クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 銀河の守護者 作:オービタル
陽弥からの警告サインを受け取った勇人達は、戦闘準備に取り掛かる。エルシュリア王国兵やヴァランドール皇国兵、アテナイ共和国の援軍やヴァルヴァトール帝国軍、グラシオン連合軍もエルシュリア王国に集結していく。グランドスフィアでも同じであった。各惑星の国家が複数の艦隊を連れて、グランドスフィアに集結していた。シン達もそれぞれのパイロットスーツを着用し、グランドスフィアの軌道に配置する。レオン達はエルシュリア王国上空の警護とされ、ジュン達と共に警戒する。
「ヤベェなぁ…」
「何が?」
ジュンが突然怖気づいた事を言い、コモンが問う。
「まさか陽弥の奴があっさりと殺られるなんて、いくらこれだけの数を集めても……」
ジュンは冷や汗をかきながら言うと、ヒルダが怒鳴る。
「黙ってろ!!どんなに集めてもアタシ等の世界を守らなきゃいけないんだよ!それに陽弥の事を……アタシの息子の事を馬鹿にするな!」
「厳密に言ったら、こっちの世界のヒルダちゃんの子供なんだけどな……」
「うっせぇ!!」
エルシャが呆れながら説明するが、ヒルダは吠える。
「二人共!そこまでにして、今はこっちの任務に最優先して!」
サリアが二人の会話を止める。レオンは新たな機体…ヴェルトヴィンガーと機械化したデバストームに騎乗していた。するとレオンの元に、エルシュリア王国国王アストラッド王専用の国王騎セイクリッドメイル『エリシオン』が現れた。
「レオン君、不満かい?」
「いえ…少し緊張しているだけです…」
「そうか?…なら、良いんだが……私は少し不満があるのだ……もし、この世界がドレギアスに滅ぼされたら、どうなるのかと……」
「分かりません……俺も想像したこともありません……まさか、こんな事になってしまうなんて、運命は……裏切るのでしょうか?」
「………陽弥君は言っていた……"運命は、自分で変えるもの"と……」
「運命は、自分で変えるもの……」
「陽弥はそう言い、私達の世界や銀河を守ってくれた♪」
「そうですか…」
レオンが頷くと、警告音が鳴り響く。
「!?」
「アステロイド帯に複数の艦隊を確認した!その数36メガです!」
「36メガ!?」
ホライゾンでは、メガは1000万という訳で、約3億6000
万の艦隊が接近しているという事となる。
「来たのですか!?」
「えぇ…アステロイド帯で確認されたと言う事は、衛生攻撃機が全滅したことになる……レオン君、気をしっかりと持ちなされ!」
「分かりました!」
レオンはアストラッド王に敬礼すると、ヴェルトヴィンガーが報告してきた。
『レオン!来たぞ!!』
「っ!」
グランドスフィアを見ると、その前方に黒い靄が浮き出る。そう……それがドレギアスの艦隊だと言う事をレオンは見抜いた。
「来たか……」
すると黒い靄の中に、紫に光る何かがこちらへ急接近してきた。
「!?」
レオン達はそれを見ようとした直後、グランドスフィアの前線にいるシン達から通信が入る。
『すまん!ドレギアスが猛スピードでそっちへ向かっているぞ!!』
シンからの通信を聞いた直後、紫黒い流星がエルシュリアの草原に衝突し、草原を焼け野原にした。
《ッ!!?》
その時、レオン達やルナ達は恐怖すると、黒い煙の中から、12枚の天使の翼、悪魔の翼が現れ、羽ばたくと煙が晴れ、ドレギアス・ゾークと、その後ろに巨大な影が浮かび上がる。
《ッ!!!!》
皆は恐怖する……それは、無数の触手に覆われ、蛇のように伸びたギガオロチの首が複数巻きついた丸っこい身体に巨大な口が覗くワニのような顔が付いており、背中に七つのギガオロチがあるギガタノオロチであった。そして恐ろしいのはこれからであった。ギガタノオロチは七つのそれぞれの鳴き声をミックスし、そこに女性の微笑み声と叫びのようなものを合わせた異様な響きを発した。
「ホワァァァァァァァァァ!!!!」
「ケラケラケラケラケラケラ!!!」
「フィア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ァァァッ!!!!」
「ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!ガラ!!」
「ギシアァァァァァァァァァァァ!!!!
