ナイフ止めの秘密がわかって御満悦の美鈴。
そこで彼女はもう1つ聞いた。
「では、あの瞬間移動はどうやったのですか?」
「あれも大したことでは無いですよ?」
「はぁ。」
「ここに石ころがあります。
これを投げるとどんな軌道を描くでしょう?」
「放物線を描きますよね?」
「これをウンと速く投げるとどうなるでしょう?」
「遠くに飛びますよね?」
「速く投げるたびにどうなります?」
「直線に近くなりますよね?」
「はい、ナイフも同じですよね?」
「はい。」
「つまりどうなります?」
「え、え〜っと、狙った所に真っ直ぐ飛びますよね?」
「正解。
では、もし『軌道が見えたら』避けられますか?」
「え?それはそうですよ。
その軌道の線に当たらなければいいのですから。
も、もしかして。
見えるんですか?」
そう言われ彼女はニヤリと笑う。
「えぇ、見えますよ。」
「う、嘘ですよね?」
「嘘じゃありません。
物が飛んでくるときに『光の玉』が飛んでくるんですよ。」
「光の玉?」
「えぇ、それが何かはわかりませんが、その光の玉が描いた軌道を通って物が飛んでくるのです。
ですから、その軌道を避ければナイフは当たりません。」
「で、でも、ナイフは何十本とありましたよ?」
そう言われ彼女は手を出す。
「ナイフは両刃でした。
この手の縁を刃だと思ってください。」
「え?は、はい。」
「では私の手をナイフだと思って摘んでみてください。」
「こ、こうですか?」
「今、何処に触れてます?」
「手の甲と手の平です。」
「これをあのナイフに例えると?」
「あ!!ただの刀身ですよね!?」
「正解!!
刃物は刃の方から見ると鋭利な物体ですが、横から見ると『ただの板』です。
ただの板を触っても切れませんよね?」
「え、つまり、先生はナイフの側面を触っていたのですか?」
「はい、あのナイフの群れの中を『掻き分ける』ように進んでました。」
「な、なるほど。
確かにナイフの向きは全部揃ってましたから、両手を揃えて蛇のように進めば簡単に進めますよね。」
そう、おまけに彼女は小柄なので尚更簡単である。
「で、でもあの瞬間移動はどうやったんですか?」
「瞬間移動?
私はいくらなんでも瞬間移動なんて出来ませんよ。」
「え?」
「ボールを蹴るとどうなります?」
「飛んでいきます。」
「ボールは遠くに飛ぶ度に速度はどうなります?」
「落ちていきますよね?」
「では、ボールを蹴った瞬間は?」
「凄く速いですよね?」
「では走る時は如何でしょう?」
「え〜っと、結構速いですよね?」
「では、その『瞬間』をずっと続けたらどうなりますか?」
「すごく…速いです…。」
「はい、物体が動く際に『初速』というものがあります。
この初速というのは物体を飛ばす際に『1番速い』瞬間です。
徐々に加速するものは除きますけどね。
人間が走り出す瞬間の速度もかなり速いものなんです。」
※あのウ○イン・ボルトのトップスピードは42〜48km/hと言われています(これはイエネコの走る速度に匹敵します)
因みに平均速度は37〜8km/hです。
「私と彼女の距離は5mほどでした。
仮に私が時速40kmで動いたとしたらどれくらい時間がかかると思います?」
「え、え〜っと。」
「0.55秒かかります。
瞬きにかかる時間は0.1〜0.2秒です。
間をとって0.15としましょう。
ものを見てから反応するまでの総度は平均で0.2秒程です。
つまり、0.55-0.35=0.2秒です。
人間の反応速度は今言った通り、0.2秒程です。
私はもっと速く動けますからこの結果より速いでしょうね。」
「え、え〜っと。
それってどれくらい凄いのですか?」
「食べ物を食べようとした時に溢して、それを地面に落ちる前にキャッチするくらいです。」
「何それ凄いです。」
「まぁ、簡単に言えば、『人間の反応速度に入る前に相手に到達した』ってことです。
つまり、視認出来ないわけですから『瞬間移動』したように見えるかもしれませんね。」
「ち、ちょっと待ってください!!
あの、人間の反応速度に入らない速度で動くって、先生も人間じゃないですか!!」
「ふふふ、言うと思いましたよ。
美鈴さん、『条件反射』って知ってますか?」
「え?なんですかそれ?」
「ものを見ただけで『勝手に反応する』反射神経の一種です。
例えば、梅干を見ると唾液が出ますよね?
あれも条件反射です。
つまり『無意識』に反応するものなんです。
動く際に、視認及び反応→脳→思考→決定→脊髄→筋肉と信号が送られますが。
反射神経などは、視認及び反応→脳→脊髄→筋肉と2つの工程がカットされるのです。
そのため、反射神経は反応速度がとても速いのです。
私は反射的に動きました。
つまり反射神経で動いたわけです。
それに加え、私は特別なことをしてさらに速く動いてます。
ですから私は常人ではありえない速さで行動出来るわけです。」
「な、なるほど、つまり先生は『反射神経と特別な動き方で相手に反応される前に倒した』ということですね?」
「正解!!
謎は解けましたか?」
「はい!!ありがとうございます!!」
この理論は私が考察したものです。
こうでもしなければ不可能ですから。
一応、理論上可能です。
【条件】
①40km/h以上で動く
②距離が5m以下
③速度を落とさない
④見ている人が丁度瞬きをする
⑤見ている人が絵に描いたほど凡人
これらの条件を全て満たせば貴方私も「瞬間移動」ができます。
次回、特別な動き方とは?