まじでか   作:れざのふ

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出会い

背中が痒い…

 

掻いたら楽になるけど、瘡蓋があるから駄目

 

瘡蓋が剥がれてワイシャツに血がついちゃう…

 

それに今はそれどころじゃない

 

隣の人からの、視線が痛い…

 

 

高校2年、6月

じめじめした梅雨の季節

私はこの季節、好きじゃない、むしろ嫌い

湿気で髪の毛ひろがるし

可愛い傘も持ってないし

暑いし寒いしよくわかんない中途半端な季節

 

 

「6月って春?夏?」

 

帰宅部の友達との帰り道、そんなことを言った覚えがある

私ももちろん帰宅部だったりする

 

「え、知らんわ、その中間?」

 

答えは出ないし出たとしてもどうでもいいし

私達の興味をひく別のものが目に入ったから

 

茶髪の、イケメン

 

芸能人みたくスラッとした、私の通う高校の制服を着ている、透明の傘をさした、イケメン

 

 

次の日、その人の正体がわかった

私達が彼をみかけたその日、転入してきた人

 

阪田裕介

 

運命だと思った

漫画みたいな恋

食パンかじりながら走ってぶつかって…

みたいな恋、まさに少女漫画でしょ

実際そんな感じにはいかないけど、いくとこまでは行ってみようじゃんか

 

阪田裕子、16歳、青春街道まっしぐら

 

 

 

なーんて、うまくいくと思った?

残念、そうはいかない

 

名前が一文字違い

そこから会話が発展、恋も発展

同じ苗字だから下の名前で呼び合ってラブラブ

 

そんな展開を予想していた皆さん、すいませんね

 

その年の夏休み、彼は死んじゃいます

 

 

交通事故

 

 

そう思った皆さん、すいませんね

 

一家惨殺事件

被害者は彼とその両親、

 

そしてその現場を目撃した私…

 

私はギリギリセーフ、一命をとりとめた

犯人も無事逮捕

 

しかしその日から私は、彼の幽霊が見えるようになってしまいましたとさ

 

 

阪田裕子、16歳、恋した彼は幽霊になって、隣にいる

 

 

 

 

 

 

「阪田さーん、ねーえ」

 

「えーちょっと無視しないでよー、俺これでも感謝してんよ、犯人捕まったし」

 

 

「ねー聞いてるー!?聞こえてんのに無視は良くないって、あれでしょ、阪田さん、俺のこと見えてるし聞こえるんしょ、俺の声!」

 

 

 

まじでうるさい

黙れよいい加減

 

でも今は駄目、今は電車の中、話し掛けたら駄目、

周りから見たら完全にヤバイ子…

 

 

「そんな無視すんならいーよ別にー、阪田さんの秘密ばらしちゃうしー」

 

は?勝手にしなよ、誰もあんたの声聞けないんだから

 

「阪田さんの今日のパンツはピンクの花柄でーーーーす!!!!ちなみにAカップの75センチ!!」

 

「!!!!!ちょっ…」

 

あ、駄目だ!声出しちゃ駄目だってば!バカ!

 

私が幽霊の彼の存在に気づいたのは、なんともラブコメにありそうな場所で…そう、お風呂場

 

思わず叫びそうになったけど鏡に映らない彼が幽霊だってのに気付いて何とか堪えた

普通の場合、幽霊だって認識するから怖いんだろうけど

知り合いの幽霊の場合は別だと思った

幽霊なんだ、って納得する感じ?

細かいことは気にせずに、ってことで、はい

 

むしろ好きだった彼にもう一度会えたことに喜びすら感じていた

 

 

「あはっようやく声だしてくれた」

 

電車で私の隣に座り、笑う彼

 

「冗談、話しすんのは家着いたらでいーよ、人目気になるんでしょ」

 

わかってんならパンツの柄とか言わなくてよくない?

いちいちムカつくんだよー!!!!!!

でも、カッコいいんだよ…惚れた弱味

 

 

「で、なに」

家に着いて部屋に行き、鍵を閉めながら私は言った

案外ツンデレなのかもしれない私

 

「ひっでえな、その態度」

 

彼はベッドの上に座り、足を組む

妙に色っぽいこの格好…

見ていると何か思い出しそうなのに…

 

「あ、また考えてるん?」

 

「うん、まあ…」

 

 

実は私は記憶喪失

といっても一部分だけ

事件当日、どうして私が彼の家に居たのかよく覚えていない

はっきり覚えてるのは、私が苦しみ倒れていく中で、彼の両親に刃物を突き刺す女の姿…

…犯人は彼の父親の元妻だったりする

 

それと、私が彼に恋をしていたこと、勉強関連、私の今まで過ごしてきた人生、もろもろ

 

なのにその事件当日から1ヶ月前くらいまでの記憶が朧気…

医者は事故のショックだと言って、無理に思い出す必要はないと

日常生活に支障はないわけだし、そうするべきなんだろうけど

 

「思い出さなくてもいーのに、別に重要なことじゃないでしょ」

 

「確かにそうなんだけど、すっきりしなくて」

 

「気持ちはわかるけどさー、あ、じゃあすっきりすることシてみる?」

 

彼はベッドをたたく

 

意図することはわかる

 

「結構です」

 

 

なんだよこの下ネタの塊!

そもそも幽霊には触ることすらできないんだから!

 

「いいじゃんー、裸見ちゃった仲なんだし♪」

 

「見せたくて見せたわけじゃないし!きもい!」

 

「じゃあもっかい見せてよ、な♪」

 

「まじでか」

 

 

普通ここまで言ったら諦めるとこでしょ!

何こいつ何こいつ何こいつ!!!!!

 

「あはっ阪田さんって"まじでか"が口癖だよね」

 

うん…言われてみればよくいう気がする…

大して驚いてなくてもそれ言っとけば会話成り立つし、便利な言葉だよね

とりあえず言っとけば何かしら反応したことになって楽だから…

 

てかそんなのどうでもいいし!

 

「いつまでここにいる気?」

 

「んー、成仏するまでとか?」

 

それは一体いつなんだ!!!!

つっこみたくなるのを必死で抑える

 

早く出てけよって顔しながら、まだここにいてよって思ってたりして

恋する乙女は複雑なんだよ

 

 

 

とりあえず一言、

「まじでか」

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