「キョアアァアァアアアアアアア!!!!!」
「ンヮアアアアア!!!」
「フィア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"アア"ア"ア"ア"ア"ア"ァァァァァァァ!!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロォォォォ!!!!!!!」
ワニの様な口を持ったオロチは惑星全体にその不気味な鳴き声を響かせる。
「あれがオロチの完全なる姿……ギガタノオロチ!」
レオンはアーティファルソードⅡを構えると、ドレギアス・ゾークが立ち上がる。
「久しぶりたなぁ、レオン・マクライト………我が長年の宿敵よ、このホライゾンの大地で再び相見えるとは……」
ドレギアスは転移してきたゼロに乗り込み、オロジャーグを抜刀する。するとドレギアスがオロジャーグを天に向けて掲げる。
「亡者の強者たちよ!!黄泉の界より復讐を果たすのだ!!」
オロジャーグの刀身から大量の血が流れ落ちる。血は辺りを覆い尽くす。草や花が枯れ、空が黒く染まる。
「何だ!?」
「レオン!見て!」
サラがあるものに目を指し、レオン達も見ると、太陽が黒く染まっていた。すると赤く染まった積乱雲が現れ、血の雨が降る。それと同時に、ドレギアスやギガタノオロチの周りの血から何かが出てきた。それは、先の戦いで戦死した兵士達の醜い姿であった。さらに、時空融合で全てが混ざった死人やドラゴンによって食い殺されたアルゼナルの者と異型の倒されたドラゴン達、そしてドレギアスの前に大破し、至る所から肉が浮き出ているヒステリカとヒステリカの頭頂部に肉が避けたエンブリヲが叫ぶ。
「アァンジュウゥゥゥ…………、アァンジュウゥゥゥゥゥゥ~~……」
エンブリヲは黄泉の界に堕ちても、ずっと今までアンジュの事を執念深く想っていた。アンジュはエンブリヲの悍ましき姿に嫌気が差していた。
「エンブリヲ!」
「アイツ……死んでもあんなに執念深くアンジュの事を思うなんて!!」
「"亡者の成れの果て"ですね……」
ジャンヌに騎乗しているフィーリと最新型のセイクリッドメイルである『クルトルガ』に騎乗しているフェイズがエンブリヲを見る。フェイズはクルトルガの右腰に装備されている専用の宝剣『ワスピネーターサーベル』を抜き、構える。ルナ達も龍装光をし、ラルフ達も武器を構える。ジュン達も新たなライザーメイルに騎乗していたジュンは『ソニックライザー』『フェニックライザー』『グリムライザー』『メガロライザー』が新たな武装を抜く。ジュンの新たなライザーメイル『ソニックライザー』はビーストモードからヒューマノイドモードへと変形し、ツインアイを光らせながら、腰部に装備されている専用の双剣『オレイカルコスブレード』を抜く。コモンも『フェニックライザー』をヒューマノイドモードへと変形し、両腕部に装備されている蛇腹剣『ブロウラーソード』抜く。アラドも『グリムライザー』を変形させ、背部に装備されている剣と剣が合体した薙刀『エグゼジャベリン』を振り回す。リアースも『メガロライザー』をヒューマノイドモードへと変形し、右肩部に装備されている専用の弓『エクシードアロー』を抜く。そしてアストラ達も新たなローガストに騎乗しており、それぞれの専用の武器を抜く。
「クッ!何でだろうかな?」
「何がだ?」
ベイボルスが震えているアストラに問うと、アストラが正直に答える。
「こんなに震えたのは初めてかもしれない……」
アストラは笑いながらベイボルスに返答すると、ベイボルスとアイリスが驚く。
「えぇっ!?」
「はぁ!?何を言ってるんだ?」
「嫌、マジで……」
恐怖に怯えるアストラはヴォーダンを改造した新たなローガストメイル『ヴォルダン』の専用の大剣『イグリース』を持つが、操縦桿を握っていた手が震えていた。するとドレギアスが何かの気配を感づく。
「フン……来たか…」
ドレギアスの後方上空からワームホールが出現する。
「何だ!?」
レオン達は驚くと、ラルフ達がある力に確信する。
「帰ってきた!!」
「え!?」
するとワームホールからハバキリとスペースノアを含む護衛艦隊が現れた。ハバキリのカタパルトが開き、ジスタードとロブが射出され、上空を舞い上がる。ジスタードのコックピットにいる陽弥は、復活したヴィクトルに命令する。
