まじでか   作:れざのふ

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発展

 

 

朝起きて、隣には愛しい彼の顔

 

体温はなく、冷やかな朝…

 

そんな朝でもずっと続いてくれないかな

 

彼の髪を撫でるふりをする

 

触れられることすらできないこの距離がもどかしい

 

 

 

「おはよ、よく寝られた?」

 

「まあまあ、てか幽霊って寝るものなの?」

 

「幽霊になってみればわかるかもよ」

 

「ならいいや」

 

「あ、着替えんの?こっち向いてよ!」

 

「馬鹿!!」

 

 

普通この場合、気を使って後ろ向くとこでしょ!?

てか着替えんの?って聞かずに察しろよ!

 

「てか!見ないでって!」

 

全く懲りない、馬鹿男です

 

 

 

 

「裕子、最近変じゃない?」

 

「何が?」

 

「独り言、増えてない?事件のせいかしら」

 

母親ってやっぱり鋭い

でも一応、デリカシーって言葉は知っておこうねって思ってみる

被害者にとってそのワードは暫く禁句

デリケートな問題だ

 

デリカシーとか、デリケートとかプライバシーとかオブラートとか、カタカナ系の言葉は母親に存在しないのかな

 

「ま、いいけど、夏休みだからって羽目はずしたりしないようにね、あと1週間?宿題やりなさいよ」

 

「まじでか」

 

今年は異様に夏休みが長い

そのおかげで皆勤賞を逃さずにすむわけだけど

 

そもそもこういう場合での欠席は公欠扱いにならないのかな…よく知らないけど

 

 

何だかんだで朝御飯も食べ終わる

今日は行くところがあった

 

彼と、彼の両親の墓参り

 

彼と一緒に行くのは気がひけるけど、いつか行かないと、と思っていたから

 

 

「着いた、ここか」

 

阪田家之墓

 

途中で買った花を供え、線香に火をつける

 

手を合わせて必死に願う

 

 

彼とまだ一緒にいたい…

まだ連れていかないで…

 

不謹慎?そんなの知らない

自己中?そうかもしれない

 

彼と一緒にいて、くだらないこと話して

それが私の幸せなんだって思ったりもしていた

 

 

 

 

 

 

 

「花火、見に行かない?」

 

彼はいきなり変なことを言う

今に始まったことじゃない

 

「浴衣着てさ、デートっぽくさ!そんで家帰ったらそのままベッドに押し倒して、帯ほどいて色っぽく…」

 

 

ありえない!

そこから先の内容は聞かない!

 

「…花火は見たいかも」

 

はい、決まり

明日はふたりで花火大会に行きましょう

 

にやける顔を抑えながら、家までの道を歩く

 

アスファルトに伸びた影はひとつ…

 

その現実から目を背けるように、私は空を見上げた

 

 

次の日、お母さんに浴衣を着付けてもらった私は彼と家を出た

はたからみたら独り寂しい子、って思われるだろう

でも私の隣には彼がいる

全然寂しくない

 

「人多い……あれ?」

 

気付いたらひとりだった

はぐれたみたい

 

あちゃー

とりあえず人込み抜けなきゃ

 

 

ようやく落ち着ける場所に出たのに、彼を見つけることができない

あ、幽霊だから飛べるじゃん!

上を見る、いない

え、どうしよう

 

まじでひとり

 

まじでか

 

え、迷子?

 

どうしよ、え、どこ???

 

 

阪田裕介…彼の名前を呼ぼうとする

 

すると自然に、思ってもないことが口から出てくる

 

 

 

「ゆうくん…!!!」

 

声に出してから気づいた

私、彼の名前をこんな風に呼んでた?

 

そんなに親しかった…?

 

 

「ゆうちゃん」

 

後ろから優しい声が聞こえた

 

何で?いつも阪田さんって呼んでたのに

この呼び方知ってる

 

私何で今まで忘れてたんだろ

 

 

夏休み直前、私は彼に呼び出されて、告白されて

 

付き合ってたじゃん

 

 

 

両想いだったじゃん

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