クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 銀河の守護者   作:オービタル

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afterstory29:生きる希望

 

一方、陽弥はとある防空壕の中で目を覚ますのであった。

 

「う……ここは…?」

 

薄暗い洞、古い電球が闇を照らしていた。陽弥はボロボロの布団から起き上がり、辺りを見渡すと…。

 

「気ぃ付いたか?」

 

「?」

 

陽弥に声を掛けたのは、ボロボロの布切れで全体を覆っている老人であった。さらに良く辺り見渡すと、血だらけの患者や全身が焼け爛れた患者が寝ていた。

 

「何なんだここは?」

 

「……ここはかつて、良い星だった……お前の故郷と同じ、豊かで平和であった………しかし、ドレギアスが率いる宇宙帝国軍ディアヴォリアスが攻めてきた…」

 

「!!」

 

「そして奴等は……この星を荒廃させるために、次元反応弾を投げ入れた……付いてこい…」

 

老人は置いていた剣を持ちつ。陽弥は起き上がろうと立った直後、ある事に気付いた。それは右腕と左脚が無くなっており、包帯を巻かれていた。老人はしょうがなく、看護師から車椅子を借り、陽弥を乗せて、連れて行く。防空壕の出入口から光が漏れ、陽弥の目を眩かせる。そして陽弥の目が馴染み、目の前に写った光景に、陽弥は息を殺した。

 

「………」

 

辺りは何も無く、瓦礫や廃墟があり、黒い煙が立ち昇っていた。空は青いのに、地は地獄であった。陽弥は老人に問う。

 

「……何なんだ……これ…?」

 

「三日前だ……奴等は慈悲などない………」

 

「……」

 

老人はそう言うと、陽弥は車椅子のリモコンを使い、移動する。

 

「何処行く…」

 

「……向こうまで見てみる…」

 

「そうか……気ぃ付けろ………それと…」

 

老人はポーチからおにぎりと乾パンを陽弥に分けて、防空壕に戻る。陽弥は荒廃した大地を進む。

 

 

 

 

数日前、少女はお母さんと一緒に家でご飯を食べていた。

その時に、空が真っ赤に染まり、その少女を庇うかのように母親は子を守り、辺りを死の星へ変えた。

次元反応弾により、娘を庇った母親は右腕が引き千切れ、ガラスの破片が右脚にも刺さっていた。

母親は全身血だらけで呻いた声を吐きながら、守っていた我が子と一緒に歩いていた。

母親は瓦礫の上に腰を掛け、娘を安心させる。娘は大好きな母親の折れている腕を抱き、眠りに付く。

翌朝、母親と娘の周りに蝿が飛び回る。

少女は母親の死体に飛び回る蝿を追い払おうと手で払うが、母の目や耳、鼻の穴、口から蛆が大量に落ちた。少女は母親の死体をそのままにし、歩き始める。

その夜…少女は瓦礫の中でボロ布を被せて、朝になって起きて歩き、夜は寝て、朝は歩く日々であった。そして昼に廃墟になってしまった市場に足を踏み入れた。すると車椅子に乗っている男性が昼食のおにぎりを落としてしまった。

 

「あ……」

 

その男性は落としたおにぎりの代わりに別のおにぎりを食する。

丁度そこにその男性が落としたおにぎりを少女はやっと食べ物に有り付け、おにぎりを拾う。

っと、その少女はその男性の右腕を見て驚く。自分を庇って死んだ母親と同じ事に……。

 

「はぁ……?」

 

すると男性……陽弥が落としたおにぎりを持っているボロボロの少女を見ると、少女は悲しそうな表情でおにぎりを差し出す。

 

「……ありがとよ、でも…良いだよ、食べな♪」

 

陽弥はその少女と一緒におにぎりと乾パンを分け合って食べる。

 

「早いとこ……向こうの皆に知らせないと……」

 

陽弥はそう言い、空を見上げる。

 

「勇人…シンディ…父さん…母さん…ルナ…ココ叔母さん…ミランダ叔母さん…婆ちゃん……エミリア…義姉さん…お義父さん…お義母さん…マリア…マナ…オリバー…ライラ……」

 

陽弥は愛する家族の元に帰りたがって涙を流していると、少女が陽弥の頬に付いている一粒の米を口に入れた。

陽弥は笑顔で少女の頭を撫でた直後、

 

「!?」

 

陽弥の頭の中にその少女の思い出が流れてくる。そして陽弥が少女の体験した悲劇と辛さに、大泣きする。

 

「う……う…うう!…ごめん……ごめんな…!」

 

陽弥は少女の心の傷も癒やす事ができないまま嘆いていると、少女が陽弥の無くなった右腕を抱く。

陽弥は少女を膝に乗せ、防空壕に戻ると、生き残った人達が宇宙帝国軍ディアヴォリアスに抵抗する共和国軍の軍艦が救助に来てくれた。陽弥は少女を連れて共和国軍の移民艦に乗り込む。艦内では兵士達が暖かい毛布と食事を持ってきてくれた。陽弥は配給されたペットボトルの水を飲んでいると、共和国の兵士が名前を記すノートを持ってきた。