「ヴィクトルー、ジスタードの操縦任せていいか?」
「お任せください♪」
「それじぁ、俺は……」
陽弥が、コックピットハッチを開き、座席シートが陽弥を外へ押し出した。陽弥は双銃剣グラムとセブンスターを抜き、ヘイロージャンプしながら降下する。
「態々死にに来るとは、愚かな!陽弥・ギデオン!!ギガタノオロチ!殺れ!!」
ドレギアスはギガタノオロチに命令する。ギガタノオロチは背中の棘が対空ミサイルへとなり、陽弥目掛けて発射された。
「そう来るか……」
陽弥はグラムセブンスターをライフルモードに切り替え、迫り来る対空ミサイルを迎撃する。
「ヴィクトルー!援護頼む!!」
「了解!!」
ヴィクトルーは13機のロブを引き連れ、プラズマビームとパルスレーザーでミサイルを駆逐していく。陽弥はその間に通信する。
「シグムディア!出番だ!!」
陽弥はそう言うと、シグムディアが陽弥の所に飛んで来た。
「マスター!!」
久しぶりの再開を果たしたシグムディアと陽弥。陽弥はシグムディアに騎乗し、ルミナスビットを展開する。
「さぁ、行くぞ!!」
するとスペースノアのカタパルトからアリアードのクアンタメイル『ジアート』、メリダのクアンタメイル『ブリッツェン』、シーラのクアンタメイル『ローエン』、エルネアのクアンタメイル『フェルメーラ』が射出された。
「アリアード!メリダ!シーラ!エルネア!用意は良いか?」
「えぇ!」
「本気を出しますよ!」
「御意!」
「勿論♪」
四人は陽弥に応じると、エミリアに通信する。
「エミリア!皆!待たせたな!」
『陽弥様!/陽弥!!』
「しばらく見ない間に成長したな、エミリア…マナとオリバーとライラは無事……どうした?」
っとそう言った時にエミリアが泣き崩れる。
『いえ……無事に戻って来てくれたのが嬉しくて……』
「……ごめん」
陽弥がエミリアにそう言った直後、アリアード達が陽弥とエミリアの通信に入る。
『陽弥よ、女の人を泣かせるとは…』
『全く、これだから男は!』
『陽弥殿、最低です』
『陽弥さんて、大切な奥さんを悲しませちゃう人物なんですねぇ〜』
「嫌々!そう言うつもりはなかったんだ!」
『陽弥様…』
「はい…」
『後で私の部屋に来てくださいね♪』
エミリアが突然怖い表情と上から目線で陽弥を凝視する。陽弥はそれに応じる。
「は、はい……」
《弱っ!?》
レオン達が陽弥の情けない返事に驚くと、ギガタノオロチが吼える。
「おっと!今はコイツを倒すのに最優先だ!!」
陽弥はシグムディアの両肩部に装備されている魔双銃剣エクシードとヴェルデライズを抜くと同時に、ドレギアス・ゾークが宣言する。
「そうするか……ならば、この星と共に奈落へ落ちろ!!」
ドレギアス・ゾークの周りに、無数のワームゲートが開き、中から異次元生命体軍団及び、ブラッディレオンと洋介が現れた。陽弥達は武器を構え、叫ぶ。
「行くぞ!みんな!」
《応!!!!》
レオン達は陽弥に続き、突撃していった。
一方、勇人とシンディはクーフリンとエリンの出力を最大にし、急いでエルシュリア王国へと向かっていった。そして突然空が黒く染まったり、黒い太陽が現れたり、赤い雨が降るという現象に驚く。
「何で赤い雨が降るんだよ!?一体どうなっているんだ!?」
勇人が慌てている中、シンディは数時間前の出来事を思い返す。海辺の近く、海面へとがってきた魚達の死体に不満を抱いていた。
「"あれは一体……何だったのでしょうか"……」
シンディはそう思いながら自分の右手を見ると、指間腔が広がっていた。
「っ!?」
すると耳が尖り、そこからヒレが生え、ヒレ耳へとなる。
「っ!?」
さらに腰からヒレや脚が美しい純白に満ちた鱗へとなる。
「キャァァァァァァァァッ!!!」
「っ!?」
突然、シンディの悲鳴が聞こえ、エリンのスピードが落ちていく。
「シンディ!?」
勇人は急いで落ちていくエリンを抱え、地上に降ろす。勇人はエリンのコックピットの暗証番号を入力し、ハッチを開ける。
「シンディ!大丈…夫……!?」
勇人が見た物は、シンディの手首や肩に純白の鱗がビッシリと生え、手には指間腔が広がっており、耳や腰に耳ヒレと腰ヒレがあり、そして一番勇人を釘付けにしたのは、シンディの脚が魚の様に純白の鱗と虹色に輝く尾ビレであった。
「……シン…ディ…?」
「勇人……」
シンディは勇人を見るのであった。