動かす。
「美鈴さん。今貴女の手はどうなっていますか?」
「え?動いてます。」
「皮膚はどうなってますか?」
「動いてます。」
「では頰を出して下さい。」
「え?こ、こうですか?」
腰を曲げて顔を向ける。
すると彼女は美鈴の頰に手を当て、動かす。
プニプニと気持ち良い感触だ。
「今、貴女の頰はどうなってます?」
「う、動いてます。あ!!」
何かに気付く。
「ナイフを摘むと、少しだけ皮膚もつられて動きますよね!?」
「はい、それで?」
「皮膚が動けば、ナイフと『擦れ』ないので、切れませんよね!?」
「正解!!
そう、ナイフを摘んだ時、皮膚には切れるまで『余裕』があるのです。
その余裕にナイフが持つ運動エネルギーが流れ、速度が減少します。
そして、最終的に止まるわけです。」
「なるほど〜。」
「スプーンで生卵を割らずにキャッチしたりするのにも同じ理屈です。」
そう、急ブレーキと同じである。
短い距離で一気に速度を落とそうとすると、その距離にエネルギーが集中力する。
すると慣性の法則により発生するエネルギーは途絶えても、車が持っている運動エネルギーにより車は進み続けようとする。
すると、タイヤは止まっているので地面と強い摩擦が生まれる。
その摩擦がナイフで言う「切る」為のエネルギーなのだ。
消しゴムは摩擦で削れる。
皮膚も摩擦で削れる。
ではどうすれば良いかと言うと、長い距離をかけてブレーキをかければ良いのだ。
するとタイヤの回転速度は徐々に遅くなり、それにつられて車が持つ運動エネルギーも減ってゆくのだ。
すると最終的に「タイヤの弾性」によって止まるのだ。
このタイヤの弾性というのがさっきの「皮膚」なのだ。
運動エネルギーが「摩擦力」を越えることで「擦れる」という減少が起きるのだ。
つまり、摩擦力を上回らない量まで運動エネルギーを落とせば「擦れる」こと無く止まるのだ。
つまり、タイヤは削れずにすむ。
つまりナイフ止めも、皮膚と刃が「擦れない」用にナイフの速度を徐々に落とせば指は切れずに済むのだ。
彼女は腕を目一杯伸ばし、速度が落ちるまで「回り続けていた」のだ。
「というわけで、以上、ナイフ止めのトリックでした〜。」
「やっぱり先生は凄いですね〜。」
ナイフ止めのタネ。
皆んなも試してみよう!!(難しいので怪我しても責任は負いません)
スプーンで生卵キャッチも同じだから試してみよう!!
次回、瞬間移動のタネ