 

「ここにお名前を」

 

陽弥は正体を隠すために、母親の姓とゾンネの名で『ゾンネ・シュリーフォークト』で記した。そして少女の名は『ようこ(ヨーコ)』と記すと、陽弥はヨーコの姓をシュリーフォークトに記した。

 

「?」

 

ヨーコは突然の事に驚くと、陽弥が陽子の頭を撫でる。

 

「今日から、俺がお前のお父さんだよ…♪」

 

陽弥は満面な笑顔で返すと、ヨーコの頭から何かが落ちてきた。

 

「ん?……あらら」

 

落ちてきたのは、大量のシラミであった。陽弥はヨーコを移民艦のシャワールームを借り、左手で少女の髪に付いているシラミや身体に付着している汚れを洗い流す。そして傷がある所は医師に頼み、傷薬を貰った。移民は各自の部屋へ移動していく。陽弥もヨーコを連れてベッドに寝かせると、ヨーコは話し掛ける。

 

「お話して…」

 

「……そうだね、そうだ…愛と勇気、希望に満ちた国のお話はどうかな?」

 

「愛と勇気と希望に満ちた?」

 

「うん…ヨーコも驚く、平和な世界♪」

 

陽弥は話す。その国には色んな人達全員が家族のように慕う平和な国で、皆に愛されている太陽の王が戦乙女達を引き連れて、悪い悪党を懲らしめてくれると…

 

「わ〜…その国…本当にあるの?」

 

「……あるよ♪」

 

陽弥はヨーコにそう言うと、それを聞いていた男性が問いかける。

 

「本当にあるのか?……戦乙女の名を掲げる連合国家が!?」

 

「よく知ってるね?」

 

「あぁ……噂で聞いたことがあるんだ……龍の鎧を身に纏い、邪悪な闇を光で切り開いてくれると……名は"ヴァルキュリアス"……神話だと思っていたが……アンタの言葉でヴァルキュリアスが存在するって……」

 

「……フフ♪」

 

陽弥は鼻で笑い、ヨーコが寝た事を確認すると、立ち上がる。

 

「どこ行くんだ?」

 

「ちょっとね…スマンがヨーコを見てくれ♪」

 

陽弥はそう言い、ブリッジへ向かった。

 

 

 

ブリッジに到着した陽弥は移民艦の船長に頼み、格納庫にある共和国戦闘機の提供及び、改造の許可を申し入れた。船長は深く考え、許可を入れ、格納庫にある共和国軍の主力戦闘機『ジスタード』の改造を開始しする。そして数日後、陽弥専用に改造されたジスタードが収納される。

(わかり易く言えば外見はVF―27 ルシファーが変型しない機体になっており、フレシキブルブレードアームが追加されている感じです。)

 

「本当にこれで良いのですか?色もあんな目立ちやすい鮮やかな赤とオレンジで…それに高火力のプラズマビームやバーニアをフル、推力を大幅に上げるなんて、しかも白兵戦時に機械弓やデュアルレイピアや神経増強義手と義足を着けるなんておかしすぎるよ!アンタ何者!?」

 

「……名乗る程ものではない…私は只の"騎士王"です♪」

 

「騎士王?」

 

整備長は首を傾げると、陽弥はヨーコのいる部屋へ行こうとした直後、警報が鳴り響く。

 

「今度は何だ?」

 

『11時の方向にディアヴォリアス艦隊が接近!…数は500隻!!』

 

オペレーターの放った言葉に艦隊の軍人や民間人が驚く。

 

「500隻!?そんな数…我ら共和国艦隊や移民艦を含めて57隻!」

 

「500隻か……俺一人で充分か♪」

 

「え!?」

 

陽弥はそう言い、共和国軍のパイロットスーツに着替え、ジスタード 陽弥・カスタムに乗り込む。座席には陽弥にしか使えないヘルメットを装着し、右腕と左脚にある連結部に義手と義足が連結する。そして格納庫に収納していた自立型高速無人戦闘機「リッター・オブ・バード"LOB(ロブ)"」を12機を脳波で動かす。

 

「シールドゲートを開けてくれ!」

 

陽弥が12機のロブを引き連れ、宇宙空間へ発進した。そして11時の方向からディアヴォリアス軍のシャンドゥア艦隊であった。するとシャンドゥアの傭兵艦隊の旗艦の船長がこちらに向かってくる13機の戦闘機を見て笑う。

 

「捻り潰せ…グレゴリー天皇陛下と大宇宙皇帝ドレギアス陛下に名誉と秩序を!ハイルオブディアヴォリアァァスゥゥ!!」

 

《ハイルオブディアヴォリアァァスゥゥ!!ハイルオブディアヴォリアァァスゥゥ!!》

 

シャンドゥア兵達と艦長はドレギアスに敬意を払うと、オペレーターが報告して来た。

 

「艦長!敵機が陣形張り、膨大な熱エネルギーが発生しています!」

 

「エネルギーを?」

 

その直後、シャンドゥア艦隊に眩い閃光が照らされるのであった。

 

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